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2016-10-31

精巣捻転

精巣捻転は、下腹部の激痛は訴え受診する。
「タマが痛い」と訴える。
通常、左側に多く、陰嚢がやや腫れて、位置がやや挙上している。
新生児期と思春期に2峰性のピークがある。

診断はカラードプラーにて血流の有無を診断する。

正常な血流
精巣捻転している場合
精巣捻転を見たら、疑ったらまずすること。
「泌尿器科医を呼ぶ事」
緊急オペの可能性がある。そして、徒手整復を試みること。ほとんどは、内側に捻転している。だから、外側に整復する。「Open Bookの方向」と言われる。
6時間以内の整復(手術含む)が、患者さんの「精巣機能」を維持する。
⇒遅れると不妊の原因にもなり得る。

重要な所見に精巣挙筋反射の消失がある。知りたい人は成書を確認。
Prehn徴候;陰嚢を持ち上げると痛みが和らげば精巣上体炎、痛みが変わらなければ精巣捻転→精度が低く鑑別に役立たない。
(投稿者 安田)

抗菌薬の中途半端な効果

抗菌薬の効果が不十分なときのグラム染色



上記写真ではグラム陰性桿菌が連結してひも状になっている
 抗菌薬が有効 ⇒ 陰性桿菌は消失
 抗菌薬が無効 ⇒ 陰性桿菌が多数(例はココ

本例では抗菌薬が中途半端に有効であるため弱った菌が連結している

(投稿者 川崎)

2016-10-30

YAM(ヤム)

YAM = Young Adult Mean = 20~44歳までの健康女性の骨密度の平均値
骨密度 = BMD (Bone Mineral Density) = 骨量÷面積(単位g/cm2
測定する部位(腰椎あるいは大腿骨)によっても異なるがYAMは概ね1.0 g/cm2

骨密度測定検査で算出した骨密度がYAMの70%未満なら骨粗鬆症として治療を考慮

(投稿者 川崎)

2016-10-29

経口三世代セフェム

バイオアベイラビリティー(腸から吸収される割合)がとても低いため効果が期待できない
セフジニル(セフゾン)はたったの25%,セフカペン(フロモックス)に至っては記載すらなし
点滴三世代セフェムは大事な武器であるが,経口三世代セフェムを要する症例は極めて稀
(岩田 健太郎先生の抗菌薬の考え方、使い方Ver.3より)

バイオアベイラビリティが良好な経口抗菌薬は ココ にまとめられています

(投稿者 川崎)

2016-10-28

松下金曜会 「無月経」

無月経のレッドフラッグと考慮すべき病態
  1. 最近の避妊しないままでの性交 ⇒ 妊娠
  2. 頭痛,乳汁漏出症,周辺視野欠損 ⇒ 頭蓋内腫瘍
  3. 理想体重を15%下回る体重およびボディイメージ障害 ⇒ 食欲不振
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-10-27

外傷に対するFAST

FAST(ファスト) = Focused Assessment with Sonography for Trauma
外傷症例に行う迅速簡易超音波検査法で,液体貯留(出血)の検出に有用

FASTでは以下の順にエコーで確認
  1. 心膜腔
  2. 肝腎境界(モリソン窩)と右胸腔
  3. 脾周囲と左胸腔
  4. 膀胱直腸窩/ダグラス窩
分かりやすいページ ←クリック

 おまけ 
ダグラス窩は厳密には直腸子宮窩であるため女性にしか存在しないが,男性の膀胱直腸窩を便宜的にダグラス窩と呼ぶことがある

(投稿者 川崎)

ERでのミオコール スプレー

ミオコール スプレーは,狭心症だけでなく高血圧を伴った肺水腫にも使用する
血行動態の改善,自覚症状の改善,挿管の回避などに有用と考えられる

日本循環器学会の急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)では
初期評価と急性心筋梗塞の除外後に真っ先に施行すべき対応として記載(赤線)


ただし血圧低下症例では注意する必要がある.同ガイドラインには,「収縮期血圧が90mmHg以下の患者では,かえって臓器灌流を低下させ,腎血流量が保てなくなる可能性がある.」と記されている

実際の使用方法添付文書から)

ミオコールスプレーの噴霧回数に関する記載はガイドラインには見当たらない
添付文書では「成人には1回1噴霧を舌下に投与する.なお効果不十分の場合は1噴霧を追加投与する.」

(投稿者 川崎)

