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2016-08-31

破傷風トキソイドについて

土壌からの感染がほとんどで、年間40例にとどまるが致死率は30%と高い。
トキソイドを打つかどうかはリスク(※以下に示す)があるかどうか、そして予防接種を受けたか、何年前に受けたかが重要となる。

外傷患者+リスクあり+破傷風予防接種歴無しor最終接種から15年以上 → 破傷風トキソイド3回+抗破傷風ヒト免疫グロブリン250単位
外傷患者+リスクあり+最終接種から15年以内→破傷風トキソイド1回
外傷患者+リスク無し+破傷風予防接種歴無しor最終接種から15年以上 → 破傷風トキソイド3回
外傷患者+リスク無し+最終接種が10-15年前 → 破傷風トキソイド1回
外傷患者+リスク無し+最終接種が10年以内 → 創処置のみ

の5パターンが考えられる。

詳しくはこちら(http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/466-tetanis-info.html
※リスクは 創の土壌汚染の有無、1cm以上の深さ、複雑な形状、壊死組織があることなどである

(投稿者 吉武)

2016-08-30

中毒センター

急性中毒の対応に困ったら ⇒ 中毒110番 072-726-9923
365日24時間対応 情報提供/一般無料・医療施設2000円
http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf

(投稿者 川崎)

第13回松下バイリンガルカンファレンス

その点に関しては,あまりデータはありません
There are few data available regarding this point.

問題は~/ポイントは~
The problem is.../The thing is...
(投稿者 川崎)

2016-08-29

めまいと頭部CT

重篤な疾患が原因で生じるめまいの頻度は高くない(「聞く技術 答えは患者の中にある」より)
  • 脳血管疾患 6%
  • 不整脈 1.5%
  • 脳腫瘍 <1%

訴えがめまいだけなら頭部CTを割愛できる症例があるが,少なくとも以下の所見は確認しておきたい
  • バレー徴候 陰性
  • ロンベルグ試験 正常
  • 指-鼻-指試験 両側とも正常
  • かかと-膝試験 両側とも正常
  • 通常歩行 可能
(投稿者 川崎)

Fitz-Hugh-Curtis症候群

・性行為感染の後クラミジアによる骨盤内感染をきたし、その後肝周囲炎を合併したもので、若年女性に多い。

〈症状〉 右上腹部痛、心窩部痛(下腹部痛からの移動する痛みも特徴的)
〈鑑別〉 胆嚢炎、虫垂炎など
〈超音波検査〉 肝被膜の肥厚所見や癒着、肝周囲の限局性腹水→明らかな所見に乏しいことが多い
〈血液検査〉 CRPが陽性であるにもかかわらず、白血球上昇が少ない傾向

若年女性患者に対する性交歴や婦人科症状の問診を行うことが重要
(投稿者 大槻)

2016-08-27

急性大動脈解離の初発症状

発症時に疼痛を認めない症例が少なからずある
国際レジストリーに登録された464症例の検討
  • 何らかの疼痛 95.5% ⇒  無痛 4.5%
  • 失神 9.4%
  • 心不全 6.6%
  • 脳血管障害 4.7%


(投稿者 川崎)

2016-08-26

松下金曜会 「排尿困難」

”排尿困難” を主訴に来院した症例のレッドフラッグ
  1. 腟出血・腟分泌物・尿道分泌物 ⇒ クラミジアまたは淋菌の感染症
  2. 関節痛・口内炎・眼症状 ⇒ ベーチェット症候群またはライター症候群
  3. 血尿や意図しない体重減少 ⇒ 腎細胞癌,膀胱癌
  4. 発熱・悪寒・側腹部痛・悪心・嘔吐 ⇒ 腎盂腎炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

※ライター症候群
1916年にHans Reiterが報告した「赤痢罹患後に関節炎・尿道炎・結膜炎の三徴を示した1例」に由来
現在では反応性関節炎と呼ばれ,感染性関節炎以外の感染症に関連した関節炎を総称している
20歳前後の男性に多く,HLA-B27と関連するため強直性(きょうちょくせい)脊椎炎と同様の機序が考えられている
関節内に微生物は存在しないため抗菌薬は無効であるが自然治癒することが多い(鎮痛目的にNSAIDsを使用)

