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2022-11-30

KYT 危険予知訓練

  1. Kiken 危険
  2. Yochi 予知
  3. Training 訓練

  • 作業や職場に潜んでいる危険性や有害性等の様々な要因を発見して解決する能力を高める手法
  • 医療現場でもKYT(危険予知トレーニング)で医療事故を未然に防ぐ取り組みがなされている

KYT基礎4ラウンド法(厚生労働省:職場のあんぜんサイト
ラウンド 危険予知訓練の
4ラウンド
危険予知訓練の進め方
1R どんな危険がひそんでいるか イラストシートの状況の中にひそむ危険を発見し、危険要因とその要因がひきおこす現象を想定して出し合い、チームのみんなで共有する。
2R これが危険のポイント 発見した危険のうち、これが重要だと思われる危険を把握して○印、さらにみんなの合意でしぼりこみ、◎印とアンダーラインをつけ「危険のポイント」とし、指差し唱和で確認する
3R あなたならどうする ◎ 印をつけた危険のポイントを解決するにはどうしたらよいかを考え、具体的な対策案を出し合う
4R 私達はこうする 対策の中からみんなの合意でしぼりこみ、※印をつけ「重点実施項目」とし、それを実践するための「チーム行動目標」を設定し、指差し唱和で確認する


(投稿者 川崎)

2022-11-29

プレコンセプションケア Preconception care: PCC

  • プレ=pre(〜前の)+コンセプション=conception(受精・懐妊)➜ 妊娠前のケア(健康管理)
  • 女性やカップルに将来の妊娠のための健康管理をし,健康状態を改善させるためのケアであり,将来の女性やカップル,子どもたちの健康増進につながる重要な取り組み(日健教誌 2020;28:81–91
  • WHO定義:Preconception care is a set of interventions that are to be provided before pregnancy, to promote the health and well-being of women and couples, as well as to improve the pregnancy and child-health outcomes. (DeepL翻訳:妊娠前のケアは、女性やカップルの健康と幸福を促進し、妊娠と子どもの健康状態を改善するために、妊娠前に提供される一連の介入策)

PCCに関するセミナーの実例(計60分)
  1. プレコンセプションケアとは(5分)
  2. 卵子の老化と不妊について(5分)
  3. ライフプランについて(5分)
  4. やせについて(10分)
  5. 葉酸について(10分)
  6. 風疹の予防接種について(動画視聴)(10分)
  7. 性感染症について・子宮頸がん検診(15分)
  8. 乳がん自己検診(デモンストレーション)

💁 妊娠に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-28

🏆 論文

🎉 当院の循環器内科で経験した症例が NEJM に掲載 🎉

  • ウェレンス症候群の1例ですがポイントは心カテ待機中にST上昇
  • 緊急カテーテル検査では前下行枝近位部の完全閉塞でした(下図)
  • 最近では高度狭窄よりも血栓が関与した病態と考えられています

😀 追加コメント
  • 命名はオランダの循環器内科医 Wellens らの報告に由来します(Am Heart J 1982;103:730-6).よって英語表記はWellen's syndromeではなくてWellens' syndromeあるいはWellens syndromeが正しいと思われます.しかしWellen's syndromeの誤記も散見されます(一流誌の実例:Circulation 2019;140:1851-2).
  • 日本語の発音ではェレンスと呼ばれることが多いと思います.でもオランダ語ではヴェレンスと濁ることを友人から教えてもらいました(例:).それ以降,当院でも研修医に濁音のェレンス症候群と教えていました.しかしNEJMのAudio Summaryではェレンスと濁っていないことを同じ友人から教えてもらいました.よって最近は再度ェレンスと指導しています.
  • 本論文は今年の2月に投稿して4月に修正の返事がありました.たった150語なのに文言の修正を計3回,図の修正を計3回(解像度など)も指示されました.8月に採択の連絡があり9月に掲載です.当院の戦績(NEJMイメージ論文)は25戦して3勝22敗で採択率🏆12%です.大学病院や有名病院でないわりには善戦かも...😅

💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-11-27

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

横紋筋融解症
Tc-99m-PYPの全身像
Honda S et al : Intern Med. ;56(10):1175-1178 ; 2017



(投稿者 杉原)

2022-11-26

COVID-19 brain fog 新型コロナウイルス感染症関連 "脳の霧"

👾 概説
  • Post-COVID conditionとはCOVID-19発症から3月の時点で少なくとも2月以上持続する他では説明がつかない症状
  • Brain fogとは精神的に遅い,曖昧な,ぼーっとした感覚を表す用語で,症状は記憶障害や集中困難(定義は困難)
  • よってCOVID-19 brain fogとはpost-COVID condition(Long COVID)の一表現系としてbrain fogが出現した状態

👿 COVID-19 brain fog
  • Brain fog に関与する因子は女性・呼吸器症状で発症・集中治療室入室あり(COVID-19 の重症度とは無関係)
  • COVID-19感染3月後の患者で7.2%〜1/3に集中困難,集中力と思考力の悪化などbrain fogを認めた報告あり
  • 原因として血液脳関門から侵入したSARS-CoV-2ウイルスによる脳内炎症説や免疫系の過活性化説などが提唱
  • 現時点では根本的な治療法はなく,薬物・非薬物療法を含めた対症療法のみ(2回のワクチン接種でリスク減)

参考)血栓止血誌 2022;33:421-5,ほか

(投稿者 川崎)

2022-11-25

カタトニア Catatonia

  • 異常な動きや不動など特徴とする複雑な神経精神医学的行動症候群
  • 具体的には昏迷やカタレプシー(受動的姿勢の保持)や無言症など
  • 初報はドイツの精神学者 Karl Ludwig Kahlbaum (1828–1899)(
  • 日本語では緊張病(or 症)と訳されるが単なるあがり症とは異なる
  • 原因は統合失調症や気分障害,器質性精神障害,脳炎,薬剤性など
  • 治療は原疾患治療+定型抗精神病薬の中止や電気けいれん療法など

参考)精神経誌 2010;112:396-401,ほか

カタレプシーや無言症を呈したカタトニアの1例

(投稿者 川崎)

2022-11-24

🎯 今週の一枚

倦怠感で来院した慢性心不全症例



(投稿者 川崎)

2022-11-23

なんでも名前があるんだ 😲

💁 会議で司会者が...「ではレジュメ1番のかたかっこ2をご覧ください」
  • 1)、2)、3) ➜ 片括弧 
  • (1)、(2)、(3) ➜ 両括弧

👾 ルール1
  • 「 」➜ 鉤括弧(かぎかっこ) corner bracket
  • 「    ➜ 始め鉤括弧 left corner bracket
  •     」➜ 終わり鉤括弧 right corner bracket

👿 ルール2
  • 『 』 ➜ 二重鉤括弧(にじゅうかぎかっこ)
  • ( ) ➜ 丸括弧(まるかっこ) ※小括弧はおすすめではないようです
  • { } ➜ 波括弧(なみかっこ) ※中括弧はおすすめではないようです
  • 〔 〕 ➜ 亀甲括弧(きっこうかっこ)
  • 〈 〉 ➜ 山括弧(やまかっこ)
  • 《 》 ➜ 二重山括弧(にじゅうやまかっこ)
  • 【 】 ➜ 隅(付き)括弧(すみつきかっこ)

 👮 おまけ
  • 日本語の補助記号に当たるのは丸括弧・鉤括弧・二重鉤括弧で,これらは句点(。)や読点(、),中点(・)と合わせて区切り符号と呼ばれるようです(wiki

(投稿者 川崎)

2022-11-22

AMR:非医療従事者にも浸透してきた?

