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2022-11-09

HIF フィフ PHD ピーエッチディー 阻害薬

  • HIF=hypoxia-inducible factor(低酸素誘導因子)+PHD=prolyl hydroxylase domain enzyme(プロリン水酸化酵素)
  • HIF-PHD阻害薬(HIF-PH阻害薬または単にPHD阻害薬)はPHD阻害+HIF安定で貧血を改善する新たな腎性貧血治療薬
  • 従来の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)とは異なり,内服薬かつ鉄動態の最適化作用もあるためESA低反応例へも期待

例:エベレンゾ®錠(日薬理誌 2021;156:187-97

💁 腎性貧血に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-05-28

HbA1cが3.3%なら何を考える?

🍨 HbA1cの異常低値(4.6%未満または4.2%未満)
  1. 異常ヘモグロビン(3,000人に1人と意外に多い)
  2. 溶血性貧血
  3. 肝硬変(脾機能亢進)
  4. 腎性貧血
  5. 出血
  6. 輸血
  7. 鉄欠乏性貧血の治療時(エリスロポイエチン投与など)
  8. 急激に発症・増悪した糖尿病
  9. 鎌状赤血球症

参考)糖尿病 2013;56:841-8,他

🍮 おまけ
  • 本邦ではとても有名なHbA1cですが,海外ではglycated hemoglobin(糖化ヘモグロビン)と呼ばれています.厳密に言えばヘモグロビンは複数のタンパク質で構成されるため両者の意味するものは同一ではないのですが(HbA1cはヘモグロビンβ鎖のN末端にグルコースが結合した糖化蛋白質),慣用的にglycated hemoglobinと表記されているようです.

(投稿者 川崎)

2021-04-11

日本内科学会ことはじめ2021より

😀 個人的に気になった演題

演題 7 急性壊死性食道炎による黒色食道を合併した糖尿病性ケトアシドーシス

演題 8 Hamman症候群を合併した糖尿病性ケトアシドーシスの一例
  • Hamman症候群とは直接的な外傷や食道破裂などの原因を伴わずに発症する縦隔気腫のこと.特に糖尿病性ケトアシドーシスに合併することが知られている.

演題 91 坑GPIHBP1抗体による高中性脂肪血症を繰り返した一例
  • GPIHBP1(グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー高比重リポ蛋白結合蛋白1)は毛細血管内皮細胞で発現する蛋白で,リポ蛋白リパーゼと結合し毛細血管腔内の作用部位まで運ぶ.高トリグリセリド血症の一因としての坑GPIHBP1抗体があることが比較的最近に報告された(N Engl J Med 2017;376:1647-58).

演題 126 炭酸リチウムによる腎性尿崩症にラトケ嚢胞によるバソプレッシン分泌不全の併発が疑われた一例
  • ラトケ嚢胞とは胎生期の遺残組織(Rathke's pouch)から発生する非腫瘍性嚢胞性病変である.多くは正常下垂体の前葉と後葉の間に進展し,視神経・視交叉・視床下部などの圧迫やホルモン異常を来したりすることがある.

演題 195 初めてのサーフィンでご注意を!!Surfer's Myelopathyの3例
  • Surfer's Myelopathyは2004年に初めて報告された疾患観念で,40歳未満のサーフィン初心者に生じることがある非外傷性脊髄障害である.サーフィン🏄のパドリング中の体幹進展による脊髄虚血が原因と考えられている.

😎 当院からの発表演題
  • 演題 63 ペースメーカ植込み時にリードが経胸壁心エコー図で描出できないキアリ網に捕捉された1例(循環器内科 酒井健紀先生)
  • 演題 166 亜鉛過剰摂取にともなう銅欠乏性貧血,白血球減少を来した一例(総合診療科 堀内萌生先生)
  • 演題 189 慢性下痢・習慣性顎関節脱臼を伴った非アルコール性Marchiafava Bignami病の1例(総合診療科 塩見海斗先生)
  • 演題 277 血球貪食症候群を合併した甲状腺クリーゼの一例(総合診療科 神浩司先生)

😃 皆とてもいい発表でした(塩見先生と大神先生は優秀演題賞ゲット!)

