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2019-04-05

Classical LF-LG AS

  • LF-LG AS=low flow low gradient aortic stenosis=低流量低圧較差の大動脈弁狭窄症
  • Classical LF-LG AS=弁口面積は狭小化+高度の圧較差なし+収縮力が低下したAS
  • 同タイプではドブタミン負荷心エコー図で真(true AS)か偽(pseudo AS)かを判定


  • 上図の石灰化スコアの代わりにProjected EOA(見込まれた有効弁口面積)の計算(回帰直線から推測)も有効


  • 少しややこしいけど 🙍 左室駆出率が保たれているにも関わらず一回拍出量が低下している奇異性の低流量低圧較差AS(Paradoxical LF-LG AS)もあるよ(Eur Heart J 2016;37:2645-57

(投稿者 川崎)

2019-04-04

ブロム中毒

  • 病態 ブロムワレイヒ尿素による急性・慢性中毒
  • 原因 販薬(鎮痛薬や睡眠薬)からの過剰摂取
  • 代謝 基本的に腎代謝で半減期は10-14時間
  • 特徴 高クロール血症とアニオンギャップの低下
  • 症状 精神症状,構語障害,歩行障害など多彩
  • 治療 補液などの対症療法(必要に応じて透析)

当院で経験した症例は頭痛に対して販薬を長期間連用していた.血ガス中のCl値は137 mEq/LでAGは-18(ただし通常の採血検査機器では問題なし).特定の測定機器による不自然なデータに気が付いた検査室のスタッフがブロム中毒の可能性を指摘してくれた(👀 ナイスプレイ).知らないと単なるラボエラーで処理される可能性あり.なんと清涼飲料水コーラで生じたブロム中毒例も報告されている(J Toxicol Clin Toxicol 1997;35:315-20).

参考文献)Nephrol Dial Transplant 2005;20:1767-8Ann Pharmacother. 2001;35:386-7Crit Rev Toxicol 1987;18:189-213

(投稿者 川崎)

2019-04-03

スマートキー vs ペースメーカ

ペースメーカー
👶 携帶電話は15cm離す,Wi-Fiは問題なし,非接触ICカードリーダー(電車など)は12cm離す ⏩ 一読をお薦め(総務省) 

(投稿者 川崎)

2019-04-02

リーデル葉 Riedel's lobe

  • 肝右葉の一部が下方へ舌状に突出した副葉のこと(先端が臍部や骨盤腔内に及ぶことあり)
  • 命名はドイツの外科医 Riedel による7例の報告 (Berl Klin Wochenschr 1888;25:577-84)
  • 頻度は3.3~31%,女性優位?,それ自体に病的意義なし(泌尿器科紀要 2009;55:509-11


🍶 おまけ

肝臓のスピーゲル葉(Spiegel’s lobe)は尾状葉の左側部分(尾状葉の他の部分は尾状突起と下大静脈部).健常者に存在する構造物で,もちろん病的意義はない.名前はベルギーの解剖学者 Spiegel(1578-1625)に由来.彼は植物学者でもあったため植物名に彼の名前が多数残っているそうです.

(投稿者 川崎)

2019-04-01

PORT severity Index: PSI

  • 市中肺炎の重症度判定 😈 PORT=Pneumonia Outcomes Research Team
  • 米国の医師Fineらによって提唱された(N Engl J Med 1997;336:243-50
  • 患者背景や身体所見,検査所見や胸部X線所見など計19項目で重症度を判定


PSIは高齢者においても予後予測精度に優れていることが報告されている(Eur Respir J 1999;14:370-5).しかし測定項目が多く算定も容易でないため,本邦ではの多さなども加わって,本邦ではA-DROPなどを使うことが多い.

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-03-31

AFBN 急性巣状細菌性腎炎

  • Acute Focal Bacterial Nephritisの略で、液状化を伴わない腎実質の腫瘤形成を特徴とする腎実質の局所感染のこと
  • 急性腎盂腎炎と腎膿瘍の中間的な疾患概念で米国の放射線科医Rosenfieldらが提唱(Radiology 1979;132:553-61
  • 尿中白血球や尿培養の所見に乏しく膀胱尿管逆流症の合併や長い治療期間など腎盂腎炎との臨床的差異は小さくない
  • エコーで低輝度(稀に高輝度)+カラードプラで無血管+単純CTで不明瞭+造影CTで辺縁不整な像影不良部位が特徴


関連投稿 💨

(投稿者 川崎)

2019-03-30

論文

  • 当院の循環器内科と総合診療科で経験したイメージ論文が出版されました
  • 不明熱で来院し,心雑音はなかったけれど多数の末梢サインを確認(下図)
  • 最終的にMRSAによる感染性心内膜炎と診断(僧帽弁に疣腫あるが逆流なし)
  • 筆頭著者は初期研修医の窪田先生で地方会の発表では優秀演題賞を受賞

関連投稿 💨
オスラー結節 Osler's node 出血 線状 スプリンター Splinter hemorrhage ジェインウェイ病変 Janeway lesion 網膜出血斑(ロート斑) Roth's spot
(投稿者 川崎)

2019-03-29

伝染性紅斑(リンゴ病) Erythema infectiosum

  • 原因 ヒトパルボウイルス(human parvovirus)B19の感染
  • 経路 飛沫感染で潜伏期は4~15日(不顕性感染あり)
  • 疫学 幼少児に多い(ただし乳児や成人も稀ならず報告)
  • 症状 左右頬部の紅斑 ➜ その後に四肢のレース様の紅斑
  • 合併 関節炎,汎血球減少,妊婦では胎児水腫や流産など
  • 診断 IgM抗体高値又はIgG抗体上昇(ウイルス分離は困難)
  • 鑑別 風疹,成人スティル病,SLE,薬疹,手足口病など
  • 治療 対症療法のみ(紅斑期の隔離不要/ワクチンなし)
  • 届出 5類感染症(翌週の月曜日までに保健所に報告)


👴 おまけ
第5病(Fifth disease)とも言われるが,これは子供に生じる皮疹の標準リストの5番目に位置するため. 1番=麻疹(measles),2番=猩紅熱(scarlet fever),3番=風疹(rubella),4番=デュークス病(Dukes' disease,おそらく猩紅熱の亜型),6番=バラ疹(roseola)

(投稿者 川崎)

2019-03-28

防風通聖散

防風通聖散は、体力の充実した卒中体質者の便秘や肥満症、動悸や肩こりなどの高血圧随伴症状に使用される。皮下脂肪だけでなく内臓脂肪を燃やし、生活習慣病の発病を防ぐとともに、基礎代謝量を上げる。

・肥満を伴う高血圧症患者の体重、BMIの低下が認められた。(多施設共同無作為群間比較試験)
Azushima K, et al. Atherosclerosis. 2015, 240, p.297

・耐糖能異常を有する肥満女性患者のウエスト周囲径、BMIを低下させ、腹部内臓脂肪を減少させた。
・HOMA-IRを改善し、インスリンAUC120を低下させた。
Yoshida T, et al. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2004, 31, p.614

・内臓脂肪型肥満の代謝異常マウスの体重、摂食量、拡張期血圧を低下させた。
Azushima K, et al. PLOS ONE. 2013, 8(10), p.1

・MSG肥満マウスの体重増加が抑制された。
Yoshida T, et al. Int J Obes. 1995, 19, p.717

(投稿者 小森)

採血データクイズ

口渇と倦怠感を訴えて来院した症例の採血データ





(投稿者 川崎)