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2025-10-14

術前絶飲食「2-4-6ルール」

  • 清澄水の摂取は年齢を問わず麻酔導入2時間前まで安全(推奨度 A)
  • 母乳の摂取は麻酔導入4時間前まで安全(推奨度 C)
  • 人工乳・牛乳の摂取は麻酔導入6時間前まで安全(推奨度 C)

💧 清澄水セイチョウスイ(クリアリキッド)
  • ここで言う清澄水とは,果汁を含まないジュースやコーヒー飲料など自由度が高く,各施設に適したものを選択できる.また,量については特に制限しておらず,こちらも自由度が高い.このように,このガイドラインは導入施設により,適した運用を選択することが可能であり,汎用性が高いといえる.


(投稿者 川崎)

2025-10-13

フィジカルクイズ(No. 25 & 26)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-10-12

PIMSRA:ピー・アイ・エム・エス・アール・エー

  • 閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) に対する侵襲度の小さい新たな治療
  • Percutaneous Intramyocardial Septal Radiofrequency Ablationの略
  • 邦名は心エコーガイド下経皮的心筋内中隔高周波アブレーション
  • 中国のLiwen Liuらが開発(J Am Coll Cardiol 2018;72:1898-1909
  • 15例6ヵ月間で患者の最大圧較差が88 mmHgから11 mmHgへ減少
  • 心室中隔壁は25 mmから14 mm、BNPは924 pg/mlから137 pg/ml
  • 手術に関連した脚ブロックや完全房室ブロックは発生しなかった

- PIMSRAのイメージ -


(投稿者 川崎)

2025-10-11

パラシュート反射

  • 体平衡が乱れたときに速やかに調整しようとする姿勢反射の一つ
  • 具体的には水平の状態で急に頭を下げると手を広げる反応のこと
  • 大脳皮質や中脳が発達する生後6カ月~1歳に出現(特に8~9ヵ月)
  • ハイハイする頃(8ヵ月)からパラシュート反射で転倒に備える?
  • 姿勢反射は一生消えることがないためパラシュート反射も一生有
  • 他の姿勢反射にはホッピング反射(足踏出)やランドウ反応など

参考)ベビーカレンダー、他

😃 おまけ
  • 姿勢反射とよく似たものに原始反射があります。こちらは脳幹や脊髄による無意識の反射で、出生時に存在して中脳や大脳の発達に伴い消失します(概ね半年~1年以内)。つまり原始反射のあとに続いて出てくるのが姿勢反射のようです。
  • 主な原始反射には、把握反射(手掌など刺激すると指を屈曲)、吸啜反射(口に入ってきたものを強く吸う)、モロー反射(振動や音などの刺激時に何かに抱きつこうとする)、歩行反射(前かがみになった時に足を出す)などがあります。

参考)ベビーカレンダー、他

(投稿者 川崎)

2025-10-10

RSウイルス Respiratory syncytial virus

  • 原因はParamyxovirus科のPneumovirus属に分類されるRNAウイルス
  • 乳幼児の肺炎の50%、細気管支炎の50~90%、小児気管支炎の10~30%
  • 本邦では11~1月(コロナ後は6~8月?)に流行(熱帯地域では雨期)
  • 生後1年で50~70%以上の新生児が罹患し3歳までに全小児が抗体獲得
  • 呼吸器飛沫や分泌物等による家族内伝播あり(特に乳幼児~年長小児)
  • 潜伏期は2~8日で発熱、鼻汁など上気道炎症状(数日)→ 下気道症状
  • 診断は鼻粘膜ぬぐい液で迅速診断(15分、だたし保険適応は1歳未満)
  • RSV感染の致死率は1~3%?(特に基礎疾患がある時や生後6ヶ月以内)
  • RSV再感染は普遍的に認められる(縦断的調査では毎年6~83%の小児)



(投稿者 川崎)

2025-10-09

今週の一枚 🎯 無塩食

長年安定していた心不全例(座位)


