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2024-08-31

2ヒット仮説 Two-hit hypothesis

  • ほとんどの腫瘍抑制遺伝子は表現型の変化を引き起こすため,がん発生には突然変異などで両方の対立遺伝子が不活性化される必要があるという仮説.
  • 米国のがん専門医 Alfred George Knudson, Jr.(1922–2016)が1971年に提唱()したため,Knudson hypothesis(クヌードソン仮説)とも呼ばれる.
  • 最近ではがん以外にも多くの疾患で2ヒット仮説の関与が疑われています(例えば拡張型心筋症や周産期心筋症など:Circulation 2021;143:1852-62


(投稿者 川崎)

2024-08-30

野兎やと病 Tularemia

  • 概略 野兎病菌(Francisella tularensis)による急性熱性疾患(動物由来)
  • 循環 マダニ類などの吸血性節足動物を介して主にノウサギや齧歯類など
  • 人間 保菌動物の剥皮作業や肉の調理の際に菌を含む血液や臓器に接触
  • 分布 北米,北アジア,ヨーロッパなど北緯30度以北の北半球に広く発生
  • 日本 1994年までの間に合計1,372例の報告(2000年以降の報告はなし)
  • 潜伏 感染後3日目がピークで1週間以内(稀に2週間~1カ月のこともあり)
  • 症状 突然の発熱(38~40℃),悪寒戦慄,頭痛,筋肉関節痛など感冒症状
  • 局所 侵入部位に関連した所属リンパ節の腫脹,膿瘍化,潰瘍,疼痛など
  • 診断 病原体の分離・同定,DNAや菌体抗原の検出,血清中の特異抗体検出
  • 治療 硫酸SM 1g/日(or GM)筋注+TC 1g/日・分4(or MINO )経口2週間
  • 届出 全数報告対象(4類感染症)で診断した医師は直ちに最寄りの保健所



💁 人畜・人獣に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能)

(投稿者 川崎)

2024-08-29

今週の一枚 🎯

利尿薬抵抗性の下腿浮腫を訴える症例

✋ 末梢表在静脈の怒張
  • 机上で手背静脈が怒張 ➜ 中心静脈圧上昇?
  • ただし第二関節(PIP関節)に皺 ➜ 脱水?
  • 挙上(心臓より上)で手背静脈の怒張消失
  • いわゆる座位アンサム徴候は陰性と判断
  • 本例の最終的な診断は肺高血圧(CTEPH
😀 コメント
  • 末梢表在静脈は静脈弁や筋肉の影響などで,頚静脈ほど中心静脈圧を正確に反映しないと思われています(多分).
  • しかし末梢静脈圧と中心静脈圧を侵襲的に同時測定した研究では両者の差はわずか<1 mmHgでした(過去の投稿
  • 本例では利尿薬である程度コントロールされた肺高血圧の病態を,末梢静脈が比較的忠実に反映していたと思われます.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-08-28

患者さん「数えで卒寿になりました」

  • 数え年 ➜ 生まれた時点で1歳で正月が来る毎に年が増加
  • 満年齢 ➜ 生まれた時点は0歳で誕生日が来るたびに増加

  • かっては東アジア諸国では数え年が用いられていたが,現在は国際的な満年齢が多い.日本でも1950年に法律によって満年齢を用いることが決められた.よって長寿の祝いは現在では満年齢を用いる.韓国は数え年を採用する数少ない地域であったが,2022年12月ついに満年齢で統一する法案が可決された.
Mshron: CC BY-SA 4.0)

👚 祝い年とちゃんちゃんこの色
  • 還暦(60歳)➜ 赤色
  • 古希(70歳)➜ 紫色
  • 喜寿(77歳)➜ 紫色
  • 傘寿(80歳)➜ 黄色
  • 米寿(88歳)➜ 黄色
  • 卒寿(90歳)➜ 紫色
  • 白寿(99歳)➜ 白色
  • 百寿(100歳)➜ 桃色

(投稿者 川崎)

2024-08-27

アレキシサイミア Alexithymia

  • 失感情症:自分の情動の状態を知ること (気づき) の障害
  • ハーバード大学医学部教授である Sifneos PE らが提唱 ()
  • ギリシャ語の a (非),lexis (言葉),thymos (感情)の組合せ
  • 感情に言葉がない (no words for feeling) という意味の造語
  • 自分の気持ちや思いに注意を向けたり,話そうとはしない
  • 自分の生活状況や仕事環境は客観的に回りくどく説明口調
  • 「その時どんな気持ちでしたか?」の質問で会話が途絶える
  • 情動的な刺激で活動する“扁桃体”の反応低下が知られている
  • 類似語にアレキソミア (失体感症:内受容感覚の障害) あり
  • アレキソミアはアレキシサイミアにも繋がり心身症の一因


- 感情の構成論的な理解とアレキシサイミア・アレキソミア -

💁 感情に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右下欄からも選択可能)

(投稿者 川崎)

2024-08-26

ついにデータが...