(投稿者 川崎)

2016-08-24

腹部単純写真の扱い

以下参照
http://www.minamitohoku.or.jp/expert/pdf/200805.pdf

腹部単純写真では異常が指摘できる場合は意義があるが、
異常が指摘できない場合は否定も肯定も出来ない状態と考えたほうが無難と考えます。

「臥位でもイレウスが診断できる」という言葉は語弊があり、せいぜい
「臥位でもイレウスが診断できることがある。知識と工夫によりその診断率は上がる」

くらいに理解しておくことを御勧めします。

なお、腹部単純写真で診断に有用なものとして (いろいろ寄せ集め)

腸閉塞
気腹
疼痛による側弯
仙腸関節の硬化影から仙腸関節炎
S状結腸捻転による Coffee bean sign
特徴的な結石から Meckel 憩室
直腸、腟内異物
静脈硬化性大腸炎
肺底部異常陰影
骨格奇形

などが挙げられています。
(投稿者 小谷)

インスリノーマ

年間発生率は100万人あたり1-2人でまれな疾患であるが膵内分泌腫瘍の中では最多。

whippleの3徴:空腹時の意識消失発作、発作時の血糖値50mg/dl以下、ブドウ糖投与による症状改善
低血糖時のインスリンの不適合分泌(インスリン/血糖値>0.3など)
MEN 1型の除外
(精神疾患やてんかんと診断されていたという報告が散見される)

<局在診断>
腹部超音波、超音波内視鏡、造影CT、選択的動脈内カルシウム注入試験、ソマトスタチン受容体シンチグラフィー

<治療>
外科手術が第1選択
遺残病変や手術困難症例は薬物療法

選択的動脈内カルシウム注入試験;インスリノーマ細胞にはカルシウム受容体が発現しているという特徴があり、胃十二指腸動脈や脾動脈などの膵を栄養する動脈に順次カルシウムによる刺激を行いその際のインスリン分泌の上昇の程度によって腫瘍の局在診断を行う試験

(投稿者 岡田)

松下心電塾 

僧帽弁収縮期前方運動=SAM(サム)=systolic anterior motion (SAM) of mitral valve

僧帽弁の前尖が収縮期に前方(ビデオでは上方)に引き込まれ流出路狭窄を生じる現象
主に閉塞性肥大型心筋症で観察される所見で,大動脈弁狭窄と類似した血行動態になる


SAMを認める症例で強心剤(ジギタリスやカテコラミン類)を用いると,流出路狭窄が増悪して血行動態が破綻することがある.救急外来ERでSAMを伴うショック症例に遭遇したら,カテコラミン開始ではなくて補液を試みること.通常の外来ではベータ遮断薬の投与および生活指導(脱水や長時間立位の回避,サウナや競技スポーツの禁止など)を行なう.
(投稿者 川崎)

2016-08-23

大動脈解離の CT


単純CT

動脈相 CT

flap がひらひらしていると分かりやすいと思うが、血栓閉鎖型の場合は flap が見えない/見にくいので見落とされる事がある。

また、動脈硬化が強く内膜の石灰化が目立つ場合は内膜偏位を指摘しやすく、大動脈解離があるかないか言及しやすい。
逆に動脈石灰化が目立たない人の場合は単純 CT では内膜偏位が見えないことが多いため、大動脈解離がないという判定が難しい。わずかな偽腔内の血栓で解離を検出するように努めるなど気を遣う。その場合は造影すれば動脈解離があるかないか言及しやすい。

解離腔が血栓で閉鎖すると血腫内でヘマトクリットが相対的に上昇し、鉄分含有量が上がるので吸収値が上がる。
単純 CT で測定したときに血腫は大体 CT 値は 40 以上で、 100 を超えないと覚える。
脊柱起立筋などの筋肉よりも白い場合は血腫を想起する方法もある。