大阪の地下鉄Osaka Metroでも掲示されているポスター
(2022年11月はAMR対策推進月間です)

  • AMR (Antimicrobial resistance)=薬剤耐性
  • 抗菌薬の不適切使用を背景とした薬剤耐性菌が世界的に増加
  • 2015年の世界保健総会ではAMRに関する国家行動計画を要求

💁 耐性菌に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-21

ハプトグロビン Haptoglobin

  • 主として肝臓で産生されるヘモグロビン(Hb)結合蛋白で,血中Hbがあると迅速かつ強固に結合する
  • その後に細網内皮系に取り込まれて分解処理(遊離型Hbの毒性中和+腎糸球体からのHb喪失防止)

👻 基準値
  • 1-1型 83~209 mg/dL
  • 2-1型 66~218 mg/dL
  • 2-2型 25~176 mg/dL

減少溶血性疾患,肝脾疾患,先天性無ハプトグロビン血症,薬物投与など
上昇 ➜ ネフローゼ,亜急性甲状腺炎,悪性腫瘍,感染症,月経期,薬物など


👾 おまけ
  •  ハプトグロビンの名称はヘモグロビンのグロビン(globin)に親和性を有するハプテン(hapten)に由来している
  • ハプテンとは低分子で単独では抗原にはならないが,適当なタンパク質に結合することで抗原となることができる物質


(投稿者 川崎)

2022-11-20

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

心アミロイドーシス合併AMI
急性心筋梗塞症の心電図とTl/PYP dual SPECT
済生会滋賀県病院循環器科提供



(投稿者 杉原)

2022-11-19

WOC (ウォック) ナース 

  1. Wound(創傷)➜ 皮膚トラブルの対応や創傷の発生予防など
  2. Ostomy(ストーマ)➜ 人工肛門・膀胱の管理やサポートなど
  3. Continence(失禁)➜ 尿や便の失禁の予防・改善を促すケア

👺 追加情報
  • 認定看護師(Certified Nurse)の一つで本邦では1997年にWOC看護認定看護師が誕生(ただし2007年より皮膚・排泄ケア認定看護師に名称変更)
  • 看護師免許の取得後に通算5年以上の経験+A課程(受講645時間~)or B課程(受講808時間)が必要(2020年の時点で認定は2,581人/当院は2名
  • ただし教育機関などへの必要経費は入学検定料約50,000円,入学金50,000~150,000円,授業料850,000~1,050,000円()と金銭的ハードルも高い

💁 看護師に関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-18

Susac症候群

  • 脳症,網膜動脈分枝閉塞,難聴を特徴とする微小血管障害(多発性硬化症と鑑別要)
  • 原因は不明であるが小動脈の内皮細胞に対する抗体産生による自己免疫疾患の疑い
  • 初報は米国の脳神経科医スサックらによる女性2例の報告(Neurology 1979;29:313-6
  • 治療は免疫抑制剤やプレドニゾンなどのステロイド,静脈内免疫グロブリンなど
  • 10症例の検討では受診時の平均年齢は38歳(30〜45歳)で男性4例,女性6例(

😓 読み方問題
  • 日本語表記ではスザック症候群やササック症候群などを認めます.中枢神経内多発血管症と記載している論文もありましたが(),あまり普及していないようです.YouTUBEではスサックと聞こえますが,pronouncekiwiではスザックが多いようです.

(投稿者 川崎)

2022-11-17

🎯 今週の一枚 耳:変幻自在

胸痛症例(仰臥位)


🚑 現場実況
  1. ERで看護師さんが心電図を記録中 ➜ 問診しながら素早く頸部と耳をチェック
  2. 頸静脈から中心静脈圧の上昇を示唆する所見なし ➜ 非代償性心不全は否定的
  3. 両側に耳垂皺を確認(念のため左側はマスクを外す) ➜ 虚血性心疾患の疑い
  4. 心電図はST上昇 ➜ 急性心筋梗塞と診断 ➜ 緊急カテーテルで閉塞部位を治療

😎 変幻自在
  • PCIが成功してカテ台の上にいる患者さんに説明時に耳をチラ見すると皺は消失
  • 「そんなアホな...」と思いマスクを外すと皺が出現(ただし左側のみで右側なし)
  • 耳垂皺は体位で変化するが(過去の投稿),暫く臥床で耳垂浮腫(特にマスク時)?

