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2018-04-30

ファセンラ皮下注30mgシリンジ

ファセンラ(ベンラリズマブ)は、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤である。
好酸球の細胞表面に発現するIL-5受容体αサブユニットに特異的かつ高親和性で結合し、IL-5の好酸球に対する作用を抑制する。また、糖鎖からフコースを除去する技術によりNK細胞を誘導し、ADCC活性(抗体依存性細胞傷害活性)を介して直接的に好酸球を除去する。血中、喀痰、気道中の好酸球を除去することが示されている。
喘息治療剤としては、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤ゾレア(オマリズマブ)、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体製剤ヌーカラ(メポリズマブ)に次ぐ、3つ目のモノクローナル抗体製剤。


【効能・効果】
気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
【用法・用量】
1回30mgを、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射する
【特性】
ADCC活性による好酸球除去
⇒NK細胞が血中好酸球を完全に除去し、喀痰中好酸球を投与12週後に中央値で0%にした
  • 喘息増悪の抑制:日本人患者における年間喘息増悪率をプラセボに対して83%有意に抑制した
  • 経口ステロイド薬の減少:経口ステロイド薬の1日用量を75%減少させ、さらに喘息増悪も減少させた
  • 呼吸機能の改善:早期にFEV1を有意に改善したことに加え、PEF、ACQ-6も投与2週目で有意に改善した
【投与が検討される患者】
  • 血中好酸球150/μL以上かつ年間増悪回数が2回以上の患者
  • 血中好酸球150/μL以上で経口ステロイド薬を連用している患者

(投稿者 小森)

Beer potomania

Potomania【pɒtə(ʊ)ˈmeɪnɪə】=excessive consumption of water (Oxford dictionary)≒水の過剰摂取
  • ビール多飲かつ経口摂取(塩類や蛋白質)の減少による低ナトリウム血症を生じた病態
  • 特徴は低張尿で尿ナトリウム濃度は10mEq/L未満かつNaCl静注への反応は良好
  • 初報はDemanetら(Coma due to water intoxication in beer drinkers. Lancet 1971;7734:1115-7

1日2~5Lのビール飲酒で発症するようです(Clin Nephrol 1996;45:61-4
🍺 症例報告(ビールではなくて日本酒ですが・・・) ➜ 日内会誌 2003;92:2250-2

(投稿者 川崎)

2018-04-29

オーストリアン症候群 Austrian Syndrome 

肺炎球菌Pneumococcus/Streptococcus pneumoniae)による肺炎・髄膜炎・心内膜炎を同時に呈する病態
米国の感染内科医Robert Austrian (1916–2007)が初めて報告した(AMA Arch Intern Med 1957;99:539-44
  • 背景 中年男性,多量飲酒,肝機能障害,薬物乱用,脾摘後などに多い
  • 予後 死亡率17.7%,重篤な後遺症23.8%,外科的治療(弁置換)60%

😎 Austrianって言うけど人名であってオーストリア(Austria)とは関係ないみたい

参考文献) 神経治療学 2017;33:550-4

(投稿者 川崎)

2018-04-28

ロキタンスキー憩室 Rokitansky diverticulum

食道憩室の1つでドイツの医師・哲学者・政治家 Baron Carl von Rokitansky (1804–1878)が報告
(自験例:食道の前方にある窪み)

部位 解剖原因 特徴
ツェンカー憩室咽頭と食道の接合部輪状咽頭筋の後方に突出する仮性憩室圧出性食物貯留による口臭の原因
ロキタンスキー憩室気管分岐部真性憩室縦隔の炎症などによる牽引広い入口部とテント状の形態
横隔膜上憩室胃と食道の接合部仮性憩室圧出性アカラシアやびまん性食道痙攣を伴いやすい

🐧 食道憩室は基本的にはいずれの憩室でも無症状で臨床上問題になることは少ない

(投稿者 川崎)

2018-04-27

国試の表紙にある例題3

【問題3】医師法に規定されているのはどれか。3つ選べ。






判定

(投稿者 川崎)

2018-04-26

三次予防

一次予防
  • 疾病の発生を未然に防ぐこと(生活習慣の改善や学校健診,予防接種など)

二次予防
  • 疾患を早期発見・治療し重症化を防ぐこと(肺癌検診や人間ドックなど)

三次予防
  • 疾病の発症後における再発予防と社会復帰(リハビリテーションなど)

(投稿者 川崎)

