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2022-07-02

多血性肝腫瘍 Hypervascular hepatic tumor

👾 発達した血管網を有する肝腫瘍の総称
  • 悪性 ➜ 肝細胞癌,胆管細胞癌,混合型肝癌(肝細胞癌と胆管細胞癌が混在), 転移性肝癌など
  • 良性 ➜ 肝血管腫,限局性結節性過形成,肝血管筋脂肪腫,肝細胞腺腫,肝炎症性腫瘤,アルコール性肝疾患に伴う過形成結節など


🌳 独り言
  • 多血性肝腫瘍というあまり聞きなれない用語を目にしたため調べてみました.造影CTの動脈相で濃染されるときに用いられるようです.一方,逆の病態は乏血性肝腫瘍(hypovascular hepatic tumor)と称されます.

💁 肝腫瘍に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-09-10

FNH:Focal Nodular Hyperplasia 限局性結節性過形成

  • 特徴 組織学的に正常もしくはほぼ正常に見える肝細胞より構成される結節
  • 病理 中心性瘢痕と放射状に広がる線維性結合織(内部は動脈と胆管の増生)
  • 画像 ドプラで中心→辺縁の車軸状動脈性血管構築(spoke wheel pattern)
  • 疫学 良性肝腫瘍性病変では肝血管腫の次に高頻度で比較的若い女性に多い
  • 原因 局所的な動脈血流の異常に伴う過形成性変化が成因と考えられている
  • 鑑別 肝細胞癌(fibrolamellar含),肝腺腫,血管筋脂肪腫,肝血管腫など


- 健診で発見された肝限局性結節性過形成(FNH)の1例 -



(投稿者 川崎)

2023-01-18

肝紫斑病 Peliosis hepatis

😊 先日,耳にしたことがない病名に遭遇したので調べてみました

🔗 肝紫斑病(Peliosis hepatis)
  • 類洞の拡張と肝内に多発する1~10mmの血液の貯留腔を認める稀な疾患
  • WHOの肝腫瘍の組織学的分類では腫瘍類似病変に分類(一応良性疾患)
  • Wagnerによって1861年に初めて報告された(Arch Heilk 1861;2:369-70)
  • 疾患の観念提唱はSchoenlank(Virchows Arch Path Anat 1916;222:358-64)
  • 蛋白同化ステロイドなどの薬物使用や慢性消耗性疾患に随伴して発症あり
  • 確定診断は生検,腹腔鏡,各種画像所見を組み合わせて総合的に判断する
  • 無症状から急激に進行して重症化する症例あり/確立された治療法はない


肝全体に不均一な造影が散在し肝内での血液貯留腔の存在が示唆される

💁 肝臓の過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2020-09-25

ALP分画

🚑 現場中継
  • 動悸で紹介された症例のALPが1651 U/L(当院参考値:1-340)でした

🐣 ALP(Alkaline Phosphatase,アルカリホスファターゼ)
  • アルカリ性条件下でリン酸エステル化合物を加水分解する酵素
  • 6つの分画に分類(食事の影響を受けるため空腹時採血を推奨)

🐥 各分画の意義以前の復習
  1. ALP1分画 ➜ 肝胆道の閉塞などで出現
  2. ALP2分画 ➜ 肝胆道疾患などで上昇
  3. ALP3分画 ➜ 骨生成疾患などで上昇
  4. ALP4分画 ➜ 胎盤由来(主に妊娠時に出現)
  5. ALP5分画 ➜ 小腸由来で脂肪食後や肝硬変で上昇
  6. ALP6分画 ➜ 免疫グロブリンと結合したALP

🐤 実際の疾患
  • 肝硬変(ALP2またはALP2+5)
  • 肝細胞癌(ALP2またはALP1+2)
  • 胆管癌・肝内結石・閉塞性黄疸(ALP1+2)
  • 原発性胆汁性肝硬変(ALP2またはALP1+2)
  • 慢性肝炎・脂肪肝(ALP2ときにALP1+2)
  • 副甲状腺機能亢進症・くる病・骨肉腫(ALP3)
  • 転移性骨腫瘍(造骨性)(ALP3)
  • 悪性腫瘍(骨・肝転移なし)(ALP2+4)
  • 甲状腺機能亢進症(ALP3)
  • 慢性腎不全(ALP2+3、ALP2+5)
  • ウイルス性肝炎・アルコール性肝炎・薬剤性肝障害(ALP2)