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-11-16

子供版 BMI

👧 ローレル指数(Rohrer index)
  • 小中学生の体格指数で体重(kg)を身長(m)の3乗で除する
  • スイスの生理学者フリッツ・ローラー(1888-1926)が提唱
  • 目安は115~145が正常で160以上なら肥満,100未満は痩せすぎ

👶 カウプ指数(Kaup index) (別名:ケトレー指数/Quetelet index)
  • 生後3ヵ月から5歳までの乳幼児に用いられる体格指数
  • 計算式は成人(高校生以上)のボディマス指数と同じ
  • 正常目安は乳児16~18,1~2歳15~17,3~5歳14.5~16.5

(投稿者 川崎)

2022-11-15

言葉アレコレ

  • 慢性心不全の治療薬サクビトリルバルサルタン,商品名エンレストの英綴りは Entrest(≠ Enrest)
  • 抗心不全薬であるベリキューボ錠の一般名 Vericiguat の和名はベルイシグアト(≠ ベリシグアト)
  • ベットの横には消灯台(ナイトテーブル),病院ベットでは床頭台(読みは共にショウトウダイ)

💁 言葉に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-14

😱 恐怖の上肢挙上負荷試験:頸静脈

慢性心不全 (HFpEF) の増悪が疑われる症例

👴 解説
  • 安静時には座位で外頸静脈を明瞭に視認可能(ただし上縁は拍動あり)
  • よく見ると内頸静脈の陥凹も確認できるため中心静脈圧はかなり上昇
  • 左上肢を肩上まで挙上 ➜ 外頸静脈の拍動消失+内頸静脈の陥凹出現
  • 左上肢を垂直に挙上 ➜ 呼吸困難感が出現(患者さんの荒い息切れ!

👵 ひとり言
  • 座位で内頸静脈の拍動が見えない時には吸気負荷を行いクスマウル徴候の有無を確認するようにしています.これは中等度までの中心静脈圧上昇を見逃さないためです.
  • 最近は左上肢の挙上負荷を併用しています(肩痛で無理なことも少なくありませんが).前負荷の増加程度は上肢挙上 ≒ 吸気負荷と思っていました(以前の投稿).
  • ただし本例では急に息遣いが荒くなり少し怖くなりました.上肢挙上負荷は,少なくとも座位で内・外頸静脈が全く視認できない症例に限定する方が安全かも...😑

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-11-13

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

心アミロイドーシス 2
Tc-99m-PYPを用いた冠状面断層のイメージング



(投稿者 杉原)

2022-11-12

CSCATTT シーエスシーエーティーティーティー

英国のAdvanced Life Support Groupが行う教育プログラムMajor Incident Medical Management and Support(MIMMS:大事故災害時の医療支援)の中で提示される「部門・災害の種類・場所などを越えて全ての災害対応で共通する7つの優先事項」の頭文字を並べたもの


  1. C:Command(指揮命令あるいは役割分担)
  2. S:Safety(安全)
  3. C:Communication(情報伝達)
  4. A:Assessment(評価)
  5. T:Triage(トリアージ)
  6. T:Treatment(治療)
  7. T:Transport(搬送)


🏥 病院のBCPは今や必須
  • CSCATTTは効率的な医療活動を行うための基本原則で災害時の行動基盤となる考え方
  • 災害発生 ➜ 病院は入院患者の安全確保を優先(CSCA)➜ その後に医療提供(TTT

💁 災害に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-11

EUA(アラブ首長国連邦はUAE 😅)

  • 国の緊急使用許可制度(EUA:Emergency Use Authorization).米食品医薬品局 FDAが化学的・生物学的・放射線学的又は核にかかる緊急事態時に,未承認薬の使用を許可したり既承認薬の適応を拡大できる.
  • 新型コロナワクチンに関する薬剤の多くは大規模な検証的臨床試験結果を踏まえてEUAで承認されている.欧州連合 EU にも同様に条件付き販売承認(CMA; Conditional marketing authorisation)という制度がある.

