このブログを検索

2025-04-06

夢叶う Dreams come true

  • 2025年3月28日に新しい心不全ガイドラインが公開されました.そして遂に頚静脈の座位定性法が記載されました(下の上図).おまけに吸気負荷の有用性も併記されています.その部位で引用されているのが2論文です(下の下図).
  • 最初の論文は頚静脈の座位定性法を(初めて?)報告したフィンランドのSinisaloらの報告です(Am J Cardiol 2007;100:1779-81).もう一つはなんと座位定性法に吸気負荷を加えた当院の報告です(Am J Cardiol 2022:170:71-5).


🕔 特別な朝
  • この日は(いつも通り)5時前に起きて,真っ先に日循ホームページを覗いてみました.そして更新された心不全ガイドラインの図と文言を見てとても驚きました.予想を大幅に上回る改定で,おまけに引用論文も最高です.この変更は前もって何も知らされていませんでした(僕レベルでは当然😅)
  • 早速(おそらく今回の改定に尽力していただいた)先生にお礼のメールをしました.すると5分後に「いままで使われていなかったことが問題...これから広めていきましょう」とお返事をいただきました.時計はまだ6時にはなっていません.とても素晴らしい朝になりました.本当に夢が叶いました.

(投稿者 川崎)

2025-04-05

本邦独自の評価ツー ル:HELT-E2S2スコア

  • 脳梗塞発症リスクを判断するCHADS2やCHA2DS2-VAScのスコアは海外で開発
  • HELT-E2S2スコアは本邦のデータに基づき開発された脳梗塞リスク評価ツール
  • 具体的には5つのレジストリの統合解析J-RISK(Circ J 2021;85:1254-62、他)
  • 独立危険因子6つ:年齢、高血圧,脳卒中既往,BMI、持続性/永続性心房細動
  • HELT-E2S2スコアの何点以上を抗凝固療法開始とするかは今後の検討を要する
  • 読み方はヘルツ(独語herzは心臓 😁)・イーツー・エスツーが多いと思う...



(投稿者 川崎)

2025-04-04

サブラッド® SUBLOOD®

👥 CEさんとの会話で...
  • サブラッドという言葉が何度も出てきました。ろ過型人工腎臓用補液のだと教えてもらいましたが、あまりなじみのない言葉だったので調べてみました。

サブラッド® SUBLOOD® (添付文書PDF
  • 効能または効果 ➜ 透析型人工腎臓では治療の持続又は管理の困難な慢性腎不全例に対するろ過型又はろ過透析型人工腎臓使用時ならびに治療時間の短縮を目的とするろ過透析型人工腎臓使用時の補充液として用いる。
  • 種類 ➜ 1,010mL(737円)と2,020mL(942円)があり使用前に混合する(下図)。【B液(大室)】塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム水和物(CaCl2・2H2O)、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)、無水酢酸ナトリウム(CH3COONa)、ブドウ糖(C6H12O6) 【A液(小室)】塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)
  • 用法及び用量 ➜ 通常、使用時A液及びB液を混和し、ろ過型又はろ過透析型人工腎臓使用時の体液量を保持する目的で点滴注入する。投与はろ過液量と体液量とのバランスを保つように十分注意して行う。 通常成人1分間当たり30〜80mLの投与速度で症状、血液生化学異常、電解質・酸塩基平衡異常、体液バランス異常等が是正されるまで行う。通常1回のろ過型人工腎臓治療では15〜20Lを4〜7時間で投与する。また、透析型人工腎臓と併用する場合には、5〜10Lを3〜5時間で投与する。なお、投与量は症状、血液生化学値、体液異常、年齢、体重などにより適宜増減する。

- 実際の使用方法 -

(投稿者 川崎)

2025-04-03

今週の一枚 🎯

数分間の意識消失を生じた超高齢者

😐 解説
  • 来院時の心電図は徐脈+心房細動+ST-T部分の変化
  • 意識清明で神経学的異常なく頭部CTも特記所見なし
  • 高Mg血症(16.3 mg/dl)が判明(基準値:1.8-2.4)
  • 他の電解質はPが軽度上昇(5.1 md/dl)以外は正常
  • 腎機能は軽度の低下(Cr 1.1 md/dl)で肝機能は正常
  • カルチコールの静脈内緩徐投与と緊急血液透析で対応
  • 最終的に高Mg血症+糞便イレウス+誤嚥性肺炎と診断
  • 意識障害の原因は過剰な緩下剤による高Mg血症の疑い

💁 高Mg血症と心電図
  • 軽度~中等度の高マグネシウム血症ではPR間隔やQT間隔の延長、QRS波の拡大
  • 高度では伝導障害から心停止(一部は顕著なST部分の上昇とT波の増加も観察)
  • その原因としてマグネシウムイオンによる Na+/K+-ATPase 活性の機能的阻害

💫 マグネシウムに関する過去の投稿 ➜ コチラ

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-04-02

クッション言葉とファミコン言葉

🐶 クッション言葉
  • 相手に伝えづらい内容を柔らかく伝える言葉や表現で、ビジネス枕詞とも呼ばれている。円滑なコミュニケーションが必要な医療現場でも、最近は使用が推奨されてきている。

