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2024-03-26

脾摘&ニューモバックス®NPシリンジ

  • 脾摘後重症感染症(overwhelming postsplenectomy infection, OPSI)予防が重要
  • OPSIではS. pneumoniaeなどの感染症罹患で数時間〜数日で50~75%が死亡しうる
  • 本邦で脾摘後の保険適用はPPSV23(ニューモバックス)のみ(プレベナー13なし)
  • 予定脾摘なら摘出2週前,緊急脾摘なら摘出2週以降にPPSV23(以後は共に5年毎)

💉 ニューモバックス®の効能又は効果(添付文書)

2歳以上で肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険が高い次のような個人及び患者

  • 脾摘患者における肺炎球菌による感染症の発症予防
  • 肺炎球菌による感染症の予防
    1. 鎌状赤血球疾患、あるいはその他の原因で脾機能不全である患者
    2. 心・呼吸器の慢性疾患、腎不全、肝機能障害、糖尿病、慢性髄液漏等の基礎疾患のある患者
    3. 高齢者
    4. 免疫抑制作用を有する治療が予定されている者で治療開始まで少なくとも14日以上の余裕のある患者

💁 脾摘に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2019-06-18

脾摘後重症感染症 OPSI

  • OPSI=Overwhelming Postsplenectomy Infection
  • 脾摘の原因は外傷が多く原因は肺炎球菌が最多


🐧 アドバイス
  • 一見免疫不全ではないのに重症感染症を生じた症例では腹部手術創の有無を確認
  • 外傷は病気ではないと考えて問診時に自己申告しない患者さんが少なくないようです

関連投稿 💨

(投稿者 堀田/川崎)

2017-05-01

侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)

定義:
Streptococcus pneumoniae による侵襲性感染症として、本菌が髄液又は血液などの無菌部位から検出された感染症とする。
→7日以内の届出義務あり。

DICになり急性感染性電撃性紫斑病に陥るケースもあり注意が必要。
DICになった場合は適切なDIC加療が必要です。

成人のリスクfactor:DM、脾摘後、免疫不全、心疾患、肝疾患、腎疾患、悪性腫瘍術後など

高リスク者には積極的に肺炎球菌vaccine接種を。vaccineによるIPDのカバー率は85%。

(投稿者 國枝)

2017-07-05

忘れてはいけない劇症型の感染症

  1. 脾摘後の肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)による敗血症 ⇒ 侵襲性肺炎球菌感染症
  2. A群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)による壊死性筋膜炎 ⇒ 人食いバクテリア
(投稿者 川崎)

2018-04-29

オーストリアン症候群 Austrian Syndrome 

肺炎球菌(Pneumococcus/Streptococcus pneumoniae)による肺炎・髄膜炎・心内膜炎を同時に呈する病態
米国の感染内科医Robert Austrian (1916–2007)が初めて報告した(AMA Arch Intern Med 1957;99:539-44)
  • 背景 中年男性,多量飲酒,肝機能障害,薬物乱用,脾摘後などに多い
  • 予後 死亡率17.7%,重篤な後遺症23.8%,外科的治療(弁置換)60%

😎 Austrianって言うけど人名であってオーストリア(Austria)とは関係ないみたい

参考文献) 神経治療学 2017;33:550-4

(投稿者 川崎)

2019-04-13

でんたん+脾破裂



  • 脾破裂の原因は外傷以外にも,マラリアや伝単,悪性リンパ腫・白血病,腸チフスなど多岐にわたる
  • 伝単での脾破裂は非常に稀な合併症で頻度は0.1-0.5%と報告(Yale J Biol Med 1997;70:175-82)

伝単による脾破裂の原因は不明であるが,単核球の浸潤で脾臓の被膜と脾索の繊維筋性構造が菲薄化するためという説がある.脾破裂の治療としては原因を問わず脾摘術が一般的である.しかし血行動態が安定している症例に対しは近年,脾動脈塞栓術による治療が選択される機会が増加している(ようです).いずれにしても肝脾腫が生じ得る伝単では腹部への衝撃による脾破裂を回避するため,運動を控えて安静を保ちたい.

