- 門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症で,ニース分類の第1群(肺動脈性肺高血圧症/PAH)
- 組織所見は血管内膜や中膜平滑筋の肥厚,血管内腔の叢状病変,壊死や微小血栓など
- 診断は肺高血圧(平均圧≧25 mmHg)+門脈圧亢進の証明(例:肝静脈楔入圧測定)
- PoPHは必ずしも肝機能障害を示すとは限らないが,肝硬変例に合併する頻度が最多
- 頻度はPAH全体の10%以下,門脈圧亢進症患者の2~6%.肝臓移植の対象症例の5%程度
- 治療は肝臓移植やPAH特異的治療薬(ただしランダム化比較試験ではPoPHは通常除外)
- 予後不良で未治療なら5年生存率は14%であり,54%の患者が診断から1年以内に死亡
👽 追記
- 肝疾患によるシャント出現や全身血管拡張で高心拍出状態が生じ,肺動脈内膜肥厚や肺動脈のリモデリングに至る機序が推定されている.肝代謝の低下による腸肝循環の代謝物質(セロトニンなど)が肺循環に流入して肺血管が収縮することも一因.
- 肺動静脈拡張から重度の低酸素を主徴とする肝肺症候群(HPS; hepatopulmonary syndrome)とは逆の病態と考えられる.ただし稀ながらHPSからPoPHへの移行例や,HPSとPoPHの病態がオーバーラップした症例も報告されている.
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(投稿者 川崎)
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