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2025-03-02

眼科用マイクロジアテルミー

  • 先日,眼科から循環器内科に「ICD(植込み型除細動器)を有する症例の白内障術前コンサルト」がありました

👀 眼科用マイクロジアテルミー
  • ジアテルミー(diathermy)とは日本語では透熱療法と訳され,高周波電磁流や電気を用いて,体の組織に熱を発生させる治療法
  • 眼科手術で,患部組織を凝固・止血する装置である.白内障だけでなく,網膜剥離術や緑内障術,など広範囲な手術に適応できる
  • 禁忌・禁止:埋め込み型ペースメーカー及び埋め込み型除細動器を使用している患者にコアギュレーション機能を使用しないこと


(製造販売企業:有限会社田川電気研究所)

😑 コメント
  • 本症例の手術は他の理由で中止になりましたが,今後の対策は必要です.ガイドライン中のジアテルミーに関する記載は一ヵ所で,「マイクロ波ジアテルミーの使用は避ける」のみです(P 14).ペースメーカの誤認に加えて,ジアテルミー自体が心室細動を誘発した症例報告もあり(J Innov Card Rhythm Manag 2021;12:4410–2).
  • 内視鏡ジアテルミーなどは比較的安全と考えられているようですが(Endoscopy 1998;30:544-7),やはりペースメーカを植込んでいる症例ではジアテルミーの使用は避けた方がよさそうです.(おまけ:歯科領域の超音波スケーラーも同様にペースメーカ禁忌とされていますが,実際には使用されていることが多いと思われます ➜ 過去の投稿

(投稿者 川崎)

2020-02-23

眼科領域の造影剤

  • 眼科疾患に対して用いられる造影剤(色素)にはフルオレセイン注射薬とインドシアニングリーン注射薬がある
  • いずれも静脈投与した後に特殊フィルターを通した光で観察すると蛍光発色するため詳細な蛍光眼底造影が可能
  • インドシアニングリーン(lndocyanin Green; ICG)はヨウ素を含有するためヨード過敏症例では禁忌(医薬品情報
  • 一方,フルオレセイン注射液はヨード非含有であるため医薬品情報にもヨードに関するコメントは記載されていない
  • フルオレセインは糖尿病網膜症など多くの網脈絡膜疾患,インドシアニングリーンは加齢黄斑変性などで有用

😜 関連投稿(造影剤編)

(投稿者 川崎)

2023-05-15

網膜硝子体手術 Vitrectomy (surgery)

  • 眼の硝子体〜網膜疾患に対する手術(通常局麻で20分〜1時間)
  • 強膜に設置したトロッカーから器具を眼内に挿入して行われる
  • 黄斑上の膜除去や内境界の膜剥離など高度な熟練を要する手術
  • 合併症は感染症や網膜剥離,角膜障害,緑内障,黄斑浮腫など
  • 手術装置の進化に伴い(下図)手術を行う施設や術者が増加中


主流の小切開硝子体手術(micro incision vitrectomy surgery: MIVS

💁 眼科に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-02-21

指数弁・手動弁・光覚弁

👀 視力が0.01未満の評価法
  1. 指数しすう弁 ➜ 検者の指数を正答できる最長距離(例:1m/指数弁や30cm/指数弁)
  2. 手動弁 ➜ 検者の手掌を眼前で上下左右に動かしたときに方向を弁別できる視力
  3. 光覚こうかく弁 ➜ 暗室において被検者の眼前で照明を点滅させ明暗が弁別できる視力
※明暗がわからない状態は医学的に もうと判定

👓 視力検査アレコレ
  • 日本の視力表記は1.0や0.5ですが,米国では20/20や20/40です.ただし分数にしているだけで,少数にすれば同じです.また米国では1.0を正常としてそれ以上(1.5や2.0など)は調べないようです.例:私の視力は正常です "I have twenty-twenty vision."
  • 日本で視力検査に用いられるランドルト環(C字型の環)は,スイスの眼科医 Jacques Rodolphe Edmund Landolt(1846-1926)が提唱しました.他にオランダの眼科医 Herman Snellen(1834–1908)が提唱したスネレン環などもあります.

