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2023-06-30

振動覚 あれこれ

〰 振動覚の確認法
  • 振動覚検査は音叉を用いて行う(通常はC-128Hzの音叉を使用)
  • 音叉を叩いた後に四肢末端の骨突出部(内果など)に押し当てる
  • 振動を感じなくなったら「はい」と合図させその秒数を記載する
  • 低下の基準は10秒以下(ただし加齢で低下:5秒以下なら確実)

参考)日本神経学会,ほか


👂 ヘルツ深掘り
  • Hzは周期的な現象の単位で1秒あたりの生起回数のこと(基本単位としては秒の逆数 /s)
  • Hz(ヘルツ)はドイツの物理学者 Heinrich Rudolf Hertz(1857-1894)の名に由来する
  • 心音の主成分は〜100 Hz(S1は10~40 Hz,S2は30~40 Hz),心雑音は200 Hz以上が多い
  • ヒトの可聴域は20 Hz~20 kHz(2 kHz~5 kHzが最も高感度で,加齢に伴い高周波が低下)


さまざまな楽器の周波数帯域

(投稿者 川崎)

2023-06-29

今週の一枚 🎯 フロッグサイン

突然生じた動悸でERを受診した症例(仰臥位)

🚑 現場実況
  • 血圧低下はないが頻脈(動画中のモニター音に注目)
  • 内頸静脈は視認できないが外頸静脈(陥凹)は明瞭
  • 拍動パターン解析は困難であるが静脈圧上昇はなし
  • 頸動脈の拍動(もちろん隆起)も僅かに観察できる
  • 吸気負荷で外頸静脈は怒張(隆起して拍動が消失)
  • PSVTと診断:修正バルサルバ法は無効でATPで停止

🐸 追加コメント
  • 本例はおそらく房室回帰性頻拍(AVRT/WPW症候群)と考えられました.外頸静脈の拍動であるため,単なる洞頻脈でも同様の所見になると思われます.房室結節回帰性頻拍(AVNRT)で有名なフロッグサイン(frog sign)とは少し異なる身体所見です(右房と右室がほぼ同時に収縮するため内頸静脈に出現).ただしこのカエル徴候はAVRTや心房頻拍(AT)でも出現することがあるので(自験例),AVNRTとイコール関係ではありませんが...

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2023-06-28

尿酸の簡易病型分類法:排泄低下 or 産生過剰 ?

  • 尿酸の産生量は尿中尿酸排泄量から,排泄は尿酸クリアランスから推定可能であるが,通常は24時間の蓄尿を要し簡便ではない
  • クレアチニンは健常人では1日に約1gが尿中に排泄され,尿中尿酸/尿中クレアチニンは1日当たりの尿中尿酸排泄量と近似する
  • よって随時尿中の尿中尿酸(UUA,mg/dL)と尿中クレアチニ ン(UCR,mg/dL)の比を大まかな目安として代用することができる

随時尿簡易法(UUA/UCR)
  • 0.5以上を産生過剰型
  • 0.5未満を排泄低下型

(尿酸治療薬は1週間中止・痛風発作時は避ける)


💁 尿酸に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-06-27

糖尿病性ケトアシドーシス症例の腹痛

👥 先日のERカンファ
  • 先日,1型糖尿病患者が腹痛を訴え来院し,糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) と診断され入院しました.アミラーゼも少し上昇していました.
  • DKA症例では多飲多尿や脱力感,嘔気嘔吐に加えて,腹部症状をしばしば訴えます.しかし「どうして腹痛?」と思ったので調べてみました.

👼 DKAの腹痛
  • 腹痛はDKA症例の40~75%に存在(反跳痛は12%)して,動脈pHと血清重炭酸塩レベルが低下するにつれて増加
  • 原因は急性高血糖による食道・胃・胆嚢の運動障害,肝被膜の急速な拡張,脱水に伴う血管内容量減少による腸間膜虚血など
  • 最大35%の患者では腹痛疾患 (膵炎・肝炎・腎盂腎炎・骨盤炎症性疾患・胃炎など) がDKAの誘因になっている
  • フルニエ壊死性筋膜炎や急性胆嚢炎,虫垂炎,会陰膿瘍,急性膵炎などで約6%のDKA症例で腹部手術が必要


👤 おまけ
  • 糖尿病性ケトアシドーシスで腹痛を伴った場合,単なる一症状と軽く考えるのではなくて,エコーやCTなどで原因検索が必要の様です(Acta Endocrinol 2017;13:509–11

(投稿者 川崎)

2023-06-26

分かりにくかった頸動脈二峰性拍動

全身浮腫と息切れで受診した化学療法中の担癌症例(臥床)

👶 解説
  • 左側の頸動脈拍動を伝える舌圧子に明瞭な上下運動あり
  • その動きは二峰性拍動(pulsus bisferiens/biphasic pulse)
  • 心エコーでは左室流出路狭窄,僧帽弁逆流,左室過収縮
  • 抗がん剤による体液貯留で生じた高拍出性心不全と診断

😅 診察室実況
  • 収縮期駆出性雑音(3度)があったため流出路狭窄も鑑別診断には含めたが,初回の頸動脈診察で二峰性拍動とは診断できなかった.心エコー図の結果(左室流出路圧格差>60 mmHg)に驚いて,頸動脈の診察をやり直した時の動画が上記である.
  • 頸動脈の2峰性拍動といえば閉塞性肥大型心筋症(spike and dome型:自験例)と大動脈弁逆流(鋭い2峰:自験例)が有名である.本例の様に反応性の過収縮から生じた左室流出路狭窄による2峰性拍動はあまり明瞭にはならないのだろうか?