🚑 続き+α
  • 最終的に本例の高ALP血症は甲状腺機能亢進症(バセドウ病の疑い)に関連する病態と考えられました(ただし分画は未測定)
  • 知人の医師は3000台のALPを経験したことがあるようです.その原因は副甲状腺機能亢進症で,術後に正常化したそうです
  • ALPは血液型と関連したり(過去の投稿),低値で亜鉛欠乏を疑ったり(過去の投稿),地味だけどかなり個性的な血液マーカーです

(投稿者 川崎)

2019-08-23

CTクイズ

  • 突然発症の下腹部痛でERに来院した症例の腹部CT(左,単純/右,造影:ダイナミックではない)




(投稿者 川崎)

2024-01-03

🍺 アルコール疾患と臓器移植

🍶 肝臓移植
  • 非ウイルス性肝硬変に対する肝移植は有用と考えられる.アルコールの場合,肝移植後の再飲酒が問題となる.本邦におけるアルコール性肝硬変に対する肝移植後の解析では22.9%に再飲酒を認め,移植前禁酒期間が18ヶ月未満であることが再飲酒のリスク因子であった.そのため,アルコール性肝硬変の脳死登録には申請時に18ヶ月以上の禁酒を医療機関が確認していることが必要である(『肝硬変診療ガイドライン』2020年11月追補内容).日本のほとんどの施設では、生体肝移植の場合6か月が条件(慶應義塾大学病院KOMPAS). 

🍷 心臓移植  絶対的除外条件(2016年版心臓移植に関する提言
  • 肝臓,腎臓の不可逆的機能障害
  • 活動性感染症(サイトメガロウイルス感染症を含む)
  • 肺高血圧症(肺血管抵抗が血管拡張薬を使用しても6 Wood単位以上)
  • 薬物依存症(アルコール性心筋疾患を含む
  • 悪性腫瘍
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体陽性

💁 移植に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2018-05-16

Stauffer症候群

  • 腎細胞癌の3∼10%に認められる腫瘍随伴症候群の一種で非転移性肝機能障害
  • 原因はIL-6などのサイトカインによるものと考えられている
  • 定義は肝転移など明らかな肝障害の原因を認めない肝機能異常のうち黄疸を来たさないもの

(投稿者 吉岡)

2024-01-23

マハヴァシュ病 Mahvash Disease

  • 概要 常染色体潜性(劣性)遺伝性の膵神経内分泌腫瘍症候群
  • 原因 グルカゴン受容体遺伝子のホモ接合性不活化変異による
  • 初報 米国の内分泌内科医Run Yu ら(Pancreas 2009;38:941-6
  • 由来 Yuが担当した最初の症例の名前(本人の希望に基づく)
  • 病態 膵臓のα細胞過形成・腫瘍と極度に上昇したグルカゴン
  • 動物 グルカゴン受容体のノックアウトマウスが同一の表現型
  • 疫学 頻度や性差は現時点で不明であるが極めれ稀と思われる
  • 末期 門脈圧亢進症および肝性脳症(ただしその原因は不明)
  • 治療 膵神経内分泌腫瘍(PNET)切除や肝移植(シャペロン?)


Mahvash病の6例のサマリー

(投稿者 川崎)

2020-08-17

逆アンカリング・バイアス

🚑 臨床現場
  • とても上品に見える中年女性が意識障害で当院ERに搬入された.救急車内の簡易血糖測定器(デキスター)で低血糖が判明したため,救急隊がブドウ糖を投与していた(救命救急士が行える医療処置 ➜ ココ).到着時には意識障害はほぼ改善し,その後の問診で定期薬はないことが分かった.

🍙 低血糖の原因

薬剤性低血糖
  1. インスリンによる低血糖
  2. 経口糖尿病治療薬(GLP-1 受容体作動薬を含む)による低血糖
  3. その他の薬物による低血糖(抗不整脈薬,ニューキノロン系抗菌薬,ARB,非定形抗精神病薬,ST合剤など)
その他の疾患
  1. インスリノーマ
  2. 詐病性低血糖(医療従事者や糖尿病患者の家族など/インスリン注射によるものでは高い血中インスリン濃度+低いC-ペプチド濃度)
  3. インスリン自己免疫症候群
  4. 膵外性腫瘍(肝癌,間葉系腫瘍,消化器癌など/インスリン様成長因子の放出,ブドウ糖消費の増大,肝障害による糖新生の低下などによる)
  5. インスリン拮抗ホルモン低下(下垂体前葉機能低下症,ACTH単独欠損症,副腎皮質機能低下症,グルカゴン欠乏症など)


