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2024-06-30

最近の耳学問 👂

  • 心不全症例のBNP変動は±30%ならOKで,>50%なら原因を考える
  • 則末先生らの著書「終末期ディスカッション」は一読の価値あり
  • 大動脈弁逆流の手術はDd, Ds, EFが70, 50, 30mmまでに(いわゆる七五三)
  • 糖尿病の昔の名前は蜜尿病,近い将来にダイアベティス(Diabetes)?
  • 神経生検は通常,踝の腓腹神経(純粋な感覚神経で運動麻痺の後遺症なし)
  • BRCA1とBRCA2は遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)に多い変異で性別を問わず50%の確率で遺伝
  • ラエンネックは第2音を発見したが心房収縮に関連と考えた(弟子のBertinが訂正)
  • Stereotactic Radiosurgeryとは大線量を1回で照射する定位手術的照射で外科手術とは無関係(複数回に分割する方法はstereotactic radiotherapy)
  • 眼振は緩徐相と急速相が明瞭な衝動性眼振と不明瞭な振子様眼振に分類
  • 生活習慣病は医学用語ではない(日本医学会 医学用語辞典に掲載されていない)

💁 忘備録に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-02-03

Roving eye movement 眼球 彷徨ほうこう

  • 両眼の数秒周期の規則的な左右への共同運動で,ping-pong gazeとほぼ同義
  • 米の脳神経医Fisherが報告(J Neurol Neurosurg Psychiatry 1967;30:383-92
  • 大脳皮質全体の障害かつ脳幹機能(眼球運動支配)が維持されていると出現
  • 両側大脳皮質卒中,代謝性障害,中毒などで出現(障害部位の特異性なし)

アルコール性肝障害から肝性脳症を生じた男性

💁 眼振に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-03-03

眼球運動障害 Ocular motility disorder

  • 眼球運動の担当は外眼筋=4直筋(外直筋・内直筋・上直筋・下直筋)+2斜筋(上斜筋・下斜筋)(下図参照)
  • これらの6つの外眼筋を支配する3神経(動眼神経滑車神経外転神経)が障害されると眼球運動障害が生じる
  • 原因は血流障害・神経の炎症・腫瘍の神経圧迫・外傷などで,症状は複視・斜視・眼振・眼瞼下垂・視力障害など
  • 治療は原因疾患の治療が基本であり,対症療法として両眼の視線のずれを補正するプリズム眼鏡,片眼の眼帯など

外眼筋の作用方向

72歳男性:上下複視に対する術前(上段)と術後(下段)

💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能)

(投稿者 川崎)

2021-06-23

方向交代性眼振 Direction-changing positional nystagmus

  • 方向交代性頭位眼振の定義 = 右下頭位と左下頭位で方向の逆転する眼振
  • 頭位右下で右向き眼振+頭位左下で左向き眼振 ➜ 方向交代性下向性眼振
  • 頭位右下で左向き眼振+頭位左下で右向き眼振 ➜ 方向交代性上向性眼振
  • 眼振は1Hz程度(1回/秒)であるが見た目で上向と下向の鑑別は難しい
  • 通常はFrenzel眼鏡あるいは赤外線CCDカメラを頭部に装着して評価する
  • 方向交代性眼振のみから病変の部位(末梢性 vs 中枢性)は鑑別できない
  • 以前から方向交代性眼振は中枢(特に小脳病変)に多いと考えられてきた
  • 現在では末梢性,特に良性発作性頭位めまい症が多いと考えられている
  • ただし注視性の方向交代性眼振の場合は中枢性めまいを疑う必要がある



💁 めまいに関する過去の投稿は コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

(投稿者 川崎)

2020-03-17

エプレイ(エプリー)法 Epley maneuver

先日,同僚の先生が同手法を用いて良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo: BPPV)をあっさり治してちょっと感動 😗
  • BPPVの原因の一つが半規管の結石(浮遊耳石)の移動による感覚器(クプラ)の変位
  • 後半規管が最多でエプリーはその治療法(半規管外に結石を出す方法:浮遊耳石置換法)
  • 命名は米国の医師 Epley の初報に由来(Otolaryngol Head Neck Surg 1992;107:399-404