2016-10-25

肺炎の治療効果判定について〜その時期と指標〜

成人市中肺炎診療ガイドラインより一部改変

治療効果の判定時期と主な判定事項(抗菌薬効果判定)

①3日後(重症例は2日)の判定;初期抗菌薬の有効性の評価
②7日以内の判定;有効性の評価や終了時期の決定
③14日以内の判定;終了時期や薬剤変更の決定

抗菌薬投与終了時期の目安

①感染防御機能が正常と考えられる場合(明らかな基礎疾患が無い場合)
下記効果判定基準4項目中3項目以上を満たした場合
②感染防御機能が冒されていると思われる場合 (基礎疾患がある場合)
下記判定基準4項目中3項目以上を満たした4日後

効果判定の指標と基準

①解熱(目安;37°C以下)
②白血球増加の改善(目安;正常化)
③CRPの改善(目安;最高値の30%以下へ低下)
④胸部 X 線陰影の明らかな改善

(投稿者 安田)

当院ルール:吐下血時のCT

ショックや腎機能障害,アレルギー例などを除いて造影CTを施行
理想の撮像プロトコール:単純CT → ダイナミックCT → 平衡相CT

造影CTで出血自体が描出されることは稀と考えられるが
吐血時の胃動脈瘤の有無や憩室出血時の出血部位の同定に役立つことがある

(投稿者 川崎)

NEJMカンファレンス

腸間膜虚血
【症状】
 腹痛、嘔吐、血便など
【虚血部位】
 上腸間膜静脈塞栓症が50%
 上腸間膜動脈血栓症が20%
 ※非閉塞性虚血(Non-occlusive mesenteric ischemia: NOMI)が20-30%
【診断】
 腹部(造影)CT、血管造影
 乳酸の高値は感度100%、特異度42%
【治療】
 手術:血栓除去あるいは血行再建術を施行し、壊死腸管があれば切除
 保存的治療:血栓溶解療法、抗凝固薬

NEJMの記事

先天性風疹症候群(CPS)
【症状】
 3大症状:心疾患(動脈管開存症)、難聴、白内障
【治療】
 CPS自体の治療法はない。
 心疾患、白内障は可能であれば手術
【予防】
 風疹(を含む)ワクチン → MRワクチンまたは風疹ワクチン
 ※妊娠可能年齢の女性で風疹抗体がない場合には、積極的にワクチンで免疫を獲得しておく。
 妊娠中のワクチン接種は避ける。

NEJMの記事

(投稿者 結城)

2016-10-24

肺炎球菌尿中抗原迅速検査の注意事項

肺炎球菌感染症の迅速診断において、尿中抗原検査は重要。
感度80%、特異度94%と立派な検査法である。

【注意事項】
①尿中抗原陽性となるのは、発症から3日以降
⇒迅速で陰性であっても、否定はしないこと(早すぎる検査)。疑わしければ再検すること。(抗生剤治療の影響を受けない)
②抗原は尿中に数日〜数ヶ月に渡り排出されるため、陽性であっても既往歴の有無は必須
③もちろん治療効果判定には使えない。
(投稿者 安田)

市中肺炎と非定型肺炎の鑑別

1. 年齢60歳未満
2. 基礎疾患がない、あるいは軽微
3. 頑固な咳嗽がある
4. 胸部聴診状所見が乏しい
5. 喀痰がない、あるいは迅速診断で原因菌らしいものがない
6. 末梢血白血球数が10000/μL未満である

4つ以上満たせば、非定型の可能性が高くなってくる。
(投稿者 安田)

酸塩基平衡の「マジックナンバー15」

酸塩基平衡の理解の大原則は
①pH,PaCO2,HCO3-から代謝性,呼吸性,アシドーシス,アルカローシスを評価する。
である。

しかしながら、この時点で断念する人は多い。

重要な「マジックナンバー15」

★代謝性アシドーシス,アルカローシスでは,実測HCO3-+15=予測PaCO2で代償
★実測PaCO2=予測PaCO2ならば正常の代償機構
★実測PaCO2>予測PaCO2ならば呼吸性アシドーシスの合併
★実測PaCO2<予測PaCO2ならば呼吸性アルカローシスの合併

pCO2,HCO3-(BEも)から、大まかにアシドーシス、アルカローシス、代謝性、呼吸性を判断しておく事は重要。

ここからは、経験を積んで少しでも早く判断できるようになるべし!

