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先日,整形外科の先生とアミロイドーシスの治療薬の話をしているときに,透析症例ではリクセル®でアフェレシスを行うことがあることを教えていただきました.ちなみにその適応に骨嚢胞像というものがあります(下記の赤文字).関節症などで損傷した軟骨部から関節液などが侵入し骨溶解が生じるようです.手根骨や大腿骨に多く,周囲にアミロイドの沈着を認めるそうです.
💧 アフェレシス(aphaeresis)
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定義 体外循環を用い血中から特定の液性因子や細胞を除去して病態の改善を図る治療法
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物質 液性因子は有害代謝物質,中毒物質など,細胞はリンパ球,顆粒球,ウイルスなど
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歴史 1914年に初めて plasmaphaeresis
という用語が登場(日本の歴史は1977年~下図)
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類似 血液浄化療法とほぼ同義←厳密には遠心分離装置やCARTは含まずに腹膜透析は含む
💦 リクセル®(Lixelle®)
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概略 透析アミロイドーシスの原因であるβ2ミクログロブリンを除去能する吸着カラム
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適応 病理でアミロイド沈着 & 透析歴≧10年+手根管開放術 &
画像診断で骨嚢胞像
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頻度 血液透析と併用し初回使用日を起算として1年間を上限(病態に応じて延長可能)
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実際 通常はダイアライザ上流に直列にリクセルを設置し吸着・除去する(下図参照)
アフェレーシス
(投稿者 川崎)
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ERカンファレンスで
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先日,救急搬入された患者さんが今回の疾患に関連すると思われる他院への紹介状を持っていました.深夜だったため作成元のクリニックへ問い合わせることはできません.封がされた紹介状を宛名以外の方が開封すると信書開封罪に問われるようです(下記).結局,当直医はその紹介状を開封せずに診療を完結しました.
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しかし正当な理由がある場合,信書開封罪は成立しません.確実なことはいえませんが,未開封では患者不利益が生じると思われる今回の救急現場では,患者さんの了承さえあれば開封しても大丈夫と予想します.診療情報提供書に関しては医師と弁護士による問答集があるので興味のある方は参考にしてください(ココ)
刑法第133条(信書開封)
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正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
注意点 💥
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封がされた信書を開けた場合でも正当な理由があるときには信書開封罪は成立しない
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自分宛と思い込んで開封したが他人宛のものだったときも故意でないため成立しない
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メールやLINE他は物理的に封をすることはできず信書には当たらないため成立しない
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法律に関する過去の投稿 ➜
コチラ
(投稿者 川崎)
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解説
- 安静時には頚静脈の拍動を座位で視認せず
- 吸気後での胸鎖乳突筋の萎縮に注目(矢印)
- その後は外頚静脈が視認可能である(矢頭)
- 本例はBNPと心エコーも正常で心不全なし
- 診断は筋強直性(筋緊張性)ジストロフィー
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偽クスマウル徴候
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胸鎖乳突筋が目立つことによる偽クスマウル徴候の症例は経験済みです(安静時・吸気後).ただし筋肉は拍動しないのでその鑑別は容易と思われます.
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今回,胸鎖乳突筋が萎縮する病態でも偽クスマウル徴候が出現することを初めて知りました.こちらは実際の静脈なので拍動があり,触診でも静脈です.
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本例はクスマウル徴候が陽性から心不全(≠重症)と誤診される可能性があります.その意味でも筋萎縮による偽クスマウル徴候を覚えておきたいです.
心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
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ビジネスの現場で行われている効率的かつ安全な作業環境を作り出すための管理技法.もちろん医療の世界でも活用できない(活用しない)理由はありません.
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現に先日の院内会議でも5Sの重要性が示されていました.医師やメディカルスタッフ,事務職など皆で5Sを日常的に実践する環境を作り出すことが大切です.
5S 💡
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Seiri ➜ 整理
- Seiton ➜ 整頓
- Seiso ➜ 清掃
- Seiketsu ➜ 清潔
- Shitsuke ➜ 躾
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ビジネスに関する過去の投稿 ➜
コチラ(PC版なら右欄から選択可能)
(投稿者 川崎)
👥 雑談から
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ある日,ベトナムの方が来院されました(ベトナム語以外はしゃべれず).この時はスマホの音声翻訳アプリで対応できました.
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後日はペルーの方が来院されました(スペイン語以外はしゃべれず).この時はアプリがうまく働かずに診察がほぼ不能でした.
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当院では日中は外国語を話せる方のリストを作成しています.その後,大阪ではナイスなサービスが利用できることを知りました.
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大阪府24時間多言語遠隔医療通訳サービス
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概略 大阪府が提供する医療現場で外国人の受入れが円滑に進むための24時間サービス
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対象 府内全医療機関および薬局(ただし薬局においては調剤業務における対応に限る)
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言語 英語,中国語,韓国語,スペイン語,ポルトガル語,ベトナム語,タイ語,仏語
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実際 診療場面等で利用可能(下図)(通話・通信料は各施設の負担:利用登録が必要)
(投稿者 川崎)