2018-04-25

3% 食塩液

低ナトリウム血症の補正時に必要(補正速度は コチラ へ)

作り方
  1. 生理食塩水500mlのボトルから100mlを破棄する
  2. 残った生食400mlに食塩注(10%)20mLを6A追加

👶 おまけ 溶血を起こさない浸透圧 ➜ 食塩水なら ブドウ糖液なら 

(投稿者 川崎)

原発性アルドステロン症と採血条件

診断には血漿レニン活性と血漿アルドステロン濃度が重要
ただし測定時には各種降圧薬の影響を考慮する必要があり


基本的臨床能力評価試験(2017年度)にも同様の問題が出題されている ➜ 問題54

ポイント
  • β遮断薬,利尿薬,アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトンやエプレレノン)は中止
  • 上記薬剤の中止後に血圧管理が必要な場合はCa拮抗薬あるいはα拮抗薬を用いる
  • 偽陰性を生じる薬剤は多いが,偽陽性を生じる薬剤はβ遮断薬のみと考えられる

👴 詳しく知りたい方 ➜ 原発性アルドステロン症診療の進歩
👻 漢字は常に難しい ➜ 疑陽性 vs 偽陽性 vs 擬陽性
二次性 高血圧
(投稿者 川崎)

2018-04-24

一見矛盾 : カテコラミンとベータ遮断薬の併用

有効性が無作為試験などで確立されてている訳ではないが臨床現場ではしばしば行われる
  • 重症心不全症に対してカテコラミンを併用しながら新たにベータ遮断薬の導入を試みる
  • 慢性心不全の増悪時に内服中のベータ遮断薬を継続しながらカテコラミンを併用する

(猪又孝元先生・北里大学循環器内科 心臓 2007;39:88-91

(投稿者 川崎)

アロプリノールの適応疾患

若手医師 「尿酸値が高いためアロプリノールをはじめました」
指導医師 「高尿酸血症はアロプリノールの適応疾患じゃないよ」
若手医師 「?」



アロプリノール(例:ザイロリック®)の【効能・効果】
  • 下記の場合における高尿酸血症の是正
  • 痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症

中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)や皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)が稀ながら生じるため安易な処方は慎みたい(特に腎機能や肝機能障害を伴うとき)(J Invest Dermatol 2008;128:35-44

(投稿者 川崎)

2018-04-23

低Na血症の補正速度

  • 急激な血漿浸透圧の上昇 ➜ 脳細胞内の水が細胞外に移動 ➜ 脳細胞萎縮浸透圧性脱髄症候群(osmotic demyelination syndrome:ODS)
  • 特に橋の中心部分で生じやすい=橋中心脱髄症候群(central pontine myelinolysis:CPM)=T2強調画像で高シグナル


📌 ポイント 📌 
  • 今回の当院の症例は水中毒による低Na血症であったため安易なNa投与はリスクが高い
  • 血漿浸透圧や尿浸透圧はオーダーしても至急で結果が判明しない(特にERや休日など)
  • 尿浸透圧の推定式を用いて尿浸透圧>100mOsm/Lを確認し水中毒を否定しておくこと

詳しく知りたい方 ➜ 水・ナトリウム代謝異常.日内会誌 2015;104:906-16

💉 3%食塩水の作り方 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

グラム染色クイズ

関節炎が疑われる症例の関節液沈渣のグラム染色(強拡大 x1000)



(投稿者 川崎)

2018-04-22

テリー爪とリンジー爪

Terry’s Nails
  • 爪床の乳白色部が80%まで増加し遠位端の0.5-3mmのみピンク色(Lancet 1984;323:896-9
  • 肝疾患に加えて,腎疾患,心不全,糖尿病,甲状腺機能亢進症,栄養不良でも認められる
  • 英国の医師 R. Terry が肝硬変に伴う所見として最初に報告した(Lancet 1954;266:757-9

Lindsay’s Nails
  • 爪床の乳白色部が20~60%ならLindsay’s nail (half-and-half nail) と呼ばれてる
  • 米国の医師 Philip G. Lindsay が初めて報告(Arch Intern Med 1967;119:583-7
  • 爪遠位部のβメラノサイト刺激ホルモン蓄積が原因と考えられ慢性腎疾患と関連

(投稿者 川崎)