(投稿者 安田)

双球菌

双球菌を見たら肺炎球菌(ニューモコッカス)腸球菌(エンテロコッカス)を考える

喀痰なら肺炎球菌 ⇒ PC系抗菌薬(抗菌薬先行投与あるいはPC耐性ならCTRXなど)
尿中なら腸球菌 ⇒ PC系抗菌薬(培養でフェシウムと同定されたらVCMなど)


上記は尿のグラム染色で,白血球に貪食されている双球菌は腸球菌のフェカーリスであった

(投稿者 川崎)

2016-10-23

妊娠中・授乳中のアセトアミノフェン

アセトアミノフェンは妊娠中でも処方可能であると考えられる (日本医事新報 No.4654
さらに授乳中でも安全に使用できると思われる (国立成育医療研究センターHP

(投稿者 川崎)

マッコーネル徴候 McConnell sign

右心負荷が急性発症か慢性変化を判断するときに利用できる心エコ-の指標
右室心尖部が過剰運動を示せばマッコーネル徴候陽性⇒右心負荷は急性の疑い


上の動画は呼吸困難感で来院し,急性肺血栓塞栓症と診断された症例(マッコーネル徴候は陽性)
右室(画面左)は瘤化しているが右室心尖部(中央Vマーク左下)のみペコペコ動いている点に注目

McConnell MV, et al. Regional right ventricular dysfunction detected by echocardiography in acute pulmonaryembolism. Am J Cardiol. 1996;78:469-73.

(投稿者 川崎)

オーグメンチンとパセトシンの併用

臨床現場でしばしば行われる処方
 オーグメンチン(250)3錠+パセトシン(250)3錠,分3毎食後

オーグメンチン=アモキシシリン(AMPC)+クラブラン酸カリウム(CVA:βラクタマーゼ阻害剤)
パセトシン=アモキシシリン(AMPC)単剤
 ⇒ アモキシシリン(AMPC)が重複している

重複投与される理由
  • 細菌性感染ではアモキシシリン高用量が望ましい(1.5~2.0g/日)
  • クラブラン酸カリウムの副作用である下痢や嘔気を増やさないため
(投稿者 川崎)

2016-10-22

連続性雑音

収縮期から拡張期に移行するタイミング(Ⅱ音)で音質が変化しない雑音
(必ずしも心周期のすべてで雑音が聞こえる必要はない点に注意)

動脈管開存やバルサルバ洞動脈瘤破裂,肺動静脈瘻,冠動脈瘻などで聴取


    蕎麦や豆を挽くときの石臼を回すような感じ(ウゥ~ウゥ~)

※厳密に言うと連続性雑音は心雑音ではないよ(心外にある血管の雑音)

(投稿者 川崎)

腸管粘膜のターンオーバー

腸管粘膜は3~5日で新しい細胞に置き換えられる
胃粘膜もほとんど同じ周期で新生されている

Adult intestinal stem cells: critical drivers of epithelial homeostasis and regeneration. Nat Rev Mol Cell Biol. 2014;15:19-33.

(投稿者 川崎)

2016-10-21

NEJMカンファレンス

癒着胎盤
・子宮腔内の脱落膜の欠損部位から絨毛が子宮筋層に直接侵入し、分娩後自然脱落することできない状態
・無理な胎盤剥離や胎盤部分剥離が起これば大出血からショック
・DICを引き起こし、母体予後を悪化させる
・発生頻度:1例/2500例
・多くは前置胎盤・子宮手術既往のある症例に発生
NEJMの記事

Thelazia callipaeda(東洋眼虫)
・体長8~16mmの白色の小線虫
・感染は,動物の涙液を摂取し栄養分とする分泌物採食性で,非刺咬性のハエを介しておこる
・犬の眼脂を好んで摂食するショウジョウバエの1種のメマトイが、ヒトの眼瞼などに止まった時に感染すると考えられている
・軽度の結膜腺炎、結膜の濾胞肥大、異物感、流涙、掻痒、充血、腫張、光 への過敏性、角膜炎を引きおこす場合がある
・治療は、虫体の機械的除去
NEJMの記事
(投稿者 大槻)

松下金曜会 「複視」

複視のレッドフラッグと重篤な原因疾患
  1. 眼痛または頭痛 ⇒ 脳動脈瘤・海綿静脈洞腫瘤病変・頭蓋内圧亢進・髄膜炎
  2. 顔面のしびれ感 ⇒ 海綿静脈洞腫瘤病変
  3. 顔面脱力 ⇒ 脳幹病変
  4. 下肢脱力・下肢のしびれ感・不均衡・傾眠状態 ⇒ 髄膜炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-10-20