症例は以下より引用http://generalsurgery.secret.jp/IMAGES/Cardiovascular/entori/2011/8/29_Aortic_dissection_with_thrombosis.html

(投稿者 小谷)

2016-08-22

レバイン分類

世界中で使用されている心雑音の強度の分類(Levine grading scale)

1度
 極めて弱い雑音で聴診器を当ててもすぐには認識できない
2度
 弱い雑音であるが聴診器を当てれば即座に気がつく
3度
 中等度の雑音で振戦(スリル)を伴わない
4度
 強い雑音で振戦(スリル)を伴う
5度
 とても強い雑音であるが聴診器を胸壁から離すと聞こえない
6度
 極めて強い雑音で聴診器が胸壁に触れなくても聞こえる


トリビア 
・ Levineのオリジナル論文には4度に振戦(スリル)の記載はない
・ その名はLGL症候群のLown–Ganong–Levineにも使用されている

(左写真はHeart J 1966;28:853-4 より引用)
レバイン
(投稿者 川崎)

2016-08-19

AI

Autopsy imaging (AI) で特定できる死因と特定が困難な死因

外傷性と非外傷性で分けて考える。

外傷性の場合は死因が特定できる可能性が高い。
死後 CT 所見と解剖所見の一致率は 85% 前後とのこと。

非外傷性の場合は死因が分かるものは致死的出血性病変+α に限られる。
死後 CT による死因確定率は 3 割前後とされる。
ただ、予期せぬ外因性をある程度の確からしさで否定できることは重要。

よくある特定困難な死因として

縊頚 (CT のみの情報では難しいという意味。病歴で特定していただく)
致死的な不整脈 (本当に無理)
虚血性心疾患 (本当に無理)
肺動脈血栓塞栓症 (死後変化と紛らわしいことがある、という意。区別できることもあります。)
薬物、毒物中毒 (本当に無理)

Autopsy imaging ガイドライン第2版 p49
読影室にあります。
(投稿者 小谷)

松下金曜会 「リンパ節症」

リンパ節症=リンパ節(1個以上)の異常腫脹(成人>1.0cm,小児や青年>1.5cm)

”リンパ節症” を主訴に来院した症例のレッドフラッグ
  1. 数週間以上持続または拡大,全身症状(倦怠感,体重減少など) ⇒ 癌,全身炎症/感染
  2. 硬いリンパ節 ⇒ 転移性癌
  3. 局所外傷や感染を伴わない腋窩リンパ節症 ⇒ 乳癌
  4. 鼠径部リンパ節症 ⇒ 性行為感染症,腹部/骨盤の悪性腫瘍
  5. 全身性リンパ節症 ⇒ HIV感染,結核,サルコイドーシス,薬剤
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

AMY正常の膵炎?

膵炎の重症度判定の項目にAMY値が関与しないことは有名であるが、
AMY値が正常の膵炎も認められる。
すい臓障害は検査データに反映されにくいという考えもある。


近年ではAMYよりもLIPが特異性が高いとされている。


(投稿者 八代)

2016-08-18

ROS (review of systems)

確立された日本表現はないが,「レビュー確認」や「全身の振り返り」と訳されることがある
意味は ”問診による全身スキャン” で,主訴と一見関係ないようなことも含む

患者自身が問題と認識していなくても,診断に重要である所見を見落とさないための問診テクニック
ROSは通常,現病歴の後,身体所見の前に列挙され,その多くは陰性所見(例,頭痛なし,耳鳴なし)

以下に例を示す(必ずしもすべてをカルテに記載する必要はない)

