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2021-10-10

黄色ブドウ菌と毒素

【問題】素手で握った2日前のおにぎりがある.食べられる?






判定

 🍙 解説
  • 細菌性食中毒は頻度が多い順にカンピロバクター,ブドウ球菌,サルモネラ,ウェルシュ菌,腸管出血性大腸菌
  • カンピロバクター、サルモネラ,腸管出血性大腸菌は(少量でも)菌自体が食中毒を起こすため加熱調理が重要
  • 一方、ブドウ球菌やウェルシュ菌,セレウス菌は細菌が作った毒素で食中毒が生じ,100℃20分の加熱でも防げない
  • おにぎりといえばブドウ球菌食中毒で,耐熱性毒素エンテロトキシンにより3~4時間後に嘔吐,腹痛,下痢をきたす
(投稿者 川崎)

2021-10-09

ルーテンバッハー症候群 Lutembacher syndrome

  • 二次孔型心房中隔欠損症(ASD)に僧帽弁狭窄症(MS)を合併した病態
  • 両疾患合併の初報はCorvisart JN(Jraite des Malandies du Cauer 1814) 
  • 仏の内科医Lutembacherが疾患観念を提唱(Arch Mal Coeur 1916;9:237)
  • ASDやMSはしばしば単独で存在するが,両者を合併した病態は極めて稀
  • 血行動態の特徴はASDが大きいとMSがマスクされ,小さいとMSが目立つ
  • ASD+僧帽弁逆流や肺静脈還流異常も類似動態で同症候群とすること有
  • 昔は術前診断が難しかったようであるが現在は心エコー図で容易に診断



💁 先天性心疾患に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-10-08

アカシジア Akathisia

  • 動かずにはいられない強い衝動のため,同一姿勢や立位姿勢の保持が困難な状態.錐体外路症状による静座不能症で,抗精神病薬などの副作用として出現(当院の例はセロトニン症候群の一症状でした)
  • 初報および命名はチェコの神経内科医 Ladislav Haškovec (1866 – 1944)である(Revue neurologique, 1902).その名称は "座っていられない:not+sitting still" を意味するギリシャ語に由来している
  • 原因薬剤の投与開始(多くは開始3日~2週間以内)あるいは増量後に生じる急性アカシジアが最多で,投与開始3か月以上経ってから発現する遅発性アカシジアや中断後に発症する離脱性アカシジアなどもある(下表)




(投稿者 川崎)

2021-10-07

🎯 今週の一枚

胆嚢炎と診断され入院した症例の腹部CT(単純)



(投稿者 川崎/熊田)

2021-10-06

ヘルパンギーナ Herpangina

早朝ERのタイムアウトでの一コマ 💨
  • 若い当直医師 「この症例はイレウスだったので消化器内科で入院しました」
  • 中堅責任医師 「OK.イレウス菅は入れなかったの?」 
  • 若い当直医師 「軽症だったので胃管だけ挿入しました」
  • 中堅責任医師 「マーゲンチューブね.OK」 
  • 若い当直医師 「次の症例はヘルパンギーナと診断して帰宅してもらいました」
  • 中堅責任医師 「おっ,OK」(内心 😅 ヘルパンギーナって何だっけ?)

😶 ヘルパギーナ Herpangina
  • 概要 発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎
  • 疫学 患者の年齢は5歳以下が全体の90%以上を占め,我が国では7月頃にピークを形成
  • 原因 エンテロウイルス(腸管で増殖するウイルスの総称)のコクサッキーA群が中心
  • 発症 2~4日の潜伏期後,突然の発熱 → 咽頭痛(咽頭粘膜に紅暈で囲まれた小水疱)
  • 経過 発熱は2~4日間程度でおさまり,それに遅れて粘膜疹も消失する(計7日程度)
  • 診断 通常は臨床症状などから診断(口腔内拭い液のPCRやペア血清でも確定は可能)
  • 予後 対症療法で通常は良好(熱性けいれんや脱水症の合併有/稀に髄膜炎や心筋炎)

参考)国立感染症研究所,ほか

👾 独り言
  • 内科医にとってヘルパンギーナは,聞いたことがあっても実際の患者さんをみたことがない病気の一つかもしれません.ヘルパンギーナの別名は本邦では夏かぜで,英語圏ではmouth blistersです.よって夏に口蓋垂のまわりに多発するアフタを幼児に認めれば,比較的容易に診断が可能だと思います(下写真).
  • 主な感染経路は唾液や便などによる経口・接触・飛沫感染であるため,感染者との接触回避,うがいや手洗い,手指の消毒が必要です.ちなみにヘルパンギーナという不思議な病名は,ギリシャ語のherp(忍び寄る,蛇のような)とラテン語のangina(扁桃周囲膿瘍)が由来だそうです.