🍟 現場実況
  • 通常は安静時も吸気時も頚静脈は陰性
  • 今回は安静時に鎖骨上窩で陥凹(矢印)
  • 深吸気保持で外頚静脈が怒張している
  • 内頚静脈の拍動の上縁も上昇(矢頭)
  • しかも拍動パターンは陥凹から隆起へ
  • 予定していた心エコー図には著変なし
  • 問い直すと自覚症状は悪化していたと

🍙 追加コメント
  • 安定していた心不全が悪化した原因を尋ねたら「継続していた無塩食を少し前に辞めた」ことを教えてくれました.
  • 無塩食は思っているよりも簡単なようです.自宅で無塩調理(食塩や醤油,味噌などの調味料を使用しない)だけ
  • 無塩食だから外食不可も古い考えだそうです.現在では無塩を依頼すれば多くのお店で対応してもらえるようです.
  • 無塩(かつ無糖)の食生活を20年以上も継続されている循環器内科専門医が霧島記念病院におられます(コチラ

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2025-10-08

ケルスス 禿瘡とくそう Celsus' Kerion

  • 毛髪に皮膚糸状菌が寄生した頭部白癬の一病態
  • 脱毛斑を生じて様々な程度の炎症や鱗屑を伴う
  • 戦前は男児の疾患であったが近年は大きく変化
  • 皮膚糸状菌が人から人,動物から人へ感染する
  • 毛嚢から侵入して真皮や皮下組織に化膿性炎症
  • 急性の経過をとり多発する膿疱が特徴的である
  • 炎症の強い例では疼痛が著しく腫瘤形成もある
  • リスクはスポーツ歴,ペット,ステロイド外用
  • 診断は毛髪や黒点の毛包内容を鏡検および培養
  • 治療はイトラコナゾールやテルビナフィン内服


- 柔道教室に通う8歳男児に生じたケルスス禿瘡 -

😃 雑学

(投稿者 川崎)

2025-10-07

胸部X線の側面像:左室拡大

  • 側面像は付け足しではなくきちんとした読影を行うべき
  • 気管,食道,右上葉気管支口,左主気管支,左肺動脈,大動脈,心臓,下肺静脈などが同定可能
  • 心陰影下部のやや後方に下肺静脈が見られるが,これを異常陰影と誤ってはいけない

  1. 心陰影の前縁 ➜ 右室流出路
  2. 心陰影の後縁上部 ➜ 左房
  3. 心陰影の後縁下部 ➜ 左室



👻 追加コメント
  • 先日,胸部X線の側面像を用いて左室拡大の有無が判断できることを学びました.確かに正面像では心拡大が左心か右心か判断できないことがあります.側面像で心陰影の後縁下部が左室を反映することを知っていれば,心拡大に寄与した心室が鑑別できます(大まかな目安:横隔膜との交点が中央より背側なら左室拡大).なるほど…側面像は付け足しではなさそうですネ😕

(投稿者 川﨑)

2025-10-06

心音クイズ(Q11・Q12)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第二弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏).今回はちょっと珍しい右心系の心雑音を呈した2症例です.ココで経験しておけば実際の臨床現場で遭遇した時にも迷わずフィジカル診断?
  • 今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2025年11月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は初回のみ簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです 😁


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(投稿者 川崎)

2025-10-05

心電図:アスランガーのパターン(Aslanger's pattern)

  • 急性下壁梗塞の心電図で出現しうるパターン(下記3所見)
  • トルコの循環器医 Emre Aslanger らが2020年に報告(
  • その出現頻度は急性下壁梗塞の13.3%,non STEMIの6.3%
  • 右冠動脈に加えて他の冠動脈に重篤な狭窄の可能性がある
  • 通常の下壁梗塞より梗塞サイズが大きく死亡率が高くなる
  • ただし右冠動脈を伴わない症例の報告もあり(下図参照)

💁 心電図所見
  1. Ⅲ誘導で孤立性ST上昇(他の下壁誘導でST上昇なし)
  2. V4-V6誘導でST低下+陽性T波あるいはT波終末部陽性
  3. V1誘導のST部分の偏位がV2誘導のST変化よりも高い


- 左冠動脈のACSでAslangerパターンを示した62歳男性 -

(投稿者 川﨑)