研修医マニュアル「急患帳®」

石巻赤十字病院 研修医マニュアル「急患帳®」は、すでに第4版!
”九官鳥のようにまねることから始まる”という意味でまとめられており、HPからダウンロードできるよう公開されています。
実際の現場に即した使いやすいマニュアルとなっています。

ローカルルールも入っていますが、まさに「虎の巻」です。
http://www.ishinomaki.jrc.or.jp/recruit/juniorresident/kyukancho/

一度ご覧あれ。完成度に感動します。

(投稿者 安田)

Polymicrobial pattern

様々な菌が同時に見える状態のこと


上記写真では大型と小型のGPCとGNC,GNRが観察されるが,周囲に好中球が存在しないため病原菌より常在菌と考える

(投稿者 川崎)

ERでのグラム染色

  1. スライドガラスに尿や喀痰をできるだけ薄く塗る(1円玉程度の大きさ)
  2. 常温で自然に乾燥するまで待つ(目安は喀痰5分,尿10分)
  3. 検体をアルコールスプレーで固定(検査室ではガスバーナー固定)
  4. ビクトリアブルー(青液)をたっぷりかけて1分後に水洗い
  5. ピクリン酸(黄液)を青色が目立たなくなるまでかけて30秒以内に水洗い
  6. サフラニン(赤液)をたっぷりかけて1分後に水洗い
  7. 乾燥後(ドライヤーや濾紙の利用も可)に光学顕微鏡で観察
  8. はじめは100倍で観察(好中球やフィブリン,扁平上皮の有無)
  9. 油浸を加えて1000倍で観察(菌の分類や貪食の有無を判定)

(投稿者 川崎)

誤嚥性肺炎

喀痰のグラム染色の特徴は・・・
  • 多菌種の混在(グラム陽性/陰性,桿菌/球菌)
  • 菌が集簇してクラスターを形成
  • 白血球による貪食像
  • 扁平上皮が多い(口腔内由来)


※もちろん喀痰に混じったお米などの食物残渣を確認できることもある

(投稿者 川崎)

2016-10-19

食物アレルギー

食物アレルギー診療ガイドライン2012より抜粋

アナフィラキシーのグレード分類
Sampson HA. Pediatrics 2003を改変.すべての症状が必須ではない.症状のグレードは最もグレードの高い臓器症状に基づいて判定する.グレード1はアナフィラキシーとはしない.



即時型反応・アナフィラキシー出現時の治療
ヒスタミンによる即時型反応~アナフィラキシーであるので発症初期にはヒスタミンH1受容体拮抗薬が有効である.症状の進行が認められたときにはアドレナリンの速やかな筋注が必要となる。循環不全に対しては糖とカリウムを含まない等張液による急速輸液が必要である.

(投稿者 川崎)

Japan Coma Scale (JCS)

日本で主に使用される意識障害の程度の分類法

Ⅰ.覚醒している
   0 意識清明
   1 見当識は保たれているが意識清明ではない
   2 見当識障害がある
   3 自分の名前・生年月日が言えない
Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する
   10 普通の呼びかけで開眼する
   20 大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する
   30 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する
Ⅲ.刺激しても覚醒しない
   100 痛みに対して払いのけるなどの動作をする
   200 痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする
   300 痛み刺激に対し全く反応しない

3-3-9度方式であるためJCS III-200などと表記されることもあるが,JCS 200と記載することが正しいようである
1974年に脳外科医である鈴木二郎らの委員会で作成されたようであるが出典は不明(以上Wikipediaより)

 コメント
Japan Coma Scaleを用いた報告の学術データベースへの初収載は以下
 PudMed: No Shinkei Geka. 1986;14:817-21.
 Google scholar: Sogo Rinsho 1985;34:477-482.

(投稿者 川崎)

2016-10-17

Glasgow Coma Scale (GCS)

1.開眼(E:eye opening)
 4自発的に開眼
 3呼びかけにより開眼
 2痛み刺激により開眼
 1なし

2.最良言語反応(V:best verbal response)
 5見当識あり
 4混乱した会話
 3不適当な発語
 2理解不明の音声
 1なし

3.最良運動反応(M:best motor response)
 6命令に応じて可
 5疼痛部へ
 4逃避反応として
 3異常な屈曲運動
 2伸展反応(除脳姿勢)
 1なし

