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2016-07-30

MODY

糖尿病は1型、2型、妊娠、その他に分類されますが、その他に分類される糖尿病のひとつにMODY(Maturity-onset Diabetes of the Young)があげられます。
若年発症で遺伝子異常(インスリン分泌や肝臓でのブドウ糖取り込みにかかわる遺伝子)を有しMODY1から5までの5つのタイプが報告されています。遺伝子異常の頻度や原因遺伝子は完全に同定されていませんが、遺伝子異常の種類によってインスリン分泌能の低下や抵抗性など重症度も様々です。
たとえばMODY2はグルコキナーゼの遺伝子異常であることがわかっています。
一部のMODYではSU剤が著効すると報告されており医療費の削減から米国などでは遺伝子検査の必要性を学会などで議論される事があります。
(投稿者 岡田)

2016-07-29

含有塩分量

心疾患症例に対する点滴では含有塩分量も考慮すべき

大まかな目安
  • メイロン250ml-塩分12.2g
  • 生食500ml-塩分4.5g
  • 1号液500ml-塩分2g余
  • 3号液500ml-塩分1g余
  • ビーフリード500ml-塩分1g余
  • ブドウ糖液500ml-塩分0g

因みに心疾患症例における摂取塩分量の目標は1日6g以下,重症例では3g以下
(投稿者 川崎)
 

2016-07-28

トルサードドポアントとMg


 

※ただし当院のケースは必ずしも持続あるいは反復症例ではなかった点に要注意
(投稿者 川崎)

2016-07-27

第12回松下バイリンガルカンファレンス

質問に対して,「もう一度おっしゃってもらえませんか?」
Would you say that again?

体の臓器や部位には,多くの場合 "the" をつける
the heart, the abdomen, the brain, the left ventricle, the celiac artery, ect.
(投稿者 川崎)

2016-07-25

collagenous colitis

1970年代より報告。 薬剤性大腸炎であり顕微鏡的大腸炎と言われる。近年は内視鏡的にも縦走潰瘍を作る症例も報告されている。
☆診断
 大腸内視鏡による生検によりコラーゲンバンドの報告
☆原因
不明だが、NASID, PPI(特にランソプラゾールに多い しかしネキシウムのDIにも副作用として記載あり。)の影響+遺伝子異常などが指摘されている。
☆治療
まず原因薬剤の中止+対処療法となる。それでも困難であれば炎症性腸疾患の治療と同様の治療を実施する。
☆予後
基本的には良好
(投稿者 國枝)

レッドフラッグ/警告症状

Red flag(赤い旗)とは見逃してはならない症状や所見のこと

具体例
  • 咽頭痛症例における「よだれ」 ⇒ 急性喉頭蓋炎
  • 発熱症例における「直前の化学療法」 ⇒ 発熱性好中球減少症
  • 頭痛症例における「視力障害」 ⇒ 巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)や急性閉塞隅角緑内障

救急外来を2度受診した場合もレッドフラッグとして対処したい
(投稿者 川崎)

虫垂炎の診断

虫垂炎の診断の感度、特異度は文献により様々であり、その中の一つをピックアップする。
                                           感度(%) 特異度(%) 陽性尤度比  陰性尤度比
McBurney's 点の圧痛       50-94    75-86              3.4                      0.4
Rovsing sign                      22-68        58-96            2.5                      0.7
Steeven McGee. Evidence-Baced Physical Diadnosis. Philadelphia, W.B Saunders Company, 2001.
(投稿者 八代)

2016-07-23

下垂体機能低下症

原因
  • 下垂体腫瘍
  • 出血性梗塞(下垂体卒中)
  • 分娩時大出血に伴う下垂体壊死(シーハン症候群)
  • 炎症性疾患(サルコイドーシスやIgG4関連疾患など)
  • 外傷
  • 先天性,他
障害されるホルモン
  • 前葉 成長ホルモンGH,プロラクチンPRL,甲状腺刺激ホルモンTSH,副腎皮質刺激ホルモン ACTH,性腺刺激ホルモンLH・FSHなど
  • 中葉  メラニン細胞刺激ホルモンMSH
  • 後葉 抗利尿ホルモンADHなど
症状は欠損ホルモンにより異なる
  • ACTH 倦怠感,低血圧,食欲不振,低血糖,低ナトリウム血症による意識障害など
  • TSH 倦怠感,耐寒性低下,除脈,低体温,集中力低下,進行すると粘液水腫など
  • GH 小児では低血糖,低身長など 成人では筋肉量・骨塩量低下,活動性低下など
  • PRL 女性は授乳中の乳汁分泌低下,男性は明らかな症状なし
治療
  • ACTH(必須) ヒドロコルチゾン15 -20 mg/朝(維持量15 mg/日,ストレス時 2-3 倍増量)
  • TSH(必須) ACTH 分泌不全の合併時にはヒドロコルチゾン補充 5- 7日後に開始
  • GH・LH・FSH QOLの改善に期待して一部の症例で投与
  • PRL 通常は投与しない