📺 現場中継
  • 最終的に本例の低血糖の原因は慢性大量飲酒によるアルコール性ケトアシドーシス(alcoholic ketoacidosis; AKA)と診断
  • AKAは糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis; DKA)と異なり高血糖ではない.慢性アルコール飲酒による低血糖は意外に多い(下表の3位)

救急搬送例で血糖値60mg/dl以下であった原因

😳 独り言
  • 不潔で悪臭のある身体所見(セルフネグレクト)など日常臨床では様々なアンカリング・バイアスが生じ得る(実例).しかし本例では「見かけの上品さからまさか慢性大量飲酒者とは思わなかった」という通常とは反対の逆アンカリング・バイアスが生じていた様子.臨床推論における主要な認知バイアスをもう一度,確認しておきたい.

🍶 アルコール性ケトアシドーシス
  • 機序 アルコール代謝の亢進に伴うNADH/NAD上昇+低栄養による飢餓+脱水(下図)
  • 初報 アメリカの医師 Dillon ら(Medical Clinics of North America 1940;24:1813–22
  • 治療 病態の引き金となった飢餓や脱水の補正(糖質を含む補液)+ビタミンB1投与
  • 予後 DKAより良好(ただし大酒家突然死症候群は重症化した AKAとも言われている)


(投稿者 川崎)

2018-12-17

第222回近畿地方会(日本内科学会)

👶 個人的に気になった演題

演題13 若年性骨粗鬆症を契機に新規遺伝子異常によるコケイン症候群III型が疑われた症例
  • コケイン症候群は紫外線性DNA損傷の修復システムの障害で発症する常染色体劣性遺伝性の早老症.I型は古典型(乳児期に出現し年齢とともに進行),II型は出生時から著明な発育障害,III型は遅発型で成人発症の3型に分類される.

演題75 肝斑に対する内服治療中に心不全を発症した1例
  • 皮膚にできる色素斑(シミ)で形が肝臓に似るため肝斑(かんぱん)と呼ばれる.眼の外下側に多く,中年以降(特に黄色人種の女性)に多い.Googleのイメージ検索 ➜ コチラ

演題77 肺野移動性陰影を呈したトキソカラ症の1例
  • 犬や猫が有する回虫を原因とする寄生虫病で,幼虫卵を摂取することによりヒトでも発症する.トキソカラ症は主要臓器に生じる内臓幼虫移行症と眼・視神経に生じる眼幼虫移行症の2型に大別できる.

演題108 diversion colitis による菌血症を繰り返した1例
  • 人工肛門の造設で腸内容が通過しなくなったため空置大腸に生じた腸炎.diversion【名】迂回路・転用・資金流用・気分転換など.米国の外科医Glotzer DJらが提唱した観念(Gastroenterology 1981;80:438-41

演題172 ステロイド投与によりSIADHが寛解したと考えられるラトケ嚢胞の1例
  • ラトケ嚢胞とはトルコ鞍内の胎生期遺残で,下垂体前葉の形成過程に関連する.無症状の偶発腫瘍として診断されることが多い.おすすめページ ➜ 脳外科医 澤村豊のホームページ

演題189 Bullous lungに合併しII型呼吸不全で経過したPHの1例
  • Bullous lung=嚢胞性肺疾患.先天性には肺分画症,気管支原性嚢胞,先天性嚢胞状腺腫様形成異常,気管支性嚢胞などがある.後天性は気腫性嚢胞(単なるブラを含む)など.

(投稿者 川崎)

2022-05-26

🎯 今週の一枚

労作時の胸痛で来院した症例



(投稿者 川崎)

2017-05-01

侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)

定義:
Streptococcus pneumoniae による侵襲性感染症として、本菌が髄液又は血液などの無菌部位から検出された感染症とする。
→7日以内の届出義務あり。

DICになり急性感染性電撃性紫斑病に陥るケースもあり注意が必要。
DICになった場合は適切なDIC加療が必要です。

成人のリスクfactor:DM、脾摘後、免疫不全、心疾患、肝疾患、腎疾患、悪性腫瘍術後など

高リスク者には積極的に肺炎球菌vaccine接種を。vaccineによるIPDのカバー率は85%。

(投稿者 國枝)