※E3V4M5のように表現し、合計点数で評価
※15点満点(正常)、最低点は3点(深昏睡)  一般に8点以下を重症とする

JCSの方がぱっと見は分かりやすいかも・・・

(作成者 結城)

PM/DMの身体所見

1.筋症状
a.筋力低下:下枝を初発とすることが多く、四肢近位、頸部屈筋の対称性筋力低下を来す。Gowers徴候(登攀性起立が見られることもある)。重症度は徒手筋力テスト(MMT)により診断。

*MMT
5(normal)-強い抵抗を加えても運動可能
4(good)-重力および中等度の抵抗を加えても関節運動が可能
3(fair)-重力に逆らって関節運動が可能であるが、それ以上の抵抗を加えればその運動は不能
2(poor)-重力の影響を除去すれば、その筋の収縮によって関節運動が可能
1(trace)-筋収縮はみられるが。それによる関節運動は見られない
0(zero)-筋収縮がまったく見られない

b.筋の自発痛、把握痛

2.皮膚症状(a~dはDMに特徴的)
a.ヘリオトロープ疹:両上眼瞼部の紫紅色調の浮腫性病変
b.Gottron徴候:手指の関節伸背面の落屑性紅斑
c.ショール徴候
d.Vネックサイン
e.四肢伸側の紅斑
f.爪床部紅斑、毛細血管拡張、小梗塞

3.多発性関節炎

4.肺症状(間質性肺炎)

5.心症状:不整脈、心筋炎、心膜炎


参照:YearNote 2016

(投稿者 湯浅)

麻黄湯(マオウトウ)

発汗作用があり,体の熱・腫れ・痛みを発散する.病気の初期で体力が十分ある場合に適する
(例:慢性疾患のない健常者で,カゼの初期段階かつ寒気や発熱,関節痛などがあるとき)

配合生薬:麻黄(マオウ),桂皮(ケイヒ),杏仁(キョウニン),甘草(カンゾウ)
 ⇒ 甘草を含むため大量服用で偽アルドステロン症や低カリウム血症によるミオパチーを生じることがある

 おまけ 
 麻黄湯はインフルエンザの治療にも有効であるという報告がある

2016-10-16

急性精巣上体炎

尿路系の感染症を疑った時に除外すべき疾患として,急性前立腺炎に加えて急性精巣上体炎がある
  • 解剖 : 精巣上体は精巣の横にあり,副睾丸ともいわれる
  • 役割 : 精巣でつくられた精子を貯蔵し,精管に輸送する
  • 症状 : 陰嚢の痛み・腫脹・熱感,排尿時痛,膿尿,発熱
  • 原因 : 若者ではクラミジアや淋菌,中高年では大腸菌の感染
  • 鑑別 : 精巣捻転(精巣腫大なくドプラで血流低下もしくは消失)

(投稿者 川崎)

2016-10-15

MEPM+CLDM

原因菌が不明の壊死性筋膜炎などtoxic shock syndrome(TSS)治療では
メロペネムMEPM(メロペン)とクリンダマイシンCLDM(ダラシン)を併用する時がある

これは必ずしも嫌気性菌のダブルカバーを行っているわけではない
CLDMは毒素産生に対して抑制効果を有することが報告されている
(Pretreatment of mice with clindamycin improves survival of endotoxic shock by modulating the release of inflammatory cytokines. Antimicrob Agents Chemother. 2001;45:2638-42.)

(投稿者 川崎)

2016-10-14

インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae

グラム陰性桿菌であるが,大腸菌など通常のグラム陰性桿菌より小さい(図の丸中央)
短桿菌であるため球状に見えたり(図の矢印),注意深く観察しないと見落としたりする
ヘモフィルス属の中で最も一般的な病原性菌種のため,単にヘモフィルスと呼ぶこともある


 おまけ 
命名は1800年代のインフルエンザの大流行時の発見によるが,インフルエンザとは無関係
b型菌のことをHib(ヒブ)と呼び,子供の髄膜炎や喉頭蓋炎の予防ワクチンとして普及している

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「悪心・嘔吐」

悪心・嘔吐のレッドフラッグと重篤な原因疾患
  1. 大量吐血 ⇒ 消化性潰瘍,静脈瘤またはマロリー・ワイス裂傷からの出血
  2. 頭部外傷歴 ⇒ 頭蓋骨折
  3. 嘔吐前に腹痛 ⇒ 急性虫垂炎
  4. 精神状態の変化 ⇒ 頭蓋内出血,腫瘤,または感染
  5. 体がゆれるような動きで増悪(例,階段を下りる時) ⇒ 腹膜炎
  6. 一定の上腹部痛が30分以上持続 ⇒ 急性胆嚢炎
  7. 左腕への放散痛 ⇒ 急性心筋梗塞
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