全身状態 発熱・寝汗・体重減少・倦怠感・耐寒性低下
皮膚 色調・紅斑・かゆみ・痛み・出血
頭/眼/耳/鼻/咽頭 頭痛・流涙・複視・耳鳴・耳閉感・鼻汁・腫脹・嗄声・リンパ節腫脹
胸部 咳・痰・喘鳴・呼吸困難・胸痛・動悸・起座呼吸
腹部 嚥下障害・胸やけ・嘔吐・吐血・腹満感・腹痛・便秘・下痢・下血・黒色便
泌尿器/生殖器 頻尿・多尿・排尿時痛・尿閉・失禁・残尿感・不正出血・腫脹・疼痛
末梢循環/骨格筋 浮腫・冷感・チアノーゼ・関節痛・関節腫脹・可動制限・麻痺・しびれ・振戦

(投稿者 川崎)

2016-08-17

肘内障

肘内障とは
肘関節の亜脱臼
親と手をつないでいる時に引っ張られて生じることが多い
症状
腕を動かさない
(例:母親に抱きつくとき健側の腕のみ挙上、患側の手でおもちゃを持とうとしない)
※手首を痛がることもあります
※骨折・脱臼は除外する!(身体所見・レントゲンを参考に)


徒手整復法
①患児の肘を押さえる
②前腕を握って回外させる
③肘関節を屈曲させる
整復時に「コキッ」というクリック音を伴うことが多い
(投稿者 結城)

Ⅳ音 (第4音)

心尖部で聴取するⅠ音直前の柔らかい低調音
聴診器のベル(小さい方)を胸壁に軽く乗せて聴取

心房の強い収縮で心室筋が伸展する音と考えられている
肥大型心筋症に多いが,虚血性心疾患でも珍しくない

(投稿者 川崎)

2016-08-16

急性前立腺炎

フランスにおける連続100例の解析
 
  • 年齢 平均 56.5歳(19~86歳)
  • 直腸診による圧痛 68% ← 意外に低いことに注目 
  • 起因菌 大腸菌 76%(血培陽性 8%)
  • 治療 ニューキノロン系 92%
  • 治療期間 2~6週間
  • 原因 不明 48%,排尿不全と関連 44%,医原性 8%
(出典:Management of acute prostatitis, based on a series of 100 cases. Prog Urol. 2005;15:40-4.)

※炎症が強い場合,安易な直腸診は敗血症を誘発することがあるから避けるべきという意見あり.

(投稿者 川崎)

2016-08-15

経口補水液


熱中症は温度が急激に変化した時に多くなる!!注意を。
(投稿者 國枝)

O-157の腸壁浮腫

20mm以上の上行結腸壁浮腫を見たら O-157 を疑う。

https://www.yodosha.co.jp/rnote/gazou_qa/9784758115513_1a.html

偽膜性腸炎でも 20 mm を超えることがあると記憶がありますが、原典を探せませんでした。
今回の症例は壁浮腫の程度は 15 mm 程度でしたが強い腹痛があったとのことで O-157 を疑いました。
便から O-157 証明されました。

基本的に感染性腸炎は回腸末端から上行結腸を中心に広がることが多く、病原体により一定の傾向はあるのですが、そこまで特異的でもないので結局便培養など諸所の検査で突き止めるしかないと思います。
また、結局何が原因だったのか分からないまま迷宮入りして治っていく人も多いと思います。
未知の病原体があるのかも・・・

(投稿者 小谷)

MRIのADC map

ADC map について

詳細は以下のページが詳しいです。
https://radiographica.com/mri-dwi/

要するにごく単純に解説すると
脳梗塞などを疑ったとき
DWI (拡散強調画像) で白いところをまず見つける。

白いところがあった場合
①脳梗塞、その他の有意な病変である場合
②T2WIがめちゃくちゃ白いことに起因するもの (=T2 shine through)
である可能性がどちらもあり得る。

そこで、そのDWI (拡散強調画像) の白いところが ADC map でどうなっているかを確認する。
ADC map で黒い場合は脳梗塞など本当の病変。
ADC map で白い場合は T2 shine through と思われるので、T2WI を確認し、同様に白いことを確認する。この場合は病変ではないと考えられる。

それ以外のパターンである場合は評価が難しくなるので症状や経過を併せて判断せざるを得ないことが多い。

(投稿者 小谷)

