持続する胸部~頸部の疼痛で来院した症例
🐼 Ca sign(カルシウム・サイン)
- 大動脈解離を示唆する胸部レントゲン写真の所見の一つ(他の例は縦隔幅の拡大 ➜ コチラ)
- 大動脈内膜の石灰化が大動脈外縁から10mm以上,内側偏位なら陽性(本例では微妙だが...)
- X線撮影が斜位になれば偽陽性が増加/そもそも感度と特異度は共に良くない(過去の投稿)
- 当院呼吸器外科の谷口先生が初期研修医時代に論文(Open J Clin Med Case Rep 2019;1526)
👿「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 桝井/川崎)
1 件のコメント:
m3.com 背筋が凍った症例「脊髄梗塞の紹介、解離性大動脈瘤でした」
に対するChat-GPT4oの解説です。
脊髄梗塞の原因として解離性大動脈瘤は珍しくない様子ですね。
→解説
この症例は、救急外来で対麻痺を呈した患者さんが脊髄梗塞と診断され、実際には大動脈解離が根本原因であったという重大なピットフォールを含む事例です。このような状況では、認知エラーや鑑別診断の不足が、診断遅れや予後不良に繋がる可能性があります。以下に、解説と鑑別診断、認知エラーの分析、教訓を示します。
1. 症例のポイント
• 主訴: 夜間に急激な対麻痺、背部痛を訴えて救急外来受診。
• 初期診断: 脊髄梗塞(背部痛は脊髄梗塞の関連症状と解釈)。
• 経過: 入院後にCPA(心肺停止)発症、AIによるCTで大動脈解離が判明。
• 最終診断: 大動脈解離に伴う脊髄虚血(梗塞)。
2. 鑑別診断
対麻痺や脊髄梗塞が疑われる症例では、次のような鑑別診断を考慮する必要があります:
主な鑑別診断
1. 大動脈解離
• 特に、下行大動脈(Stanford B型)の解離では脊髄虚血が起こり得る。
• 関連症状:急性の胸背部痛(刺すような痛み)、血圧の左右差、末梢虚血症状。
2. 脊髄梗塞
• 原因:動脈硬化、外傷、塞栓、または大動脈疾患に伴う血流障害。
• 症状:急性対麻痺、膀胱直腸障害、脊髄レベルの障害に一致する感覚障害。
3. 椎骨動脈解離または脊髄動脈解離
• 脊髄虚血が生じることがある。
4. 感染性疾患(脊椎炎、硬膜外膿瘍)
• 発熱や炎症反応を伴うことが多い。
5. 腫瘍や血管疾患(脊髄AVMや血管腫)
• 比較的稀だが慢性的な経過や突然の虚血症状を呈することもある。
重要なRed Flag
• 急激な背部痛(特に「今まで経験したことがない痛み」)
• 胸背部痛を伴う場合、**心血管疾患(特に大動脈解離)**を必ず除外する必要がある。
3. 認知エラー
今回の症例では、以下の認知エラーが影響した可能性があります。
1. Anchoring Bias(アンカリングバイアス)
• 脊髄梗塞の診断に早期に固定され、他の鑑別診断を十分に検討しなかった。
• 背部痛を脊髄梗塞の症状と解釈してしまい、大動脈解離の可能性を考慮しなかった。
2. Availability Bias(利用可能性バイアス)
• 脊髄梗塞は比較的稀な疾患であり、診断にあたって過去の経験や知識の不足が影響した可能性。
• 救急外来での「脊髄梗塞」という診断が、入院後の評価にも影響を与えた。
3. Confirmation Bias(確証バイアス)
• 入院時MRIで大動脈解離が存在したにもかかわらず、脊髄虚血だけを説明する所見として解釈された。
• 「背部痛」を脊髄梗塞の付随症状としてのみ捉えた。
4. 教訓と対策
教訓
• 背部痛を伴う対麻痺では、大動脈解離を除外するまで確定診断を避けるべき。
• 大動脈解離による脊髄虚血は稀だが重篤な病態であり、救命のためには早期診断が重要。
• 脊髄梗塞の診断時には、原因(特に大動脈疾患)を検索することが必須。
対策
1. 初期診療での意識
• 大動脈解離が疑われる場合は、迅速な胸腹部CTやCTAを施行。
• 血圧の左右差や末梢の脈拍減弱を確認。
2. 多職種間のコミュニケーション
• 疑問がある場合は早期に心臓外科・循環器内科のコンサルトを行う。
3. 教育と研修
• 鑑別診断リストの定期的なレビューを行い、稀な疾患にも意識を向ける。
• バイアスを防ぐため、診断確定前にチーム内でケースディスカッションを行う。
5. 参考文献
1. 脊髄梗塞と大動脈解離の関連性
• Fattori, R., et al. (2006). “Spinal cord ischemia in aortic diseases: the state of the art.” Heart.
2. 認知エラーの医学的影響
• Croskerry, P. (2003). “The importance of cognitive errors in diagnosis and strategies to minimize them.” Academic Medicine.
3. 大動脈解離の臨床診断と治療
• Nienaber, C. A., & Eagle, K. A. (2003). “Aortic dissection: New frontiers in diagnosis and management.” Circulation.
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