(投稿者 川崎)

2021-12-07

シルマーテスト Schirmer test

  • 涙量を調べて涙液分泌機能を評価する方法(ドライアイやシェーグレン症候群などで実施)
  • ドイツの眼科医 Otto Schirmer (1864-1918) が開発 (Arch Klin Exp Ophthalmol 1903;56:197)
  • 両眼の下瞼に専用の試験紙(1mm幅の目盛りの付いた短冊状濾紙)を置き湿った長さを測定
  • 5分間放置して10mm以上の場合は涙液分泌機能が正常で,5mm以下なら分泌量が低下と診断

Wikipedia

 👀 おまけ
  • シルマーテストは必ずしも涙液分泌機能を正確に反映しないため,他の検査(例:ローズベンガルテスト=染色液で眼表面の傷を染めてドライアイの重症度を判定)を併用することもあるようです.
  • しかしシルマーテストは簡便性にとてもすぐれている検査で,現在でもシェーグレン症候群の改訂診断基準(厚生労働省研究班・1999年)に含まれています(5分で5mm以下).

💁 眼科の関連投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-01-09

今週の一枚 🎯

腎機能が悪化した症例(Cr 1.4 → 4.5 mg/dl)


(投稿者 川崎)

2017-12-18

マルケサニ症候群

低身長,短指症,関節拘縮などの身体的特徴を有する常染色体異常の遺伝子疾患
別名は逆マルファン症候群,ワイル-マルケサニ症候群,Weill–Marchesani syndrome

1932年にフランス眼科医マルケサニ,1939年にオ-ストリア眼科医ワイルが個別に報告
Weill G. Ann Ocul 1932;169:21-44/Marchesani O. Klin Mibl Augenheilkd 1939;103:392-406

🙊 マルファン症候群は コチラ

(投稿者 川崎)

2023-03-31

テルソン症候群 Terson syndrome

  • くも膜下出血(SAH)後の硝子体出血(原因に脳出血も含むことあり)
  • 発生頻度はSAHの8~19.3%,脳内出血の9.1%,外傷性脳損傷の3.1%
  • 原因は上昇した頭蓋内圧で自然軽快例も多いが手術を要する症例も有
  • 前交通動脈瘤や内頸動脈瘤に多く重篤例・再出血例に多く予後は不良
  • 由来は仏眼科医Terson(1900)であるが初報は独眼科医 Litten(1881)


Terson’s Syndrome
💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能)

(投稿者 川崎)

2021-02-07

眼心臓反射 Oculo-cardiac reflex

  • 眼球付近(三叉神経)の刺激で不整脈(徐脈や心停止など)を生じる反射のこと
  • 眼球への刺激中止で改善することが多いがアトロピンの静注を要することもある
  • 初報はAschnerの眼圧迫で橈骨脈拍消失?(Wien Klin Wochenscr 1908;21:1529-30)
  • 別名はアシュネル反射(Aschner reflex or phenomenon)やAschner–Dagnini reflex

👀 眼科に関する過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2021-11-09

🏆 論文

  • 当院の循環器内科に勤務されている車古先生が執筆した論文が出版されました
  • 人名が冠せられた複数のフィジカル所見を有した大動脈弁逆流症例の一例です
  • 網膜動脈の拍動であるベッカー徴候(Becker's sign)が美しく記録できました
  • 速脈(pulsus celer)を反映し大動脈弁逆流以外に甲状腺機能亢進などで出現


