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2023-04-10

ペンバートン徴候 Pemberton's sign

  • 両腕を垂直挙上したときに出現する一連の身体所見と自覚症状
  • 由来は英医師 Hugh Pemberton の報告(Lancet 1946;248:509
  • 顔面うっ血やチアノーゼ,呼吸困難感などがあれば陽性と判断
  • 甲状腺腫や縦隔腫瘤などによって生じる血管の圧迫がその原因

甲状腺腫大の77歳男性(図Cの矢印は気管偏位を示す)

甲状腺腫20年の病歴を持つ58歳女性

📺 おまけ
  • 上記の2症例はともにNEJMに掲載されています.いずれも今世紀ですが,2018年掲載の上段の症例には動画があり時代の進歩を感じますココから動画参照)
  • 下段の症例は2004年掲載で,当時はまだ動画共有システムがありませんでした,ちなみに YouTube は2005年設立で最初の投稿動画は Me at the zoo(ジョード・カリム投稿)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2023-04-09

FOMO & JOMO

👿 FOMO(フォーモ)
  • Fear Of Missing Outの略で「取り残されることや見逃すことへの恐怖」を意味する.米国の Patrick James McGinnis がハーバード ビジネス スクール在学中の2004年に初めて用いた.
  • 心理的満足度が低い人はFOMOレベルが高いことが知られている.FOMOから抜け出すためにはインターネットやソーシャルメディアから距離を置いてみることが大切と考えられている.

😈 JOMO(ジョーモ)
  • Joy Of Missing Outの略で「取り残されることの喜び」を意味する(つまりFOMOの対義語).テクノロジーの起業家 Anil Dash が2012年に自身のブログで初めて用いた(ココ).
  • 他人の行動や評価を気にしないことで不安から解放されその結果,自身の人生を楽しめるという動きのこと.「No」と言う勇気を持つことも現実世界に集中するためには重要.

(投稿者 川崎)

2023-04-08

モートン神経腫 Morton's neuroma

  • 概念 中足骨間足底神経の深横中足靱帯による圧迫状態
  • 本体 神経腫でなく刺激による線維化(別名モートン病)
  • 命名 アメリがの外科医である Morton TG(1835-1903)
  • 誘引 ハイヒールなどの履物,外反母趾,ガングリオン他
  • 症状 歩行時の疼痛,しびれなど(第3〜4趾間が最多)
  • 所見 中足部を両側から強く握ると疼痛(Mulderテスト)
  • 診断 Tinelサイン(叩打で疼痛が放散)+各種画像検査
  • 治療 靴変更,足底挿板,鎮痛薬・ブロック注射,手術

 モートン神経腫のMRI例と切除例(背側アプローチ)

(投稿者 川崎)

2023-04-07

CGA分類

  • CKD(chronic kidney disease:慢性腎臓病)の重症度を原因(cause:C), 腎機能(GFR:G),蛋白尿(アルブミン尿:A) で分類する方法.このCGA分類を元に作成されたのが以下の有名なヒートマップ.

- CGA分類によるCKDの重症度分類 -

👍 CGA分類に準じたカルテ記載を心がけたい
  • #CKD 糖尿病 G2A3
  • #CKD 慢性腎炎 G3bA1
  • #CKD 腎硬化症疑い G4A1
  • #CKD 多発性囊胞腎 G3aA1
  • #CKD 原因不明 G4A2


(投稿者 川崎)

2023-04-06

今週の一枚 🎯 チラ見ならぬチラ耳

労作時の胸部圧迫感で来院した男性

😀 現場中継
  1. オープンクエスチョンで患者さんに胸の症状を表現してもらう
  2. 聴きつつ頸静脈確認 ➜ 座位陰性で非代償性心不全はなさそう
  3. 視線をそっと頸部から耳に移す ➜ 明瞭な外耳道毛の剃り跡😲
  4. 臥床で頸静脈に問題はないが耳垂に斜線(フランク徴候陽性)
  5. 虚血性心疾患の可能性大(ACSではない)➜ 早めのCAG選択


😊 臨床経過
  • 冠動脈造影では右冠動脈と左前下行枝の高度狭窄でした.ちなみに本例の心電図や採血,心エコー図には異常所見はありませんでした.
  • 狭心症の診断では問診がとても重要であることは今更述べるまでもありません.非発作時の基本検査には異常がないことが常だからです.
  • 患者さんの様々な情報から次の検査法(冠動脈CT・負荷シンチグラフィ・負荷心エコー図・冠動脈MRI・冠動脈造影)を選択します.
  • 個人的には外耳道毛や耳垂皺が診断にとても有効だとは思っていませんが,問診ついでに耳をチラ見(チラ耳 😅 勝手に命名)はお薦め
  • 本例は外耳道毛の成長がとても早く,数日毎に電気シェーバーでカットしている様です(鼻下〜顎の毛はあまり濃くありませんでした)

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2023-04-05

論文 🏆

  • 当院の循環器内科専攻医である野口先生が経験した症例が出版されました
  • 近医で心雑音を指摘され紹介 ➜ 心エコー図で右室へ突出する瘤状構造物
  • 収縮期に同構造物と右室壁が近接し,右室流出路はモザイク血流シグナル
  • 明らかな短絡血流なし ➜ 最終的に未破裂の右バルサルバ洞動脈瘤と診断
  • 弁膜症なく術後に雑音が消失 ➜ 未破裂の動脈瘤に起因した雑音と確定
  • 論文には実際の音声ファイルがないのでYouTubeにアップ(ココです)


