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2022-07-10

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

逆流性食道炎?
運動負荷tetrofosmin心筋シンチグラムの静注後50分のplanar像



(投稿者 杉原)

2022-07-09

エウスタキオ管 Eustachian tube

  • 中耳(鼓室)と咽頭をつなぐ管状の構造物で,通常は耳管と呼ばれている
  • その役割は鼓室内の圧力調整および鼓室内の分泌物を咽頭に排出すること
  • 直径3mm,全長35mm程度で英名はauditory or pharyngotympanic tube
  • 名前はイタリアの解剖学者 Bartolomeo Eustachi (1500?– 1574) に由来する
  • ただし構造自体は紀元前500年頃のAlcmaeon of Crotonが発見している(
  • Eustachi は胎生期の下大静脈開口部のユースタキオ弁にも名を残している

- 下図の水色部分がエウスタキオ管 -
🚑 おまけ
  • 看護学生から「エウスタキオ管が...」と言われと,すぐに思い出せなかったから調べました(その場では学生さんに教えてもらいました 😅)
  • カタカナのエウスタキオはどうやらギリシャ語から来ているようですが,英語では juːstéiʃən(ユーステイシャン)です(実際の発音はココ

💁 耳管に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-07-08

ヘモクロマトーシス Hemochromatosis

  • 鉄代謝異常で鉄過剰となり諸臓器の実質細胞に沈着して組織障害や臓器不全を惹起した病態
  • 遺伝性(海外では多くはC282Y変異)と二次性(長期間の赤血球輸血:本邦で多い)に大別
  • 診断は遺伝性なら遺伝子変異の同定,二次性なら組織学的または画像的に鉄過剰沈着を証明
  • 肝臓の鉄貯蔵は約1gで毎日1mg程度の鉄が便・尿・汗・皮膚から排泄(吸収は十二指腸から)
  • 臨床的な徴候は肝硬変,糖尿病,皮膚色素沈着,心不全,甲状腺・副甲状腺・性機能の低下
  • 組織学的に鉄の沈着が認められても症状が現れるまでに20-40年を要するため40-60歳で発症
  • 治療は瀉血で,輸血後鉄過剰症に対しては鉄キレート療法(経口薬あり)+合併症への対応


💁 なんとなく発音が似ている Pheochromocytoma(褐色細胞腫)は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-07-07

🎯 今週の一枚

心機能の評価目的で循環器内科を受診した症例

🐤 解説
  • 通常呼吸や吸気止めでは分かりにくいが呼気止めで臍周囲の上下運動(矢印)
  • 触診では動脈性の拍動で圧痛やスリルはなかった(聴診でも血管雑音はなし)
  • CTで腹部大動脈瘤を認めた(腎動脈下〜分岐部の紡錘型で最大短径は50mm)

🐣 独り言
  • 頸静脈では吸気負荷が大切で,呼気負荷の意義は乏しいと思われます(過去の投稿).一方,呼気負荷は聴診や心尖拍動(自験例)で役立ちます.腹部動脈瘤でも有用かもしれませんが,触診には完敗です(自験例).やはり”お腹は触るもの”です.
  • 腹部で拍動の視認または触知=腹部大動脈瘤ではありませんが,初診時には必ず一度はお腹を触っておくようにしています.「動脈瘤の破裂を回避することは外来担当医の責務です」と信頼している友人医師に教えてもらいました 😊

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-07-06

ベリーダンサー症候群 Belly dancer syndrome

  • 中東のベリーダンスのような激しい腹壁の動きで,別名は腹部ジスキネジアや横隔膜フラッター
  • 本体は横隔膜の不随意運動で疼痛などを伴うことがあり,責任病変として脊髄が推察されている
  • 原因は術後や外傷後,薬剤性(特にサルブタモール:下図例),進行性核上性麻痺,機能性など


(投稿者 川崎)

2022-07-05

星状硝子体症 🌟 Asteroid hyalosis

  • 硝子体に黄白色の反射粒子が出現する病態で,ヒト以外にも犬や猫などにも生じる
  • 頻度は0.8〜2.0%で加齢に伴い増加/原因不明で糖尿病や高血圧,脂質異常と関連
  • 主な成分はカルシウムとリン酸塩あるいはリン脂質からなるヒドロキシアパタイト
  • 通常,無症候性で視力に深刻な影響を与えることが少ないため積極的な加療は不要
  • 初報はBensonで"asteroid hyalitis"と表現(Trans Ophthalmol Soc UK 1894;14:101–4



💁 眼科に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-07-04

心尖拍動:凹と凸

労作時の息切れで来院した女性の心尖拍動(白タオルは乳房上)

🐤 解説
  • 持続時間の長い心尖拍動+外側偏位の疑い(≒ 心肥大+心拡大)
  • 心尖拍動は収縮期に陥凹(systolic retraction)➜ 収縮性心膜炎?
  • よく見ると内側陥凹(↓)と同じタイミングで外側は隆起(▽)
  • 本例の最終診断は複数の弁膜症による慢性心不全(肺高血圧あり)

🐦 独り言
  • 本例は右室拡大や右室肥大はなく,左室の心尖拍動(隆起=凸)の牽引による右心尖周囲の偏位(陥没=凹)かな〜と考えました.
  • 凹と凸の時間関係に注目すると,先に凸が生じて少し遅れて凹が続いているようです 😳 心室収縮は左心ファーストが基本ですし...

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-07-03

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

肥大型心筋症の中隔性Q波の消失
肥大型心筋症の運動負荷/安静時tetrofosmin心筋イメージングおよび負荷時の心電図変化(上)と安静時心電図の13年後の変化(下)
Akakabe Y et al : Circ J ; 72: 953 – 957 ; 2008



(投稿者 杉原)

2022-07-02

多血性肝腫瘍 Hypervascular hepatic tumor

👾 発達した血管網を有する肝腫瘍の総称
  • 悪性 ➜ 肝細胞癌,胆管細胞癌,混合型肝癌(肝細胞癌と胆管細胞癌が混在), 転移性肝癌など
  • 良性 ➜ 肝血管腫,限局性結節性過形成,肝血管筋脂肪腫,肝細胞腺腫,肝炎症性腫瘤,アルコール性肝疾患に伴う過形成結節など


🌳 独り言
  • 多血性肝腫瘍というあまり聞きなれない用語を目にしたため調べてみました.造影CTの動脈相で濃染されるときに用いられるようです.一方,逆の病態は乏血性肝腫瘍(hypovascular hepatic tumor)と称されます.

💁 肝腫瘍に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-07-01

エンバーミング Embalming

  • 遺体を消毒して保存処理(必要に応じて修復)し長期保存する技法(遺体衛生保全)
  • 方法は動脈から防腐剤注入+静脈から脱血+消化器官内の残存物を除き防腐剤注入
  • 2週間程度は常温での保存可(定期的な防腐剤の交換などで半永久的な保存も可能)
  • 実例としてはロシア革命の指導者レーニンや女優のマリリン・モンローなどが有名
  • 日本でも年間1万人以上がェンバーミングを施しているが国内の専門家は100名未満


💁 死後に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)