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2026-04-19

エワルト徴候 Ewart sign

  • 大量の心膜液が貯留した時にみられることがある局所的な肺の聴打診所見
  • 心膜液で左肺底部が圧迫され左肩甲骨下角下方に打診上の濁音域が生じる
  • 通常は左側(稀に右側)に触覚振盪の増強と吹鳴呼吸音(blowing sound)
  • 英医師 William Ewart (1848-1929) の報告に由来(Br Med J 1896;1:717–21) 
  • 別名はBamberger–Pins–Ewart徴候(循環器学用語集に収載)やPins症候群


Dr. Ewartの実際の報告より ← 130年前の論文が読めます)

💁 打診に関する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-05

👴 歴史クイズ

CC BY-SA 4.0



(投稿者 川崎)

2022-08-05

コインテスト Coin Test

🔨 聴打診を用いた気胸や巨大ブラの診断法
  1. 前胸部の鎖骨中線第3肋間あたりで,硬貨の片面を皮膚面と密着させる
  2. 聴診器を背中に当て,コイン逆面をもう一つ用意したコインの縁で擦る
  3. 一方で評価した後,硬貨と聴診器を対側の肺に置いてもう一度繰り返す

👾 サパイラ先生の成書より(初版, p272)
  • 通常は鈍いトントンという音(dull and tappin)であるが,気胸などがあると大きなカチッカチッまたは鳴り響く音(louder, more clicking, and more ringing)になる
  • silver dollars(1ドル硬貨)がお薦めで,pennies(1セント硬貨)やnickels(5セント硬貨),dimes(10セント硬貨),quarters(25セント硬貨)ではうまくいかない
  • 偽陽性は皮下気腫やアカラシアで,偽陰性はとても小さい気胸や胸膜癒着を伴う気胸,両側気胸(経験不足の問題は膨らませた頬を肺に見立てて自分で練習しろと…😅)

💁 気胸に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎/滋賀)

2021-03-19

👴 歴史クイズ

(Public Domain)


(投稿者 川崎)

2020-10-09

肝の叩打痛

🚑 診療現場
  • 肝の叩打痛が明瞭で,その後に胆嚢炎と診断された症例を経験しました

🔨 肝の叩打痛
  • 体位は仰臥位で頭を枕に乗せ両腕は力を抜いて両脇腹か前胸部に置き膝を十分に曲げる
  • 下図のように叩打して疼痛あれば陽性(or 左右を比較して右で強いようなら陽性も可)
  • 肝胆道系感染症の感度60%,特異度85%(Curr Gerontol Geriatr Res 2015;2015:431638
  • マクギーのフィジカル診断学第4版に肝叩打痛の記載なし(サイズ決定の打診法はあり)
  • サパイラ先生の成書にも肝炎で陽性と一文あるのみ(肝サイズ決定の打診法は詳細に有)

😗 つぶやき
  • 肝胆道系の感染症に対する肝叩打痛の診断能は,右季肋部痛やマーフィー徴候と比較しても遜色ないようです().しかし腎盂腎炎や腎結石を疑うときに行うCVAの叩打と異なり臨床現場ではあまり見かけんせん.
  • デリケートな肝臓をドンドン叩くというのはチョット...という気持ちが皆にあるのかもしれません.肝スクラッチ・テストのような優しい手技には抵抗がないのですが(もっともコチラは精度の問題で普及せず?)

(投稿者 川崎)

2020-05-02

トラウベの三角形 Traube's space

  • 第六肋骨〜前腋窩線〜左肋骨弓で囲まれるスペースで通常は胃内のガスによる鼓音あり
  • この領域に濁音界があれば脾腫の感度は62%,特異度は72%(JAMA 1993;270:2218-21
  • ドイツの医師 Ludwig Traube (1818–1868)が発見(血栓症で有名なVirchowの同僚です)
  • ただし報告したのは弟子 Fraentzel(Berliner klinische Wochenschrift 1868;5:509-11)


  • 上図の黒線で囲まれる部分がトラウベの三角形で,脾腫を判定する他の打診は下記の方法がある
  • キャステル(Castell)法 ➜ 仰臥位+深吸気で前腋窩線の最も低い肋間の打診で濁音なら脾腫を疑う
  • ニクソン(Nixon)法 ➜ 右側臥位で左肋骨弓から頭側に打診して濁音界が8cm以内なら脾腫を疑う

🔍 トリビア
  • Traubeは,1816年に仏人医師ルネ・ラエンネックが発明した聴診器のチェストピ-ス(患者さんに当たる部分)を大きくした.聴診精度の改善を目指したようであるが,痛くなくなったことのほうが好評だったとか...
  • トラウベの単耳式聴診器は一部の国では胎児心音を確認するため現在でも用いられており(アマゾンで購入可能),日本助産師会のマークになっている.聴診器の歴史に興味がある方 ➜ コチラ


🉐 関連投稿(打診関連)

(投稿者 川崎)

2018-02-15

症例クイズ

高齢の独居女性が自宅のトイレ前で動けなくなっているところを発見されERに搬入された
数日前から両側の股関節に痛みを感じていたがようだが認知症もあり病歴聴取は困難
バイタル正常/両鼠径部に圧痛点なし/CVA叩打痛は両側陽性/右下肢のMMT 2-3
  • 両側股関節~大腿のレントゲンとCTはいずれも正常
  • 腎盂腎炎を示唆する尿所見や血液の炎症所見はなし
  • 頭部MRIに急性期脳血管障害を示唆する異常所見なし



(投稿者 川崎)

2017-09-11

聴打診 auscultatory percussion

聴診と打診を組み合わせて身体所見をとる方法
auscultatory 【ɔːskəltéɪtəri】 (形容詞)聴診の
percussion 【pərkʌ́ʃən】 (名詞)打診,衝突,打楽器

適応疾患と方法
  1. 大腿骨頸部骨折 ⇒ 恥骨結合部分に聴診器を当てて左右の膝蓋骨を指で軽くたたく
  2. 慢性硬膜下血腫 ⇒ 額中央に聴診器を当てて額の左右を指で軽くたたく
  3. 胸水貯留 ⇒ 坐位で中腋窩線に聴診器を当てて椎体や胸骨を順に指で軽くたたく

判定方法
  • 左右差がある場合,音量が低下している方が患側

(投稿者 川崎)

2017-09-05

緊張性気胸 Tension pneumothorax

気胸側の一方弁作用による胸腔内圧の上昇⇒患側の肺虚脱かつ横隔膜低位,健側への縦隔偏位⇒静脈還流障害による心拍出量の低下
ERでの迅速な対応で回避できる死亡原因の一つであるため,緊張性気胸が強く疑われたら胸部X線による確診を待たずに穿刺・ドレナージ
  • 症状 増悪する呼吸困難感,意識レベルの低下,失神
  • バイタル 低血圧,頻脈,ショック,酸素飽和度の低下,チアノ-ゼ
  • 身体所見 頸静脈怒張,気胸側で鼓音増強(打診)と呼吸音消失,皮下気腫,心尖拍動の中央への移動
  • 対応 胸骨中線上の第2or3肋間にサーフロー針で穿刺(18G以上×数本)/ドレナージなら第4or5肋間の中腋窩線前方

(投稿者 川崎)