このブログを検索

2022-12-20

マイヤーズカクテル Myers' cocktail

  • ビタミンB群,ビタミンC,カルシウム,マグネシウムの点滴
  • 命名は点滴を実施していたボルチモアの医師 John A. Myers
  • レシピは Myersの死後に医師 Alan Gaby が公開(下枠参照)
  • にんにく注射とも呼ばれ一部で5000円前後で施行されている
  • 医学的エビデンスには乏しく米国のQuackwatchに含まれる

Gaby AR. Intravenous nutrient therapy: the "Myers' cocktail". Altern Med Rev. 2002;7:389-403のAbstract(DeepL翻訳
  • 故ジョン・マイヤーズ医学博士の研究を基に、著者はビタミンとミネラルの点滴療法を幅広い臨床症状の治療に用いてきた。マグネシウム、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCからなる改良型「マイヤーズカクテル」は、急性喘息発作、片頭痛、疲労(慢性疲労症候群を含む)、線維筋痛症、急性筋痙攣、上気道感染、慢性副鼻腔炎、季節性アレルギー性鼻炎、心臓血管疾患、その他の疾患に有効であることがわかってきた。この論文では、静脈内栄養剤の治療的使用の根拠を示し、関連する発表された臨床研究をレビューし、著者の臨床経験を述べ、潜在的な副作用と注意事項を論じている。

(投稿者 川崎)

2022-12-19

モンドール病 Mondor’s disease

  • 概要:体表に触知可能な紐状の硬結構造物を呈するかなり稀な良性の血栓性静脈炎
  • 初報:仏外科医 Mondor(Mémoires de l'académie de chirurgie 1939; 65: 1271-1278)
  • 症状:索状の触知可能な硬結(稀に痛み,こわばり,紅斑,発熱,不快感などを伴う)
  • 診断:身体検査(+血管エコー)/ただし他の基礎疾患に関連した二次性は除外必要
  • 原因:特発性45%,外傷性22%(きついブラジャーを含),医原性20%,乳がん5%
  • 部位:前外側胸腹部壁(オリジナル),陰茎,および腋窩(別名は腋窩ウェブ症候群)
  • 疫学:病変は主に片側性で,女性と男性の比率は9:1〜14:1と女性に多い(特に中年)
  • 経過:原発性は治療不要で4~8週間で自然治癒し再発は稀(二次性は基礎疾患による)

参考)Intern Med 2018;57:2607–12,ほか

胸壁モンドール病(52歳・男性)
胸痛と柵状構造物の触知で来院.右上肢の挙上時に出現(図1)して,上肢を降ろすと消失(図2)が特徴的.(Intern Med 2019;58:3349) 

陰茎モンドール病(28歳・男性)
1週間前に妻と激しいセックス.性的禁欲だけで2週間以内に病変は解消し2年間の追跡期間中,再発も勃起不全も観察されず.(Intern Med 2018;57:2607–12

腋窩モンドール(腋窩ウェブ症候群)(32歳・男性)
疼痛で来院して腋窩の柵状構造物とエコー所見から診断.無治療で4週間以内に改善.(Intern Med 2019;58:1805

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-12-18

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

肥大型心筋症の心内膜下虚血
肥大型心筋症の心内膜下虚血に関連する事項
Kawasaki T & Sugihara H : J Cardiol ;63:89-94 ; 2014



(投稿者 杉原)

2022-12-17

「OP/CEPはありません」

👿 臨床現場
  • 先日,胸部CTの診断欄に「OP/CEPを示唆する所見はありません」と記載されていました.

CEP(chronic eosinophilic pneumonia)=慢性好酸球性肺炎
  • 特徴:女性,40代発症,アトピー素因,2週~4カ月程度の症状先行,非喫煙者など
  • 確定:BALで好酸球≧25%以上,血中好酸球の上昇,肺生検で好酸球性肺炎の証明

OP(organizing pneumonia)=器質化肺炎
  • 特徴:性差なく50~60代で発症し喫煙との関連は否定的(以前はBOOPと呼称)
  • 誘引:気道感染症,薬剤,膠原病,悪性疾患,放射線療法などが報告されている

👾 独り言
  • OPとCEPはともにCTで散在性かつ非区域性に多発する気管支血管束周囲や胸膜直下へのすりガラス状陰影を認めます.
  • 高分解能CTを用いても画像だけでは両者の鑑別が難しので,OP/CEPとひとまとまりとして記載されているようです.

(投稿者 川崎)

2022-12-16

コタール症候群 Cotard's syndrome

  • 先日,興味深い症例報告(Case 34-2022, NEJM)を読んだので簡単ですがまとめておきます.特筆すべきは,その主訴です:When she was asked to elaborate on her concerns, she stated, “He is dead. I am dead.

コタール症候群(Cotard's syndrome)
  • 妄想的信念を抱く精神障害のひとつで「迫害妄想病」と異なる「否定妄想病」を抱く
  • 具体的には自分自身が既に死亡している,腐敗している,内臓を失っていると訴える
  • フランスの精神科医である Jules Cotard(1840–1889)が1880年に提唱した(引用
  •  3つの時期:発芽期(症状出現),開花期(症候群の完全発達と否定妄想),慢性期
  • 治療は抗うつ薬,抗精神病薬,気分安定薬など(うつ病患者では電気けいれん療法)

(投稿者 川崎)

2022-12-15

🎯 今週の一枚

呼吸困難感でERに搬入された症例の動脈血ガス分析
(10Lリザーバーマスク,呼吸数は30回/分,会話不能)

【問題】アシドーシスの原因は?




