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2021-11-17

妊娠中の放射線被曝:胎児への影響

🚑 先日,妊婦さんの腹痛に対して最終的に単純CTで虫垂炎と診断し緊急手術を行いました

👶 推奨されている患者さんへの説明
  1. 受精後10日までの被曝では奇形発生率の上昇はない
  2. 受精後11日~妊娠10週での胎児被曝は奇形を誘発する可能性があるが,50mGy未満では奇形発生率を上昇させない
  3. 妊娠9~26週では中枢神経障害を起こす可能性があるが,100mGy 未満では影響しない


検査別の胎児被曝線量(オリジナルは英国データ

🐥 追加コメント
  • 受精後14日を過ぎた妊娠4~10週になると器官形成期であり100mGy(閾値)以上の被曝を受けた場合は奇形発生率は上昇するとの報告がある.一方,100~500mGyの被曝でも奇形発生率は上昇しないとする報告もある.ICRP84 は「妊娠のどの時期であっても100mGy 未満の胎児被曝線量は妊娠中絶の理由と考えるべきではない」としている.
  • 妊娠9~16週の胎児中枢神経系は細胞分裂が旺盛で,被曝は精神発育遅滞の頻度を上昇させる可能性がある.妊娠17~26週では中枢神経系の放射線感受性は低下するが影響は多少残る.妊娠9週未満および妊娠27週以降の被曝は,中枢神経系に悪影響を与えない.妊娠のいずれの時期でも100mGy以下の低い線量被曝による IQ 低下は確認されていない


💁 被曝に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

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