😀 考察
  • PubMed検索で未破裂バルサルバ洞動脈瘤の報告が42例ありました.その診断契機は胸痛,息切れ,併存循環器疾患,房室ブロックの順に高頻度でした.心雑音を有した症例も2例報告されていましたが,いずれもバルサルバ洞動脈瘤とは異なる併存心疾患に起因した雑音です.本例は純粋に動脈瘤によって雑音を来した世界初の症例報告かも知れません.
  • 本例は初診の家庭医の先生(専門は消化器内科)が雑音に気が付かれたため診断に至ることができました.素晴らしいことに,紹介状には「肺動脈領域の収縮期雑音の精査をお願いします」と記載されていました.先日,お会いした時にお話ししていたら,聴診は「ポケット心音」で勉強されてるとお伺いしました.まさに”アプリ開発者冥利”につきます😂

👉「論文」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2023-04-04

ヌーナン症候群 Noonan syndrome

  • 概要 細胞内Ras/MAPKシグナル伝達系異常によって生じる一連の病態
  • 形式 常染色体優性遺伝(PTPN11やSOS1遺伝子など;約40%は不明)
  • 初報 米国の小児循環器内科師 Noonan (1928–2020) で1961年(
  • 頻度 出生1000-2500名に1人程度(ダウン症候群と同等の発生頻度)
  • 顔貌 眼間開離,眼瞼裂斜下,眼瞼下垂,翼状頚などが特徴的(下図)
  • 身体 低身長,胸郭異常,知的障害,心疾患,停留精巣,外反肘ほか
  • 治療 本質的な治療法なし(心疾患など個々の合併症に対し随時対応)
  • 予後 主に合併心疾患によって規定(白血病や固形腫瘍を発症例あり)

参考)難病情報センター,他

ヌーナン症候群の特徴的な顔貌

💁 顔貌に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-04-03

ダール徴候 Dahl's sign

  • 大腿と肘に色素沈着過剰 と肥厚(角化亢進)を認める状態
  • 米国の皮膚科医Dahlに由来(Arch Dermatol 1970;101:117
  • 長期にわたる重度の慢性閉塞性肺疾患を患う患者に発生する
  • 機序は呼吸困難で肘を大腿に置くため接触部に慢性的な刺激

73歳のCOPD女性

👻 命名問題
  • 実はDahl先生に先行すること7年,Rothenbergがこの所見を報告しています(JAMA 1963;184:902-3).よってRothenberg's sign's(ローゼンバーグ徴候)とも呼ばれています.
  • もっともRothenberg先生はこの所見を,その姿勢からThe thinker's sign(考える人徴候)と呼んでいます.またその丸い形からtarget sign(標的マーク)と称されることもあるようです.

💁 COPDに関する過去の投稿 ➜ コチラ

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(投稿者 川崎)

2023-04-02

薬物性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)

👽 薬物性肝障害(DILI)の分類
  • 肝細胞障害型 ➜ ALT>2N+ALP≦NまたはALT比/ALP比≧5
  • 胆汁うっ滞型 ➜ ALT≦N+ALP>2NまたはALT比/ALP比≦2
  • 混合型 ➜ ALT>2N+ALP>Nかつ2<ALT比/ALP比<5
(N:正常上限,ALT比=ALT値/N,ALP比=ALP値/N)



💀 薬物性肝障害(DILI)の概略
  • 本邦の1,676例中,男性が43%,女性が57%,平均年齢は55歳
  • 内服から発現まで7日以内26%,30日以内62%,90日以内84%
  • タイプは肝細胞障害型59%,混合型20%,胆汁うっ滞型20%


💁 肝臓に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-04-01

忘備録

先週に開催された『第20回 循環器 Physical Examination 講習会』より

  • 拍動しない外頸静脈は評価に用いない(首を回転させると変化もする)
  • 心尖拍動は指先全体,雑音のスリルは手掌遠位部,胸骨拍動は手掌近位部
  • 楽音用雑音は dove-coo や seagull cry でレバイン分類は4度以上が多い
  • 僧帽弁逆流では軽度なら高調音(blowing),重症なら低調音が加わる
  • 僧帽弁逆流でも音が小さいときにはⅠ音とⅡ音の聴取は可能である
  • YouTubeのフィジカル Stanford Medicine 25 はお薦め(例:AR)
  • MRは3分類:変性(MVP他),心室性(テザリング),心房性(弁輪部拡大)
  • 心房性MRでは左腋窩でⅢ音(S3)が聴取しやすい
  • Ⅰ音の規定因子は心収縮力・タイミング(弁の開放程度)・弁自体
  • S雑音(S murmur)は鎖骨下部~心尖部までS字状に伝播(過収縮で出現?)
  • 外傷部位や手術創の聴診を行うこと(シャントから高心拍出性心不全など)
  • 前尖の僧帽弁逸脱では背中や椎体で雑音を聴取する
  • 血液の比重は1.05
  • 息切れ+S3 ➜ 心不全(非代償性),胸痛+S4 ➜ ACS(急性冠症候群)
  • 「知りたいことはすべてオンラインにある」
  • Muehrcke line は爪下の浮腫なので爪の発育によって移動しない
  • Mees’ lineは爪自体の異常:爪の発育で移動して圧迫では消えない
  • 手掌・足底の皮疹はPHSと覚える:P 掌蹠膿疱症・H 手足口病・S 梅毒
  • 羽ばたき振戦は高CO2血症でも生じる
  • Lincoln singはARによる足の拍動(リンカーン大統領の写真で足のぶれ)
  • 拳骨テスト(Fist sign)は先端巨大症で手を握っても爪が隠れない(容積増大)
  • 胸部X線は側面像から見る(見逃しやすいところから始める)
  • 心房細動では頸静脈波のx谷が浅くなる
  • ADSの右脚ブロックは一次孔欠損なら左軸,二次孔欠損なら正常軸または右軸

聞き間違いがあるかも...😅スイマセン

💁 忘備録に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)