経口補水液 OS-1 について

OS-1の成分
100ml辺り
 エネルギー10kcal
 タンパク質0g、脂質0g、炭水化物2.5g
 Na 115mg(食塩相当量0.292g)
 K 78mg
 Mg 2.4mg
 P 6.2mg
 ブドウ糖1.8g
 Cl 177mg

1日当たり目安量
学童~成人(高齢者を含む) 500~1000ml/日
幼児
300~600ml/日
乳児
体重1kg当たり30~50ml/日

ポカリスエットより糖分、kcalは少なくて、電解質は多い。
Na、Kが多いので高血圧、心疾患、不整脈、腎疾患の方は要注意。

http://www.otsukakj.jp/2products/02foods/
(投稿者 結城)

2016-08-14

一過性の高血圧

当直中に一過性の高血圧を主訴に来院する症例をしばしば経験する.
「高血圧治療ガイドライン2014」を参考にその対処法をまとめてみた.

  • 臓器障害を伴わない一過性の高血圧は,褐色細胞腫を除き緊急降圧の適応ではない
  • 具体的な血圧値の記載はないが,概ねⅢ度以上の高血圧(180 and/or 110mmHg以上)
  • 疼痛や尿閉,精神的要素など血圧上昇の原因があれば取り除くように努力する
  • 繰り返し測定でも持続する時は中間持続型(1日2回投与)のCa拮抗薬,ARB,ACE阻害薬の内服

ニフェジピンカプセル(アダラート)の内容物は過度の降圧による臓器虚血を生じる可能性あるため避ける.
ニフェジピンL(アダラートL)の内服は現実的な対処法の一つと考えられる.

(投稿者 川崎)

2016-08-13

松下金曜会 「下痢」

”下痢” を主訴に来院した症例のレッドフラッグ
  1. 体重減少 ⇒ 食欲正常なら甲状腺機能亢進あるいは吸収不良, 食欲低下なら新生物や糖尿病,結核など
  2. 血便 ⇒ 炎症性腸疾患,悪性腫瘍,虚血性大腸炎,感染(サルモネラ菌・赤痢菌・カンピロバクター・腸出血性大腸菌(O157)・赤痢アメーバ―ほか)
  3. 途中覚醒あるいは50歳以降に出現 ⇒ 器質性の病因
  4. 易感染宿主 ⇒ 感染症
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

 おまけ
赤痢とは血便と下痢を伴う大腸感染症の総称であったが,最近ではもっぱら赤痢菌による細菌性赤痢を意味する(性感染症の一つであるアメーバ赤痢とは要区別).

(投稿者 川崎)

2016-08-12

NEJMカンファレンス

帯状疱疹
水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症。
後根神経節を中心に炎症を起こし、同時に皮膚に疱疹を作り、きわめて強い神経痛を生じる。
50歳以降に多いが、いかなる年齢でも生じうる。

治療;バラシクロビル経口1gを1日3回×7日間、
ファムシクロビル経口500mg1日3回×7日間
(腎機能により調節)

NEJMの記事


奇形性嚥下障害
動脈奇形により食道が圧迫されて嚥下障害を生じる。
通常,大動脈弓の左側から分枝する右鎖骨下動脈起始異常,重複大動脈弓,または左動脈管索を伴う右側大動脈弓。

小児期または後年になってから迷入血管の動脈硬化性変化が原因となって起こることがある。
バリウム嚥下検査で外因性圧迫を認めるが,確定診断には血管造影が必要である。
ほとんどの場合,治療を必要としないが、時に外科手術を行う。

NEJMの記事
(投稿者 八代)

2016-08-10

急性下壁心筋梗塞

急性下壁梗塞では,急性前壁梗塞に比べてST上昇が軽微にとどまる症例が少なくない
ST低下(本例ではV3-V5で明瞭)に気づいたらST上昇がないか探してみることが大切