2018-04-21

発表 & 受賞

先週,京都で第115回日本内科学会総会・講演会が開催されました
医学生・研修医ことはじめで当院から3名の研修医の先生方が発表

左から室谷先生,宮本先生,羽生先生(演題番号順)

室谷昌俊先生は優秀演題賞,指導の岡田博史先生が指導教官賞を受賞(本当におめでとうございます 🎊)

(投稿者 川崎)

修正Valsalva ⼿技

発作性上室頻拍を停止する手技の有効性(Lancet 1988;1:1181-5
  • Valsalva手技(息こらえ) 54%
  • 右頸動脈マッサージ 17%
  • 左頸動脈マッサージ 5%

27年後に修正Valsalva⼿技が発表された(Lancet 2015;386:1747-53
  • 方法 45度半座位でValsalva⼿技15秒直後に仰臥位にして下肢挙上(静脈還流量を増加)
  • 結果 1分後の洞調律復帰率:従来Valsalva⼿技17%,修正Valsalva⼿技43%(p<0.0001)

💓 論文にリンクされた動画 ➜ コチラ

※論文でのValsalva手技はチューブを口にくわえて40mmHgの圧で呼気を15秒継続(推奨代替案は10mlシリンジの先端をくわえて内筒を15秒で押し出し)
バルサルバ ヴァルサルバ
(投稿者 川崎)

2018-04-20

交感神経系とリンパ球

院外の心原性心肺停止から蘇生した症例でリンパ球数が増加していた
  • 医師M 「アドレナリンなどでリンパ球は上昇しますか?」
  • 上級医 「・・・ゴメン,知らない」



カテコラミン導入後の反応

※リンパ球 ➜ T細胞,B細胞,ナチュラルキラー(NK)細胞など
※カテコラミン ➜ ドーパミン,ノルアドレナリン,アドレナリンなど

👽 リンパ球数が減少する機序にはβ2アドレナリン受容体が関与しているようです

(投稿者 川崎)

2018-04-19

蘇生後の低体温療法

15年以上以前に低体温療法に関する2つの無作為臨床比較試験が報告された
対象は院外心臓性心停止で蘇生後も昏睡状態の症例で結果はいずれも有効

しかし数年前に同誌に報告されたTTM trial (N Engl J Med 2013;69:2197-206) にも要注目
  • 対象 心原性と推定される院外心停止後に意識のない成人950例
  • 方法 体温目標を33℃と36℃(復温含み計36時間)に無作為割り付け
  • 判定 180日時点の死亡や神経機能障害の程度,重篤な有害事象
  • 結果 両群間で有意な差はなし(既知の予後因子について補正後)
  • 結論 低体温療法の目標体温33℃は36℃と比較して利益を認めず

体温管理の維持期間を比較した初の無作為臨床比較試験も大切(JAMA 2017;318:341-50
  • 対象 心原性と推定される院外心停止後に意識のない成人355例
  • 方法 体温設定33℃で24時間持続と48時間持続に無作為割り付け
  • 結果 生存期間あるいは半年後の生死は両群間で有意差に至らず
  • 結論 設定体温33℃では24時間から48時間まで延長しても改善なし

👴 蘇生後に意識障害が遷延する症例に対する低体温療法の方法(至適温度と継続時間)はまだ確立されていないようです

(投稿者 川崎)

グラム染色

施設入所中に肺炎を発症した高齢者の喀痰グラム染色(強拡大 ×1000倍)
  • 驚くほど多数のグラム陰性桿菌とグラム陽性球菌,好中球による貪食像を認めた
  • 培養検査で,各々の細菌はESBL産生大腸菌とγ溶血(非溶血)の連鎖球菌と確定

本例では介護施設関連肺炎であるため当初からESBL産生の腸内細菌科細菌を疑いメロペネムで治療を開始した
➜ 当院のアンチバイオグラムから判断するESBL産生菌で使用可能な抗菌薬は コチラ からどうぞ 💊

(投稿者 川崎)

Ca拮抗薬のチャネル分類

降圧薬であるCa拮抗薬は従来からのL型Caチャネルに加えて,T型N型Caチャネルを阻害する種類がある


  • Nifedipine(先発品 アダラート®) 当院採用あり(ジェネリック)
  • Amlodipine(先発品 アムロジピン®) 当院採用あり(ジェネリック)
  • Efonidipine(先発品 ランデル®) 当院採用なし
  • Nilvadipine(先発品 ニバジール®) 当院採用なし
  • Azelnidipine(先発品 カルブロック®) 当院採用あり
  • Benidipine(先発品 コニール®) 当院採用あり(ジェネリック)
  • Cilnidipine(先発品 アテレック®) 当院採用あり(ジェネリック)

