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2016-06-29

小児のQT延長

小児科での胸部の不快感は注意が必要です。小児はそもそも身体症状の訴えがあいまいです。心電図をしっかり取りましょう。
特にQT延長症候群(RR間隔の半分以上)であれば循環器内科に相談しましょう。
問診では家族歴、失神歴などの聴取が有用です。
治療はβblockerを中心にペースメーカなども考慮します。きっちりと治療し、コンプライアンスがよければ比較的予後は良好です。

(投稿者 國枝)

ニューキノロンと併用注意

救急の現場で外来フォロー時に皆さんはどんな抗生剤を使用しますか?
逃げ技とも非難されますが、やはりニューキノロン系の使用は多いように感じております。
ニューキノロンは非定型肺炎や、グラム陽性菌などカバーの大きい殺菌性のつよい抗生剤で原因が不明確なままの治療を強いられる外来では多用しやすいでしょう。
しかしそんなキノロン系の注意点として痙攣の誘発があります。既往に痙攣がある場合は注意が必要でしょう。また、NSAIDs特にボルタレンンやロキソニンには痙攣誘発の増強作用があり、避ける方がいいでしょう。


また、マグネシウム製剤はクラビットの吸収を悪くするので、2時間くらいは空けて投与しましょう。

(投稿者 國枝)

BNP低値の心不全

BNPは心室筋の伸展(壁応力)に応じて主に左室から分泌されます.よってBNPが高値であれば心不全を疑います.

ただし一部の心不全ではBNPはあまり上昇しません.代表的な病態が心膜液貯留を伴う場合です.その他にも収縮性心膜炎や僧帽弁狭窄症でもBNPはあまり上昇しません(ただし日常臨床で遭遇することは比較的稀).いずれの疾患も左室への血液流入が障害され心室筋が伸展しないためです.

NT-proBNPでも同様のことが言えます.

ポイント:心不全症状+BNP低値⇒心膜液貯溜を疑う

(投稿者 川崎)

2016-06-28

プレゼンテーションの順番

New England Journal of Medicineで採用されているプレゼンテーションの順番

 1.年齢・性別・主訴 (例,症例は56歳男性で主訴は胸痛です)
 2.現病歴
 3.既往歴
 4.生活歴
 5.家族歴
 5.意識レベル・バイタルサイン
 6.身体所見
 7.検査所見
 8.診断
 9.経過

       ※カルテ記載や論文でも同じでOK
(投稿者 川崎)

2016-06-27

バルーン挿入困難な例には「キシロカイン爆弾」!!

真性包茎で亀頭が露出できない場合や、亀頭が露出できても前立腺肥大などでバルーン挿入が困難な場合にオススメなのが・・・・ 「キシロカイン爆弾」!!

10ccもしくは20ccのシリンジの内筒を抜いて、出口を指で押さえながら筒内にキシロカインゼリーを入れます。 エア抜きをして、包皮の間もしくは尿道口が見えている場合は尿道口に突き刺して キシロカインを流しいれます


これにより、浸潤麻酔作用と潤滑剤の作用があいまって、バルーン挿入が容易になります。 ぜひ試してみてください。

【注釈】キシロカイン爆弾という表現は”ねじ子のヒミツ手技”という本から引用させていただいております。詳しくはねじ子を読んでみてください。


(投稿者 吉武)

呼吸数 RR

バイタルサイン(生命徴候)は4つの指標:血圧,脈拍数,体温,そして呼吸数
しかし当院では呼吸数(respiratory rate, RR)は記載されていないことが多い

15秒の呼吸数を数えて4倍した値を是非カルテに記入
正常値:成人12-20回/分(ただし子供はもっと早い)


(投稿者 川崎)

2016-06-24

アニオンギャップ

【アニオンギャップ】 細胞外液の通常測定可能な主要イオンであるNa+,K+,Cl−,HCO3−濃度の間には,健常人ではNa+−(Cl−+HCO3−)≦12±2mEq/Lなどの関係式が示されている。 ER診療においては、血液ガス分析(静脈でよい)で様々な情報を得ることができる。 【臨床的意義】 代謝性アシドーシスにはアニオンギャップの増加する場合と正常な場合があり、臨床上その増減を知ることは重要である。 1)アニオンギャップが上昇するもの ①ケトン性アシドーシス②尿毒症性アシドーシス③乳酸性アシドーシス④薬物中毒−サリチル酸、メタノール。 2)アニオンギャップが上昇しないもの ①腸管からのHCO3-の喪失②腎からのHCO3-の喪失③酸の負荷(アミノ酸輸液)。 3)アニオンギャップが減少するもの IgG型多発性骨髄腫。 
         【1行ポイント】 代謝性アシドーシスではアニオン・ギャップを見る

(投稿者 安田)

Pertinent negative

鑑別診断時に重要な陰性所見のこと.(pertinent ≒ relevant,関連のある)
例えば主訴が頭痛である場合,「突然発症の頭痛でない」「人生最悪の頭痛でない」という陰性所見はくも膜下出血の可能性を低下させる.
症例提示は陽性所見を中心に進められるが,ある程度疾患が絞られ段階でpertinent negtiveを加えていく.


(投稿者 川崎)

2016-06-22

自己免疫性膵炎

自己免疫性膵炎は膵腫大と血清IgG4高値(135mg/dl以上)を特徴とする膵炎である.IgG4関連疾患の約半数が自己免疫性膵炎を合併する.中高年の男性に発症することが多い.ステロイド投与が第一選択薬.比較的高用量(プレドニゾロン0.5〜0.6mg/kg/day)を2-4週間継続した後,IgG4値・画像所見・臨床症状などを参考に2-3ヵ月かけて寛解を目指す.1-3年の維持療法(5mg程度)を行い,安定していれば中止も可能.生命予後は一般には良好と考えられる.


【1行ポイント】 原因不明の膵炎ではIgG4を測定する

(投稿者 川崎)