おまけ 出産後に母乳が出ない時は下垂体壊死(シーハン症候群)を疑ってみる

(投稿者 川崎)

2016-07-22

副腎不全と発熱




Lancet 2014; 383: 2152–67

副腎不全の症候のうち、発熱のみが主症状のこともある。
副腎不全は疑わないとなかなか診断は難しい。
ショックや電解質異常、低血糖では鑑別にかならず副腎不全を念頭におくこと。
PSL投与中の発熱にも、相対的副腎不全は潜んでいる、、、
投稿者 安田

2016-07-21

コートリル

一般名:ヒドロコルチゾン
特 徴:電解質作用が強い(副腎不全の治療に適する)
欠 点:抗炎症/免疫抑制作用が弱い(プレドニンの4分の1)
半減期:短い(血中1.2-1.5時間,生物学的8-12時間)
(投稿者 川崎)

2016-07-20

肺炎と血培

  • 市中肺炎の5.6-25%の症例で血液培養が(+)になる
  • 重症度・予後との間に一定見解はない
  • 結果により治療が変更されるのは 5~11.4 % 程度
  • 血液培養(+)で治療期間を変更すべきかどうについては一定の見解ない
  • 重症(中等) 肺炎や 特定の状況 で採取が推奨
<特定の状況>
ICU入室、空洞性浸潤影、無脾症、アルコール乱用、胸水の出現、重症慢性肝疾患、好中球減少、尿中肺炎球菌抗原陽性

(投稿者 湯浅)

2016-07-17

ギャロップ

息切れを主訴に来院した症例では心音の評価が大切であることは言うまでもない
しかし慌ただしい救急現場での詳細な評価は循環器専門医でも難しいことが多い

とりあえずギャロップ(馬が全力で駆けるような音)の有無を判定することが先決
ギャロップがあれば,心機能は低下し非代償性の心不全に陥っている可能性が高い

聴診器のベル(小さい方)を用いて心尖部で判定する


おまけ: 日本語では奔馬(ほんば)調律とも言う

(投稿者 川崎)

2016-07-15

市中肺炎の重症度分類 A-DROP

 A (Age 年齢)        男性 >70歳, 女性 >75歳
 D (Dehydration 脱水)   BUN >21 mg/dl または脱水あり
 R (Respiration 呼吸)     SpO2 <90%(PaO2 <60Torr) ※room air
 O (Orientation 見当識)   意識障害あり
 P (Pressure 血圧)            収縮期血圧< 90mmHg
※ショックがある場合は1項目のみでも超重症(4-5点に相当)


 0点     外来治療
 1-2点   外来 or 入院
 3点    入院治療
 4-5点     ICU治療
(投稿者 結城)

Anchoring bias (アンカリングバイアス)

先行する情報により,後の判断が歪められること

【実例】
下町の大衆食堂でアルバイトをしている若者が腹痛を主訴に来院した.
お昼に食べた卵料理がなんとなく変な味であったと述べている.
救急室での初期診断として食あたりによる胃腸炎を疑った.
しかし最終的に急性虫垂炎と診断され準緊急手術を要した.

日常臨床の随所に潜む罠に陥らないことが大切
(投稿者 川崎)

2016-07-14

ESBLs(extended-spectrum beta-lactamase)

ESBLを産生する代表的な菌種として、大腸菌、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Proteus mirabilisなどが挙げられる。ESBL産生菌に対する治療の第1選択は、カルバペネム系薬となる。


(投稿者 湯浅)

2016-07-13

腸管壁気腫

腸管壁の気腫は肺野条件を併用すると認識しやすい


  • 原因: 虚血,閉塞/狭窄,感染,炎症性疾患,薬剤/化学療法など
  • 症状: 無症状のことが多いが,悪心・嘔吐・腹部膨満感・下痢・腹痛・便秘などの原因になる
  • 治療: 原因疾患を加療,腸管壁気腫自体は対症療法,稀に高圧酸素療法を行う
  • 予後: 多くは良好であるが,致死的なこともある(壊死性腸炎や絞扼性イレウスなど)

(投稿者 川崎)

血管性浮腫 (Quincke浮腫)

<症状>
眼瞼口唇、四肢、咽頭、気道、消化管など全身に限局性かつ非対称性非圧痕性浮腫が生じる

腸管浮腫なら激烈な腹痛
喉頭浮腫なら呼吸困難、窒息

症状は数時間で出現し、3日以内に消失する

<原因>
アレルギー性、遺伝性(HAE)、薬剤性(ACE阻害薬)、特発性etc

(投稿者 輿石)

2016-07-11

入院となった/退院となった

「~となった」はカルテ記載やプレゼンテーション時に汎用されているが,好まし表現とは思わない

  • 入院となった ⇒ 入院した
  • 退院となった ⇒ 退院した
  • 再診となった ⇒ 再診した

シンプルで正しい日本語を意識しよう!

