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2025-03-15

APD 自動腹膜透析

PD: Peritoneal Dialysis(腹膜透析)
  • 腹腔内に透析液を一定時間入れ、老廃物や水分などの移動後に取り出す方法

CAPD: Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis(持続携行式腹膜透)
  • 1日に3~5回透析液を交換するPD(1回の交換に要する時間はおよそ30分)

APD: Automated Peritoneal Dialysis(自動腹膜透析)
  • 就寝中の時間を利用して透析液の交換を自動的に行うPD(PD患者の約40%)

CCPD: Continuous Cyclic Peritoneal Dialysis(持続周期的腹膜透析)
  • 十分な透析を確保するためにAPDに加え昼間にも腹腔内に透析液を入れる方法 


APD(自動腹膜透析)機器の一例

👽 おまけ
  •  当院では急性期病院であるためAPDは行っていませんが、外勤する施設ではAPDが盛んです。特に「かぐや」という製品を使用することが多いようです。 おそらく竹取物語からの命名と思われます。
  • 日本の月周回衛星もかぐやと呼ばれていますが(公募)、正式名称はSELENE(Selenological and Engineering Explorer)で、これはギリシア神話の月の女神セレーネと掛けているそうです。 

(投稿者 川崎)

2023-10-03

もう一つのPET:腹膜平衡試験/peritoneal equilibration test

  • 腹膜透析で腹膜機能を評価する方法の一つ(最も広く普及している)
  • 貯留時間,交換回数,PD液濃度・量の決定など腹膜透析処方に重要
  • 腹膜平衡試験(PET)には標準法と簡便法(fast PET)の2種類あり
  • 標準法(下記参照)でのD/P Cr比は,男性で平均0.67,女性は0.65
  • 透過性の高い順にHigh,High average,Low average,Lowの4分類
  • 透析期間の長期化で腹膜透過性(D/P Cr)は亢進し除水性能は低下
  • 除水性能の低下群(つまり上記分類のHigh群)では予後が悪い傾向


👾 実際の方法
  • ブドウ糖濃度2.5%透析液(または同等の浸透圧透析液)2.0 Lを4時間貯留し,注液2時間目,4時間目における透析液中クレアチニン濃度(D)と血液中クレアチニン濃度(P)の比(D/P Cr),および透析液中ブドウ糖濃度(D)とその初期濃度(D0)の比(D/D0 Glu)を測定し前者で小分子物質の除去効率,後者で除水効率を評価.簡易腹膜機能平衡試験(frequently and short time peritoneal equilibration test: Fast PET)は標準的PETの4時間目のデータだけで評価する方法

💁 透析に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-02-04

被嚢性腹膜硬化症 EPS: encapsulating peritoneal sclerosis

  • 概略 び漫性に肥厚した腹膜の広範囲な癒着で反復性にイレウス症状を呈する状態
  • 特徴 腹膜劣化(限外濾過不全と腹膜透過性の亢進)+形態的変化を包括している
  • 肉眼 腹膜の褐色調(tanned)変化と表面湿潤性の喪失(leather like appearance)
  • 腹膜 壁側腹膜(parietal peritoneum)と臓側腹膜(visceral peritoneum)に二分
  • 初報 アメリカの医師であるVasant C. Gandhiら(Arch Intern Med 1980;140:1201-3
  • 診断 臨床診断(症状+CT+排液中の中皮細胞診+腹腔鏡や開腹による肉眼所見など)
  • 原因 糖尿病などの基礎疾患,加齢,尿毒素,薬剤,腹膜炎,透析液の生体非適合性
  • 疫学 維持腹膜透析患者の 1.4~7.3%(中性透析液が標準使用となってからは1.0%)
  • 分類 前EPS期 ➜ 炎症期 ➜ 被囊/進行期 ➜ イレウス/完成(慢性)期と経時的に進行
  • 予後 25.8〜56.5%が死亡(ただし現在ではやや改善:例えば14名中2名がEPS関連死)
  • 治療 腹膜休息,腹腔洗浄,副腎皮質ステロイド投与,TPN,外科的治療(被膜剥離術)


5年間継続的に外来で腹膜透析(PD)を受けていた26歳男性(繭化に注目)

💁 腹膜透析に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-10-05

アフェレシス:リクセル®

  • 先日,整形外科の先生とアミロイドーシスの治療薬の話をしているときに,透析症例ではリクセル®でアフェレシスを行うことがあることを教えていただきました.ちなみにその適応に骨嚢胞像というものがあります(下記の赤文字).関節症などで損傷した軟骨部から関節液などが侵入し骨溶解が生じるようです.手根骨や大腿骨に多く,周囲にアミロイドの沈着を認めるそうです.

💧 アフェレシス(aphaeresis)
  • 定義 体外循環を用い血中から特定の液性因子や細胞を除去して病態の改善を図る治療法
  • 物質 液性因子は有害代謝物質,中毒物質など,細胞はリンパ球,顆粒球,ウイルスなど
  • 歴史 1914年に初めて plasmaphaeresis という用語が登場(日本の歴史は1977年~下図)
  • 類似 血液浄化療法とほぼ同義←厳密には遠心分離装置やCARTは含まずに腹膜透析は含む



💦 リクセル®(Lixelle®)
  • 概略 透析アミロイドーシスの原因であるβ2ミクログロブリンを除去能する吸着カラム
  • 適応 病理でアミロイド沈着 & 透析歴≧10年+手根管開放術 & 画像診断で骨嚢胞像
  • 頻度 血液透析と併用し初回使用日を起算として1年間を上限(病態に応じて延長可能)
  • 実際 通常はダイアライザ上流に直列にリクセルを設置し吸着・除去する(下図参照)