  • 心臓アミロイドーシスでは左室肥大を呈するにも関わらずⅣ音(S4)があまり認められません.おそらく心房筋にもアミロイドが沈着して心房の機能が低下しているためと考えられます.ただしいずれもエキスパートオピニオン 😐
  • 今回,高知大学の山崎先生らのグループがこの問題に対する自験例での解析結果を報告されました(ESC Heart Fail 2024 Aug 1. Online ahead of print).とても素晴らしい臨床研究なので本コンテンツにもアップしておきます😁

  • 対象 心音図を施行したATTRwt-CM患者76名(平均80歳)を後向きに評価
  • 方法 S4あり洞調律(SR),S4なしのSR,非SRの3群の臨床背景と予後を検討
  • 結果 SR患者でS4あり例はS4なし例よりBNPが低値で左房の収縮機能が保持
  • 予後 S4なしSR例は他2群と比較し短期予後不良(一般化ウィルコクソン検定)
  • 結論 S4の欠如(SR患者の53%)はATTRwt-CM患者の短期予後不良の前兆



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(投稿者 川崎)

2024-08-25

結節性紅斑(Erythema nodosum: EN)

結節性紅斑は皮下の脂肪織炎で脛部に圧痛性の結節を生じることが多い.その原因は多岐にわたり様々な覚え方が提唱されている(どこで見たかは忘れたので引用できず 😓 スイマセン)

Erythema nodosum(病名そのまま)
  1. NO cause found in 60% of cases
  2. Drugs (antibiotics e.g., sulfonamides, amoxicillin)
  3. Oral contraceptives(避妊薬)
  4. Sarcoidosis or Löfgren's syndrome
  5. Ulcerative Colitis, Crohns, Bechet's
  6. Mycobacterium(結核) or Maternity(妊娠〜出産)

Bedrest (床上安静は治療のひとつ)
  1. Behçet
  2. Estrogen(妊娠)
  3. Drug
  4. Recent infection
  5. Enteropathies(炎症性腸疾患)
  6. Sarcoidosis
  7. Tuberculosis/tumor

Sore shins causes(スネが痛い原因)
  1. Streptococcal infections
  2. OCP(瘢痕性類天疱瘡)
  3. Rickettsia
  4. Eponymous (Behçet)
  5. Sulfonamides
  6. Hansen's disease (Leprosy)
  7. IBD, idiopathic
  8. NHL
  9. Sarcoidosis 
  10. Cutaneous Tuberculosis

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-08-24

AIDPエーアイディーピーとアマン

👥 先日のカンファレンスから
  • 指導医A 「AIDPとアマンがあり,フィッシャーを入れることもある」
  • 指導医B 「AIDP? アマン?」(研修医が理解していたか否かは不明)

📪 概略
  • ギラン・バレー症候群(GBS)の二大病型で電気生理所見から分類可能(GBSの診断自体には不必要).もっともAIDPとAMANの臨床的な差は僅かであるため臨床像からの鑑別は難しい.両者の治療法も区別されていないため,その病型分類に臨床上の大きな意義はないと考えられている.

📫 AIDP
  • 脱髄型でacute inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathyの略.運動神経神経軸索と先行感染因子(キャンピロバクター)に発現するガングリオシド GM1,GD1aとの分子相同性による発症.初期病変はランビエ絞輪部Naチャネルの分散と傍絞輪部ミエリンの離開による微細変化(nodopathyという呼称が提唱)で,神経伝導の安全因子が低下して非脱髄性伝導ブロックが生じる.

📬 AMAN
  • 軸索型でacute motor axonal neuropathyの略.多くは抗GM1抗体などの抗ガングリオシド抗体等の自己抗体が検出される.ランビエ絞輪部の軸索膜表面に補体沈着が起こることが知られ,軸索膜上のガングリオシドを標的とした免疫反応が一次病変であると考えられている.

📭 おまけ
  • Fisher症候群(外眼筋麻痺,運動失調,腱反射消失を三徴とする特異な症状)はヒト神経系におけるGQ1bの発現によって規定され,GBSの亜型とすることもある.現在ではビッカースタッフ脳幹脳炎は中枢病変を伴うフィッシャー症候群としてとらえられている.



(投稿者 川崎)

2024-08-23

酷暑もあと少し?

虚血性心疾患でフォロー中の症例(座位)

😊 解説
  • 外頚静脈を明瞭に視認(矢印) ➜ 静脈圧上昇?
  • ネックックーラーを外すと外頚静脈は視認不能
  • 深吸気負荷で内頚・外頚静脈ともに視認できず
  • フィジカル所見から心不全状態ではないと判定
  • 自覚症状はなく予定採血のBNP値も正常範囲内
  • 最終的に首掛けクーラーによる偽陽性と考えた
👔 ネッククーラー
  • このneck coolerがいつ頃から使われているのか知りませんが(首かけ扇風機よりは後発?),今年は特に見かけるようになりました.保冷剤による冷却効果だけではなくて,冷却プレートへの通電で直接冷やすタイプもあるようです.
  • 本症例には心不全の既往はなかったのですが,今までなかった外頚静脈が目立ち「あれっ?」と思いました.しかしネッククーラをしたままで吸気負荷を追加したら外頚静脈は見えなくなりました(上記動画には含まれていません).
  • 長い歴史をかけて磨き上げられた身体所見ですが,時代とともにアップデートしていく必要があります.コロナ禍以降は診察室でもマスク装着がスタンダードになったため,それを加味した判定などです(一例:マスクでマスク

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(投稿者 川崎)

2024-08-22

今週の一枚 🎯

嘔吐の翌日に酸素飽和度が低下した高齢者

🔍 解説
  • 右下肺野に透過性の低下あり(肺炎の疑い)
  • 心陰影と重なるガス像(内部に隔壁あり!
  • 数年前の所見では胃泡(食道裂孔ヘルニア)
  • 今回は大腸滑脱の疑い(後にCTで結腸確認)
  • 最終診断はイレウスに合併した誤嚥性肺炎
🐤 独り言
  • 本例に発熱(37.5度以上)はなかった.しかし誤嚥と酸素飽和度の低下,胸部X線で下肺野に浸潤影などから誤嚥性肺炎の診断は難しくない.
  • 本例の嘔吐の原因は糞便イレウスと考えられた.明らかな腹部症状はなかったが,胸部X線の注意深い読影からイレウスも予想可能と思われる.
👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)