💁 “学会”に関連する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)
(投稿者 川崎)

2017-02-23

ADAMTS13

正式名称はa disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13
アダムスサーティーンと読まれることが多い

止血因子 von Willebrand factor (vWF) の特異的切断酵素で2001年に発見
 ➽ vWFは傷害された血管内皮の下にあるコラーゲンに結合し血小板の接着を誘導
  ➽ ADAMTS13はvWFの分子量サイズを減じることで過剰な血小板凝集を防止している

ADAMTS13活性は血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy: TMA)で低下
 ⇰ TMA=TTP (thrombotic thrombocytopenic purpura) + HUS (hemolytic uremic syndrome)
  ⇰ TTP血栓性血小板減少性紫斑病の5徴(血小板減少・微小血管障害性溶血性貧血・発熱・腎機能障害・精神神経障害)
   ⇰ HUS溶血性尿毒症症候群の3徴(血小板減少・微小血管障害性溶血性貧血・急性腎不全)

トリビア
臨床現場ではフォン・ウィルブラントと発音されることが多い(循環器学会用語集でもフォンウィルブラントと記載).しかし『内科学用語集』では「ヴォン・ヴィレブランド」が採用されているらしい.これは発見者(フィンランド人)の母国語(フィンランド語)の発音に準じているようです.

ADAMTS13について詳しく知りたい方はコチラ ⇒ ADAMTS13. J Jpn Coll Angiol. 2011;51:321–331

(投稿者 川崎)

2023-04-21

強皮症腎クリーゼ Scleroderma renal crisis

  • 全身性強皮症(systemic sclerosis: SSc)は皮膚硬化を伴う多臓器障害性疾患
  • 強皮症腎クリーゼはびまん性強皮症の10~25%に発症,限局性強皮症では1~2%
  • 急性経過で腎不全へと進展し透析導入率も高い(1年生存率85%,5年生存率65%)
  • 予測因子はびまん性皮膚病変(特に急速進行)や抗RNAポリメラーゼIII抗体など
  • 機序は内皮損傷による腎血流低下と血管攣縮(レイノー現象),RAA系の活性化?
  • 特徴は誘因なく突然高血圧が出現し随伴症状(頭痛,貧血,心拡大など)を伴う
  • 鑑別診断には血栓性微小血管症,悪性高血圧,急速進行性糸球体腎炎などがある
  • 治療は(最大量の)ACE阻害薬で速やかに血圧を下げ可能な限りそれを維持する


 ー 維持血液透析に至った高齢者の1例 ー

(投稿者 川崎)

2021-01-07

ST合剤の主な副作用

  • 皮膚障害:軽微なものから重篤なTEN(中毒性表皮壊死融解症)まで
  • 血液障害:再生不良性貧血、溶血性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少症など
  • 腎障害・肝障害
  • 消化器症状:悪心・嘔吐、下痢など
  • 電解質異常:高カリウム血症、低ナトリウム血症
ST合剤は副作用が多く、使用の際には注意が必要です。
必要に応じ臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査、血中電解質等)を行うこと。

(投稿者 小森)

2022-11-02

論文 🏆 if you miss the goiter…😱

  • 当院の初期研修医 熊田先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • 労作時の息切れで受診 ➜ 心エコー図で肺高血圧(推定収縮期圧50 mmHg)
  • 頻脈はないが甲状腺の軽度びまん性腫脹あり ➜ 最終的にバセドウ病と診断
  • 心肺疾患や血栓症なし ➜ 肺高血圧症のダナポイント分類第1群または第5群
  • 本例は甲状腺治療のみで肺動脈収縮期圧は経時的に低下して最終的に正常化


😀 臨床現場
  • 肺高血圧のガイドラインには第5群として①血液疾患(慢性溶血性貧血,骨髄増殖性疾患,脾摘出),②全身性疾患(サルコイドーシス,肺組織球増殖症,リンパ脈管筋腫症),③代謝性疾患(糖原病,ゴーシェ病,甲状腺疾患),④その他(腫瘍塞栓,線維性縦隔炎,慢性腎不全,区域性肺高血圧)の4つが記載されています.
  • 本例では「甲状腺疾患をたまたま合併した第1群肺高血圧」(共に若い女性に多い)と「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」が考えられました.甲状腺の治療と並行して,肺高血圧の特異的薬物治療(プロスタサイクリン経路・エンドセリン受容体拮抗薬・一酸化窒素経路)の導入の要否を判断する必要があります.
  • 本例では(患者さんと協議の上)甲状腺治療のみを開始しました.肺高血圧が特異的薬物治療なく消失したため,「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」と考えられました.肺高血圧と甲状腺疾患が合併した場合,17症例中16例で甲状腺治療のみで肺高血圧が正常化したという(すごい😮)報告があります(Angiology 2006;57:600-6).