👻 脾臓関連の投稿
  1. 脾臓 SANT
  2. Evans症候群
  3. Felty症候群
  4. 腹腔動脈瘤 Celiac Arterial Aneurysms

(投稿者 川崎)

2022-11-02

論文 🏆 if you miss the goiter…😱

  • 当院の初期研修医 熊田先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • 労作時の息切れで受診 ➜ 心エコー図で肺高血圧(推定収縮期圧50 mmHg)
  • 頻脈はないが甲状腺の軽度びまん性腫脹あり ➜ 最終的にバセドウ病と診断
  • 心肺疾患や血栓症なし ➜ 肺高血圧症のダナポイント分類第1群または第5群
  • 本例は甲状腺治療のみで肺動脈収縮期圧は経時的に低下して最終的に正常化


😀 臨床現場
  • 肺高血圧のガイドラインには第5群として①血液疾患(慢性溶血性貧血,骨髄増殖性疾患,脾摘出),②全身性疾患(サルコイドーシス,肺組織球増殖症,リンパ脈管筋腫症),③代謝性疾患(糖原病,ゴーシェ病,甲状腺疾患),④その他(腫瘍塞栓,線維性縦隔炎,慢性腎不全,区域性肺高血圧)の4つが記載されています.
  • 本例では「甲状腺疾患をたまたま合併した第1群肺高血圧」(共に若い女性に多い)と「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」が考えられました.甲状腺の治療と並行して,肺高血圧の特異的薬物治療(プロスタサイクリン経路・エンドセリン受容体拮抗薬・一酸化窒素経路)の導入の要否を判断する必要があります.
  • 本例では(患者さんと協議の上)甲状腺治療のみを開始しました.肺高血圧が特異的薬物治療なく消失したため,「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」と考えられました.肺高血圧と甲状腺疾患が合併した場合,17症例中16例で甲状腺治療のみで肺高血圧が正常化したという(すごい😮)報告があります(Angiology 2006;57:600-6).

🎉「論文」の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

※ 心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2017-03-13

2016年度 基本的臨床能力評価試験の復習 1/4

「症候群・臨床推論」の問題1~問題25
  1. ランダム化試験では患者背景の偏りを判定する検定は不要.検定を行っても偶然の誤差の程度を確認するに過ぎない.
  2. 担癌患者で筋力低下,痺れ,深部腱反射の消失が見られたら,転移性脊髄圧迫症候群を考慮して全脊椎の造影MRIを行う.
  3. 亜急性甲状腺炎が否定できない症例では抗甲状腺薬の投与は見合わせる.TSHレセプター抗体でバセドウ病が確定されるまではNSAIDsで対応する.
  4. 妊婦には葉酸サプリメントは勧められるが,脂溶性ビタミンは推奨されない.いずれも胎児の神経管閉鎖障害と関連するため.
  5. 学校保健法で出席停止期間が定められている疾患は,インフルエンザ・百日咳・麻疹・流行性耳下腺炎・風疹・水痘・咽頭結膜炎.
  6. クリニカルシナリオ1の急性左心不全(つまり収縮期血圧が140mmHg以上)では,降圧+酸素投与が最優先である.必要に応じて非侵襲的陽圧換気を考慮するが,利尿薬は多くの場合不要である.
  7. 脾摘症例では,脾臓摘出後重症感染症の予防のため肺炎球菌ワクチンを接種する(生涯にわたって5年毎).
  8. 児童虐待が疑われる症例では,福祉事務所あるいは児童相談所に通告する(警察への通報ではない).事実確認や保護者の了承は不要で,通告しても守秘義務違反に当たらない.
  9. 急性閉塞隅角緑内障の典型的例は,片側の重度眼痛,頭痛,嘔気,光周囲のハロー,結膜充血,対光反射遅延あるいは消失,角膜混濁,散瞳を伴う.眼科医への緊急コンサルトが必要.

