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2021-05-31

介護医療院:レトロな名称がイケています

  • 長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とし,「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた施設.平成30年(2018年)4月より創設された.

💂 頭の整理
  • これまで介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設の3施設だった介護保険施設に介護医療院が追加された形.ただし介護療養型病床は将来廃止され,今後は介護医療院へ転換される(移行期限は2024年3月まで)

    1. 介護医療院 ➜ 長期療養が必要な要介護者のための施設
    2. 介護療養型医療施設 ➜ 病院又は診療所であって,必要な医療等を提供する施設
    3. 介護老人保健施設 ➜ 在宅復帰を目指す要介護者に対し,リハビリ等を提供する施設
    4. 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)➜ 要介護者のための生活施設

💁 厚生労働省による介護医療院の公式サイトは コチラ からどうぞ

(投稿者 川崎)

2021-05-30

🌱 ケンシュウイの種 #2

※当院の初期研修医が経験した症例の振り返りです(隔週更新)


💁 過去のケンシュウイの種は コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

(投稿者 当院初期研修医チーム)

2021-05-29

介護保険のサービス例

👵 介護保険の復習
  • 高齢者を社会全体で支えるしくみで40歳からは加入義務がある
  • 受給者は第1号(65歳以上)と第2号(40-64歳+指定16疾病)
  • サービスを受けるには原則1割の自己負担(所得に応じ2〜3割)
  • 要介護認定の結果は以下の自立・要支援・要介護に三分される
    1. 自立手段的日常生活動作も自立してサポートが必要ない状態
    2. 要支援日常生活動作は可能だが一部支援要(例:トイレ掃除)
    3. 要介護 ➜ 日常生活上の基本的動作で介護が必要(例:入浴介助)
分類 サービスの一例
要支援1 週1回の通所型あるいは訪問型サービス
要支援2 週2回の通所型あるいは訪問型サービス
要介護1 週2回の訪問介護や通所リハビリ
要介護2 週3回の訪問介護や通所リハビリ
要介護3 車いすや特殊寝台など福祉用具の貸与
要介護4 週6回の訪問介護または週2回の訪問看護
要介護5 月7日程度の短期入所


(投稿者 川崎)

2021-05-28

HbA1cが3.3%なら何を考える?

🍨 HbA1cの異常低値(4.6%未満または4.2%未満)
  1. 異常ヘモグロビン(3,000人に1人と意外に多い)
  2. 溶血性貧血
  3. 肝硬変(脾機能亢進)
  4. 腎性貧血
  5. 出血
  6. 輸血
  7. 鉄欠乏性貧血の治療時(エリスロポイエチン投与など)
  8. 急激に発症・増悪した糖尿病
  9. 鎌状赤血球症

参考)糖尿病 2013;56:841-8,他

🍮 おまけ
  • 本邦ではとても有名なHbA1cですが,海外ではglycated hemoglobin(糖化ヘモグロビン)と呼ばれています.厳密に言えばヘモグロビンは複数のタンパク質で構成されるため両者の意味するものは同一ではないのですが(HbA1cはヘモグロビンβ鎖のN末端にグルコースが結合した糖化蛋白質),慣用的にglycated hemoglobinと表記されているようです.

(投稿者 川崎)

2021-05-27

🎯 今週の一枚

おせんべいを食べていて何か違和感に気づいた症例



(投稿者 川崎)

2021-05-26

PSP: progressive supranuclear palsy(進行性核上性麻痺)

  • 概要 中年期以降に発症しパーキンソニズムと認知症などを特徴とする進行性の神経疾患
  • 疫学 発症は40歳以降で多くは50~70歳代が中心/男性優位?/本邦の有病率は1万人に1人
  • 症状 神経症状(易転倒性や歩行障害)+精神症状(感情障害と妄想,人格変化)+認知症
  • 病変 黒質~淡蒼球~視床下核系が最も強く冒され,小脳歯状核~赤核系などへも広がる
  • 病理 神経細胞が脱落し異常リン酸化タウ蛋白がグリア細胞内に蓄積(tufted astrocytes)
  • 原因 不明(遺伝性なし)/パーキンソン病のような発症の危険因子に関する研究も不十分
  • 画像 進行例ではCTやMRIで中脳被蓋部の萎縮や脳幹部の萎縮,第三脳室の拡大などが出現
  • 治療 初期にはL-dopaが効く場合がある/抗うつ薬やバランス訓練などのリハビリと併用
  • 経過 発病2.7年で車椅子,4~5年で寝たきり/罹病期間は5~9年で50%生存期間は5~6年


