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2026-01-14

Erbの謎:Revisited

😐 独り言
  • 以前に心臓フィジカル広場にアップした内容ですが(ココ),本ページには投稿されていなったようです.本ページにも関連する内容なのでアップしておきます.
  • 下記のErbの謎:循環器用語集にErb's disease=エルブ病とErb's dystrophy=エルブ・ジストロフィが収載されています.Erb's pointもエルプよりエルブがいいかも…

  • 息切れで来院した中年女性の胸部(第2肋間胸骨左縁に付箋)
  • 抬起性の傍胸骨拍動やⅡ音肺動脈成分の亢進+往復雑音あり


🐥 解説
  • 黄色付箋が周期的に拍動(隆起)している(左右の動画は同時相)
  • 隆起は2LSB〜Erb領域に限局し時相は収縮期 ➜ 肺動脈拍動の疑い
  • 聴診+触診でⅡ音の時相で僅かな振動 ➜ Ⅱ音肺動脈成分の触知
  • 本例の最終的な診断は心房中隔欠損症肺高血圧症+肺動脈拡大

👶 Erbの謎
  • Erb's point (cardiology)は第3肋間胸骨左縁付近でⅡ音が最も聴取しやすい場所として知られています.ドイツの神経内科医 Wilhelm Heinrich Erb (1840–1921)に由来しますが,彼は頸神経叢の皮枝が頸筋膜浅葉を貫通して胸鎖乳突筋の後縁から表層に出現する部位Erb's point (neurology)としての方が有名
  • 意外なことにErb自身の出版物としてErb's point (cardiology)に関する記載はないようです.しかし1890年代にErb自身がドイツのハイデルベルグで行った講義でErb's point (cardiology)について説明し,それ耳にした米国の医師の記録が最近発見されました(Dtsch Med Wochenschr 2018;143:1852-7
  • Erbと書いてエルと発音すると長年信じてきました(ただしエル派も少なくありません).循環器用語集には未登録で,Google Scholarでも同数(エル領域+心臓は4件,エル領域+心臓も4件).米国や英国の発音はアープスと聞こえるし,母国ドイツ人の発音は多様です.是非 ココ で確認してみて下さい.

(投稿者 川崎)

2025-11-22

胸郭出口症候群 Thoracic outlet syndrome: TOS

  • 腕神経叢と鎖骨下動静脈が胸郭出口付近で圧迫されて生じる病態の総称
  • 頚肋や鎖骨,第一肋骨,前斜角筋,中斜角筋,小胸筋などで圧迫・牽引
  • 神経性,動脈性,静脈性に分類され,その頻度は神経性が圧倒的に多い
  • 神経性なら痛みや脱力,知覚異常、静脈性は腫れ,動脈性は冷感・疼痛
  • 原因は外傷や反復的な腕の動き,腫瘍,妊娠,頸肋などの解剖学的変異
  • 治療はNSIADs,頸肋切除,第一肋骨切除,斜角筋切離,血行再建術ほか
  • 明確な診断基準はなし(画像診断や神経伝導検査、症状を誘発する負荷)


鎖骨骨折後の血栓閉塞による胸郭出口症候群の59歳男性

(投稿者 川崎)

2024-01-24

大腸メラノーシス Melanosis coli

  • 概要 大腸粘膜が褐色から黒色調を呈す状態(同病態は食道や十二指腸もあり)
  • 機序 粘膜固有層内に色素顆粒(リポフスチン)を含むマクロファージが集積
  • 原因 センナ,大黄,アロエなどアントラキノン系大腸刺激性下剤の長期内服
  • 頻度 中国で大腸ファイバーを行った342,922例中1.78%(PeerJ 2018:6:e4483
  • 症状 重篤な症状を呈することは稀(下剤による筋層間神経叢のダメージは有)
  • 経過 メラノーシスの変化は可逆性であるため当該薬の服用の中止で改善する
  • 報告 発見は1829年のCruveilhierらで,その後に剖検で確認したVirchowが命名