👻 独り言 👻
N型Caチャネル拮抗作用があると血圧低下に加えて交感神経抑制に伴う心拍数低下が期待できる
ただし心拍数抑制作用を有するベラパミル(ワソラン®)やジルチアゼム(ヘルベッサー®)はL型である

(投稿者 川崎)

2018-04-18

心電図クイズ

脳梗塞の既往がある症例の心電図




(投稿者 川崎)

誤嚥性肺炎 Aspiration pneumonia

  • サブスタンスPは迷走神経知覚枝から咽頭~気管の粘膜に放出され嚥下・咳嗽反射を誘発
  • 降圧薬のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬はサブスタンスPを分解する酵素の一つ

よってACE阻害薬を投与すればサブスタンスPの分解が阻害され嚥下が保たれ咳嗽が抑制されない
➜ 臨床現場ではしばしばACE阻害薬を誤嚥性肺炎の予防薬として処方(日内会誌 2010;99:2746-51

しかしこれらのデータは本邦からの報告が多く,ACE阻害薬の投与メリットがあるのは脳梗塞後のアジア人に限られるという海外のシステマティック・レビューあり(BMJ 2012;345:e4260

また台湾における全国調査ではロサルタン(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)と比較してACE阻害薬に肺炎と死亡の減少効果はなかった(J Hypertens 2015;33:634-42

    👄 口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症を減らし予後を改善することはシステマティック・レビューで示されている ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2018-04-17

    Orsiro stent オシロステント

    ドイツのBIOTRONIK(バイオトロニック)社製の薬剤溶出型冠動脈ステント(2018年3月1日から本邦で保険適用
    最大の特徴は60μmの薄いストラット+金属イオンの流出を抑制するprpBIOコーティーング+生体吸収性ポリマー

    (販売を担当する日本ライフライン株式会社HPより)

    多施設共同無作為化比較試験 BIOFLOW V でザイエンスに非劣性かつ有意性を示した😲(Lancet 2017;390:1843-52
    • 12ヵ月後の標的病変不全 ➜ オシロ 6% vs ザイエンス 9% (p=0.0399)
    • 12ヵ月後の心筋梗塞 ➜ オシロ 5% vs ザイエンス 8% (p=0.0155)

    ※オシロ シロリムス溶出型コロナリーステントシステム ➜ PMDA資料

    (投稿者 川崎)

    2018-04-16

    ニコルスキー現象 Nikolsky sign

    正常に見える皮膚に圧力をかけると表皮が剥離しびらんを呈する状態のこと
    ロシアの皮膚科医 Pyotr Vasilyevich Nikolsky (1858–1940) が1895年に報告

    陽性になる疾患
    • 中毒性表皮壊死症 Toxic epidermal necrolysis (TEN)
    • スティーブンス・ジョンソン症候群 Stevens-Johnson Syndrome
    • ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 Staphylococcal scalded skin syndrome (SSSS)
    • 尋常性天疱瘡 Pemphigus vulgaris
    • 落葉状天疱瘡 Pemphigus Foliaceus

    (投稿者 川崎)

    2018-04-15

    ACO症候群

    ACOAsthma and COPD Overlap/喘息とCOPDのオーバーラップ(症候群)
    喘息とCOPDの国際ガイドライン委員会が共同で提唱(各々 GINA & GOLD
    両疾患の合併は通常10~20%と考えられる(年齢とともに合併頻度は増加)

    病態
    • 気管支喘息 ➜ アレルギーが主因で,好酸球,マスト細胞,CD4陽性リンパ球などが関与した気道炎症
    • 慢性閉塞性肺疾患COPD ➜ 大部分が喫煙を契機とし,好中球,マクロファージ,Tc1細胞が炎症の中心

    診断
    • 喘息にCOPDを合併 ➜ 気道に非可逆的部分(固定性の閉塞性障害+気腫化による肺拡散能障害)
    • COPDに喘息が合併 ➜ 通常のCOPDの症状(労作時の息切れ)に加えて夜間~早朝の喘鳴や悪化

    治療
    • 喘息にCOPDを合併 ➜ 吸入ステロイド増量より気管支拡張薬(長時間作用性抗コリン薬など)を追加
    • COPDに喘息が合併 ➜ 閉塞性障害が軽度でも長時間作用性気管支拡張薬に吸入ステロイド薬を追加

    💁 参考文献:日本内科学会雑誌 2016;105:1815-9

    (投稿者 川崎)

    2018-04-14

    グラム染色クイズ

    尿路性敗血症が疑われた症例の尿のグラム染色(強拡大,X1000)




    (投稿者 川崎)

    2018-04-13

    尿からグラム陽性球菌?