(投稿者 川崎)

2017-11-10

フェルティ症候群 Felty's Syndrome

関節リウマチ,脾腫,白血球減少(好中球<1500/mm3必須)を三徴とする病態
名称は米国の医師フェルティ(1895-1964)による5例の報告に由来している
(Bulletin of the Johns Hopkins Hospital. Baltimore. 1924;35:16-20)

  • 頻度 関節リウマチの1-3%,50歳以上・女性に多い,人口1万人あたり約1人
  • 症状 上記の三徴+貧血・易感染性・多発性単神経炎・下腿潰瘍・血管炎など
  • 原因 ヒト白血球抗原HLA DR4の関与?(好中球の活性化とアポトーシスなど)
  • 鑑別 シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデス,リンパ球造血系悪性疾患など
  • 治療 抗関節リウマチ薬(メトトレキセート含)+分子標的治療薬・G-CSF・脾摘(稀)など
  • 予後 健常人より低下するが関節リウマチ症例と差はない.最大の死因は感染症


(投稿者 川崎)

2018-11-20

BRTO (ビーアールティーオー)

BRTO=balloon occluded retrograde transfemoral obliteration=バルーン閉塞下逆流性静脈瘤塞栓療法
  • 胃静脈瘤による出血リスクの低減や肝性脳症の改善目的で行われる治療
  • バルーンと様々な血管を塞栓する物質を用い胃静脈瘤の血流を遮断する
  • 具体的には左腎静脈を経由して短胃静脈や左胃静脈などに硬化薬を注入


他の治療法
  • 内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS: Endoscopic injection sclerotherapy)➜ 静脈瘤の血管内に硬化剤を注入
  • 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL: Endoscopic variceal ligation)➜ 静脈瘤自体を小さな輪ゴムで止め血流遮断
  • 出血例に対してヒストアクリル硬化療法,胃腎シャントのない胃静脈瘤に対して手術・TIPS・PSE・脾摘など(参照)

(投稿者 川崎)

2017-07-04

Evans症候群

エヴァンス症候群=自己免疫性溶血性貧血(AIHA)+特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
その頻度はAIHAまたはITP症例の0.8%~3.7%(Br J Haematol 2005;132:125-137)

AIHA=autoimmune hemolytic anemia ⇒ 難病センターのページ AIHA
  • 原因 赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体
  • 誘引 感染,免疫不全,薬剤,腫瘍,寒冷曝露など
  • 症状 溶血性貧血,発熱,黄疸,レイノー現象,腹痛など
  • 治療 副腎皮質ステロイド薬,摘脾,免疫抑制薬

ITP=idiopathic thrombocytopenic purpura ⇒ 難病センターのページ ITP
  • 原因 血小板膜蛋白に対する自己抗体の発現
  • 誘引 成人では不明が多い,小児ではウイルス感染や予防接種
  • 症状 無症状~歯肉出血,鼻出血,下血,血尿など
  • 治療 ピロリの除菌+副腎皮質ステロイド,脾摘など

(投稿者 川崎)

2020-09-01

特発性門脈圧亢進症 IPH: idiopathic portal hypertension


  • 病態 肝内末梢門脈枝の閉塞あるいは狭窄により門脈圧亢進症に至る症候群
  • 疫学 本邦で約1000人/男女比は約1:3/平均年齢47歳(男39歳・女50歳)
  • 症状 腹水,脾腫,易出血性,食道・胃静脈瘤,肝性脳症,吐血・下血など
  • 原因 不明(肝内末梢門脈血栓,脾原性,自己免疫異常・T細胞関連など?)
  • 治療 根治的な治療法はない(静脈瘤の内視鏡的治療や脾摘などの対症療法)
  • 予後 5年と10年の累積生存率は80~90%と良好(肝硬変や肝細胞癌は稀)


🉐 関連投稿(肝臓編)

(投稿者 川崎)