ばち指自体は、今のところ血小板由来増殖因子(PDGF)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が肺の毛細血管で除去されないことで末梢組織まで流れ、指尖部の結合組織を肥厚させていると考えられています。肺癌では肺の毛細血管が破壊されることで、これらの因子を捕集することができなくなるため、ばち指になると考えられます。特発性肺線維症でばち指が見られるのも同様の理由だと考えられます。
😗 では、なぜ "結核ではばち指が見られない" かについてですが、僕なりに2つの仮説を立て、それぞれについて考えてみました。
- 仮説1 結核の好発は肺尖部であることから、肺尖部の毛細血管は、増殖因子の捕集に重要な役割を担っていない ➜ 今回の患者さんのようにPancoast腫瘍であってもばち指が見られるため恐らく違う
- 仮説2 結核の病巣部で毛細血管が保たれているから、増殖因子が末梢に出てこない ➜ このことについて調べてみると、めちゃくちゃ昔の文献ですが、こんなものがありました ➜ 論文
上記研究では、細葉性結節:毛細血管の異常構造、破綻なし小葉性乾酪性病巣:乾酪壊死巣では毛細血管が消失しているが、周囲で毛細血管が発達していると総括されています。結核では乾酪壊死巣で毛細血管の破綻が起きたとしても、周囲で毛細血管が発達することで増殖因子の捕集には影響を及ぼさないと考えられます。これは、仮説2を支持するのではないかと考えています。
😑 しかし、いくつかの文献を読んでいると、結核患者の1/3でばち指が観察できた、というものもあります。
ただこれらの調査対象はアフリカ地域であり、結核に対する医療が十分でないということが書かれているため、不十分な治療では毛細血管の破綻を来す可能性がある、とも読み取れるかなと思っています。とはいうものの、上で紹介した日本の臨床研究に関しても、昭和28年時点で日本の結核治療がどのようなものだったのかは僕自身よく分からない、、、ということがlimitationです。
😑 しかし、いくつかの文献を読んでいると、結核患者の1/3でばち指が観察できた、というものもあります。
ただこれらの調査対象はアフリカ地域であり、結核に対する医療が十分でないということが書かれているため、不十分な治療では毛細血管の破綻を来す可能性がある、とも読み取れるかなと思っています。とはいうものの、上で紹介した日本の臨床研究に関しても、昭和28年時点で日本の結核治療がどのようなものだったのかは僕自身よく分からない、、、ということがlimitationです。
🏃 感想
- 国試的には、ばち指は特発性肺線維症で見られるがCOPDでは見られない、ということが有名で、COPDでは血管破綻しないんかなっていうところが現在の疑問です。
(投稿者 土橋)
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