※急性下壁梗塞では右側誘導も記録して右室梗塞の有無を判定(V4Rで1mm以上の上昇

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「めまい」

”めまい” を主訴に来院した症例のレッドフラッグ
  1. 胸部不快感 ⇒ 心血管疾患(心筋虚血/梗塞,不整脈,大動脈解離/破裂,肺梗塞) 
  2. 神経脱落症状 ⇒ 脳梗塞,脳出血,脳腫瘍,髄膜脳炎,部分発作など
  3. 耳介や外耳道の小水泡性皮疹 ⇒ 耳性帯状疱疹(=ラムゼイハント症候群)
  4. 経口血糖降下薬やインスリンの使用歴 ⇒ 低血糖の可能性
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」
 
(投稿者 川崎)

2016-08-09

虫垂炎 エコー

昨日の投稿では虫垂炎は意外とエコーで指摘可能との報告を取り上げた。
 とはいえ、ガスの多い腸管はやはりエコーは不得意ではある。
STEP1 回盲部を探そう
・まず腸腰筋と腸骨動静脈を探す(横走査)
・その上の腸管が回腸末端
・縱走査にしてバウヒン弁がターゲットサイン様に見えるかを確認。

STEP2 虫垂を探そう
・多くはバウヒンより下部に虫垂は存在するので探してみよう

STEP3 間接サインの有無
・上行結腸が拡張し、泥状-水様便を認める
・糞石(憩室にもある)
・周囲腸管の浮腫
・周囲のリンパ節腫大

STEP4 直接サインの有無
・虫垂が腫大し腸軸でソーセージ様、短軸では円形で、虫垂間膜が虫垂周囲に認める


ガスが多い場合は圧迫も重要。いくら非侵襲の検査でも痛がらせるのは侵襲的。過度に痛みある場合は深追いは避けよう。ただし、その付近に虫垂はいるぞ!

正常な虫垂は同定困難なケースも多いです。とりあえず、BED サイド エコーの習慣をつけましょう。
(投稿者 國枝)

2016-08-08

虫垂炎の痛み

虫垂炎の初期の痛みは内圧の上昇による、関連痛
次に粘膜の炎症による 内臓痛

になる。つまり、痛みの性情は異なるのです。また、移動盲腸など必ず右下腹部痛ではないので御注意を。
ちなみに右下腹部痛の感度は88㌫特異度は33㌫との報告です。

後、CTは感度94%、特異度94% エコーは感度83%、特異度93%との報告もあります。次回はエコーについて記載します。

(投稿者 國枝)

2016-08-07

ピル服用による静脈血栓症

・女性の静脈血栓症発症のリスク (年間10000人あたり)
 低用量ピルを服用していない女性 1-5人
 低用量ピル服用女性 3-9人
 妊娠中 5-20 人
 分娩後12週間 40-65人 
・静脈血栓症発症により、致死的な結果となるのは100人あたり1人
 低用量ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下
・喫煙、高年齢、肥満は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高まる
・静脈血栓症の発症は以下の症状(ACHES)と関連する
 A:abdominal pain (激しい腹痛)
 C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
 H:headache(激しい頭痛)
 E:eye / speech problems(視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)
 S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)


また、頭蓋内静脈血栓症(ラベ静脈など)では、頭蓋内出血の危険もある

(投稿者 大槻)

2016-08-06

ショックについて

○バイタルサイン
 生命徴候
 血圧、脈拍数、呼吸数、体温
 意識状態、尿量

○それぞれが示すもの
 血圧:血液が進む圧力 末梢のどこまで届くのか
 血管壁への圧力
 脈拍数:末梢へ送るvolumeの量
 呼吸:O2、CO2
 体温:生物活性
 意識:覚醒、認知
 尿量:活動代謝物の酸を捨てる(pHを保つ)。volumeを保つ。

○ショックの分類
 (1)血液分布異常性ショック(distributive shock)
  ①感染性
  ②アナフィラキシー
  ③神経原性

 (2)循環血液減少性ショック(hypovolemic shock)
  ①出血性
   ※出血性ショックの重症度決定
    1.皮膚冷感・蒼白などのショック症状
    2.脈拍数
    3.脈圧
    4.血圧
    5.ヘモグロビン
  ②体液喪失