    総診カンファのミニレクチャー(大阿久先生)より
    • 尿の培養からコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が検出されてもコンタミネーションの可能性が高い
    • ただしStaphylococcus saprophyticus(スタフィロコッカス・サプロフィティカス)は起炎菌と考える

    S. saprophyticus  (参考 小児感染免疫 2015;27:205-8
    • 5∼10%の女性の直腸や外性器に保菌され,女性の単純性尿路感染症では大腸菌に次いで多い
    • 膀胱組織を障害するウレアーゼの産生能が高いため尿路感染症を生じやすいと考えられている

    💁 尿からグラム陽性球菌が検出時には 感染性心内膜炎が隠れているかも知れないから要注意

    (投稿者 川崎)

    2018-04-12

    医師国家試験より

    【111D3】身体依存が最も形成されやすいのはどれか。






    判定

    解説
    • オピオイドとニコチンは身体依存,精神依存,耐性がある(程度はオピオイドのほうが強い)
    • 覚醒剤や有機溶剤には身体依存が生じない/カフェインは精神依存のみ(ただし強くない)

    👽 薬物(麻薬・覚醒剤・大麻・違法ドラッグなど)と精神依存・身体依存に関する情報 ➜ コチラ 

    (投稿者 川崎)

    国試の表紙にある例題2

    【問題2】医籍訂正の申請が必要なのはどれか.2つ選べ.






    判定

    (投稿者 川崎)

    2018-04-11

    ナットクラッカー食道 Nutcracker Esophagus

    • 食道がらせん状に異常収縮した病態(ねじ式のクルミ割り器に似る?)
    • 他の食道運動障害には食道アカラシアやびまん性食道痙攣などがある


    • 症状 胸痛~嚥下障害~無症状(基本的に非進行性の良性疾患)
    • 治療 食事指導,Ca拮抗薬,硝酸薬など(稀にボトックスや手術)

    (投稿者 川崎)

    2018-04-10

    静脈管 ductus venosus

    臍静脈と下大静脈をつなぐ胎児循環で別名はアランチウス管(Arantius' duct)
    イタリアの解剖学者 Julius Caesar Aranzi (1529 or 1530–1589)に由来する

    (Public Domain/鮮やかな赤い部分が静脈管)

    👉 他の胎児循環である動脈管卵円孔に比べて静脈管は知名度(?)が低いような・・・

    (投稿者 川崎)

    2018-04-09

    日本人における虚血性心疾患の危険因子

    日本循環器学会を含む合同研究班による虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012年改訂版)より(2018年4月確認)
    1. 男性は45歳以上,女性は55歳以上
    2. 家族歴として両親,祖父母および兄弟・姉妹における突然死や若年発の虚血性心疾患の既往
    3. 喫煙
    4. 脂質異常症:高LDLコレステロール血症(140mg/dL以上),高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)および低HDLコレステロール血症(40mg/dL未満)
    5. 収縮期血圧140mmHgあるいは拡張期血圧90mmHg以上.
    6. 耐糖能異常/糖尿病:①早朝空腹時血糖値126mg/dL以上,②75g糖負荷試験2時間値200mg/dL以上,③随時血糖値200mg/dL以上,④HbA1c(NGSP値)6.5%以上のいずれかが認めれらた糖尿病型,糖尿病型ではないが,空腹時血糖値110mg/dL以上あるいはOGTT2時間値140mg/dL以上の境界型とする.
    7. 肥満:BMI25以上またはウエスト周囲径が男性で85cm,女性で90cm以上とする.
    8. メタボリックシンドローム:内臓肥満蓄積(ウエスト周囲径が男性で85cm,女性で90cm以上)を必須にして,高トリグリセリド血症150mg/dL以上かつ,または低HDLコレステロール血症(40mg/dL未満),収縮期血圧130mmHgかつ/または拡張期血圧85mmHg以上,空腹時高血糖110mg/dL以上のうち2項目以上を持つもの.
    9. CKD:尿異常(特に蛋白尿の存在),糸球体濾過量(glomeruiar filtration rate GFR)60mL/分/l.73m<sup>2</sup>未満のいずれか,または両方が3か月以上持続する.
    10. 精神的,肉体的ストレスを危険因子とする.