企図振戦(きとしんせん)

何かの目的で行動しようとすると生じる振戦(例,物を取ろうと手を伸ばす時)
小脳の損傷によって生じやすい(多発性硬化症,脳卒中,ウィルソン病など)
小脳振戦あるいは意図振戦と呼ばれることもある

その他の振戦
  • 安静時振戦:筋肉を使っていない時に生じる振戦で,パーキンソン病に多い
  • 姿勢振戦:重力に逆らって姿勢を保とうとするときなどに生じる振戦
  • 本態性振戦: 高齢になるほど目立つが,通常は重篤な病態にはならない
  • 生理的振戦:ストレスや疲労,カフェインの過剰摂取などによる一過性の振戦
  • 羽ばたき振戦:厳密には振戦ではなく,肝機能障害(特に肝性脳症)と関連する
(投稿者 川崎)

2016-10-12

緑膿菌

グラム陰性桿菌(GNR)で多くの抗菌薬に耐性である
 
 
  • グラム染色の特徴は染色性が悪く細くて集簇する
  • ムコイド型の緑膿菌では菌が粘液物質で包まれる
  • 色素を分泌するため培地や傷口が緑に着色する
 
(投稿者 川崎)
 

2016-10-11

胸痛 OPQRST

胸痛を訴える症例に対する問診テクニック いわゆる ”OPQRST”
  1. O : Onset: いつ始まったのか
  2. P : Provoking and palliating: 増悪あるいは緩解因子
  3. Q : Quality: 胸痛の性状(鈍い痛み,圧迫感,鋭い痛み,不快感など)
  4. R : Region and radiation: 胸痛の場所と放散(左胸から左腕に広がるなど)
  5. S : Severity and symptons: 症状の程度(1-10のスケール)と随伴症状(嘔気や動悸の有無)
  6. T : Timing: 持続時間
もちろんこの ”OPQRST” 問診テクニックは胸痛以外にも応用できます
(投稿者 川崎)

松下CT道場より 「症例4:食欲不振と衰弱の60代男性」

本ページにアップすると他の動画とリンクエラーを生じたため下記リンクでご覧下さい

「松下CT道場」 ←ココをクリック
(投稿者 川崎)

2016-10-10

冠動脈ステントとMRI

一般的に冠動脈にステント留置2ヵ月以内はMRIを回避すべきと考えられている.
これは発熱によるステント血栓症やステント移動のリスクがあるからと推察される.

しかし下記の報告を考慮すると,留置早期でも必要時はMRIを回避すべきではないと考える

留置2週間以内(平均6日後)に3TのMRIが行われた連続72例の心筋梗塞
 ⇒ ステント血栓症,死亡,心筋梗塞はいずれもなし(Eur Radiol. 2009;19:2913-8.

留置8週間以内(平均18日後)に1.5TのMRIを受けた111例での検討
 ⇒ ステント血栓症なし,非心臓死4例,再治療3例(J Am Coll Cardiol. 2003;42:1295-8.

最も汎用されているのステントの一つXIENCE Alpineでは,単一留置あるいは最大71mmまでステントをオーバーラップさせて留置した場合、留置直後から特定のMRI検査で危険性のない「MR Conditional」に該当することが立証されている。 (http://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/340733/22600BZX00529000_A_01_04/

(投稿者 川崎)

2016-10-08

MRI と刺青の安全性

MRIでは、ループ形成や金属の存在により熱傷をきたすことが知られています。

医療安全情報: 高周波電流ループ形成による熱傷
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_56.pdf

タトゥーによるI度熱傷の例
http://www.livescience.com/32801-do-mri-machines-affect-tattoos.html

あと、技師さんがこんなものを見つけてくれました。
MRI合併症と有害事象の調査
https://www.bayer-diagnostics.jp/static/pdf/publications/mriinmedicine/mri_3/MRI_Vol_3-2.pdf
p10 MRIとアートメイク:合併症と有害事象の調査

他にもいくつか論文を探しましたが、1~2度熱傷までしか見つかりませんでした。
論文でも、MRIを受けられない不利益を問題にしていますね。たしかにMRIを受けられない場合は不利益があることは理解できます。

ただ、「無条件大丈夫」とは言えません。
また、皮膚に刺入する顔料も昔と今とでは異なっていると思われ、昔の刺青はどうなのか調査から多くが漏れているのではないかと推察します。