判定



(投稿者 川崎)

2022-12-14

”tophi”とは...😯

  • 先日,主訴の英語”tophi”が分からなかったので…反省を込めて😅

  • 痛風結節を意味するtophus (ラテン語で石の意味)の複数形
  • その発音は tóufài(トウファイ),実際の音声は コチラ


💁 痛風に関する過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-13

日本内科学会 第238回近畿地方会より

😐 個人的に気になった報告

演題38 経口避妊薬が原因と考えられた急性膵炎の1例
  • 入院時の血液検査にてTGが4633 mg/dlと高値であった。その原因として患者が服薬していた経口避妊薬であるドロスピレノン・エチニルエストラジオールが疑われた。

演題52 Sick dayに家族がSGLT2阻害薬を内服させ、正常血糖ケトーシスを発症した1例
  • 本症例では高度な慢性便秘により食事摂取量が低下している状況下(+認知症)でSGLT2阻害薬を内服したことにより正常血糖ケトーシスを発症したと考えられた。

演題146 発熱患者における血液ガスを用いた入院判断
  • Lac<2 , pO2<65 , 3.3<K<4.4 の3条件のうち、ひとつでも満たさない患者は入院と判断されており、感度90%、特異度83%であった。

演題181 左房拡張障害を呈した食道裂孔ヘルニアの1例
  • 食道裂孔ヘルニアによる左房拡張障害が肺動脈圧の上昇に寄与し、結果として心不全症状を来したと考えられた。

演題195 バイアスを意識し診断し得た憩室出血、真性多血症の1例
  • 認知要因は「また同じ憩室出血だろう」という利用可能性バイアス,血小板増多を精査しなかった検索に対する満足,血小板増多がAvWSを合併しうることを知らないという医療情報不足と考えられた.


👻 当院からの発表
  • 演題56 メトホルミン内服中に腎後性腎不全による乳酸アシドーシスを来した1例(糖尿病・内分泌内科 堀内萌生先生)
  • 演題62 アルコール性ケトアシドーシスを契機に発見された緩徐進行1型糖尿病の症例(糖尿病・内分泌内科 山本慎大先生)
  • 演題207 非髄膜炎菌性Waterhouse-Friderichsen症候群疑いの1例(総合診療科 間瀬泰我先生)

😇 みんなの発表とてもナイスだったそうです(今回は循環器地方会と同日のため参加できず)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-12-12

第134回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
A-8 MINOCA による心室中隔穿孔だったことが剖検で確認できた一例
  • MINOCA=Myocardial Infarction With Nonobstructive Coronary Arteries.剖検では,穿孔部位を支配する心外膜冠動脈に閉塞は認めず,微小血管へのヘモジデリン沈着と周囲の繊維化を認めたことから,微小血管閉塞による心筋梗塞の確定診断に至った.

G-36 特発性左房解離の一例
  • 経食道心エコー図にて P2 flail に伴う重 症 MR,さらに左心耳入口部下縁に接して中隔側左 房壁に幅約2cmの膜状構造物を認めた。同構造物と 左房壁との間隙は無エコー域で心室心周期に一致す る可動性を認め左房解離と診断した。

H-28 診断に苦慮した Valsalva 洞破裂の一例
  • Valsalva 洞破裂は通常連続性雑音を呈するとされている。今回,頻脈もあったため汎収縮期雑音と誤認したが心音図では拡張期雑音であり,その後の精査で Valsalva 洞破裂と 診断した。

H-35 急性心筋梗塞治療後のフォローアップ中に Dressler 症候群を疑う心膜炎を発症した一例
  • 経胸壁心臓超音波検査で心嚢水は極少量であったものの,造影 CT で造影効果を伴う心膜肥厚を認め,心筋梗塞後急性心膜炎の疑いで緊急入院となった。

J-29 ペースメーカ感染を起こし局所麻酔下で経皮的リード抜去術を行いリードレスペースメーカ植込術を行った1例
  • 全身麻酔は高リスクであったものの開胸術後であり心タンポナーデのリスクは低いと判断し,局所麻酔下で経皮的リード抜去術を施行した。高齢であり菌血症にも至っていなかったため一期的にリードレスペースメーカ植え込みを施行した。


👻 当院からの発表
  • F-17 甲状腺機能亢進症の治療のみで軽快した肺高血圧症の1例(循環器内科 熊田早紀子ほか)
  • I-5 急性心筋梗塞を発症したWellens症候群の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • I-25 心雑音を契機に発見された未破裂右バルサルバ洞動脈瘤の1例(循環器内科 野口理希ほか)
  • 特別セッション3 Physical Examinationを学ぶ『聴診で分かること』(循環器内科 川﨑達也)

症例報告の3演題中2演題は英語論文として報告済み(残る1例も準備中です)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-12-11

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

肥大型心筋症における運動負荷FDG
肥大型心筋症の運動負荷直後FDG投与イメージング
Yamano M et al : Heart ;95:1051 ; 2009



(投稿者 杉原)