    👀 冠危険因子で性別毎の年齢をきっちり覚えているヒトって意外に少ないかも・・・💤

    (投稿者 川崎)

    患者さんの話を遮らないで最後まで聞こう

    患者さんが話し始めて23.1秒後に医師が会話の主導権を握る(JAMA 1999;281:283-7

    🙊 問題 もし医者が遮らなかったら患者さんはどれくらいしゃべり続けるのか?
    • 自由にしゃべってもらっても高々平均92秒(中央値59±105秒)
    • 全体の78%(331人中258人)が2分以内に自分の訴えを終える

    (投稿者 川崎)

    2018-04-08

    AG & 代謝性アシドーシス

    代謝性アシドーシスを見たらアニオンギャップ(Anion gap, AG)を計算
    • 意味 血液中の陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)の総量差
    • 計算 アニオンギャップ = Na+ - (Cl- + HCO3-) (正常値 12±2 mEq/l)

    AGが増加する代謝性アシドーシスの4病態
    1. ケトアシドーシス(糖尿病・大量飲酒・飢餓)
    2. 乳酸アシドーシス
    3. 腎不全
    4. 中毒(アスピリンなど)

    AGが正常な代謝性アシドーシスの4病態
    1. 下痢
    2. 尿細管性アシドーシス(RTA)
    3. 生理食塩水の大量投与
    4. 炭酸脱水酵素阻害薬(例,アセタゾラミド)

    👶 アセタゾラミド(ダイアモックス®など)をアゾセミド(ダイアート®など)と間違わないように
    👻 AG正常代謝性アシドーシスの別名は高クロール性アシドーシス(腎でHCO3-の代わりにCl-が再吸収)
    👴 AGが増加していればpH 7.40+HCO3- 24でも代謝性アシドーシスあり(代謝性アルカローシスの合併)

    (投稿者 川崎)

    2018-04-07

    国試の表紙にある例題1

    【問題1】医業が行えるのはどれか.






    判定

    (投稿者 川崎)

    2018-04-06

    グラム染色クイズ

    尿路感染の疑いで抗菌薬ですでに治療が開始されている症例の尿グラム染色(強拡大 X1000)




    (投稿者 川崎)

    2018-04-05

    ロキソニン1錠はロキソニンテープ何枚に相当するか

    ※インタビューフォームのデータから概算しているため、あくまで参考です!

    ロキソニンはプロドラッグであり、体内で活性代謝物trans-OH体に代謝され、効果を発現する。そのため、各製剤使用時のtrans-OH体のAUCで比較を行った。

    薬剤
    AUCnghr/mL
    ロキソニン錠60mg 1錠服用
    2020
    ロキソニンテープ100mg 2枚貼布
    455.6

    上記より、全身曝露量としては、ロキソニン60mg≒ロキソニンテープ886.7mgであり、当院採用のロキソニンテープ50mgに換算すると、ロキソニン錠60mg 1錠≒ロキソニンテープ50mg 18枚となる。


    【参考】
    ロコアテープは経皮吸収性が非常に高く、2枚貼布時の全身曝露量が、同成分の経口製剤であるフロベン錠40mgの常用量(3錠/日)と同程度に達する。
    そのため、「1日2枚を超えて貼布しないこと」となっており、さらに湿布薬では唯一、禁忌として「消化性潰瘍のある患者」が設定されている。



    (投稿者 小森)

    肺炎球菌ワクチン 13価 vs 23価

    • 23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)ニューモバックスNPが1988年に薬事承認
    • 2014年10月よりPPSV23の65歳以上の成人を対象とした予防接種法に基づく定期接種がスタート
    • 一方で2014年6月に13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が65歳以上の成人に適応拡大された
    • ただし現時点では65歳以上の成人におけるPCV13肺炎球菌ワクチンの指針は提示されていない


    日本感染症学会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」より (2018年4月閲覧)

    (投稿者 川崎)

    血圧 300mmHg?