2022-11-21

ハプトグロビン Haptoglobin

  • 主として肝臓で産生されるヘモグロビン(Hb)結合蛋白で,血中Hbがあると迅速かつ強固に結合する
  • その後に細網内皮系に取り込まれて分解処理(遊離型Hbの毒性中和+腎糸球体からのHb喪失防止)

👻 基準値
  • 1-1型 83~209 mg/dL
  • 2-1型 66~218 mg/dL
  • 2-2型 25~176 mg/dL

減少溶血性疾患,肝脾疾患,先天性無ハプトグロビン血症,薬物投与など
上昇 ➜ ネフローゼ,亜急性甲状腺炎,悪性腫瘍,感染症,月経期,薬物など


👾 おまけ
  •  ハプトグロビンの名称はヘモグロビンのグロビン(globin)に親和性を有するハプテン(hapten)に由来している
  • ハプテンとは低分子で単独では抗原にはならないが,適当なタンパク質に結合することで抗原となることができる物質


(投稿者 川崎)

2021-09-13

へグリン症候群 Hegglin syndrome

  • QT延長とQ-IIA(Ⅱ音の大動脈成分)短縮(その差≧40 msec:下図)を示す病態(≒II音の早期出現)
  • 原発性の心筋エネルギー代謝障害に由来する心不全でHegglinらが提唱した観念(Klin Wschr 1937;16:1146-7)
  • 同病態では心筋線維の"Adynamie"のために心室の力学的・電気的収縮の終了を待たずに半月弁が閉鎖する
  • 様々な疾病(特に末期)で出現:悪性腫瘍,肝疾患,代謝性疾患,腎不全,重症の薬物中毒,下痢など


😲 独り言
  • 時代を反映した病態で,現在ではその診断意義は乏しいように思われます.しかし心音図や心機図が大活躍した時代で,心臓の代謝まで評価しようという試みにはとても驚かされます.心音の奥深さを再認識しました.

(投稿者 川崎)

2019-11-13

PIVKA II

  • Protein induced by vitamin K absence or antagonist-II
  • 凝固因子プロトロンビンの前駆体で肝細胞癌などの時に出現
  • 肝硬変では陽性率が低く(約10%以下)癌との鑑別にも有用
  • 肝臓の腫瘍マーカーAFPとは関連しないため相補的に利用可

😎 おまけ
  • ビタミンKの欠乏時にプロトロンビンは活性のないPIVKA IIになるため,ビタミンK欠乏あるいは抗血液凝固薬ワルファリン(肝臓でビタミンK依存性凝固因子の産生を抑制)の内服中,アルコール多飲でも増加する

(投稿者 川崎)

2017-10-02

胸水ADA+リンパ球

ADA=adenosine deaminase=アデノシンデアミナ-ゼ
核酸のアデノシンを加水分解しイノシンとアンモニアを生成する酵素
体内に広く分布するが腸管粘膜・胸腺・脾臓・扁桃やリンパ球で高活性
  • 基準 5.0~20.0U/L
  • 高値 肝疾患,血液疾患,感染症,悪性腫瘍など
  • 低値 ADA欠損による重症複合免役不全症,癌性胸膜炎など

胸水中のADAが高値(例:40-50U/L以上)なら結核性胸膜炎の可能性が高い
ADA 60U/Lをカットオフとすると感度95%,特異度96%(Chest. 1999;116:97-103
ただし胸水のリンパ球優位が必須条件好中球優位ならADA上昇でも細菌感染を疑う

(投稿者 川崎)

2021-11-03

全身性若年性特発性関節炎 sJIA (Systemic juvenile idiopathic arthritis)

  • 16歳未満に発症した原因不明の6週間以上持続する慢性の関節炎(JIA)の全身型
  • JIA中で最多の病型で全国に約8000人/男女比はほぼ同数で平均発症年齢は5.1才
  • JIAの他の型は少関節型や関節型,乾癬性関節炎,付着部炎関連関節炎,分類不能
  • 診断基準はEdmonton改訂ILAR分類基準2001(下表)や日本リウマチ学会基準など
  • 症状は高熱・関節炎・皮疹を中心にリンパ節腫脹,肝脾腫,漿膜炎などが加わる
  • 治療はパルス療法を含むステロイドや血漿交換,トシリズマブ(アクテムラ®)他
  • 一部はマクロファージ活性化症候群へ移行して多臓器不全などで死亡(10~20%)
  • 採血で白血球増多(左方移動のない好中球増多),貧血,CRPやフェリチンの高値
  • 鑑別は感染症やウイルス性血球貪食症候群炎症性腸疾患,腫瘍,自己炎症症候群