(投稿者 川崎)

2021-10-05

ICD-10〜ICD-11

  • ICDInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems
  • 世界保健機関による『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』(通称:国際疾病分類)
  • 異なる国や地域で集計された死亡や疾病のデータの体系的な分析や解釈,比較が可能
  • 本邦では1900(明治33)年に導入され,現在は第10版のICD-10(2013年版)➜ 大分類
  • 2018年6月に第11版改訂(ICD-11)がリリース(30年ぶりの大改定で現在,和訳作業中)
  • 疾病分類が従来の約14,000から18,000に増加(本邦では2022年の発効を予定している)
  • ICD-11ではAIを用いたビッグデー タの活用が模索されている(日老医誌 2019;56:242-7

(投稿者 川崎)

2021-10-04

リンパ節転移の新しい診断法: OSNA オスナー

  • OSNA=One-Step Nucleic acid Amplification=一つの工程で行う直接遺伝子増幅技術のこと
  • 確認:センチネル(見張り役)リンパ節=癌細胞が原発から遊離し最初に到達するリンパ節
  • 従来はセンチネルリンパ節生検(通常1から数個)の病理組織像から追加郭清の要否を決定
  • OSNA法では専用試薬でリンパ節を可溶化して,遠心分離後の上清から標的mRNAを検出する    
  • 専用の遺伝子増幅検出装置に遺伝子増幅試薬が自動で分注され高い簡便性を有す(下図参照)
  • 結果は標的mRNA量に応じてリンパ節転移を陰性(-)/ 陽性(+、++) などと定性判定
  • 大阪警察病院の病理医である辻本正彦先生らが開発した(Clin Cancer Res 2007;13:4807-16
  • 適応は画像診断でリンパ節転移が明らかでない乳癌,胃癌,大腸癌,非小細胞肺癌(2,400点)


OSNA オスナー 法の概略

(投稿者 川崎)

2021-10-03

ウツタイン様式 Utstein style

  • 院外心肺機能停止症例に対する統一された記録方法(国際的ガイドラインに採用)
  • 各種用語に加えて心肺機能停止の記録に欠かせない時間的要素なども厳密に定義
  • 目撃者の有無・初期波形・バイスタンダーCPRの有無などで症例を細分化(下図)
  • 最終評価項目は1年生存率で,複数地域で救急医療システムの質を比較検討できる



おまけ
  • ウツタインとはノルウェーの小さな島にある中世(1200年代後半に建設)の修道院.1990年にアメリカ心臓協会やヨーロッパ蘇生会議などの代表者がウツタイン修道院に集まって国際蘇生会議を開いてガイドラインを作成したため,ウツタイン様式(Utstein Style)と呼ばれるようになった.
(Public Domain)

(投稿者 川崎)

2021-10-02

日本開発のCa拮抗薬:ジルチアゼム(ヘルベッサー®)

  • 商品名は独語の心臓(ヘルツ)とよりよくする(ベッセルン)を組み合せた造語
  • 1973年2月に抗狭心症薬として販売が開始され,1982年に高血圧症の効能が追加
  • その後,1989年に注射剤, 1991年にカプセル剤, 1996年に小型カプセル剤が追加

参考)IRYO 2007;61:278-9,他

🔮 おまけ
  • 風変わりなCa拮抗薬のもう一方の雄としてベラパミル(ワソラン®)が知られています.1962年にドイツで発見され,その強い血管平滑筋の弛緩作用(Vasodilator)からワソラン®と命名されたようです.
  • ヘルベッサー®と同様に,初めは冠拡張剤・抗狭心症として販売開始(日本では1965年に錠剤,1985年に注射剤).そして1993年に頻脈性不整脈(発作性上室性頻拍・発作性心房細動・発作性心房粗動)の適応が追加


(投稿者 川崎)

2021-10-01

オリオン ORION

  • オリオン(ORION)とはOsaka emergency information Research Intelligent Operation Network systemの略
  • 大阪府全域において開始された救急隊による病院選定のためのスマートフォンアプリを用いた情報システム
  • 2013年1月より開始され2015年1月からは退院転帰までのデータについて前向きなデータ収集も追加された

🚑 3つの傷病者情報によって構成
  1. 救急隊員によるスマートフォンアプリ情報:年齢,性別,動態時間(現場到着・傷病者接触・現場出発・病院到着),バイタルサインなど
  2. 消防機関による救急活動記録:消防本部名,事故種別,発生年月日,搬送先医療機関の決定までに要した電話回数,ウツタイン情報
  3. 医療機関による入力情報:初診診療科,入院診療科,傷病者背景,初診時の診断名(ICD-10),緊急度評価,入院21日後の転帰など

- ORION システムスマートフォンアプリケーションの概要 -

- ORION システムの概要 -

(投稿者 川崎)