  • 日本にも特例承認という制度があり,緊急時に健康被害の拡大を防止するため外国において販売等が認められている医薬品等に承認を与えることができます.しかしEUACMAの承認とはタイムラグが生じるため,政府が日本版EUAの作成を検討しているようです.

(投稿者 川崎)

2022-11-10

🎯 今週の一枚

端座位の慢性左心不全例(ステージD)




(投稿者 川崎)

2022-11-09

HIF フィフ PHD ピーエッチディー 阻害薬

  • HIF=hypoxia-inducible factor(低酸素誘導因子)+PHD=prolyl hydroxylase domain enzyme(プロリン水酸化酵素)
  • HIF-PHD阻害薬(HIF-PH阻害薬または単にPHD阻害薬)はPHD阻害+HIF安定で貧血を改善する新たな腎性貧血治療薬
  • 従来の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)とは異なり,内服薬かつ鉄動態の最適化作用もあるためESA低反応例へも期待

例:エベレンゾ®錠(日薬理誌 2021;156:187-97

💁 腎性貧血に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-08

変形労働時間制

👿 以前の復習
  • 通常の当直では28時間までの連続勤務時間制限かつ次の勤務までに18時間以上のインターバルが必要
  • しかし宿日直許可がある宿直では翌日の通常日勤が可能+次の勤務までに9時間以上の間隔で問題ない
  • 通常の宿日直は労働時間に加えられるが,宿日直許可があると宿日直中の時間は労働時間から除外可
  • ただし労働基準監督署から医師の宿日直許可を得ることは難しく,労働がほぼ不要な「寝当直」のみ
  • 宿日直許可のある宿日直であっても,通常通り業務に従事した時間は労働時間に加算する必要がある

👾 変形労働時間制
  • 1月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内となるように労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより,労働時間が特定の日に8時間を超えたり,特定の週に40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えたりすることが可能になる制度(労働基準法第32条の2).
  • 同制度は病院が負う大幅な人件費負担増(特に医師)を回避することにも繋がるため導入施設が増えている.つまり宿日直許可を受けていないと,日勤に続いて行う当直が通常の労働時間扱いの時間外労働となり割増賃金が必要である(深夜帯の22時から翌5時は5割増で,それ以外は2割5分増).


💁 当直に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-07

あなたは猫派? 犬派?

  • 循環器内科医にはネコ派が多い気がします.飼い主が忙しくて散歩に連れて行かなくても文句を言わないから?
  • ネコの心音で興味深い論文が最近,2編出版されたのでまとめておきます.ネコを飼っておられる方は挑戦?

Ferasin L, et al. Prevalence and Clinical Significance of Heart Murmurs Detected on Cardiac Auscultation in 856 Cats. Vet Sci. 2022 Oct 13;9(10):564.

  • 結語 心雑音特性 (タイミング・音量・および最大強度のポイント) が潜在的に心疾患の存在を予測できる.
  • 個人的感想 仰せの通り 🙇 もっと精進せねば


Howell KL, et al. Prevalence of iatrogenic heart murmurs in a population of apparently healthy cats. J Small Anim Pract. 2022 Aug;63(8):597-602.

  • 結語 Iatrogenic heart murmurs(おそらく臨床的な意義のない雑音)は猫によくみられる所見であり,高齢のやせた猫で有病率が増加しいる.特に胸壁を少し押して発生する柔らかい収縮期の右心系雑音では医原性雑音を考慮
  • 個人的感想 聴診の一致率がすごい 😲 下図


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-11-06

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

心アミロイドーシス 1
Tc-99m-PYPシンチグラム(上)と心エコーの経年変化(下)
Ego K et al : 松仁会雑誌59(2) : 94-99, 2020



(投稿者 杉原)

2022-11-05

在宅療養後方支援

  • 在宅療養中の患者が急変などの緊急時に入院する病院を事前登録しておく制度
  • 在宅医療の質強化を目指して,厚生労働省が2014年の第6次医療法改正で創設
  • 必要条件は200床以上の病院で,在宅医療の提供機関と3月に1回以上情報交換

😨 臨床現場
  • 令和4年診療報酬改定で在宅療養後方支援の認定条件として「 直近1年間の在宅患者の受入実績が3件以上」が明記されました.これは必須事項であるため,申請はしているものの実績が乏しかった一部(多く?特に訪問看護ステーションを有しない施設)の在宅療養後方支援病院は焦っているのでは...