👀 おまけ
  • ベッカー徴候は有名な身体所見の割には,論文やYouTubeを検索しても動画を見つけることができませんでした.眼底動脈をムービーとして記録する方法が確立されていないことが一因かもしれません.
  • 本例ではOCTを撮影する装置のモニター画面をスマホで動画として記録しています(OCT像ではありません).世界初(?!)かもしれない動画なので,よければご覧ください ➜ ココのVideo 2をクリック
  • 眼底鏡でも眼底動脈のダイナミックな拍動がカラー像で観察できましたが,こちらはうまく記録できませんでした(接眼部とスマホカメラのピントが合わず 😥).協力していただいた眼科の皆様には本当に感謝

👿「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-04-26

アーガイル・ロバートソン瞳孔 Argyll Robertson pupil

  • 瞳孔の対光反射は消失しているが近見時の反射は保たれる状態(下図)
  • 古典的には神経梅毒に非常に特異的な身体所見として報告されてきた
  • 他に糖尿病や神経サルコイドーシス,慢性アルコール依存症,脳炎など
  • その正確な機序は不明であるが中脳の視蓋前核の両側性損傷の可能性?
  • スコットランドの眼科医 Douglas Argyll Robertson (1837-1909) に由来

Chainwit, Wiki

(投稿者 川崎)

2023-06-06

Chandler syndrome チャンドラー症候群

  • 角膜内皮の障害から角膜浮腫,虹彩萎縮,眼圧上昇を生じる眼疾患
  • 原発性進行性虹彩萎縮症(難治性緑内障から失明)の約50%を占める
  • 症状は視力低下や眼痛などで治療は点眼薬や手術(線維柱帯切除術)
  • 原因不明の後天性片側性疾患で女性に多く通常は中年期に発症する
  • 病名の由来は米国の眼科医である Chandler PA の1955年の初報() 


 無痛の進行性視力低下を訴える22歳のアジア系インド人女性(引用
(a) 末梢前癒着および正視に関連する鼻四分円の扇形角膜浮腫を示す右目の拡散照明で虹彩実質萎縮は最小限.
(b) 末梢前結合結節 (矢印) と隅角構造を覆い隠す膜の存在を示す右目の隅角鏡検査写真
(c) 虹彩のテントを示す角度の超音波生体顕微鏡スキャン
(d) ICE細胞と正常に見える内皮細胞の間の明確な移行を示す共焦点顕微鏡写真で,ICE 細胞は明暗反転・高反射核・非常に不規則な細胞配置によって特徴づけられる.

💁 眼疾患に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-05-16

翼状片 Pterygium

  • 強膜(白目)の表面にある結膜が角膜(黒目)に入り込んだ状態
  • 妙な病名はギリシャ語で“wing(翼)”を意味するpterygosが語源
  • 先頭pはサイレント/tərídʒiəm,タリジアム,実際の音声はコチラ
  • 鼻側(目頭)から三角形の進行が多いが,外側(目尻)からもある
  • 基本的に無症状で,進行すれば充血や異物感,視野・視力障害など
  • 原因不明(環境や遺伝?)/両側に出現し緩徐に進行する事が多い
  • 良性疾患で放置可能/自覚症状が強い場合は手術(約半数に再発?)


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(投稿者 川崎)

2025-08-30

論文 🏆

  • 近隣クリニックから当院へ紹介例が論文になりました
  • 労作時の動悸がありマスター負荷で2:1伝導ブロック
  • 心エコー図や運動負荷タリウム、ホルターに問題なし
  • その後に目薬(β遮断薬含む)の使用(片眼)が判明
  • 目薬の中止後は安定するも1年後に完全房室ブロック
  • なんと今度は両眼に点眼 → 中止後にブロックは消失
  • その後に眼科で閉塞 隅角ぐうかく緑内障に対して手術を実施

- 3度房室ブロックが出現時の心電図 -

😀 知識の整理
  • ベータ遮断薬を含む点眼薬の全身的な影響は,正常な心血管機能を有する個人では極めて軽微で無視できる.
  • しかし房室ブロックを呈した243症例の検討では,その内12症例でβ遮断薬を含む点眼薬を処方されていた.
  • 点眼薬の中止後この12例中7例では洞調律が回復したが,5例では最終的にペースメーカ植込み術を要した.
💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2021-04-30

