このブログを検索

2025-12-31

🕗 毎朝のERラウンドの一コマ

  • 看護師長 「昨日のIOLの件ですが…最終的には大丈夫でした」
  • 内科部長 (小声で隣にいる外科部長に)「ねぇ,IOLって何?」
  • 外科部長 (聞いてきた内科部長に小声で)IOL...俺も知らん」

IOL (intraocular lens) 
  • 水晶体の代わりになる人工の眼内レンズのこと
  • 眼屈折力のおよそ3分の1は水晶体が担っている
  • 厚さ約4mm,直径約9mm,無色透明の凸形状
  • 毛様体と呼ばれる筋肉が繋がりZinn小帯が支持
  • 毛様筋が収縮・弛緩して遠方~近方まで明視可
  • 透明度や調節力が低下すると視機能に影響する
  • 白内障手術では水晶体を吸引しIOLを挿入する


- 眼内レンズ IOL の実例 -

(投稿者 川崎)

2025-12-30

コッホ現象 Koch’s phenomenon

  • 概略 結核菌に既感染の宿主に対してBCGを接種した場合,未感染例に接種した場合に比べ,接種局所に速やかに強い局所反応が出現すること
  • 背景 日本は2005年以降,BCG直接接種(ツベルクリン反応による結核感染の有無を判定せずに接種する様式)が導入されているため生じる
  • 定義 BCGワクチンを接種1~2日後(遅くても7日以内)に接種部に強い反応(正常では10日後頃から針痕が発赤 → 1~2ヵ月後に強い反応)
  • 対応 コッホ現象が陽性(Grade3以上)なら直ちにツベルクリン反応検査(ツ反)→ 2週間内のツ反発赤径≧10mmなら結核感染と判断
  • 追加 全例に胸部X線と胸部造影CT,クォンティフェロンあるいはTスポットの抗原特異的インターフェロンγ遊離検査(IGRA)を施行する


- Mycobacterium aviumによるコッホ現象を呈した7ヵ月男児 -

(投稿者 川崎)

2025-12-29

ペプロウの看護理論

  • 看護を看護師と患者の人間関係プロセスとして捉えた問題解決志向の理論
  • アメリカの看護師かつ看護学者 Hildegard E. Peplau(1909-1999)が提唱
  • 精神力学的看護(相互に影響し合いながら共に学び成長)という側面も有
  • この理論には方向づけ同一化開拓利用問題解決の4つの段階がある

    1. 方向づけ ➜ 見知らぬ者同士として出会い健康問題の解決に歩みだす
    2. 同一化 ➜ 患者は要求を満たしてくれそうな看護師を選択し反応する
    3. 開拓利用 ➜ 患者はサービスを最大限に利用しながら問題に対処する
    4. 問題解決 ➜ 患者問題が解決すると患者は看護師から独立し関係解除

参考)看護roo!,他

-うつ病の再発例:ペプロウ看護理論を用いた振り返り-

(投稿者 川崎)

2025-12-28

破格(はかく)

  • 先日「~の血管破格」という発表に出会いました.日常では「破格の待遇」や「破格の値段」などが思いつきますが医学では…
  • 破格」の意味(精選版 日本国語大辞典):きまりや先例を破ること,標準を破ること,通常の程度を甚だしく超えること,他
  • 解剖学で「破格」とは通常の人体構造から逸脱した形態を意味.必ずしも異常とは限らず,多様性の一つとして捉えられています.
  • Google Scholar で「血管破格」を調べると71件がヒットします(ココ).ただし「破格」は循環器用語集(第4版)には未収載

- Adachi V型血管破格を伴う胃癌の1例 -

(投稿者 川崎)

2025-12-27

有機リン中毒 💪 DUMBBELLS

  • 主病態はコリンエステラーゼ阻害による副交感神経の嵐で,農薬の服毒による自殺が多く致死率は15%以上(過去の投稿
  • 語呂合わせは便利だけど,問題は日本語話者としてダンベルを思い出せるかどうか…miosisやlacrimationも難しい単語 

👺 有機リン中毒の症状:ダンベル(DUMBBELLS )
  • D = Diarrhea (下痢) / Diaphoresis (発汗)
  • U = Urination (排尿)
  • M = Miosis (縮瞳) / Muscle weakness (筋力低下)
  • B = Bradycardia (徐脈)
  • B = Bronchorrhea (気管支分泌過多) / Bronchospasm (気管支痙攣) 
  • E = Emesis (嘔吐)
  • L = Lacrimation (流涙)
  • L = lethargy (無気力)
  • S = Salivation (流涎) / Sweating (発汗)

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-12-26

チアノーゼ Cyanosis

  • 皮膚や粘膜の青紫色変化で毛細血管内血液の還元Hb濃度≧5 g/dlで出現
  • 低酸素血症に特異的ではない(例:CO中毒の低酸素血症では出現せず)
  • 口唇や口腔粘膜,鼻尖,耳朶,指先ほかに出現(毛細血管血液色を反映)
  • 総Hb濃度の影響が強い(貧血で出現しにくく赤血球増多で出現しやすい)
  • 中枢性と末梢性(下表),ヘモグロビンの異常による血液性に大別できる
  • 血液性チアノーゼはメトヘモグロビン血症や乳児メトヘモグロビン血症他


