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2025-09-24

MAC抗体 (抗酸菌抗体定性)

🍎 肺MAC症(MAC: Mycobacterium avium complex)
  • 慢性的に咳嗽や喀痰などの呼吸器症状を生じ中年以降の女性に多い
  • 胸部CTで中葉舌区に気管支拡張や小葉中心性粒状陰影を認めやすい
  • MACは環境常在菌なので喀痰から検出しても肺MAC症と確定されず
  • 画像検査や症状などを含め総合的に診断されることが一般的である
  • 喀痰から菌が検出できない場合に補助診断として血液中のMAC抗体
  • 抗体が0.7未満なら陰性:血清0.5mL,3~5日必要,144点(SRL



🍏 MACに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-09-23

チップ検出法 Tip Detection Method

  • 慢性完全閉塞(CTO)に対し冠インターベンション(PCI)で用いる技術
  • 血管内超音波(IVUS)を用いてガイドワイヤー先端を正確に観察・誘導
  • 本邦の岡村篤徳先生らが開発(JACC Cardiovasc Interv 2020;13:74-82
  • 直近のCVID近畿地方会では5演題がTip Detection Methodに関する発表

- Tip Detection Method -

(投稿者 川崎)

2025-09-22

Cabot-Locke murmur カボット・ロック雑音

  • 概要 重症貧血患者に認めることがある拡張早期雑音(大動脈弁逆流症と異なり減衰しない)
  • 由来 米国の医師 Cabot RC と Locke EA の報告(Bull Johns Hopkins Hosp 1903;14:115-20
  • 性状 胸骨左縁で最も大きく聴取され貧血の改善に伴い消失(弁膜症がないことが前提条件)


😐 独り言
  • 貧血や甲状腺機能亢進症、発熱時には心拍出量の増加による機能性雑音が生じることはよく知られています。しかし基本的には収縮期の駆出性雑音で、Cabot-Locke murmurのような拡張期雑音は稀と思われます(金沢大学十全医学会雑誌 1964;70:338-53)。
  • カボット・ロック雑音の原因は不明だそうですが、興味があります。Dock's murmur(ドック雑音)と同様に実際の音や心音図も見つけるころができませんでした。日常臨床で貧血を経験することは稀ではないため、何とか記録できるように努力してみます。

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-09-21

サルコイドーシスの眼病変:首飾り状硝子体混濁

👤 サルコイドーシス vs 眼
  • 眼は肺に次いで2番目に病変の発生率が高い臓器
  • 最多はぶどう膜炎でサルコイドーシスの30-60%
  • 逆にぶどう膜炎例の10.6%がサルコイドーシス
  • 眼病変の好発は20-30歳台と50-60歳台の二峰性

👥 ぶどう膜炎
  • 前眼部:豚脂様角膜後面沈着物や虹彩結節など
  • 隅角:隅角結節やテント状周辺虹彩前癒着など
  • 硝子体:雪玉状や数珠状,首飾り状硝子体混濁
  • 眼底:網膜血管周囲炎や蠟様網脈絡膜滲出斑他


※上記6項目で2項目以上ならぶどう膜炎の原因としてサルコイドーシスを強く疑う


🚑 サルコイドーシスに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-09-20

レオポルド触診法 Leopold's Maneuvers

  • 触診で胎位や胎向,胎勢などを確認する方法(下図)
  • 独の産婦人科医 CG Leopold が1894年に開発(
  • 特別な器具は不要で現在でも妊娠健診時に広く活用

- レオポルド触診法の実際 -
  1. 両手掌をわずかに曲げて小指側を子宮底に当て子宮底の高さ、胎児の状態を観察
  2. 子宮底より両手を下方に移動し、左右の手を交互に動かし胎位、胎向、胎動、羊水量などを観察
  3. 右手の母指とほかの4指で恥骨結合上の胎児に触れ胎児の先進部分を確認
  4. 両手掌をわずかに曲げて左右の下腹部に当て、骨盤入口面方向へ静かに圧入し胎児の先進部、移動性、骨盤内侵入状況を観察

