- 先日,明瞭な左室肥大(びまん性に15mm程度)と拡張障害(E/e'=30)を認めた方が精査目的で循環器内科を受診されました.洞調律にも関わらずⅣ音が聞こえませんでした.Ⅳ音はⅠ音に近接すると聴診では認識が困難になることがあるため,心音図でも確認しましたが,やはりⅣ音は痕跡すらありませんでした.本例は最終的にATTR型の心アミロイドーシスと診断されました.
- ピロリン酸は両心室のみならず両心房にも良好に集積(骨より明瞭)していました. 左室肥大や虚血などで左室コンンプライアンスが低下する病態ではⅣ音をよく聴取します(例:洞調律の肥大型心筋症では70%以上).一方.硬い左室を呈する典型疾患である心アミロイドーシスでは洞調律であってもⅣ音が欠損してくることが報告されています(Am J Cardiol 2000;86:244-6,他)
- Ⅳ音が生じるためにはstiff LVのみでは不十分で,そこに血流を押し込む心房の頑張り(心房の辛抱)が必須です.洞調律のHCMでもⅣ音がなければ,運動耐容能は低下して心事故(特に心房細動への移行)と関連することを当院から報告しています(Ann Noninvasive Electrocardiol 2022;27:e12932).アミロイドーシス症例の心房障害の原因は主として心房へのアミロイド沈着の様です(Clin Cardiol 2021;44:322-31,他)
※ 心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶
(投稿者 川崎)
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