    先日,術中ショックに陥った症例でノルアドレナリン投与後に収縮期血圧が300 mmHg余に達した症例を経験
    (最終的には閉塞性肥大型心筋症の存在が判明したのですが・・・)

    人間の血圧はどこまで上昇するか不明ですが,ウェイトリフティング中に345/245 mmHgに達した報告あり😲
    (Blood pressure changes during heavy-resistance exercise. J Hypertens Suppl. 1989;7:S72-3)

    (投稿者 川崎)

    PPI内服中の尿素呼気試験法


    (大塚製薬 ピロリ菌の検査と除菌治療より)

    (投稿者 川崎)

    2018-04-04

    第111回医師国家試験(平成29年)より

    【問題I1】在宅酸素療法について正しいのはどれか。







    判定

    厚生労働省 「第111回 医師国家試験の問題および正答について」 より
    慢性呼吸不全と異なり肺高血圧症にはPaO2値に応じた規定がないようです…👾

    (投稿者 川崎)

    ホーマンズ徴候 Homans's sign

    • 深部静脈の血栓(性静脈炎)の有無を判定するのに有用な身体所見のひとつ
    • 足首の強制背屈時に膝の屈曲あるいは下腿の疼痛が出現すれば陽性と考える
    • 米国の外科医 John Homans (1877–1954) に由来(N Engl J Med 1944;231:51-60


    Homan's Sign by siom916 より)

    診断能は必ずしも高くないためDダイマーや静脈エコー検査と組み合わせて使用したい
    感度10-54%,特異度39-89%(McGee, et al. Evidence-Based Physical Diagnosis. 2012)

    👀 無症候性の下腿静脈血栓症の対応方法は コチラ からどうぞ

    (投稿者 川崎)

    2018-04-03

    コメレル憩室 Kommerell diverticulum

    鎖骨下動脈起始部に瘤状拡張を生じた病態で,胎生期の背側動脈の遺残と考えられている
    ドイツの放射線科医Kommerell B.が初報(Fortschr Geb Roentgenstrahlen 1936;54:590–5)


    • 右側大動脈弓(頻度0.2%)や右鎖骨下動脈起始異常(0.5~1%)に合併しやすい
    • 食道や気管を囲んで血管輪を形成したり継時的に拡大して破裂することがある
    • 多くの症例は無症状であるが発語障害や嚥下障害,呼吸困難の原因になり得る
    • 標準術式は下行大動脈置換+鎖骨下動脈再建(最近はステント治療例も報告)


    (投稿者 川崎)

    2018-04-02

    救急隊の心肺蘇生:DNARの場合


    基本的な対応の手順の要約
    1. 救急隊は,心肺蘇生等を希望しない医師の指示書等を書面で提示されても,まずは心肺蘇生等を開始
    2. 心肺蘇生等を継続しつつ,救急隊はかかりつけ医に直接連絡して心肺蘇生等の中止の是非について確認
    3. かかりつけ医に連絡がとれない時,オンラインメディカルコントロール(MC)医に指示を求める
    4. 救急隊は,心肺蘇生等の中止の具体的指示をかかりつけ医等から直接確認できれば心肺蘇生等を中止

    傷病者の心肺蘇生等を希望していない場合(DNAR)は119番通報をしないのが望ましい
    医師がDNARを出す指示として「生命維持治療に関する医師の指示書(POLST)」がある

    (投稿者 川崎)

    2018-04-01

    MPS

    MPS=mucosal prolapse syndrome/直腸の粘膜脱症候群
    1969年Madigan1975年Rutter1983年du Boulayらが確立
    • 定義 粘膜脱出に起因する組織学的な粘膜固有層の平滑筋繊維と膠原繊維の増生
    • 病因 排便時の機能的あるいは器質的な異常運動による機械的刺激と虚血性変化
    • 疫学 男性優位(女性優位の報告もあり)/20~30 歳代の若年者/10万人に1人程度
    • 症状 排便時出血,粘液排出,会陰痛,残便感,肛門脱出,テネスムス,長時間トイレ
    • 合併 痔核(約50%),精神疾患(約20%),顕性直腸脱(約20%)
    • 分類 隆起型69%,潰瘍型21%,平坦型10%(+混合型,深在性囊胞性大腸炎型)
    • 治療 保存的治療(いきみ回避・緩下剤・直腸刺激坐剤・食物繊維),稀に外科的治療

    👻 参考文献 日本大腸肛門病学会雑誌 2010;63:531-4日本消化器内視鏡学会雑誌 2014;56:494-503

    (投稿者 川崎)