(投稿者 川崎)

血液培養の回数

血液培養一回→80%検出
血液培養二回→88%検出
血液培養三回→99%検出

上記より二回以上が推奨されており、多くの施設で二回採取されている。

血液培養をする上で注意しなければならないことは、別の血管から採取することであり、三回採取するのは現場の状況から考えても、二回が最もコスパがいいのではないかと考えられる。

(投稿者 吉武)

2016-07-09

鑑別診断の提示

ER症例の提示を行うときは,通常のプレゼンテーションンとは異なり途中で鑑別診断を述べたい

1.病歴(主訴~家族歴)
2.意識レベル+バイタル+身体所見
3.鑑別診断
4.検査結果
5.診断
6.経過

病歴聴取と身体所見の後に一度,鑑別診断を提示する.これはすべてを列挙するプロブラムリストとは異なり,ERを受診する理由となった主訴に対する鑑別のみでOK.そして,その後の検査所見から得られた診断との整合性を確認する.これを繰り返して,臨床力を磨いていきたい.
(投稿者 川崎)

2016-07-06

血清フェリチンの上昇する疾患

成人still病
ヘモクロマトーシス
血球貪食症候群

                      (投稿者 湯浅)

白黒反転

左大腿骨頸部骨折の1例(右下図の矢印)

レントゲンを白黒反転すると異常が分かりやすいことあり
ビューアーのボタン1クリックでできるからやってみよう!


(投稿者 川崎)

2016-07-04

異常がない心音の記載方法

× 心音 整
○ 心音 正常

整=regular=脈拍
心音=normal=正常
 ※心音はⅠ音とⅡ音の複合音であり,健常者でもregular(整)にはならない

その他の記載方法
 ○ 心音 過剰心音なし,心雑音なし
 ○ 心音 Ⅰ音正常,Ⅱ音正常,過剰心音なし,心雑音なし
 ○ 心音 Ⅰ音・Ⅱ音亢進・減弱なし,過剰心音なし,心雑音なし

(投稿者 川崎)

腹部診察

反張痛・・・腹膜の刺激があるかないかを見る。
方法:押さえた手を離すときに腹膜が揺れることで誘発される腹膜の痛み。
tapping pain・・・基本的には上記と同じ痛み。こちらの方が感度は高い。炎症のある腹膜の部位を特定する。
方法:指先で優しく、周囲の腹膜に響かないように叩く。
heel drop sign・・・腹膜全体の痛みを見る。骨盤内の炎症などに有用。
方法:つま先立ちの状態から腫をドンと着くことで痛みが誘発。車椅子などで段差を超えるときに痛みがあったかなど。
Carnett's sign・・・腹痛の原因が、腹壁か腹腔内かを見分けるのに有用。
方法:圧痛部位を抑えたまま、患者に頭の挙上を指示し、腹部に力が入った際に痛みが増悪すれば陽性。腹壁由来となる。陰性であれば腹腔内と判断する。


筋性防御・・・痛みから守るために患者が意識的に腹部に力を入れる。
板状硬・・・痛みのために反射的に筋肉が収縮している。


(投稿者 國枝)

2016-07-02

項部硬直

仰臥位で頭部を持ちあげると抵抗がある所見.髄膜刺激時(髄膜炎やクモ膜下出血など)を生じたときに出現するサイン.

問題点 感覚的な所見で客観性に欠ける.例えばパーキンソンでも硬くなる.

ポイント 頭部を左右に動かしても抵抗はなく,前屈のみで出現する.ケルニッヒ徴候やジョルト・サインと組み合わせて判断する.首を自発的に前屈して顎が胸につくか否かも参考になる(neck flexion test).

おまけ 「けいぶ(頚部/頸部)」硬直ではなくて「こうぶ(項部)」硬直


(投稿者 川崎)

2016-07-01

ウイルス性髄膜炎

・原因ウイルス→随伴症状
エンテロウイルス属(コクサッキーウイルスA・B群、エコーウイルスなど)→胃腸症状、発疹
ムンプスウイルス→耳下腺腫脹
単純ヘルペスウイルス〈HSV〉1・2型→発疹
・治療は、安静第一と対症療法!HSV、水痘帯状疱疹ウイルスによるものに対しては、アシクロビルなどを投与する


(投稿者 大槻)