マスクでマスク

NT-proBNP値の軽度上昇で受診した無症状の症例



(投稿者 川崎)

2023-03-14

ホルネル症候群(徴候) Horner's syndrome

  • 病態 上位の交感神経(主にC8~Th2)の障害で出現するの一連の症状
  • 症状 縮瞳,眼瞼下垂(眼裂狭小),眼球陥凹,顔面の発汗低下・紅潮
  • 命名 スイスの眼科医 ホルネル(Klin Monatsbl Augenheilk 18698;7:193–8)
  • 原因 腫瘍や動脈瘤の圧迫,神経根引き抜き損傷Wallenberg症候群など
  • 対応 画像検査+コカイン点眼試験などで診断して原因疾患に対する治療

甲状腺髄様癌の術後に生じたホルネル症候群(右側)

💁 交感神経に関する過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2020-12-12

網膜色素線条症

臨床現場 💨
  • 研修医「既往歴に網膜色素線条症があります」
  • 指導医「網膜色素線条症? なんじゃそれ? 網膜色素変性症じゃないの?」
  • 研修医「網膜色素線条症みたいですが…」

👀 網膜色素線条症 (Angioid streaks)
  • 概要 網膜のブルッフ膜の弾力線維に断裂が生じる眼疾患
  • 主因 常染色体劣性遺伝の弾力繊維性仮性黄色腫の一症状
  • 鑑別 骨パジェット病,鎌状赤血球症,鉛中毒,外傷など
  • 症状 無症状〜出血・血管新生による視野欠損や視力障害
  • 治療 出血や血管新生に対しレーザー治療(効果は不確実)
  • 予後 緩徐な進行であるが発症後は進行性で回復は難しい


黒矢印が網膜色素線条,白矢印が脈絡膜新生血管膜

🉐 眼科に関連する過去の投稿 ➜ コチラ (ウェブ版なら右欄の分類からも検索可能)

(投稿者 川崎)

2022-07-05

星状硝子体症 🌟 Asteroid hyalosis

  • 硝子体に黄白色の反射粒子が出現する病態で,ヒト以外にも犬や猫などにも生じる
  • 頻度は0.8〜2.0%で加齢に伴い増加/原因不明で糖尿病や高血圧,脂質異常と関連
  • 主な成分はカルシウムとリン酸塩あるいはリン脂質からなるヒドロキシアパタイト
  • 通常,無症候性で視力に深刻な影響を与えることが少ないため積極的な加療は不要
  • 初報はBensonで"asteroid hyalitis"と表現(Trans Ophthalmol Soc UK 1894;14:101–4



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(投稿者 川崎)

2020-07-27

Raccoon Eyes アライグマの眼

  • 眼窩周囲の紫斑で別名はパンダの眼(🐼 panda eyes)や眼周囲のあざ(black eyes)
  • 両側であれば外傷性の頭蓋骨骨折時(特に頭蓋底骨折を含む)に関連する事が多い
  • 他に眼窩底骨折やアミロイドーシス,播種性神経芽細胞腫,鼻形成術後などで出現


🉐 関連投稿眼科 👀(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-01-20

皮質盲 Cortical Blindness

概要
  • 眼科的原因によらない後頭葉の線条皮質の両側性病変による正常な瞳孔対光反射を伴う視力喪失.診断は下記の表で,例えば卒中患者での発生率は20~57%.治療は原疾患に対する治療を行い,その予後も原疾患より異なる.
原因
  • 小児では外傷性脳損傷・後頭葉の先天異常・周産期虚血,成人では脳卒中・塞栓症・外傷・後頭葉てんかん・低ナトリウム血症・低血糖・クロイツフェルト・ヤコブ病・感染症(HIV他)・子癇・MELAS・高血圧性脳症・PRES


💁 皮質に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)