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2025-07-22

Hemosorba® ヘモソーバCHS

  • 優れた石油ピッチ系ビーズ状活性炭を用い高い吸着性能を実現
  • 生体適合性を考慮して吸着剤を親水性ポリマーでコーティング
  • よって微粒子の発生、血液凝固、血球成分の付着や損傷が軽減
  • 製造販売は旭化成メディカル株式会社(血漿交換1日4,200点)
  • 除去可能内因性物質は肝障害によるアミノ酸やクレアチニン他
  • 外因性は催眠・抗てんかん・精神薬、解熱鎮痛薬、抗生剤など

- 標準的な血液流路図 -

(投稿者 川崎)

2025-07-21

フィジカルクイズ(No. 13 & 14)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2025-07-20

LADA & LADY

  • LADA: latent autoimmune diabetes in adults(主に海外で使用,典型例は35才以降)
  • LADY: latent autoimmune diabetes in youth(小児を含む若年者に発症したLADA)
  • SPIDDM: slowly progressive insulin-dependent diabetes mellitus(緩徐進行1型糖尿病)


👺 LADAの定義(以下のすべてを満たす)
  • 35歳以降の発症
  • 既知の膵島関連自己抗体のいずれかが陽性
  • 糖尿病の診断後6ヶ月以降にインスリン治療が必要


💁 自己免疫性糖尿病に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-07-19

ピトレシン(一般名 バソプレシン/Vasopressin)

日本版敗血症診療ガイドライン2020より

CQ6-9-1&2
  • 成人敗血症患者に対する血管収縮薬の第一選択としてノルアドレナリン,ドパミン,フェニレフリンのどれを使用するか?
Answer
  • 第一選択としてノルアドレナリンを投与することを弱く推奨する。(GRADE 2D:エビデンスの確実性=「非常に低」)

CQ6-10-2
  • 成人敗血症患者に対する血管収縮薬の第二選択としてバソプレシンを使用するか?
Answer
  • 第二選択としてバソプレシンを使用することを弱く推奨する。(GRADE 2D:エビデンスの確実性=「非常に低」)


ピトレシンの効能又は効果添付文書
  • 下垂体性尿崩症、下垂体性又は腎性尿崩症の鑑別診断、腸内ガスの除去(鼓腸、胆のう撮影の前処置、腎盂撮影の前処置)、食道静脈瘤出血の緊急処置

💣 追加コメント
  • 敗血症などによる急性低血圧やショック時の補助療法としては適応外使用であるが企業見解が提出され,「バソプレシン【注射薬】」を「急性低血圧」、「ショック時の補助治療」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認めるという社会保険診療報酬支払基金の判断がなされている。
  • 企業が提出している用法・用量についての記載は点滴静注:生理食塩水、5%ブドウ糖などで溶解し、0.01~0.04 U/分で持続静注.具体的には1アンプル(1 ml中合成バソプレシン20単位,528円)を生食19 mLで溶解して(1 mlあたり1 U),シリンジポンプで0.6〜2.4 mL/Hで投与
バソプレッシン
💁 バソプレシンに関する過去の投稿 ➜ コチラ
 
(投稿者 川崎)

2025-07-18

日本内科学会 第248回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題64 Gitelman症候群と診断した反復性低K血症と低Mg血症の1例
  • 本症はNa-Cl共輸送体(SLC12A3遺伝子)の変異に起因し、遠位尿細管でのNaおよびCl再吸収障害をきたす疾患である。類似疾患のBartter症候群との鑑別が必要であるが、本症は低Mg血症や低Ca尿症を伴うことが特徴である。軽度の脱水や胃腸症状を契機に重篤な電解質異常を反復するため、KおよびMg補充に加え、適切な水分電解質摂取を含む生活指導が重要である。

演題69 Pantoeaによるカテーテル関連血流感染の1例
  • カテ先培養と血液培養の結果でPantoea sp.が検出された。薬剤感受性結果から抗生剤をCTRXに変更し、その後症状の再燃なく、抗生剤を2週間投与したため退院となった。グラム陰性桿菌であるパンテアはカテーテル関連血流感染の原因菌として非常に珍しい。

演題102 ピサ症候群を呈した抗凝固療法中尾状核出血の1例
  • 右へ傾くピサ症候と左への体幹のねじれを呈し、右上肢固縮と姿勢時振戦、軽度の右下肢単麻痺も認めた。ピサ症候は立位や座位時に増強、仰向けになると正中に戻り、腰曲がりはなかった。頭部CTで左尾状核に直径1.5cmの血腫、左側脳室へ穿破を認め責任病巣と判断した。

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-07-17

今週の一枚 🎯

健診で心雑音を指摘された症例

😎 解説
  • 心尖部で収縮期雑音を聴取する
  • Ⅱ音(S2)不明瞭で逆流性雑音
  • 右鎖骨(上)では雑音は不明瞭
  • 心エコーで僧帽弁逆流を認めた
😛 追加コメント
  • 大動脈弁狭窄の収縮期駆出性雑音と異なり(自験例)、僧帽弁逆流の雑音は鎖骨にあまり放散しない。息止めをしない聴診では、呼吸音に埋もれて雑音を認識することが難しい。是非ASとの鑑別に利用したい。
  • MRでは逆流性雑音がⅡ音を超えるため、Ⅱ音の認識が困難になる。ただしこの原則は心尖部では当てはまるが、肺動脈弁領域ではあてにならない。その理由はⅡ音の肺動脈成分(2P)を聴取するためである。