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(投稿者 川崎)

2023-06-25

日本内科学会 第240回近畿地方会より

😐 個人的に気になった報告

演題28 急性期脳梗塞の原因としてcarotid webを認めた1例
  • Carotid webとは頸部内頸動脈起始部後壁にできる棚状構造物で,その本態は線維筋性異形成と考えられている.Carotid webは潜在性脳梗塞の1.6%,さらに60歳未満に限れば4.5%に認められると報告されている.

演題87 たこ焼き摂取後に発症した経口ダニアナフィラキシーの1例
  • パンケーキ症候群と呼ばれる経口ダニアナフィラキシー.アナフィラキシーの原因は食物が最も多いため間違われることもあり,正しい診断のためには本疾患を念頭に置いて丁寧に問診することが重要

演題100 慢性疼痛の症状緩和に対して仮想現実技術を用いた脳再プログラミング療法が著効した2例
  • mediVR社製のmediVRカグラのガイド下脳再プログラミング療法は薬物療法が奏功しない慢性疼痛患者の症状緩和に有用である可能性が示唆された(今回,mediVRカグラに関する演題が他に2つあり)

演題103 耳管通気中に脳空気塞栓症を来した1例
  • 左耳の聴力低下で来院.左鼓膜に陥凹が認められたため,耳管通気処置を施行した後に意識消失し眼球上転, 全身の痙攣を認めた.直ちに心肺蘇生を開始.数分で心拍再開したが酸素化安定せず,挿管し人工呼吸器にて管理となった.静脈に空気が流入し体循環に入ったためと考えられている.

演題116 炭火処理に従事した未成年者に発症した急性好酸球性肺炎の1例
  • 週3回, 炭火焼肉店で非常勤勤務.狭小空間で,使用済みの炭火を処理する作業に従事した.確定診断にチャレンジテストを要するが,患者はリスクを背負ってまで負荷試験を希望されず(元々,この勤務を辞めるつもりであった)

演題120 Geleophysic dysplasia(幸福顔貌骨異形成症)に合併した肺高血圧症の1例
  • リソソーム貯蔵障害に類似した進行性の疾患である多幸小人症で,低身長・短い手足・進行性の関節制限および拘縮・特徴的な顔貌・進行性の心弁膜症・皮膚の肥厚が特徴である(知性は正常)(引用).Geleophysic dysplasiaは稀少疾患であるが, 肺高血圧症の合併の報告はさらに少ない.

👻 当院からの発表
  • 演題121 Staphylococcus lugdunensisによる感染性心内膜炎の1例(循環器内科 野口理希先生)

😇 とてもナイスな発表でした

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2023-06-24

第98回看護師国家試験より

問題 胎児で酸素飽和度の最も高い血液が流れているのはどれか

 
 
 
 

判定

😎 解説
  1. 胎児の門脈は臍静脈の枝が合流するため酸素飽和度は少し高め
  2. 臍動脈は左右内腸骨動脈の枝で,胎児から胎盤へ静脈血を運ぶ
  3. 臍静脈は胎盤でガス交換された動脈血を胎児に運ぶ血管である
  4. 胎児の下大静脈には臍静脈から静脈管が合流し混合血が流れる



(投稿者 川崎)

2023-06-23

プルプル心尖部

端座位の肥大型心筋症例

👀 解説
  • 心尖拍動を視認 ➜ 左乳輪内側で心拡大はなさそう
  • 心尖拍動はとても明瞭 ➜ 抬起性(心肥大)の疑い
  • よくみるとプルプルっとなっていて単峰性ではない
  • 触診でダブルインパルスがあり聴診では巨大Ⅳ音
  • 本例では剣状突起が目立っている(病的意義なし)

👶 独り言
  1. 通常の心尖拍動の他に拍動を認める場合(二峰性心尖拍動)は,心房性隆起(前収縮期)と心室性隆起(拡張早期)が考えられます.前者は聴診のIV音に相当し, 左室のコンプライアンスが低下していると考えられます(例:肥大型心筋症).後者は増大した左室への急速流入波あるいはIII音を反映します(例:高度の僧帽弁逆流).
  2. 個人的な経験では,視認で気づく二峰性心尖拍動の大部分は肥大型心筋症によるatrial kick(心房性隆起)です.マイ感度は触診≧聴診>視診の順です(過去の投稿).一方,ventricular kick(心室性隆起)はともて小さいので触知はできても視認することは極めて稀です.僕の感度は聴診>触診≫視診の順でしょうか?

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(投稿者 川崎)

2023-06-22

今週の一枚 🎯

肺高血圧が疑われる症例の肺血流シンチグラフィ




(投稿者 川崎)

2023-06-21

アロスタシス Allostasis

  • ストレスなどの外部環境に対し内部環境を安定させようとする動的適応能
  • この生体反応は不要になればホメオスタシス(恒常性)によって元に戻る
  • Sterling PとEyer Jによって提唱された観念(1988, Chicester, NY: Wiley)
  • 語源はギリシャ語のἄλος(állos、他の)+ στάσις(stasis、静止)で造語

生体のアロスタシス反応

(投稿者 川崎)