💁 小児に関する過去の投稿 ➜ コチラ
still スティル
(投稿者 川崎)

2025-10-03

日本内科学会 第249回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題5 中年期に診断された下垂体茎離断症候群の1例
  • 造影MRIで下垂体茎の離断、前葉の低形成、異所性後葉を認め、周産期異常に関連した下垂体茎離断症候群(PSIS)と診断した。原因として、周産期異常、頭部外傷や手術による機械的な下垂体茎の断裂、下垂体の胎生期の発生異常などが関係する可能性が考えられている。発症率は約0.5/10万人で、出生に伴うPSISは0.5/100万出生と極めて稀である。※PSIS=Pituitary stalk interruption syndrome

演題10 虚血性心筋症と診断されていたが中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)と判明した1例
  • 経過中のLDLコレステロール値は50mg/dl前後で管理していたが短期間で冠動脈病変の著しい進行が認め、虚血性心筋症以外を疑いBMIPP心筋シンチ施行した所、Wash out rate 7.7%と低下認め、TGCVと診断した。TGCVは、2008年に提唱された新規疾患概念であり、細胞内の中性脂肪(TG)分解が障害され、難治性心不全、びまん性冠動脈疾患、心室性不整脈等を呈する循環器病の仮面をかぶった代謝病である。※TGCV=Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy

演題129 ジスチグミン臭化物によるコリン作動性クリーゼをきたした1例
  • 神経因性膀胱に対してジスチグミン臭化物5mg/日を10年前より内服していた。入院2日前より下痢を認め、入院当日より湿性咳嗽、排痰困難、多量の気道分泌物を認め、当院へ救急搬送された。ジスチグミン臭化物(ウブレチドなど)によるコリン作動性クリーゼは内服開始2週間以内に発症することが多いが、長期内服中に脱水や腎機能低下を契機に発症することもある。

演題131 HFNCによる100%酸素吸入法によって, シャント率の測定を行った肝肺症候群の1例
  • 経胸壁心エコーでは肺高血圧の所見はなく、バブルテストで 6,7心拍後に左房に大量のバブル流入を認め、肺内シャントが示唆された。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィ・肺動脈造影CT検査で他疾患の除外を行った。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィに加え、high-flow nasal cannula(HFNC)を用いた100%酸素吸入法によってシャント率を測定し、いずれも同等な値であった。HFNCを用いた100%酸素吸入法は、低侵襲な検査であり、利便性の点から有用であると考えられた。

演題155 SACIテストが局在診断に有効であったインスリノーマの1例
  • 造影CTで膵臓に早期濃染を伴う1cm台の腫瘤性病変を認め、EUSで膵頭体移行部に低エコー域を認め、EUS-FNAでクロモグラニンA、シナプトフィジン陽性細胞を認め神経内分泌腫瘍に矛盾しない所見であった。SACIテストでは脾動脈近位でグルコン酸カリウム注入前後でインスリン濃度が3.24倍に上昇したため膵中央部切除術を行う方針となった。※SACI=selective arterial calcium injection=選択的動脈内カルシウム注入法

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2018-08-30

膿瘍とMRI拡散強調画像

拡散強調画像(Diffusion-weighted imaging: DWI)で高シグナルと言えば・・・
  1. 急性期脳梗塞(細胞性浮腫による拡散能低下)
  2. 膿瘍(膿汁の高い粘稠度による拡散能低下)
  3. 充実性腫瘍(高い細胞密度による拡散能低下)
(肝膿瘍: a, T2: b, 造影T1: c, DWI: d, ADC map/ECR2014 C-1051より)

(投稿者 川崎)

2020-09-18

画像レポートの診断に”lymphocele”って書いてありました

  • リンパ嚢腫/límfəsìːl(リムフォスィール)/実際の音声
  • 別名はリンパ嚢胞/英名ではlymphatic cyst,lymphocyst
  • その定義は上皮を欠いた嚢胞内にリンパ液が貯留した状態
  • 術後(特に骨盤)合併症として後腹膜に発生することが多い
  • 発生率は悪性腫瘍手術で婦人科 2-32%,泌尿器科 0.7-27%
  • 症状は通常は無症状〜圧迫症状(不快感や頻尿),感染など
  • 無症状なら放置/嚢胞開窓術や穿刺ドレナージ,硬化療法他



🉐 関連投稿(風変わりな嚢胞編)

(投稿者 川崎)