🎯 今週の一枚

認知症が疑われる男性の頭部CT（単純）

😺 前頭葉萎縮＋透明中隔腔

• 前頭葉の萎縮が認知症と関連することはよく知られている ➜ 特に前頭側頭型認知症は前頭葉が主に萎縮してくる
• 透明中隔腔（Cavum septi pellucidi: CSP）は両側脳室の正中壁の2葉間に存在する腔で第5脳室とも呼ばれている．
• 透明中隔の後方に存在して背側に広がる場合はベルガ腔（Cavum Vergae: CV）と呼ばれ，別名は第6脳室（下図参照）
• CSPとCVは発生学的には胎生3ヵ月ごろにスリット状に形成され，CSPは生後3ヵ月で，CVは在胎40週で多くは消滅する
• 発生頻度は在胎34週まで100％，満期産児36％，1歳10％，2〜5歳5〜6％，6〜9歳2.7％，10〜14歳2.3％，成人1.0％
• CSPやCVは基本的に無症状で病的な意義はなく治療は不要だが，稀にモンロー孔の通過障害などで頭痛の原因になる

参考）脳外誌 1998;7:776-80，ほか

Cave of septum pellucidum (Wiki)

🐹 小ネタ＋ちょっと反省

• 透明中隔腔をGoogle検索中に関連語としてボクシングがでてきました．なぜだろうと調べていくと納得の関連に辿り着きました．日本プロボクシング連盟は選手に頭部MRIを義務づけCSPなどがあるとプロライセンスを発行しないようです（※）．
• 以前はベルガ腔（CV）の別名が透明中隔腔（CSP）と勘違いしていました（過去の投稿）．3度房室ブロックと高度房室ブロック（コチラ）や心膜横洞と心膜斜洞（コチラ）などややこしいですが，我々はプロなので間違うわけにはいきません．

🎯「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ（ウェブ版なら画面右の分類からも選択可）

（投稿者　川崎）