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2018-06-13

T波終末部の陰転化 👀

  • 2ヵ月前に高血圧などのスクリーニングで心電図を記録(胸痛なし) ➜ 正常心電図
  • 胸痛を主訴に受診(来院時には消失) ➜ V1-4で新たなT波終末部の陰転化(矢頭)
  • 12時間後に持続する胸痛でERを再診した ➜ V1-4でST上昇+下壁誘導でST低下

緊急カテーテルを施行:左前下行枝の閉塞(矢印)を確認してステント留置

ポイント 胸痛の改善後にも残存する新たなT波変化には要注意 🆘 ➜ ウェレンス症候群

🉐 おまけ
  • ST上昇の誘導や発作後も残存する陰性T波の誘導は冠動脈の病変部位と関連する
  • ST低下誘導から冠動脈病変の部位は推定困難(Ann Intern Med 1987;106:53-5

(投稿者 川崎)

2018-06-12

グラム染色

発熱で来院した症例の膿尿(検査時には一部が沈殿)をグラム染色

膿尿時のグラム染色のコツ
  • 沈殿部分を通常通りグラム染色しても濃すぎて判断できないことが多い
  • 沈殿部分を薄く伸ばした標本と混濁後に滴下した標本を作成するとよい

本例では混濁後の滴下をさらに薄く塗布した標本で多数の好中球と連鎖球菌を観察することができた

(投稿者 川崎)

2018-06-11

ウェレンス症候群 Wellens' syndrome

  • 胸痛発作が消失した後にも関わらず前胸部誘導でT波異常が持続する病態
  • 前下行枝(特に近位部)の病変を示唆 ➜ 不安定狭心症としての対処が必要
  • オランダの循環器内科医 Wellens HJ に由来(Am Heart J 1982;103:730-6

自験例(明瞭な左右対称の陰性T波=冠性T波

T波終末部の陰転化症例N Engl J Med 2015;372:66; B, 緊急冠動脈造影: C, ステント留置後)

Wellens症候群の他の自験例 ➜ コチラ

💀 特にT波終末部の陰転化のみの症例は見落としやすい ➜ Wellens症候群の3症例(心臓 2015;47:993-9

(投稿者 川崎)

2018-06-10

喉頭気管分離術

誤嚥防止で行われる気道食道分離術の一つで喉頭を温存して気管レベルで分離
気管孔を造設し発声機能は消失する(術後の経口摂取は必ずしも保障されない)

他の気道食道分離術 ➜ 喉頭を摘出する喉頭全摘出術は喉頭レベルで分離する喉頭閉鎖術

適応
  1. 誤嚥性肺炎の反復・危険が高い
  2. 嚥下機能の回復が期待できない
  3. 構音発声機能がすでに高度障害
  4. 発声機能の喪失に納得している


(投稿者 川崎)

ガラクトマンナン抗原

  • ガラクトマンナン(Galactomannan)は多糖類の一種で分子量は35-100 kDa
  • 一部の植物と菌類に含まれ,アスペルギルス細胞壁の構成蛋白の一つでもある
  • ガラクトマンナン抗原はアスペルギルス感染症の血清診断法で最も信頼ができる

SRL総合検査案内 ➜ 血清1.0 mL/冷蔵保存/所要は2~4日/164点/0.5未満で陰性

(投稿者 川崎)

2018-06-09

Z score

  • 平均を0,標準偏差を1になるように変換した得点で,別名はZ得点や標準スコア
  • 計算には母集団の平均と標準偏差が必要で母平均より上あるいは下の程度を表す

母集団が異なる対象の比較検討に有用で,医学では小児科領域での利用が多い

👴 Z検定はエクセルでもできるようです ➜ 高校数学の基本問題(z検定,t検定)

(投稿者 川崎)

2018-06-08

急性心筋梗塞時の食事

ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)より(2018年6月閲覧)

🍏 同ガイドラインにある急性心筋梗塞14日間クリニカルパス(国立循環器病研究センター)での記載は少し異なる
  • PCI後1~3日 循環器疾患普通食(1600 kcal,塩分6 g) 飲水量指示
  • PCI後4~14日 循環器疾患普通食(1600 kcal,塩分6 g) 飲水制限なし

(投稿者 川崎)

JSPEN ジャスペン

JSPENJapanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition
日本語名は日本静脈経腸栄養学会 ➜ JSPEN公式サイト
  • parenteral (形)非経口の 【pəréntərəl パレントゥル】 発音
  • enteral (形)腸の,腸溶性の 【entérik エンテリック】 発音

静脈経腸経口栄養を中心とする栄養療法と基礎的栄養学の向上を目的に設立
米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)や欧州静脈経腸栄養学会(ESPEN)の日本版

🍙 詳しく知りたい方 ➜ 静脈経腸栄養ガイドライン(第3版) / 総論:ガイドライン改訂の要点

(投稿者 川崎)

2018-06-07

COPD関連薬の略語

  • SAMA(通称サマ)=Short-acting muscarinic antagonist=短時間作用性抗コリン薬
  • SABA(通称サバ)=Short-acting β2–agonist antagonist=短時間作用性β2刺激薬
  • LAMA(通称ラマ)=Long-acting muscarinic antagonist=長時間作用性抗コリン薬
  • LABA(通称ラバ)=Long-acting β2–agonist=長時間作用性β2刺激薬
  • ICS(アイシーエス)=Inhaled corticosteroid=吸入ステロイド薬
  • LTRA(通称エルトラ)=Leukotriene receptor antagonist=ロイコトリエン受容体拮抗薬

COPD関連投稿

👻 SABAは増悪時の頓用で,SAMAはほとんど使用しないよ

(投稿者 川崎)

2018-06-06

心破裂

  • 下壁の急性心筋梗塞に対して緊急インターベンションを行った症例
  • 経過は順調で心臓リハプログラムも問題なくステージアップしていた

床上で突然意識を消失したため蘇生を行いながら施行した心エコ-図


所見 輝度の高い多量の心膜液貯留 ➜ 診断 自由壁破裂
蘇生を続けながら心膜ドレナージを行ったが救命できなかった

過去の関連投稿

(投稿者 川崎)