 (3)心原性ショック
  ①心筋性
  ②機械性
  ③不整脈

 (4)閉塞性ショック(obstructive shock)
  ①心タンポナーデ
  ②肺塞栓症
  ③緊張性気胸


○shock index
 shock indexとは、脈拍数/収縮期血圧のことであり、出血量を概算することができるとして使用される。
 S.I.=0.5〜1.0  軽症   出血量約1000mlまで
 S.I.=1.5前後  中等度   出血量約1500ml
 S.I.=2.0以上  重症   出血量約2000ml以上

(投稿者 岩崎)

2016-08-03

ペースメーカ植込み症例に対する手術

電気メスはペースメーカ誤動作の原因になる(ノイズをQRSと誤認識してペーシングしない)
よってペースメーカ植込み症例に手術を行うときは術中の設定変更を要する症例がある

当院の基本ルール
  • 臍(ヘソ)より頭側の手術ならDOO80あるいはVOO80の強制刺激モード
  • 除細動器(CRT-DあるいはICD)症例では部位にかかわらずVTオフ,Vfオフ

おまけ:循環器学会用語集では「ペースメーカー」でなくて「ペースメーカ」
(投稿者 川崎)

2016-08-02

tree in bud

tree in bud は肺野のCTで認められる所見の一つです。

細気管支周囲の炎症を伴う終末細気管支粘膜の炎症によりこのパターンが認められます。
肺炎(抗酸菌由来、細菌性、ウイルス性、複数感染)、結核、非結核性抗酸菌症が多いとされています。

参考画像:http://sumerdoc.blogspot.com/2011/01/tree-in-bud-appearance-ct-sign.html
(投稿者 八代)

44日間の絶食

米国の奇術師デビッド・ブレイン水だけで44日間すごす耐久に成功
体重が24.5kg減少し,ボディマスインデックスも29.0から21.6まで低下
終了直後の血糖93mg/dl,カリウム3.3mEq/l,ビタミンB1とB6は枯渇


詳細はNEJMに掲載
Refeeding David Blaine--studies after a 44-day fast. N Engl J Med. 2005;353:2306-7.
(投稿者 川崎)

発熱性好中球減少症

【定義】
発熱:1回の腋窩温が37.5度以上
好中球数:500/μl未満又は1000/μl未満で近日中に500/μl未満に減少する可能性がある

以上2つの条件を満たしかつ

薬剤熱、腫瘍熱、膠原病、アレルギーなどの発熱の原因を除外できる場合
FN Febrile Neutropenia
(投稿者 松井)

2016-08-01

インピンジメント症候群

インピンジメント=impingement=衝突,衝撃,侵害

  • 原因 : 肩峰や烏口肩峰靭帯,烏口突起が上腕骨大結節部と衝突するため
  • 症状 : 上肢を肩の高さより上へ動かした時に増悪する痛みやひっかかり
  • 治療 : 安静,ストレッチ,NSAIDs,副腎皮質ステロイド注入,重篤なら手術(関節鏡除圧術)

※四十肩や五十肩の原因の一つにインピンジメント症候群がある
(投稿者 川崎)

胆石と尿管結石のCT所見

胆石について

1割は見えない、9割は見える
http://遠隔画像診断.jp/archives/18338
という情報がある。
元ネタが出せなかったが、たしか3割は CT でも見えなかったという記憶があり、また9割見えるというのは少し多すぎる印象を持つ。
逆に胆汁よりも低吸収となっていることさえある。


尿管結石について

単純CTの感度、特異度、正診率はいずれも95%以上と報告されている
http://遠隔画像診断.jp/archives/5349
印象としてもほとんど見える。
少ない例外の一つは抗HIV薬によるインジナビル結石などは CT で描出されないことが報告されています。
(投稿者 小谷)