刺青も青系は危ない、とか、赤系は危ない、とか都市伝説的に語られていますが、これらもはっきりした根拠は見つけられませんでした。
ご存知の方は御教授ください。

もちろん、MRI室への金属の持込は、絶対にやめてくださいね☆
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_94.pdf
(投稿者 小谷)

バイオアベイラビリティが良好な経口抗菌薬

腸から薬がどれだけ吸収するのか!=bioavailabilityです。

ペニシリン系(アモキシシリン) 90%
セフェム系(セファドロキシル,セファレキシン) 90-99%
ニューキノロン系(レボフロキサシン,モキシフロキサシン) 90-99%
テトラサイクリン系(ドキシサイクリン,ミノサイクリン) 93-95%
ニトロイミダゾール系(メトロニダゾール) 100%
葉酸代謝拮抗薬(ST 合剤) 98%
リンコサミド系(クリンダマイシン) 90%
オキサゾリジノン系(リネゾリド) 100%

(投稿者 安田)

経口抗菌薬への早期切り替え、誤嚥性肺炎でも有効か?

市中肺炎において、早期に抗菌薬の点滴静注から経口投与に移行するスイッチ療法の有効性が報告されているが、誤嚥性肺炎については報告されていなかった。

聖路加国際病院呼吸器内科 宇仁 暢大氏らは、誤嚥性肺炎においても抗菌薬の早期経口スイッチングの可能性を報告している。(Uni M, et al. Respir Investig. 2015;53:225-231)

早期の切り替えの基準は
◎バイタルサインが安定していること
 (体温:38℃以下、呼吸数:24回/分以下、脈拍:24時間以上100回/分以下)
◎嚥下評価が良好
 (反復唾液嚥下テスト2点以上、改訂水飲みテスト4点以上)

(投稿者 安田)

市中肺炎において、経口抗菌薬への早期切り替えは可能か?

Ans:条件を満たせば可能

下記の全ての項目を満たした場合、早期切り替えは可能。
◎咳嗽および呼吸困難など呼吸器症状の改善
◎CRP 15 mg/dL未満
◎経口摂取機能の十分な改善
◎12時間以上にわたって体温が38℃以下に保たれていること

(投稿者 安田)

肺炎において血液培養は必要か?

市中肺炎において血液培養の採取が推奨される患者

ICU入室
空洞性浸潤影
無脾症
アルコール乱用
胸水の出現
重症慢性肝疾患
好中球減少
尿中肺炎球菌抗原陽性

上記の病態以外では血液培養の採取は任意

(投稿者 安田)

2016-10-07

直腸診の所見

左側臥位(Sims体位)で行う

・視診:痔、肛門周囲膿瘍、直腸脱など
・腫瘤:下部直腸癌など
・出血、血便:色調などから上部or下部消化管出血の鑑別
・肛門括約筋の収縮低下:神経因性膀胱
・Douglas窩の圧痛、硬結:子宮内膜症など
・前立腺:大きさ、硬さ、表面、圧痛の有無から前立腺肥大症、前立腺癌、前立腺炎などを鑑別
  前立腺に圧痛がある場合は前立腺炎を疑う
  ※前立腺マッサージは敗血症のリスクあり禁忌!

(投稿者 結城)

2016-10-06

下血のファイブ・ルール

下血時には
  • 5 cc     ⇒ 便潜血陽性
  • 50 cc   ⇒ 血便
  • 500 cc ⇒ 鮮血
もちろん目安にすぎませんが・・・

(投稿者 川崎)

2016-10-05

JCS 0 は一桁に含まれるか否か

JCS 0 は一桁に含まれるか否かであるが、一桁に含む場合もあれば含まない場合もある、とういうのが今のところ正しいと思われる。

脳卒中ガイドライン2009には一桁に0は含んでいない。その他多数のサイトやYearNoteでは一桁に0を含んでいる。
ガイドラインをevidenceレベルが高いとするのが自然なような気もするが、このガイドラインの表の引用元は”急性期意識障害の新しいgradingとその表現法.(いわゆる3-3-9度方式) 第3回脳卒中の外科研究会講演集 1975;pp61-69”であり、evidenceレベルは定かではない。
また、ガイドラインに0は一桁に含まないと明記されているわけでもない。

よって、”わからない”が得られた答えです。

(投稿者 湯浅)

