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2023-07-10

問題:硬い左室+Ⅳ音なし=?

  • 先日,明瞭な左室肥大(びまん性に15mm程度)と拡張障害(E/e'=30)を認めた方が精査目的で循環器内科を受診されました.洞調律にも関わらずⅣ音が聞こえませんでした.Ⅳ音はⅠ音に近接すると聴診では認識が困難になることがあるため,心音図でも確認しましたが,やはりⅣ音は痕跡すらありませんでした.本例は最終的にATTR型の心アミロイドーシスと診断されました.

  • ピロリン酸は両心室のみならず両心房にも良好に集積(骨より明瞭)していました. 左室肥大や虚血などで左室コンンプライアンスが低下する病態ではⅣ音をよく聴取します(例:洞調律の肥大型心筋症では70%以上).一方.硬い左室を呈する典型疾患である心アミロイドーシスでは洞調律であってもⅣ音が欠損してくることが報告されています(Am J Cardiol 2000;86:244-6,他) 

  •  Ⅳ音が生じるためにはstiff LVのみでは不十分で,そこに血流を押し込む心房の頑張り心房の辛抱)が必須です.洞調律のHCMでもⅣ音がなければ,運動耐容能は低下して心事故(特に心房細動への移行)と関連することを当院から報告しています(Ann Noninvasive Electrocardiol 2022;27:e12932).アミロイドーシス症例の心房障害の原因は主として心房へのアミロイド沈着の様です(Clin Cardiol 2021;44:322-31,他)

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(投稿者 川崎)

2023-07-09

Heerfordt syndrome ヘールフォルト症候群

  • サルコイドーシスの一型で発熱に加えぶどう膜炎耳下腺腫脹顔面神経麻痺
  • 由来はオランダの眼科医Christian Frederick Heerfordtによる1909年の報告(
  • この3所見がすべてそろった場合は完全型に,2所見のみの場合は不完全に分類
  • 発生頻度はサルコイドーシス全体の2%で完全型はサルコイドーシス全体の0.3%
  • 25例中男性11例,女性14例,年齢22~59歳,21例は症状出現に時間差(下表)
  • 治療は通常のサルコイドーシスと同じ(顔面神経麻痺ではステロイド全身投与)
  • 復習:関節炎と結節性紅斑,両側肺門リンパ節腫脹の三主徴はレフグレン症候群

参考)日サ会誌 2021;41:71-5,他

32歳女性例(パネルDはプレドニン60㎎/日を開始19日目)


💁 サルコイドーシスに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-07-08

Geographic tongue 地図状舌

  • 概略 原因不明の口腔内の良性慢性再発性炎症性疾患
  • 初報 1831年に Rayer が移動する舌の発赤として報告
  • 経過 病変が数日~週間持続し消失,別の場所に出現
  • 部位 通常舌側面と背面(唇や頬粘膜,口腔底もあり)
  • 疫学 小児期に発症(約1%~2.5%)で最多は20歳代
  • 電顕 紅斑部下の状乳頭の消失+舌白部下の壊死細胞
  • 症状 無症状~灼熱感,味覚障害,熱や酸の過敏など
  • 治療 無症状なら通常不要(口腔衛生かつ刺激物回避)
  • 鑑別 紅板症,扁平苔癬,カンジダ症,口内炎,白板 


 37歳女性の地理的舌(灼熱感は6ヵ月後に消失)

👅 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-07-07

体のフタ:軟口蓋と喉頭蓋

Wiki



(投稿者 川崎)

2023-07-06

今週の一枚 🎯 いつも患者さんから教えてもらっています 🙇

中等度の大動脈弁閉鎖不全の症例

😀 解説
  • 爪床が僅かながら周期的な色調変化(クインケ脈
  • 自ら指先を机に押し付けてもらうと色調変化消失
  • ただし押し付けを解除後の数拍は色調変化が明瞭

😅 臨床現場
  • 患者さんに大動脈弁逆流で出現する身体所見を説明しながら,一緒に爪を見ていました.僕は陰性かなと思っていたけど,患者さんが「先生,拍動が見えるよ」と逆に教えてくれました.確かによく見たらわずかに拍動がありました.指先を机に押し付けて解除時に拍動が出現することも教えてくれました.
  • クインケ脈にも程度があると思っています.その程度(負荷不要>他動的圧迫>自動的圧迫)と部位(指先全体>爪床のみ)の組み合わせから,ある程度は大動脈弁逆流の重症度判定が可能でしょうか(過去の投稿).本ページには多数のクインケ徴候が投稿されていますのでよろしければご確認ください(コチラ).