7年間下剤センナを使用していた高齢男性

💁 大腸に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-03-12

腕神経叢損傷 Brachial plexus injury

  • 概要:外傷に伴う腕神経叢(そう)の損傷(別名は神経根引き抜き損傷や腕神経叢麻痺)
  • 原因:腕神経叢(第5~第8頚神経と第1胸神経で構成)の引き抜き,引き伸ばし,断裂
  • 実例:バイク走行やスポーツ中の転倒,機械へ腕の巻き込み,骨盤位分娩や肩難産の乳児
  • 診断:X線,頚部~鎖骨MRI,電気生理学的検査,身体所見(引き抜きならホルネル徴候
  • 分類:上位型(肩周囲の障害),下位型(前腕~手指の障害),全型(上肢全体に及ぶ)
  • 症状:上肢しびれ~肩挙上や肘屈曲不可,手指麻痺(腕神経叢の損傷部位により異なる)
  • 治療:再建可能なら神経移植術,困難なら肋間神経や副神経の移行術や多数筋移行術など
  • 予後:経時的に軽快~全く回復しないものまで多様(急性期の早急な診断と対応が重要)


A,引き伸ばし;B,後神経節病変(断裂);C,神経節病変(引き抜き)

💁 神経叢に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-02-19

マン・イン・ア・バレル症候群 Man in a Barrel Syndrome: MIBS

  • 顔面・首・両下肢の強度が保たれている状態で,両側の上腕両麻痺を特徴とする病態
  • 命名はまるで樽(barrel)の中に閉じ込められたように見えるため(aがtheでもOK)
  • 脳卒中,腫瘍,外傷,自己免疫,炎症による脳幹,頸髄,腕神経叢,末梢神経の損傷
  • 予後は虚血性損傷の程度によって異なる(例:脳卒中後のMIBS例は生存率が10%未満)

筋萎縮性側索硬化症によるMIBSと頭垂れ症を生じた56歳男性

(投稿者 川崎)

2021-06-09

モーリー・テスト Morley test

  • 胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome; TOS=胸郭出口付近で鎖骨や第一肋骨,前斜角筋などに腕神経叢と鎖骨下動脈,鎖骨下静脈が圧迫されて生じる病態)を診断する方法の一つ.
  • 鎖骨上窩の腕神経叢を指で圧迫して圧痛が生じれば陽性と判断.なお頚肋(頸肋,けいろく=第7頸椎の横突起の異常発育)は胸郭出口症候群の原因の一つである.
  • 名称の由来は(おそらく)イギリスの外科医 John Morley(Brachial plexus neuritis due to a normal first thoracic rib : its diagnosis and treatment by excision of rib. Clin J 1913;13:461-3).

胸郭出口症候群の検査法まとめ/TOSの診断をまとめた秀逸動画)

💁 整形外科に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可)
(投稿者 川崎)

2020-10-20

パンコースト腫瘍 Pancoast tumor

  • 肺尖部に生じた腫瘍(特徴的な症状を伴う場合はパンコースト症候群と呼ぶ)
  • 由来は米国放射線科医 Pancoast HK による症例報告(JAMA 1927:83:1407-11
  • パンコースト症候群の原因の多くは原発性肺癌で,肺癌全体の1~2%を占める
  • 圧倒的に男性・喫煙者に多く,肺癌なら腺癌,大細胞癌の順で過半数がIV期
  • 同症候群の症状は前胸部,背部痛,肩痛,上肢のしびれ,筋萎縮など(高率)
  • 同側ホルネル症候群(縮瞳・眼瞼下垂・眼球陥凹)と嗄声が約1/4に出現する


🍗 おまけ
  • パンコースト腫瘍は腕神経叢や下頸部交感神経節に浸潤するため,多彩な整形外科的症状を呈します.よって初めに受診する科は内科ではなくで整形外科が多いため注意が必要です.
  • ホルネル症候群の発症機序は交感神経遠心路の障害で,ワレンベルグ症候群や外傷,リンパ節腫大・動脈瘤・甲状腺腫大による圧迫などでも生じます.症状は上記の3徴以外に顔面の発汗低下や紅潮などがあります.

🍖「肺癌」に関する過去の投稿は コチラ(ページトップにある検索窓からも調べられます)

(投稿者 川崎)

2017-03-13

胸郭出口症候群の稀でない原因


胎生期の下位頚椎から出ている肋骨の遺残である.鎖骨下動脈および腕神経叢の第8頚神経や第1胸神経を圧迫して上肢への血流障害や神経障害(=胸郭出口症候群)を生じることがある.
(投稿者 川崎)