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2018-08-31

RASスケール


(日本語版:日集中医誌 2010;17:73-4

関連投稿 💨

(投稿者 川崎)

2018-08-30

膿瘍とMRI拡散強調画像

拡散強調画像(Diffusion-weighted imaging: DWI)で高シグナルと言えば・・・
  1. 急性期脳梗塞(細胞性浮腫による拡散能低下)
  2. 膿瘍(膿汁の高い粘稠度による拡散能低下)
  3. 充実性腫瘍(高い細胞密度による拡散能低下)
(肝膿瘍: a, T2: b, 造影T1: c, DWI: d, ADC map/ECR2014 C-1051より)

(投稿者 川崎)

2018-08-29

覚せい剤の尿検査の問題点

当院採用の尿中薬物検査キットはインスタントビューM-1(他院ではトライエージやメディカルスタットなど)
覚せい剤大麻コカイン系麻薬・ベンゾジアゼピン系・バルビツール酸系・三環系抗うつ薬を評価可能

薬物検査を目的とした尿採取
  • 患者の意識がなく本人から同意が得られない場合 ➜ 家族からの同意が得られた場合あるいは医学的に必要と考えられる場合は可能(覚せい剤使用が疑われる患者について,本当に覚せい剤使用の事実があるかどうかを確認することを含む/精神科救急医療ガイドライン2007年版)
  • バルーン挿入による強制採取 ➜ 救急患者に対する治療の目的で医療上の必要があったと考えられる場合,患者から尿を採取し採取した尿についての薬物検査は,たとえ医師がこれにつき被告人から承諾を得ていたと認められないとしても,違法であるとはいえない(文言は一部変更/最高裁平成17年7月19日決定)

検査が陽性だった場合の届出
  • 医師が「診察の結果,受診者が麻薬中毒者であると診断したとき」には,すみやかに都道府県知事に届け出る義務(麻薬および向精神薬取締法58条の2) ➜ 薬物事犯を取り締まるべき社会的要請が高いことに鑑みれば,患者の尿から覚せい剤反応が出た場合に警察等へ届け出ることは,患者プライバシーを侵害する違法な行為とはいえないように思われる(メディカルオンライン医療裁判研究会のコメント)
  • 覚せい剤取締法の中に医師の届出義務を定めた規定はない ➜ ただし覚せい剤の使用は犯罪であり警察等へ届け出ることは患者プライバシーを侵害する違法な行為とはいえないと思われる(麻薬および向精神薬取締法41条の3ならびに19条/刑事訴訟法法239条1項)

💀 上記対応を行ってもトラブルになる事例があると思います.そこでメディカルオンライン医療裁判研究会がトラブル回避の一案を示しています
  • 医師はカルテに医療的な記載のみ行い,警察とのやり取りは事務担当者(別書類に記録)
  • 届出の際には必要最小限の情報のみ提供し,みだりに診療経過について情報提供しない

2018-08-28

著明な~/~は目立たない

  • 「著明な(remarkable)」や「目立たない(unremarkable)」などの修飾語句は医学で多用されている
  • しかし聞き手の役に立たない常套句であり,もっと簡潔な記述型の文章で症例提示をすべきである
ローレンス・ティアニー著 「聞く技術 答えは患者の中にある」 第61章より

僕もしばしば使っていました・・・反省 🙅

👶 関連投稿
  1. 松下金曜会 「症例提示」
  2. 入院となった/退院となった
  3. なにげない一言
Tierney
(投稿者 川崎)

2018-08-27

気胸の分類

肺虚脱度は、胸部単純X線写真で判断する。日本気胸・嚢胞性肺疾患学会では癒着がない場合には以下の3つに分類している。

「軽 度」 肺尖が鎖骨レベルまたはそれより頭側にある。またはこれに準ずる程度。
「中等度」 軽度と高度の中間程度。
「高 度」 全虚脱またはこれに近いもの。

肺虚脱が軽度であり呼吸困難などの臨床所見が乏しい場合は経過観察とする。経過観察の目安として胸腔内圧を測定して陰圧であれば“空気漏れ”はないものと考えられ、改善の可能性があり、脱気または安静で経過を観察する。

肺虚脱が中等度以上であれば、胸腔ドレナージが望ましい。
体動で呼吸困難がある場合、血液ガス分析または動脈血酸素飽和度が低値の場合は穿刺あるいは胸腔ドレナージが必要である。

肺虚脱が高度であれば胸腔ドレナージが必要である。

自然気胸治療ガイドラインより

(投稿者 谷口)

肥満心筋症 Obesity cardiomyopathy

  • 高度肥満に伴ない心筋細胞に脂肪が蓄積して心機能障害を呈した病態
  • 初報は米国の内科医J Alexander(Prog Cardiovasc Dis 1985;27:325-34
  • Nature Reviews Cardiologyでも取り上げられている(2007;4:480–90

機序として過剰脂肪の心筋毒性,インスリン抵抗性,RAA系や交感神経系などの神経液性因子の亢進などによる左室リモデリングが推定されている.そこに循環血液量の増加,心拍出量の増加,高血圧,肺高血圧,心機能の低下などが加わり心不全を発症すると思われる.

🚫 目安は135kg超の高度肥満が少なくとも10年以上続いた時

参考にした典型的な症例報告 ➜ 心臓 2014;46:1360-6

(投稿者 川﨑)

2018-08-26

グラム染色クイズ

上気道炎が疑われる症例の咽頭拭い液のグラム染色




(投稿者 川崎)

2018-08-25

原因不明の腹痛には・・・

器質的障害を認めない下腹部愁訴(過敏性腸症候群IBSを含む)には大建中湯を考慮 👴

第90回日本消化器病学会総会ランチョンセミナー
  • 対象はIBS便秘型16症例(男性7例,平均44歳)
  • 方法は大建中湯15g/日を分3で4~8週間投与
  • 自覚症状の改善(腹痛81%,腹部膨満感69%)
  • 腹部単純X線写真の大腸ガス量が有意に減少
  • 大腸通過時間検査(TCTT)は有意に短縮(下図)

(投稿者 川崎)

2018-08-24

ACE & サルコイドーシス

  • サルコイドーシスが疑われるときはACE活性を測定することが多い
  • ACE=angiotensin-converting enzyme=アンジオテンシン変換酵素
  • ただし血清ACE活性は診断に対する特異度は高いが感度は低い


関連投稿

(投稿者 川崎)

2018-08-23

アンコロ梗塞

左指の感覚障害と左下肢の運動障害

右内包後脚に一致して拡散強調画像(DWI)で高信号,ADCで低信号
➜ 症状も考慮して前脈絡叢動脈のBAD(branch atheromatous disease)と診断

😐 アンコロ=Anterior Choroidal Artery=前脈絡叢動脈=内頸動脈の最終分枝で後交通動脈分岐よりも末梢起始

    アンコロ梗塞では多彩な症状が出現(脳卒中 2014;36:76–81
    1. 内包後脚から大脳脚の障害による対側の片麻痺
    2. 視床の障害による対側の感覚障害
    3. 外側膝状体の障害による対側の同名半盲もしくは四分盲

    ※上記の3症状が揃えば前脈絡叢動脈症候群(別名はAbbie症候群やMonakow症候群)

    (投稿者 川崎)