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2023-07-05

リンパ系フィラリア症 Lymphatic Filariasis

  • 主に蚊によって媒介される寄生虫フィラリアがリンパ系に寄生する感染症
  • 幼虫がリンパ管に移動し成虫となり多くの仔虫(ミクロフィラリア)を生む
  • 感染者の多くは子供時代に感染(急性期の症状は悪寒戦慄を伴う発熱程度)
  • 成人後にリンパ管炎やリンパ節炎を伴う発熱を繰り返しリンパ液の還流障害
  • 慢性期に四肢のリンパ浮腫,象皮病,陰嚢水腫などを呈する(下図参照)
  • 診断は顕微鏡で血液中のミクロフィラリアの確認あるいは血清中の抗体値
  • 治療はジエチルカルバマジン(DEC),アルベンダゾール,イベルメクチン
  • 予防は蚊の回避:長そで・長ズボン着用,露出肌に防蚊剤,睡眠時の蚊帳
  • 流行地域はアフリカ,西太平洋・カリブ海など(日本は1988年に根絶宣言)
  • 2018年時点で5100万人以上が既に感染(WHOの主導で根絶計画が進行中)
  • 直接の死因になることは少ないが,免疫力が低下して感染症を発症しやすい



💁 寄生虫に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-07-04

カンジダ眼内炎の視覚的予後

👀 定義
  • 外因性眼内炎=感染源が眼の外部(眼内手術、外傷、汚染された眼内異物など)
  • 内因性眼内炎=眼外の感染源から血行性播種に続発して二次的に発生した眼内炎

 👻 視覚的予後
  • 3月後に0.05以上の視覚的転帰は術後47.2%、外傷後33.3%、内因性66.7%
  • 内因性カンジダ眼内炎で52.3%に持続的な視力低下(36.4%が0.05未満)
  • 内因性アスペルギルス眼内炎は66.7%に視力低下持続(58.3%が0.05未満)
  • 外因性真菌性眼内炎患者の24.4%が眼球摘出、別研究では26%が網膜剥離


セドスポリウムによる真菌性眼内炎(炎症の“clumped”appearanceに注目)

(投稿者 川崎)

2023-07-03

心尖拍動も体位依存

肥大型心筋症でフォロー中の症例(症状なし)

🐤 解説
  • 左半側臥位では明瞭な抬起性心尖拍動あり
  • よく見ると付箋の振動から二峰性心尖拍動
  • ただし仰臥位では心尖拍動は不明瞭になる
  • もちろん本例では巨大Ⅳ音を聴取かつ触知

🔗 復習
  • 心尖拍動は,その位置(心拡大と関連)や様式(心肥大と関連)などを評価することが大切です.ただし頸静脈と同様に,体位によってその所見が変化します(視認性や触知率も含む)
  • 感度的には左半側臥位がベストですが,座位も簡便で悪くないと思います(必要に応じて呼吸調整).最も分かりにくい(感度が低い)のは仰臥位ですが,逆に特異度は良好でしょうか

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(投稿者 川崎)

2023-07-02

復習:CT値

  • CT値(ハンスフィールドユニット,HU: Hounsfield Unit)はX線の吸収係数を数値化したもの
  • CT値は水を原点のゼロとして,何もない空気の状態を最低の値である-1000(真っ黒)で表現

おすすめ ➜ CT適塾

組織 CT値の範囲(HU)
血漿 3~14
血液 13~32
甲状腺 50~80
肝臓 45~75
筋肉 35~50
膵臓 25~55
脂肪 −50~−100
骨格 400~1000
空気 −1010~−990

参考)超音波検査技術 2021;46:200–7

(投稿者 川崎)

2023-07-01

EHRとPHR

🏢 EHR(イーエッチアール:電子健康記録)
  • Electric Health Recordの略.異なる医療機関間での相互利用を想定した様々な健康データのこと(既往歴や採血結果や検査画像など).EMR(Electric Medical Record:電子医療記録)は各病院内での電子カルテを意味する.

👦 PHR(ピーエッチアール:個人健康記録)
  • Personal Health Recordの略.医療機関外で取得される個人の生活に紐付いた健康に関するデータのこと(血圧や体重,睡眠,運動量など).その管理は個人による.EHRおよびPHR環境の構築とEHR-PHR連携が当面の課題(下図)


(投稿者 川崎)