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2025-07-16

呑気症 Aerophagia

  • 概略 過剰な空気の嚥下で消化管内に多量の空気が貯留
  • 分類 器質的な異常がない機能的疾患で消化器系心身症
  • 症状 頻回のげっぷや腹部の膨満感,排ガスの異常など
  • 別名 呑気症候群,空気嚥下症,噛みしめ呑気症候群他
  • 動体 胃や大腸に存在するガスの65~70%は嚥下による
  • 原因 早食,炭酸,クレンチング(噛みしめ),ストレス
  • 治療 関連因子除去,抗うつ薬,消泡薬,歯科調整など


- 呑気症の年齢性別と自覚症状 -

(投稿者 川崎)

2025-07-15

バイオシミラー Biosimilars

📉 バイオシミラー(バイオ後続品)
  • 国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質,安全性,有効性を有する医薬品として,異なる製造販売業者により開発される医薬品

📈 ジェネリック
  • 先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み,同一経路から投与する製剤で,効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり,先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品


💁 つぶやき
  • ジェネリック:有効成分が先発品と同一で血中濃度推移が同様なら認可
  • バイオシミラー:臨床試験で薬物 PK/PD,有効性,安全性の評価が必要

(投稿者 川崎)

2025-07-14

もし座位で認めれば…(フィジカルの高み)

心電図異常+労作時の息切れ(座位)

👼 解説
  • 安静呼吸時には頚部に拍動を視認せず
  • ただし稀に陽性波? ➜ キャノンa波
  • 深吸気保持で陽性波が連続出現(矢印)
  • 脈触診併用で同波は収縮期直前(a波)
  • 本例の最終診断は両心室肥大型心筋症

👳 独り言
  • 肥大型心筋症ではa波が明瞭になることが多いと思います.当院の研究でも7割以上の症例でa波を視認しています.ただしこの数値は臥床であって(典型的な自験例),座位でa波を認める症例は10%にすぎません.座位のa波視認は,HCMのフィジカル診断に対して感度10%ながら特異度は100%
  • 座位でa波を認める他疾患は3度房室ブロック(自験例)や期外収縮(自験例)によるキャノンa波です.その機序は右房収縮時に三尖弁が閉鎖しているためです(この場合はa波が規則正しく出現しないので視診でも鑑別可能).三尖弁狭窄では規則正しいa波ですが超稀(腫瘍による類似病態の自験例
  • HCMでa波が目立つ機序は右房の後負荷増大(≒右室のコンプライアンス低下)です.よって右室肥大を有する肥大型心筋症ではa波が目立ちやすいと思います(左室肥大のみでもベルンハイム効果のため右室コンプライアンスは低下).右室肥大を伴うHCMの頻度は1~2%と稀ですが(PLoS One 2017;12:e0174118),ぜひ右心系HCMのフィジカル診断に挑戦してみてください.

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(投稿者 川崎)

2025-07-13

第139回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
2-12 クレアチニンキナーゼ欠損症を合併したST上昇型急性心筋梗塞の一例
  • 右冠動脈(RCA)#2 閉塞を認め,経皮的冠動脈形成術を施行した(total ischemic time 144分)。術後,高感度トロポニンI(hs-TnI)の上昇は認めたが,クレアチニンキナーゼ(CK)の上昇は認めなかった(peak CK[IU/L]/CK-MB[IU/L]/hs-TnI[pg/mL])=169/5/16863)。

2-16 自己免疫性心筋症の関与が示唆された虚血性心筋症の一例
  • 心臓MRI検査では冠血流支配領域に一致しない壁運動低下を認めた。さらに血液検査や心筋病理において,自己免疫性心筋症を疑う所見が得られ,至適薬物療法にも関わらず心機能は進行性に低下を認めた。

7-31 irAEによる洞不全症候群に対して心房リードレスペースメーカ植え込みを行った1例
  • ペースメーカ感染を認め全身麻酔下に経皮的リード抜去術を施行,全システム抜去術に成功した。元々のペースメーカ設定はAAIR⇔DDDR,60ppmであったが,累積心室ペーシング率が1%未満であったため心房リードレスペースメーカ(Abbott社製Aveir AR)の植込みを選択,右心耳基部に留置しAAI60ppmの設定とし た。

8-27 シトステロール血症の病原性変異の網羅的文献検索と早発性冠動脈硬化症
  • シトステロール血症はABCG5/G8遺伝子の病原性変異により発症する疾患で血中シトステロール高値に加えLDL-C高値,アキレス腱肥厚を伴い,家族性高コレステロール血症との鑑別を要する。


👻 当院からの発表
  • 2-10 冠動脈ステントで誘発されたコーニス症候群の1例(循環器内科 角本拓也ほか)
  • 4-16 心電図変化が気胸部位の推定に有用であった1例(循環器内科 江上 晟ほか)
  • 8-24 シンプル頚静脈©:負荷頚静脈法の学習アプリ(循環器内科 川﨑達也ほか)

江上先生は優秀賞ゲット & すべて英語論文として発表前に出版 👏

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)