アフェレーシス

(投稿者 川崎)

2018-02-23

カルニチン

  • カルニチン(C7H15NO3)はビタミン様物質で75%は食事から摂取,25%は体内で生合成される
  • 長鎖脂肪酸のミトコンドリアマトリックス内(TCAサイクルによるATP産生場)への輸送に必須

欠乏症の発症リスク
  • 先天代謝異常(新生児マススクリーニング疾患対象疾患に含)
  • 薬剤性(バルプロ酸,ピボキシル基含有抗菌薬,抗癌剤など)
  • 腎疾患(腹膜透析や血液透析,Fanconi症候群など)
  • 摂取不足(経管栄養,食思不振,牛乳アレルゲン除去調製粉乳など)
  • その他(肝硬変,筋ジストロフィー,筋萎縮性側索硬化症など)

欠乏時の臨床症状
  • 倦怠感,嘔吐(感染や空腹で誘発),意識障害,脳症
  • 筋緊張低下,筋クランプ,横紋筋融解症,痙攣
  • 精神や運動発達の遅延,体重増加不良,呼吸異常
  • 低血圧,不整脈,心肥大,心機能低下および突然死

🔓 詳しく知りたい方は ➜  『カルニチン欠乏症の診断・治療指針 2016』

(投稿者 川崎)

2024-12-15

日本内科学会 第246回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題101 肝硬変に生じたパスツレラ症の1例
  • パスツレラ症は代表的な人獣共通感染症であり,Pasteurella multocidaはヒトを除く哺乳類の口腔内常在菌で,イヌでは75%,ネコではほぼ100%に常在するとされる.免疫能の低下した症例で重症化しやすい.

演題179 Burkholderia属菌によるCepacia症候群の1例
  • Burkholderia属菌は特に嚢胞線維症に致死的な呼吸器感染症を起こす菌として報告され,Cepacia症候群と呼ばれる急性に進行する菌血症を伴う壊死性肺炎は致死率が非常に高く臨床的に問題となる.

演題218 溺水により運動後急性腎不全(ALPE)を発症した 1 例
  • 溺水後の急性腎障害は溺水患者の43%に発生した報告もあり,原因は低酸素による尿細管障害,横紋筋融解症,多臓器不全による全身性炎症反応等が考えられる.

演題234 COVID-19肺炎の経過中にセフトリアキソン脳症が疑われた腹膜透析患者の1例
  • 抗菌薬投与中に意識障害,不随意運動を認めた際には,抗菌薬関連脳症を疑い抗菌薬の中止または変更が必要である.原因薬剤の診断のためには,血中濃度を測定しておくことが望ましい.


👻 当院からの発表
  • 演題35 左鎖骨下静脈経由の二腔ペースメーカ植込み後に両側気胸を生じた1例(総合診療科 國延拓也先生 🎉 すでに論文化してPubMedに収載
  • 演題210 腰椎神経根症による脱神経性筋障害を高CPK血症とともに呈し,炎症性筋疾患との鑑別を要した1例(膠原病・リウマチ内科 正木 暁先生)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-04-15

第123回日本内科学会講演会 医学生・研修医・選考委の内科学 ことはじめ2026より

😀 個人的に気になった演題

演題 19 機械学習モデルを用いたガットフレイル関連因子の解析
  • ガットフレイル(Gut Frailty)とは、胃腸(Gut)の機能が長期にわたって低下し、弱った(Frailty)状態を示す新たな概念です。便秘や下痢、胃もたれといった不調が慢性的に続くことで、将来的な老化の進行や、がん、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)などの全身疾患のリスクを高める要因として注意が喚起されています。

演題 74 飛行機移動を契機に出現した左側大量難治性肝性胸水に対し、腹腔内色素注入による横隔膜交通症を証明し外科的閉鎖を行った一例
  • 横隔膜交通症とは腹腔と胸腔の間の横隔膜に小さな穴(瘻孔)ができ、腹腔内の液体(主に腹膜透析液)が胸腔へ漏れ出る病態。飛行機の離着陸時や急激な天候変化(低気圧)などによる急激な気圧変動を受けた際に、顕性化することがある。

演題 317 MAGIC症候群が疑われる気道病変に対する気道ステント留置症例
  • 再発性多発軟骨炎は、全身の軟骨組織に炎症が生じる疾患です。耳や鼻、目、関節など、軟骨やコラーゲンを豊富に含む組織に多彩な症状を引き起こします。本疾患がベーチェット病を合併した場合は、MAGIC症候群(Mouth And Genital ulcers with Inflamed Cartilage syndrome:炎症性軟骨を伴う口腔および陰部潰瘍)と呼ばれます。

演題 519 HBOC患者の多重癌にみられるBRCA2の2nd hitの多様性
  • HBOC遺伝性乳がん卵巣がん症候群:Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome)は、主にBRCA1またはBRCA2遺伝子に生まれつき存在する変異(病的バリアント)によって、乳がんや卵巣がん、前立腺がん、膵がんなどを発症しやすくなる体質を指します。遺伝性腫瘍の代表的な例であり、親から子へは約2分の1の確率で受け継がれる可能性があります。

😎 当院からの発表演題
  • 演題 157 感染を契機に重症の甲状腺機能低下症に至った一例(糖尿病・内分泌内科 太田羽奏先生)
  • 演題 388 Guillain-Barre症候群様の急激な末梢神経障害を呈しベンラリズマブが奏功した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例(総合診療科 松村実穂先生)

😃 二人ともとてもいい発表でした(松村先生は優秀演題賞ゲット!)

💁 “学会”に関連する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)
(投稿者 川崎)