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2022-05-10

HIV感染症の臨床病期(自然経過)

  1. 感染初期(急性期)➜ 通常は数日から数週間(自然に改善)
  2. 無症候期 ➜ 通常は数年から十数年
  3. AIDS発症期

無症候期が長いため,感染初期(急性期)での早期診断が重要

💁 HIVに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-09

頸動脈拍動と体位

他科で施行した心エコー図で異常を指摘され循環器内科を紹介受診

🍙 解説
  • 端座位で左頸部に異常なし(ただし頸静脈は通常,右側で評価 ➜ 復習
  • 仰臥位では頸部に明瞭な周期性の隆起 ➜ 触聴診で動脈性(コリガン脈)
  • クインケ徴候はなく肘部内側に明瞭な動脈拍動(別名は水槌脈・反跳脈)
  • 本例は重症の大動脈弁逆流+中等症の大動脈弁狭窄+重症の僧帽弁逆流

🌰 独り言
  • 重症の大動脈弁逆流によるコリガン脈は通常,重力による虚脱増強のため臥床より座位の方が分かりやすいことが多いと思います(自験例).しかし本例では臥床の方が明瞭に観察できました.
  • 以前に中等症の大動脈弁逆流で同様の経験をしたことがあります(自験例).本例は重症の大動脈弁逆流でしたが,他の弁膜症も合併していたため,このような体位に対する反応を示したのかも…

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-05-08

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

心尖部心室瘤
心尖部心室瘤を伴う心尖部肥大型心筋症の左前斜位の心プールシンチグラフィ(上)と負荷Tl心筋イメージングの負荷後像と後期像(下)



(投稿者 杉原)

2022-05-07

👥 似て非なる

問題 アルビノ(先天性白皮症)の原因は?



判定

🐾 復習
  • メラトニン(Melatonin)➜ 動・植物や微生物などに存在する内因性ホルモンで概日リズムを調整
  • メラニン(Melanin)➜ 動・植物や微生物などが作り出す色素で本体を紫外線から守る効果がある


(投稿者 川崎)

2022-05-06

気腫性膀胱炎 Emphysematous cystitis

💣 135例のレビューBJU Int 2007;100:17-20) 
  • CO2が膀胱粘膜下や内腔に貯留した膀胱炎のこと
  • 初報は1961年のBailey Hによる19例の報告(
  • 平均年齢66歳,女性が64%で糖尿病の合併が67%
  • 診断は84%が腹部X線で確定(最近ではCTが増加)
  • 症状は腹痛や気尿,尿閉,嘔気,発熱,血尿など
  • 最多の起因菌は大腸菌(58%)で肺炎桿菌が続く 
  • 90%が薬で治療,10%は手術要(部分切除や全摘)
  • 死亡率7%(ちなみに気腫性腎盂腎炎は21〜69%)

当院の循環器内科で経験した気腫性膀胱炎の一例
(糖尿病を合併する高齢女性/肺炎桿菌が原因で抗菌薬で治癒)

(投稿者 川崎)

2022-05-05

食後低血圧 Postprandial hypotension; PPH

  • 食後2時間以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下または100mmHg以上から90mmHg以下に低下
  • 冠動脈や脳血管に高度狭窄または閉塞がある場合には心筋虚血や脳虚血を生じることがある
  • 一過性脳虚血発作の18%は食後低血圧による血行力学的機序が原因(最多は塞栓症で41%)
  • 高齢者の25~38%に認められ,特に糖尿病やパーキンソン病,高血圧を合併する症例に多い
  • 機序のひとつに炭水化物摂取に伴うインスリン分泌やニューロテンシンなどによる血管拡張


実例:食後に血圧低下あり/心拍数の増加がないことにも注目

💁 低血圧に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-04

寒冷凝集素症 Cold agglutinin disease

  • 寒冷凝集素とは赤血球膜上にある糖鎖抗原に対するIgMクラスの自己抗体
  • 寒冷凝集素症とは寒冷暴露時に寒冷凝集素が原因で赤血球が凝集した状態
  • 溶血性貧血に加え,末端チアノーゼや感覚障害、レイノー現象などを発症
  • 寒冷凝集素症は広義の自己免疫性溶血性貧血と考えられる(冷式の原因)
  • 反応は可逆的であるため37℃に加温すると寒冷凝集素は赤血球から離れる
  • 特発性と続発性(マイコプラズマやEBウイルス感染症や血液疾患)がある
  • 根本的治療はなく寒冷回避+保温(感染による続発性なら2~3週間で消退)


💁 血液に関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-03

CE or ME

💂 略語一覧
  • CE ➜ Clinical Engineer(臨床工学技士)
  • CTE ➜ Clinical Engineering Technologist
  • ME ➜ Medical Engineer(医用工学技士)

  • 1988年に誕生した医療系国家資格で邦名は臨床工学技士(≠技師)
  • 現場呼称は施設によって異なるが日本臨床工学技士会CEに統一
  • 人工呼吸器や体外循環,人工透析,ペースメーカなどを管理する

💁 略語に関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-02

心尖拍動:仰臥位 vs 左半側臥位 vs 座位

突然の動悸で来院した症例

😀 解説
  • 仰臥位では心尖拍動を認めないが,左半側臥位では視認可能(一つ目の矢印)
  • 拍動が不規則で心房細動の疑い(左半側臥位では心拡大の有無の判定は困難)
  • 座位でも心尖拍動は明瞭(二つ目の矢印)で,心拡大なしと判断(乳輪内側)
  • 頻脈であり抬起性か否かの視覚的判断は難しいが,触診ではチカラ強い隆起
  • 最終診断は心尖部肥大型心筋症例に合併した発作性の頻脈性心房細動でした

😎 独り言
  • 心尖拍動の評価は伝統的に仰臥位で行われますが,検出率が低いため左半側臥位を併用することが常です(過去の投稿).しかし臨床現場では座位で心尖拍動を評価することが少なくありません(過去の投稿例).
  • 座位での評価は何と言っても簡便で,起座呼吸を呈している症例などにも適応できます.座位での頸静脈評価(簡易定性法)が普及してきたように,座位での心尖拍動評価がもっと普及することを期待しています.


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-05-01

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

正常、大動脈炎症候群
RIアンギオグラフィ(First Pass)の正常例(上)と疾患例(下)



(投稿者 杉原)