(投稿者 川崎)

2025-09-19

Dock's murmur ドック雑音

  • 概要 左前下行枝に高度の狭窄がある場合に生じる拡張期雑音(特に拡張早期と拡張後期)
  • 由来 アメリカの心臓専門医 William Dock (1898-1990) の初報(Am J Med 1967;42:617-9
  • 性状 第三肋間で胸骨中央から4cm左側に限局して座位時に心音図で記録することができる


- 音響分析結果と対応する血管造影 -

😉 呟き
  • 当院では虚血性心疾患でも多くの心音図を記録してきましたが、Dock's murmurを思わせる不思議な雑音(拡張早期と拡張後期にアクセント)を経験したことはありません。これは方法論の問題?(座位かつ特殊な部位での記録が必要)
  • ウェブ上にきれいな音ファイルあるいは心音図はアップないようです。個人的にも興味があるので、なんとか記録できるよう挑戦してみます。心音図でなければ記録できないという記載も見かけますが…記録されるなら聴取できるのでは⁉

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(投稿者 川崎)

2025-09-18

今週の一枚 🎯

朝の歩行時に胸痛が出現するが15分程度で改善しその後は何ともない症例

💣 重症の冠動脈疾患
  • 本症例の心電図と心エコー図は正常
  • しかし明瞭なⅣ音(第4音)を聴取
  • 病歴からも冠動脈疾患が示唆される
  • 翌日入院して冠動脈造影 CAG を実施
  • 右冠動脈には有意な狭窄なし(左図)
  • 左冠動脈は主幹部に高度の狭窄あり!
  • 4F(直径1.3 mm)のカテがウェッジ
  • 同日,転院し準緊急バイパス術を施行

😑 独り言
  • 本例では毎朝歩行時に症状が出るが,その後は何ともないという点が興味深い.これは通り抜け現象(walk-through phenomenon)あるいはウォームアップ狭心症(walk-through angina)<ICD-11用語> と呼ばれ,循環器用語集にも掲載されている.
  • 臨床では稀ながら経験し(過去の自験例),重症の冠動脈疾患であることが多い(個人的見解).正確な機序は不明であるが,「心筋虚血時にブラジキニンなどが産生され疼痛が出現→ブラジキニンの強力な血管平滑筋弛緩作用があり血管拡張」など?

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-09-17

The “5-5-5” sign 「5-5-5」徴候

  • 心臓アミロイドーシスの心エコー図で認められるドプラ所見
  • 全ての組織ドップラー(e', a', s')速度が5cm/秒未満の状態
  • ただし病気の初期の段階では診断感度が低い可能性はある
  • 従来のパルスドプラによる拡張障害のGrade II or IIIも有用


 
(投稿者 川崎)

2025-09-16

脊髄刺激療法 Spinal cord stimulation:SCS

  • 硬膜外腔から脊髄に電気刺激を与え疼痛緩和+血流改善
  • 1968年に米メドトロニックが発売(世界で100万人以上)
  • 本邦では1992年に難治性慢性疼痛に対し保険適応で急増
  • 例:脊柱管狭窄症,幻肢痛,帯状疱疹後,バージャー病
  • 患者さん自身で電源のオン・オフや刺激の強さを調整可
  • 機序は下行性抑制系の賦活や上行性脳幹疼痛の抑制など?

 - 電極の留置例とイラスト -


😑 目安
  • ジアテルミ(温熱療法)および磁気共鳴装置(MRI)は禁忌(ただしMRI対応デバイスを使用時は設定変更後に可)
  • 放射線検査は可能,放射線治療は電源オフ後に実施(ただし緊急時は可能).基本的に家電や携帯電話は問題なし


(投稿者 川崎)

2025-09-15

フィジカルクイズ(No. 21 & 22)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)