🐭 ファミコン言葉
  • ファレスやコンビニなどの接客でよく使われる間違った用法で、バイト敬語とも呼ばれている。「ご注文は**でよろしかったでしょうか?」や「こちら、〜になります」など

- クッション言葉とファミコン言葉の実例 -

👉 言葉に関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2025-04-01

双生児:一卵性 vs 二卵性

🍊 先日の診察室で...
  • 事務員P「私、双子で一卵性なんです」
  • 某医師T「一卵性? 遺伝子調べたの?」
  • 事務員P「そんな検査はしていません」
  • 某医師T「じゃ、実は二卵性かもよ」
  • 事務員P「でも妹とソックリなんです」

🍋 おさらい
  • 一卵性(identical twins)は1つの卵子と1つの精子が受精後2つに分かれて生まれるため(ほぼ)100%同じ遺伝子情報を有する(もちろん性別や血液型は同じ)。一方、二卵性(non-identical twins)は2つの卵子がそれぞれ別の精子と受精して生まれるため、遺伝的には平均50%が同じ(性別や血液型は同じことも異なることもある)。
  • 一卵性と二卵性の鑑別には生後にDNA検査を行う必要がある(一卵性だと思っていたが二卵性だったということが少なくない)。胎盤が1つなら一卵性(一絨毛膜二羊膜または一絨毛膜一羊膜)で2つなら二卵性(二絨毛膜二羊膜)が多いが、一卵性でも2胎盤(二絨毛膜二羊膜)や二卵性でも2つの胎盤がくっついて1つに見えることがある。 
  •  双胎の頻度は全妊娠の1-2%を占め、3分の1は一卵性で3分の2は二卵性である。一卵性双胎の頻度は全人種でおおむね同様で、母体年齢によって変動しないが体外受精(IVF妊娠)では2-3倍高いと考えられる。二卵性双胎の頻度は白人女性より黒人女性で高く、さらに母体年齢や妊娠方法によって増加する(排卵誘発により約20%増加)。

🍍 おまけ
  • 同一DNAを有する一卵性双生児でも、指紋や虹彩、掌紋(手のひらにある紋様)、顔、耳の形などで鑑別できるようです()。人間は両者の差をなんとなく分かるようですが、近年ではAIを使った鑑別がとても進んでいるそうです(

指紋による分類例(aとbが一卵性でcは他人/d~fは細部抽出)
(投稿者 川崎)

2025-03-31

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-03-30

2024年度SNS解析:循環器Physical Examination講習会

  • 2024年3月に開催された循環器Physical Examination講習会の動画切り抜きを毎週リリースしてきました.その一年間のデータを解析しました.
  • SNSの4大プラットフォームで,計139,786再生されていました.1動画あたりでは平均2,589再生(最小1,125~最大11,877)でした.
  • ニッチな領域であるためSNSアルゴリズムにハマってバズることはないと思われますが,多くの方にご覧いただけたことに感謝いたします. 

😀 SNSごとの解析
  • X (Twitter)➜ 計93,664再生 平均1,735(523~11,000)
  • Instagram ➜ 計6,763再生 平均125(22~808)
  • TikTok ➜ 計27,051再生 平均501(37~1,211)
  • YouTube ➜ 計12,308再生 平均228(22~618)

- 2024年度の最多再生数動画:計11,877再生 -

(投稿者 川崎)

2025-03-29

レフェトフ症候群  Refetoff syndrome

  • 概要 甲状腺ホルモンに対する標的臓器の反応性が減弱した病態
  • 原因 主に甲状腺ホルモン受容体βの異常(常染色体顕性遺伝)
  • 命名 米国の小児科医 Samuel Refetoff らが1967年に報告(論文
  • 疫学 日本では100名未満:大部分が家族性で散発例は10~15%
  • 症状 甲状腺腫と軽度の頻脈以外の症状を示さない症例が多い
  • 契機 FT4とFT3の上昇にもかかわらずTSHが上昇または正常内
  • 診断 TRH負荷試験では正常反応でT3抑制試験ではTSHの抑制
  • 治療 甲状腺ホルモンの高値で代償され治療不要な症例が多い
  • 予後 頻脈のある患者は注意(心房細動で若年脳梗塞の報告有)

参考)難病情報センター,他

- 甲状腺ホルモン不応症の31歳女性 -

👉 甲状腺に関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2025-03-28

\負荷頚静脈法:新たな心不全評価/

  • 日本医事新報に総説を執筆させていただく機会を得ました(感謝)。頚静脈を用いた心不全診療で、私の知識と経験のすべてを盛り込みました。
  • 選び抜いた動画19点と図15点を含む全24ページの温故知新です。同時に電子書籍としても発行されました。よろしければぜひご覧ください。


(電子書籍⭐️コチラ) 

😊 追記 
  • 日本医事新報は1921年(大正10年)創刊で、毎週土曜日に発行されています(定価1,100円)。現在する商業医学誌では最古の一つで、発行部数はなんと39,500部(週刊)
  • ちなみに日本内科学会雑誌の第1巻は1913年発行で、毎月10日に刊行(臨時増刊号を含め年間13回の刊行)。発行部数は2022年2月10日時点で10万9,300部だそうです。

(投稿者 川崎)