(投稿者 川崎)

2022-11-04

NPS® エヌ・ピー・エス

👦 最近の会議
  • 病院ではPX(Patient Experience/患者経験価値)を用いて現場の問題点をあぶり出すことが多いと思います.最近では医療現場でもNPS®を見かけるようになってきました.
NPS®
  • Net Promoter Scoreの略で顧客の志向を判定する指標
  • 邦名としては顧客推奨度や正味推奨者比率などがある
  • アメリカの収益上位1,000社の2/3が採用している(

👉 実際の方法

「〜を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問に0~10点で回答
  • 10~9点 ➜「推奨者/Promoters」
  • 8~7点 ➜「中立者/Passively Satisfied」
  • 6~0点 ➜「批判者/Detractors」

NPS=推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)で算出/意義はー100%(批判者のみ)~+100%(全員が推奨)

💁 ビジネスに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-03

心不全:大切な10事項

👾 ガイドラインの超抜粋

  1. 4 Medication classes are now recommended as guideline-directed medical therapy for HFrEF: ARNI, ACEi or ARB, beta blockers, MRAs and the new group SGLT2i. ➜ HFrEFのガイドラインに沿った医学療法として、ARNI、ACEi または ARB、ベータ遮断薬、MRAおよび新しいグループSGLT2iの4つの投薬クラスが現在推奨されています。
  2. There are new medication recommendations for HFmrEF, including use of SGLT2i (class of recommendations 2a). ➜ SGLT2iの使用を含む、HFmrEFの新しい投薬の推奨事項があります (推奨クラス 2a)。
  3. There are new medication recommendations for HFpEF, including use of SGLT2i (class of recommendations 2a), MRAs (class of recommendations 2b) and ARNI (2b). ➜ SGLT2i (推奨クラス 2a)、MRA (推奨クラス 2b)、ARNI (2b) の使用を含むHFpEFの新しい投薬推奨事項があります。
  4. Patients with previous HFrEF who now have an LVEF >40% are referred to as having improved LVEF. They should continue their HFrEF treatment. ➜ 以前にHFrEFを患い、現在LVEFが40%を超えている患者は、LVEFが改善したと見なされます。 HFrEF治療を継続する必要があります。
  5. For many treatments, value statements have been created. High-value therapies include ARNI, ACEi, ARB, beta blocker, MRA, implantable cardioverter-defibrillator, and cardiac resynchronization therapy. Intermediate-value therapies include SLGT2i and cardiac transplantation. ➜ 多くの治療法について、価値声明が作成されています。価値の高い治療には、ARNI、ACEi、ARB、ベータ遮断薬、MRA、植込み型除細動器、心臓再同期療法などがあります。中間値の治療には、SLGT2iおよび心臓移植が含まれます。
  6. There are new recommendations for treatment of amyloid heart disease. ➜ アミロイド心疾患の治療に関する新しい推奨事項があります。
  7. If LVEF >40% evidence of spontaneous or provokable increased LV filling pressures is needed to confirm diagnosis of HF. ➜ LVEFが40%を超える場合、HFの診断を確認するには、自発的または誘発性の左室充満圧の増加の証拠が必要です。
  8. Patients with advanced HF and a wish for prolonged survival should be referred to a HF specialty team. ➜ 心不全が進行し、生存期間の延長を希望する患者は、心不全専門チームに紹介する必要があります。
  9. For those at risk for HF (stage A) or pre-HF (stage B), primary prevention is important. There was a revision of stages of HF to highlight the new terminology of “at risk for HF” (stage A) and “pre-HF” (stage B). ➜ 心不全 (ステージ A) または前心不全 (ステージ B) のリスクがある人にとっては、一次予防が重要です。 「HFのリスクがある」(ステージA)および「HF前」(ステージB)という新しい用語を強調するために、HFのステージの改訂がありました。
  10. Specific-treatment recommendations are provided for select patients with HF and iron deficiency, anemia, hypertension, sleep disorders, type 2 diabetes, AF, coronary artery disease and malignancy. ➜ HFおよび鉄欠乏症、貧血、高血圧、睡眠障害、2 型糖尿病、心房細動、冠動脈疾患、および悪性腫瘍の選択された患者に対して、特定の治療に関する推奨事項が提供されます。