高感度トロポニンTの正常値

高感度トロポニンTの基準値は2つある
  • 0.014ng/ml未満 ⇒ 健常人の99パーセンタイル値から設定
  • 0.1ng/ml未満 ⇒ 心筋梗塞を疑うときの基準
ERで使用するときは原則0.1ng/mlをカットオフとして考えればいい

 注意点 
心筋梗塞時でも発症1-2時間以内では高感度トロポニンTが偽陰性になることがある
基本的な考え方は0.014 ng/mL未満なら心筋梗塞を除外,0.1 ng/mL以上なら確定
0.014 ng/mL~0.1 ng/mLなら他の所見(心電図や症状など)で判断あるいは少し後にトロポニンT再検

 おまけ 
トロップT(トロポニンTの定性)のカットオフは0.1ng/ml

(投稿者 川崎) 

2016-10-04

意識障害の鑑別

Alcohol(アルコール)
Insulin(低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖性高浸透圧性非ケトン性症候群)
Uremia(尿毒症)
Encephalopathy(肝性脳症、脳炎)/Endocrinopathy(内分泌異常)/Electrolytes(電解質異常)
Opiate(麻薬)/Over dose(薬物中毒)/O2(低酸素)
Trauma(脳挫傷、急性・慢性硬膜外血腫)/Tumor(脳腫瘍)/Temperature(低体温、悪性症候群)
Infection(脳炎、髄膜炎、脳膿瘍、肺血症、呼吸器感染症)
Psychiatric(精神疾患)/Porphiria(ポルフィリア)
Syncope(失神)/Seisure(てんかん)/Stroke(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)

(投稿者 松井)

細菌性髄膜炎 Q and A

CQ1:腰椎穿刺が先か 抗菌薬が先か?
Ans:抗菌薬が先 来院から1時間以内の投与を目指す。ただし、腰椎穿刺が後になる場合は、病原菌診断率を上げるために血培は取らなければならない!

CQ2:腰椎穿刺前に頭部CT取っておく?
Ans:ルーチンには不要。リスクが有る患者にのみ撮る

CQ3:髄液所見で細菌性を鑑別できるの?
Ans:確定的所見はあるが、除外はできない 

 CQ4:どのような患者でre-tapを考えるか?
Ans:臨床経過の改善が乏しい場合や耐性菌、GNRの髄膜炎

CQ5:同時にヘルペス脳炎カバーする?
Ans:脳炎特異的所見を意識する。あればカバーを考慮。

(JHospitalist Network 2016/07/30更新 clinical questionより)
(投稿者 安田)

2016-10-03

PTTM

肺腫瘍源性塞栓性微小血管症
Pulmonary Tumor Thrombotic Microangiopathy

微小肺動脈の腫瘍塞栓による進行性の致死性疾患
担癌症例で過凝固状態に付随した急性呼吸不全を認めた場合に疑う

連続2,215例の剖検で30症例(1.4%)がPTTMと診断されている
部位は胃癌が最多(60%)で,タイプは腺癌が最多(93%)
(Uruga H, et al. Pulmonary tumor thrombotic microangiopathy: a clinical analysisof 30 autopsy cases. Intern Med. 2013;52:1317-23)

(投稿者 川崎)

サラセミア thalassemia

hemoglobinを構成するポリペプチド鎖の合成が抑制された疾患。
血液検査では、小球性低色素性貧血、標的赤血球の出現を認める。
(第100回医師国家試験の問題F36より末梢血塗抹May-Giemsa染色標本)

(投稿者 八代)

2016-10-02

肺炎球菌 (Pneumococcus)


肺炎や敗血症,髄膜炎などを生じる強毒菌
乳幼児などでは鼻腔や咽頭に常在している
成人肺炎の起炎菌としては最多の細菌
肺炎時は喀痰が鉄錆色になることで有名

グラム染色の所見
  • グラム陽性球菌
  • 2個ずつペアになる双球菌
  • 表面の莢膜のため周囲が抜けて見える

 トリビア 
正式な名称は肺炎レンサ球菌 (Streptococcus pneumoniae).以前はそのグラム染色像から肺炎双球菌 (Diplococcus pneumoniae) と呼ばれていた.

(投稿者 川崎)

2016-10-01

末梢サイン peripheral sign

感染性心内膜炎で認める皮膚所見のこと
  • オスラー結節 Osler's node ⇒ 有痛性の結節
  • ジェインウェイ病変 Janeway lesion ⇒ 無痛性で平坦な紅斑

(投稿者 川崎)