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2017-07-31

Trousseau症候群 トルーソー症候群

悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により血栓症を生じた病態で腫瘍随伴症候群の一つ
狭義では悪性腫瘍に伴い生じた血栓性静脈炎あるいは脳卒中(※トルソーとも呼ぶ)

仏医師 Armand Trousseau が報告した癌と血栓性静脈炎の関連に由来
 (Clinique Médicale de l'Hotel-Dieu de Paris. Vol.3. 2nd ed. 1865:654–712)
発表2年後の1867年にTrousseau自身も胃癌による同症候群を発症し死亡

治療
原疾患の治療+ヘパリン(必要なら慢性期はヘパリンカルシウムの皮下注)
ワルファリンも用いられれるが効果が少し不確実(将来的にはNOACに期待)

(投稿者 川崎)

2017-07-30

卵円孔開存

胎児は肺呼吸をしていないため心房中隔の孔である卵円孔を介して血液が循環している
出生後に左房圧が上昇するため卵円孔は閉鎖するが,約2割では完全閉鎖には至らない
咳嗽などで右房圧が一過性に上昇すると右⇒左シャントを生じる(通常は臨床上無害)


自験例:右房の生食バブルが咳嗽時に左房へ大量移動している(経食道心エコー図)

卵円孔開存は稀に奇異性脳塞栓症の原因になる(例:深部静脈血栓による脳梗塞)
また卵円孔開存は片頭痛と関連することが知られている(保険適応外で治療可能)

(投稿者 川崎)

白血球破砕血管炎 Leukocytoclastic vasculitis

病理学的診断名で血管壁フィブリノイド壊死+血管壁好中球浸潤+赤血球血管外漏出を伴う病態
全身のさまざまな血管に炎症が起こり血管の流れが障害される(具体的な疾患例は以下)

1. 大型血管炎
・巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)

2. 中型血管炎
・結節性多発動脈炎

3. 小型血管炎
・多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)
・チャーグ・ストラウス症候群(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)
・顕微鏡的多発血管炎
・IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)
・過敏性血管炎(皮膚白血球破砕性血管炎)

(投稿者 川崎)

2017-07-29

脱水と言う前に…

脱水を疑ったらdehydrationとvolume depletionを鑑別しておきたい
  • dehydration⇒細胞内脱水⇒高張性脱水(高Na血症)
  • volume depletion⇒細胞外液量の減少⇒等張性あるいは低張性脱水(低Na血症)

医学用語である「脱水」は両者を漠然と含んだ大雑把な言葉である
両者を区別する習慣をつけると選択すべき点滴のイメージがしやすい
 

(投稿者 川崎)

GAS-GBS-GGS

臨床で注意すべきβ溶血性の連鎖球菌(グラム陽性球菌)
  • GAS=Group A Streptococcus=S.ピオゲネス=化膿レンサ球菌
  • GBS=Group B Streptococcus=S.アガラクティエ
  • GGS=Group G Streptococcus=S.ディスガテクティアエ亜種エクイシミリス(SDSE)など

いずれも劇症型溶血性レンサ球菌感染症を生じうる(β溶血性レンサ球菌感染症例の疫学)
一般にβ溶血性(=完全溶血)の溶連菌は強い病原性を有する
ただしα溶血性でありながら強い病原性を有する肺炎球菌にも要注意

(投稿者 川崎)

2017-07-28

熱中症 vs 熱射病

熱中症重症度分類のⅢ度が熱射病(臨床症状からの分類)
  • 熱中症Ⅰ度=熱痙攣=めまい,立ちくらみ,筋痙攣=JCS 0
  • 熱中症Ⅱ度=熱疲労=頭痛,嘔吐.判断力低下=JCS ≦1
  • 熱中症Ⅲ度=熱射病=意識障害,痙攣,DIC=JCS ≧2
(投稿者 川崎)

2017-07-27

グラム染色クイズ

副鼻腔の感染症が疑われる子供の鼻腔拭い液のグラム染色

😶 本例はグラム染色像(写真が少しピンボケで双球菌が不明瞭であるが・・・)から菌種の推定が可能であったが,通常存在する莢膜を認めない点が通常株とは少し異なった.その理由にムコイド産生株であったことが考えられた.

(投稿者 川崎)

ティーツェ症候群 Tietze's syndrome

肋骨と胸骨との関節である肋軟骨に無菌性の炎症性疾患が生じた病態
ドイツの外科医Alexander Tietzeが報告(Bert. klin. Wschr. 1921;58:829)
  • 症状 胸痛と腫脹(第二あるいは第三肋軟骨に多い),肩痛,上腕痛
  • 疫学 稀,20~30代に多い,男女差はない
  • 原因 不明
  • 治療 安静,NSAIDs,重症ならステロイド局注
  • 予後 良好(ただし痛みが数週間~数カ月続く)

肋軟骨炎(40歳以上の女性に多く激しい運動やリウマチと関連しやすい)とは異なる病態と考えられている

(投稿者 川崎)

2017-07-26

マスター負荷

心筋虚血の有無を判定するための簡便な運動負荷心電図検査法
年齢・性・体重から算出された一定のリズムで2段階段を昇降する
米国の医師Arthur M. Masterが開発(Am Heart J.1935;10:495-510)

方法
  • 標準12誘導の心電図を負荷前,直後,3分後に記録(必要なら5分後,7分後~回復まで)
  • 負荷前に血圧を測定し管理されていない高血圧の有無をチェックすることが望ましい

種類
  • シングルマスター:1分30秒
  • ダブルマスター:3分間 ← 通常はコチラ
  • トリプルマスター:4分30秒

判定(75%以上の冠動脈狭窄に対するダブルマスターの診断能:JSC2010ガイドラインより)
  • 0.5mmのST低下=感度86%・特異度73% ← コチラをお薦め
  • 1.0mmのST低下=感度77%・特異度83%

(投稿者 川崎)

APSの診断

APS=anti-phospholipid antibody syndrome=抗リン脂質抗体症候群
  • 半数は原発性で,残り半数は全身性エリテマトーデス(SLE)に合併した続発性
  • 血栓が静脈系(下肢静脈血栓や肺血栓)だけでなく動脈系(脳梗塞)にも生じる
  • 妊娠合併症として習慣流産(最多),子宮内胎児発育不全,妊娠高血圧症など


(投稿者 川崎)