実際の方法(患側が左側の症例)Equilibrium Res 2009;68:218-25より


  • (1)坐位から左(患側)45度頸部捻転位とし, 頭位変換眼振検査と同様に(2)へ移行 
  • (2)左(患側)45度懸垂頭位→眼振消失まで頭位を維持する
  • (3)右(健側)45度懸垂頭位→眼振が発現している場合は消失まで,発現しない場合は2分程 度頭位を維持
  • (4)懸垂頭位を維持したまま,体全体を右(健側)に回転,頭部を(3)よりさらに90度右下(頭位は右下135度)に捻転,維持時間は(2),(3) と同じ
  • (5)坐位に戻し,速やかに(6)へ (6)坐位で頭部を45度前屈,2分程度
  • (6)の後(1)→(2)を反復,眼振が消失 していれば成功,終了

眼振が消失していなければ失敗,患者の状況を判断して可能なら(3)以下を再試行.なお,この治療後に発作性のめまいは消失しても,軽度の浮動感,ふらつきを訴える場合があり,1週間程度の抗めまい薬,抗不安薬などの薬物治療を行った方がよい.

(投稿者 川崎)

2020-03-03

先天性白内障

定義:出生時または出生後早期から存在する水晶体の混濁

疫学:年間約200例の新規患者が発生している。1/3に眼合併症が、1/4に全身合併症をともなう。
72%に手術が行われているが、視力発達の感受性が高い時期に行われたのが1/3であり、 
早期発見が十分になされていない。

原因:水晶体の構造蛋白クリスタリンが変質し、透明性を失うことによる。
染色体異常、ガラクトース血症、 風疹などの子宮内感染症、またはその他の妊娠中の母体疾
患(糖尿病、高血圧)などによって引き起こされることもある。先天性白内障は、一般的に常染
色体優性で遺伝する孤発性の家族性先天異常の場合もある。

症状:瞳孔領の白濁。視力の発達障害(形態覚遮断弱視)。視力不良だと斜視や眼振。重篤だと
小角膜や小眼球。
出生時に赤色反射の検査をしたり、眼底検査を行ったりしない限り、見逃されることがある。

治療:手術による混濁した水晶体の除去。眼内レンズ挿入。
良好な転帰を獲得するためには、眼鏡やコンタクトレンズ、またはその両方による術後の視力矯正が通常必要となる。(術眼の像の質は対眼より劣る(対眼が正常であると仮定した場合)。ここでよい方の眼が好んで使用されるため、脳によって低質な方の像が抑制されることにより弱視が発生する)

(投稿者 春名)

2019-05-07

しびれとめまいの用語

  • しびれ:異常感覚、温痛覚異常、麻痺 の三種類がある
  • めまい:回旋性眼振、ふらつき    の二種類がある

(投稿者 春名)

2019-03-01

めまい HINTS(ヒンツ)

急性前庭症候群(acute vestibular syndrome; AVS)が中枢性か末梢性の評価方法
初報はアメリカの脳神経内科医である Kattah JC ら(Stroke 2009;40:3504-10)

HINTS=Head-Impulse Nystagmus Test-of-Skew
  1. Head Impulse (頭部回転刺激)
  2. Nystagmus(眼振)
  3. Test-of-Skew(斜偏奇)
👀 一つでも陽性なら中枢性の感度100%,特異度96%(全部なければ中枢性のめまいをほぼ否定)

1.Head Impulse (頭部回転刺激) 
(VOR=前庭眼反射;半CP=規管機能低下;日耳鼻 2017;120:1224-30

2.Nystagmus(眼振)

3.Test-of-Skew(斜偏奇)

(投稿者 川崎)

2017-11-06

ワレンベルグ症候群

延髄の外側の梗塞によって特徴的な一連の症状を生じる病態
延髄内側を通る錐体路(運動)や内側毛帯(深部覚)は障害されない
➜ 感覚障害が顔面と体幹四肢で左右反対側に出るのが特徴