中枢性チアノーゼ 末梢性チアノーゼ
酸素飽和度 動脈血
  • 低下(基準値 100%)
  • 正常(基準値 100%)
毛細血管内血液
  • 低下(基準値 85%)
  • 低下(基準値 85%)
静脈血
  • 低下(基準値 70%)
  • 低下(基準値 70%)
分類
  • 呼吸機能障害(泣き入りひきつけやARDSなど)
  • 右左シャント(Fallot四徴アイゼンメンゲル症候群など)
  • 肺胞内酸素分圧低下(高地環境)
  • 末梢循環不全(低心拍出症候群や寒冷曝露,レイノー現象など)
  • 動脈閉塞性疾患(動脈性塞栓症など)
  • 静脈閉塞性疾患(静脈瘤や血栓性静脈炎)
出現部位
  • 全身に出現
  • 指尖や鼻尖などの末端に限局(粘膜には認めないことが多い)



😐 おまけ
  • 上半身と下半身でチアノーゼの程度が異なると解離性チアノーゼDifferential cyanosis
  • 上半身優位のチアノーゼ ➜ 完全大血管転位(肺循環血液が動脈管を介して下行大動脈
  • 下半身優位のチアノーゼ ➜ アイゼンメンジャー化 or 大動脈縮窄症を伴う動脈管開存症

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-12-25

今週の一枚 🎯

呼吸困難感を訴える高齢者(数年前にペースメーカ植込み後)
血圧84/40mmHg,心拍数60bpm,酸素飽和度93%(酸素3L)


(投稿者 川崎)

2025-12-24

ROSA(ロザ) 人工膝関節置換術支援ロボット

🔔 人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty; TKA)
  • 従来のガイド法による手技では3度以上のずれが19-24%に発生
  • ナビゲーションで下肢アライメントや靱帯バランスの精度向上
  • ロボット支援手術で骨切りの制御が追加されより正確かつ安全
  • ROSA®は RObotic Surgical Assistantの略(Zimmer Biomet社
  • ROSA の主な特徴は100以上の既存のモデルから3Dモデル形成
  • その仮想3Dモデルで骨切りラインやインプラントサイズを設定
  • ROSA を用いた人工関節手術は2020年4月から本邦で保険収載


- 従来のガイド手技 -



- ロボット支援 -

(投稿者 川崎)

2025-12-23

昇圧薬:フェニレフリン塩酸塩  Phenylephrine Hydrochloride

  • 昇圧剤:ドブタミン(主にβ1受容体に作用),ドパミン(ノルアドレナリンの前駆体でドパミン・β1・β2・α受容体に作用),アドレナリン(α・β受容体に作用),ノルアドレナリン(内因性カテコラミンでβ1・α1受容体に作用)
  • いずれもβ1受容体に作用するため,頻脈や左室流出路狭窄を有する症例には使用が困難です.このように心臓の忍容性が低い患者に対する昇圧薬として,アドレナリン類似の構造を持つ選択的α1刺激薬フェニレフリンがあります.
  • 麻酔領域以外でフェニレフリンの使用経験が豊富なスタッフは限られていると思われるため,本ページに覚書を作成しておきます.静注した場合は即効性があり,作用時間はアドレナリンよりも長く5~10分だそうです(参考

🌓 商品名:ネオシネジン コーワ注 1 mg/5 mg(添付文書 PDF
  • 薬効分類名:血管収縮・血圧上昇剤
  • 禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 効能または効果:
    • 各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療
    • 発作性上室頻拍
    • 局所麻酔時の作用延長

🌗 フェニレフリンの低血圧に対する実際
  • 機序:選択的α1刺激薬で心臓、気管、末梢血管のβ受容体にはほとんど作用しない
  • 適応:末梢血管収縮による昇圧薬として有用(心拍数が低下するので高度の徐脈となったときにはアトロピンで拮抗/血圧上昇の力価はアドレナリンの約1/5)
  • 実際:通常成人1回0.2mgを静注(0.1~0.5mgの範囲内で増減).持続静注は10~20µg/minで使用.2~5mgを皮下注または筋注する方法もあるが,即効性・調節性に欠ける.


(投稿者 川崎)

2025-12-22

習慣性顎関節脱臼に対する顎関節自己血注入療法
Autologous Blood Injection for the Treatment of Recurrent Temporomandibular Joint Dislocation

  • 顎関節脱臼とは下顎頭が下顎窩の関節運動範囲外にはずれ復位しない状態
  • 初報はドイツの歯科医(?)であるSchultz(Dtsch Stomatol 1973;23:94-8
  • 例:上関節腔2 ml,関節包周囲1 ml の計3 ml(日口外誌 2003;49:409-11
  • 自己血注入療法後はチンキャップなどで顎外固定をすることが多い(下図)
  • 機序は関節腔や周囲に生じた肉芽組織が器質化し下顎頭の前方滑走を抑制
  • 顎関節の滑膜同士や周囲軟組織の癒着による下顎頭の運動障害も脱臼抑制


- 顎関節自己血注入療法の実例 -

- おまけ:顎関節脱臼に対する徒手整復 -
Fauquier ENT

(投稿者 川崎)