🔗 おまけ

世間でPSPと言えばPlayStation Portable(プレイステーション・ポータブル)です.でも医学ではprogressive supranuclear palsy(進行性核上性麻痺)になります.ちなみにウィキペディアで略語PSPの意味は掲載順に以下です.
  1. PlayStation Portable(プレイステーション・ポータブル)- 携帯型ゲーム機
  2. Corel Paint Shop Pro - Windows用グラフィックソフトウェア
  3. フェノールスルホンフタレイン(phenolsulfonphthalein)- pH指示薬
  4. 感圧塗料(pressure-sensitive paint)
  5. 進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy)
  6. ポリスチレンペーパー(polystyrene paper)- 発泡スチロールの一種
  7. (以下省略…計17個がPSPとして記載/英語版では計51個!)

(投稿者 川﨑)

2021-05-25

心臓とミトコンドリア:小ネタ

  • 心臓の臓器重量は,体重の僅か0.5%程度を占めるに過ぎない
  • しかし心臓は体のエネルギー(ATP)の8%を消費している
  • よって心筋細胞内の容積の約30%をミトコンドリアが占拠

参考)心臓 2021;53:438-443; Nat Rev Cardiol 2017;14:238-50

😎 関連投稿(循環器の雑学編)
(投稿者 川﨑)

2021-05-24

Always 呼吸負荷!

倦怠感を訴える症例

🐧 解説
  • 顎下に周期的な隆起あり(矢印) ➜ 触診から動脈性(コリガン脈
  • 深吸気の保持で拍動は変化せず ➜ 拍動が動脈性であることに合致
  • 頸静脈拍動(陥凹など)は視認せず ➜ 中心静脈圧の著明上昇なし
  • クスマウル徴候も陰性 ➜ 潜在的な中心静脈圧の上昇もないと判断
  • 本例はクインケ徴候も陽性 ➜ その後に高度の大動脈弁逆流を確認
  • 心音は左室駆出流の増加による往復雑音(フリント雑音は認めず)

🐦 つぶやき
  • 頸部の陽性波では頸動脈のコリガン脈(大動脈弁逆流)と頸静脈のランチージ(ランチシ)徴候(三尖弁逆流)を考えるひつようがあることは何度か投稿してきました(コチラ).
  • 両者の鑑別には触診が一番ですが,触れずに診断がカッコいいと思います.体位変換(実例)に加えて,呼吸負荷も有用です.特に呼吸負荷は簡便なので常に追加しておきたいです.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2021-05-23

🔔 ベルは押してみようパート2

検診で心電図異常を指摘された無症状の症例

🐰 解説
  • 聴診器の膜部はしっかり押し当て使う ➜ 過剰心音はなし
  • 聴診器のベルは軽く乗せる感じで使う ➜ Ⅰ音前に過剰音
  • ベルを押し込むと膜部と同じく低音消失 ➜ 過剰音が消失
  • 本例の過剰な心音は心尖部の低調音 ➜ Ⅳ音と考えられる
  • 心エコー図で非対称性中隔肥厚があり肥大型心筋症と診断

🐭 復習
  • Ⅰ音周辺の過剰心音にはⅣ音の他に,駆出音Ⅰ音の分裂などがあります.
  • 出現タイミングだけで鑑別するのことは難しいので音調の意識が大切です.
  • Ⅳ音以外は中調〜高調成分も含むため,聴診器の膜部でも聴取が可能です.
  • ベルの過剰心音が押込みで消失なら低調音(つまりⅣ音)と考えられます.
  • 同じテクニックがⅢ音(過去の投稿)やギャロップ(奔馬調)でも使用可

🉐 心音の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2021-05-22

会議中 「もっと RPA アールピーエ― を活用したい」

  • Robotic Process Automationの略で,病院の会議でもよく耳にするようになりました
  • 一連の作業を自動化できるソフトウェアロボットで業務効率化や生産性向上に有用
  • プログラミングは不要で(判断を要さない単純作業を)操作パネルへ記録するだけ
  • 当院の実例:特定の条件で患者さんを検索・抽出してカルテにメッセージ付箋を貼付

💁 ビジネス用語に関する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)