延髄外側症候群=Lateral medullary syndrome=Wallenberg-Syndrome
ドイツの神経内科医Adolf Wallenbergが報告(Psychiat. u. Neurol 1895;27:504)

症状
  • 患側の顔面感覚障害+対側の体幹四肢感覚障害
  • 明瞭な四肢麻痺なし+同側上下肢に小脳性運動失調
  • 味覚・嚥下・構音障害,口蓋垂偏位(カーテン徴候
  • 頭痛,眼振,縮瞳,眼瞼下垂,発汗減少,嘔気など

原因は椎骨動脈やその枝である後下小脳動脈(Posterior inferior cerebellar artery, PICA)の解離や閉塞
病変が小さいためMRIの短軸像のみでは検出不良(10%程度? 出典) ➜ 当院例も冠状断で初めて認識できた


(投稿者 川崎)

2017-09-25

MLF症候群

MLF=medial longitudinal fasciculus=内側縦束
  • 傍正中部背側にある線維で下部脳橋の外転神経核と中脳の動眼神経核を連絡
  • 眼球の水平運動(特に内転)に重要で障害時には複視や共同偏視(特に両側障害)
  • 原因は多発性硬化症が多いが,脳血管障害,脳幹部腫瘍でも出現することがある
(Takuma-saより一部改編)


MLF症候群は核間性眼筋麻痺や失調性眼振と呼ばれることがある
分かりやすい症例報告 ⇒ 千葉医学.1980;56:147-150

(投稿者 川崎)

2017-08-07

フレンツェル眼鏡 Frenzel goggles

内部に小電球がついた厚い凸レンズの眼鏡で目の焦点が合わなくなる
ドイツ人医師Frenzelが開発(フランス人医師Fresnelと誤解されることあり)


被験者は外界を注視できない/頭を動かして非注視眼振の有無を判定
通常,内耳障害では非注視眼振(+)かつ注視眼振(-),中枢性では共に眼振(+)

めまいの復習 ⇒ めまいの診断.沖縄医報 2012;48:92-94

(投稿者 川崎)

2016-09-02

松下金曜会 「錯乱」

錯乱のレッドフラッグと重篤な原因疾患
  1. 発熱または低体温 ⇒ 髄膜炎,敗血症
  2. 異常運動またはてんかんの既往 ⇒ 発作重積状態または発作後状態
  3. 頭痛/神経脱落症状/無視 ⇒ 脳卒中,髄膜炎,腫瘤病変
  4. 息切れ ⇒ 低酸素症(心不全,肺炎)
  5. 発汗,振戦 ⇒ 低血糖
  6. 運動失調,眼振 ⇒ ウェルニッケ脳症
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-08-18

ROS (review of systems)

確立された日本表現はないが,「レビュー確認」や「全身の振り返り」と訳されることがある
意味は ”問診による全身スキャン” で,主訴と一見関係ないようなことも含む

患者自身が問題と認識していなくても,診断に重要である所見を見落とさないための問診テクニック
ROSは通常,現病歴の後,身体所見の前に列挙され,その多くは陰性所見(例,頭痛なし,耳鳴なし)

以下に例を示す(必ずしもすべてをカルテに記載する必要はない)

全身状態 発熱・寝汗・体重減少・倦怠感・耐寒性低下
皮膚 色調・紅斑・かゆみ・痛み・出血
頭/眼/耳/鼻/咽頭 頭痛・流涙・複視・耳鳴・耳閉感・鼻汁・腫脹・嗄声・リンパ節腫脹
胸部 咳・痰・喘鳴・呼吸困難・胸痛・動悸・起座呼吸
腹部 嚥下障害・胸やけ・嘔吐・吐血・腹満感・腹痛・便秘・下痢・下血・黒色便
泌尿器/生殖器 頻尿・多尿・排尿時痛・尿閉・失禁・残尿感・不正出血・腫脹・疼痛
末梢循環/骨格筋 浮腫・冷感・チアノーゼ・関節痛・関節腫脹・可動制限・麻痺・しびれ・振戦

(投稿者 川崎)