👽 おまけ
  • 充実したガイドラインは重宝しますが,更新毎にボリュームが増しフォローすることが大変です.作成メンバーもそれを理解してか,今回の10項目の抜粋はとても助かります.
  • 今回の日本語訳(➜ 以降の部分)はGoogle翻訳をそのまま掲載してみました.きになる部分がないこともないのですが,着実に進歩するその技術には本当に驚かされます.

(投稿者 川崎)

2022-11-02

論文 🏆 if you miss the goiter…😱

  • 当院の初期研修医 熊田先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • 労作時の息切れで受診 ➜ 心エコー図で肺高血圧(推定収縮期圧50 mmHg)
  • 頻脈はないが甲状腺の軽度びまん性腫脹あり ➜ 最終的にバセドウ病と診断
  • 心肺疾患や血栓症なし ➜ 肺高血圧症のダナポイント分類第1群または第5群
  • 本例は甲状腺治療のみで肺動脈収縮期圧は経時的に低下して最終的に正常化


😀 臨床現場
  • 肺高血圧のガイドラインには第5群として①血液疾患(慢性溶血性貧血,骨髄増殖性疾患,脾摘出),②全身性疾患(サルコイドーシス,肺組織球増殖症,リンパ脈管筋腫症),③代謝性疾患(糖原病,ゴーシェ病,甲状腺疾患),④その他(腫瘍塞栓,線維性縦隔炎,慢性腎不全,区域性肺高血圧)の4つが記載されています.
  • 本例では「甲状腺疾患をたまたま合併した第1群肺高血圧」(共に若い女性に多い)と「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」が考えられました.甲状腺の治療と並行して,肺高血圧の特異的薬物治療(プロスタサイクリン経路・エンドセリン受容体拮抗薬・一酸化窒素経路)の導入の要否を判断する必要があります.
  • 本例では(患者さんと協議の上)甲状腺治療のみを開始しました.肺高血圧が特異的薬物治療なく消失したため,「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」と考えられました.肺高血圧と甲状腺疾患が合併した場合,17症例中16例で甲状腺治療のみで肺高血圧が正常化したという(すごい😮)報告があります(Angiology 2006;57:600-6).

🎉「論文」の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-11-01

耳垂皺の病理

  • 耳たぶの皺(フランク徴候/Frank's sign)と動脈硬化の関連を検討した報告は散見されます(過去の投稿).しかし耳垂の病理学的に検討した論文はほとんど見かけません.
  • 先日たまたま "The Histological Basis of Frank's Sign" という魅力的なタイトルの研究を見つけました.あまりクリアカットな結果ではなかったようですがまとめておきます.

フランク徴候(白矢印)部分には,間質の線維化はないが筋弾性線維症を伴うコルク栓抜き様のねじれた動脈血管がある(黒矢印).A:HE染色(×200),BとC:その拡大

皺部分の組織学では末梢神経は好酸球性封入体を伴うウォーラー様の変性を示す.A:HE染色(×40),B;拡大(×400)

本論文の結語(日本語訳)
  • 我々のデータは,心筋の形態学的変化と耳たぶのしわの存在との間に有意な相関関係があることを示唆する.心不全における低酸素/再酸素化の提案されたモデルと,観察された変化の原因である耳小葉の生理学的に低い酸素飽和度と発生学的発達は,フランク徴候の発達と臨床的に観察可能な変化との相関を説明する最初のモデルである.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)