下痢と血便で受診した中年男性の便グラム染色
👀 解説
- 採血の炎症反応は軽微であったが,CTでS状結腸の浮腫と周囲リンパ節の腫脹あり
- 便のグラム染色では螺旋状のグラム陰性桿菌を多数認めた(下図左,みどりの丸)
- 組織のワルチン・スターリー染色(スピロヘータ染色)陽性(下図中,丸と矢印)
- 組織で粘膜上皮に好塩基性毛羽立ち(false brush border=菌塊:下図右,矢印)
- 最終的に腸管スピロヘータ症と診断(本例はHIV感染はなく感染源は不明であった)
💫 追加コメント
- ヒトの腸管スピロヘータ症は Brachyspira 属菌によって引き起こされます.その最大の特徴は,大腸粘膜の上皮に菌体の一端を付着させた多数のスピロヘータが層をなして存在することです.
- 遅発育性と他の腸管内常在細菌の存在で培養は困難なことが多いのですが,HE染色で大腸粘膜上皮に好塩基性の毛羽立ち(偽刷子縁:false brush border)が診断の決め手となるそうです.
🎍 恒例の元旦からグラム染色シリーズ
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(投稿者 川崎/臨床検査技術室)
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