🎉「論文」の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-07-05

irAEアイアールエーイー:immune-related adverse events

  • 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)は,免疫チェックポイント分子またはそのリガンドに結合し,免疫抑制シグナルの伝達を阻害することで抗腫瘍効果を示す.
  • 2014 年に抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であるニボルマブが悪性黒色腫に対して承認されて以降,種々のICIが開発されたが,免疫関連有害事象irAE)と呼ばれる副作用を生じることがある.
  • 代表的な irAE は皮膚障害,腎機能障害,血液障害(血小板減少性紫斑病,溶血性貧血,赤芽球癆, 無顆粒球症),間質性肺炎,筋炎,ギランバレー症候群,脳髄膜炎,1型糖尿病,甲状腺機能障害



(投稿者 川崎)

2024-06-29

心筋梗塞のuniversal definition(普遍的な定義)


定義 疾患
Type 1 アテローム性動脈硬化に併発した血栓症 プラーク破綻による通常の急性心筋梗塞など
Type 2 心筋への酸素の需要と供給のミスマッチ 冠動脈攣縮や冠動脈解離,冠動脈塞栓症,(冠動脈狭窄+)頻脈持続や左室肥大,高度貧血など
Type 3 心筋バイオマーカー未評価の状況下での心筋虚血による突然死 (症状あるいは剖検などで心筋虚血の疑い)
Type 4a 経皮的冠動脈形成術(PCI)手技関連によるもの PCI48時間以内のトロポニン上昇(上限5倍以上)
Type 4b ステント血栓症によるもの 留置0~24時間,急性;24時間以上30日以内,亜急性;30日以上1年以内,遅発性;1年以上,超遅発性)
Type 4b ステント血栓症によるもの 限局性やびまん性,あるいは複合病変でトロポニン上昇(上限以上)
Type 5 冠動脈バイパス(CABG)手技関連 CABG48時間以内のトロポニン上昇(上限10倍以上)


👻 追加コメント
  • 実際の臨床現場ではタイプ1(供給低下型)とタイプ2(主に需要増大型)の鑑別が重要になるでしょうか.タイプ3は臨床試験や疫学で必要な分類のようです().なおトロポニンの上昇=心筋梗塞(myoardila infarction : MI)ではありません.
  • 心筋症や心筋炎,心不全,たこつぼ,心臓震盪,DCやアブレーション後,敗血症,呼吸不全,腎機能障害,ショック,激しい運動などでもトロポニンは上昇します.この場合は(myocardial injury: MI)であって心筋梗塞とは言いません.


(投稿者 川崎)

2021-06-04

心不全の増悪因子:FAILURE

  • Forgot medication:薬の服用忘れ
  • Arrhythmia/Anemia:不整脈や貧血
  • Infections/Ischemia/Infarction:感染,虚血,梗塞
  • Lifestyle:塩分過剰摂取やストレス
  • Upregulation of cardiac output:甲状腺疾患や妊娠
  • Rheumatic valve or other valvular diseases/Renal failure:弁疾患あるいは腎不全
  • Embolism:肺塞栓など

🚜 ガイドラインに記載されている心不全の増悪因子(82ページの表50)
  1. 急性冠症候群
  2. 頻脈性不整脈(心房細動,心房粗動,心室頻拍など)
  3. 徐脈性不整脈(完全房室ブロック,洞不全症候群など)
  4. 感染症(肺炎,感染症心内膜炎,敗血症など)
  5. アドヒアランス不良(塩分制限,水分制限,服薬遵守などがで きない)
  6. 急性肺血栓塞栓症
  7. 慢性閉塞性肺疾患の急性増悪
  8. 薬剤(NSAIDs,陰性変力作用のある薬剤,癌化学療法など)
  9. 過度のストレス
  10. 過労
  11. 血圧の過剰な上昇
  12. ホルモン,代謝異常(甲状腺機能亢進・低下,副腎機能低下, 周産期心筋症など)
  13. 機械的合併症(心破裂,急性僧帽弁閉鎖不全症,胸部外傷, 急性大動脈解離など)

🙆 循環器疾患の語呂合わせ(英語ですが…)➜ List of cardiology mnemonics

💁「語呂合わせ」に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-01-31

CRAB symptoms クラブ症状

👀 多発性骨髄腫の典型的所見
  • HyperCalcemia(高カルシウム血症)
  • Renal insufficiency(腎障害)
  • Anemia(貧血)
  • Bone lesions(骨病変)

👂 CRAB症状の頻度・意義
  • 米国の癌研究所を受診した多発性骨髄腫170例の後ろ向き解析:74%がCRAB症状,20%が非CRAB症状,6%が混在(つまりCRAB症状+非CRAB症状)
  • CRAB以外の症状は頻度順に神経障害,髄外侵襲,過剰粘液症候群,アミロイドーシス,出血凝固障害,全身症状(例:発熱や体重減少)など
  • CRAB症状を呈する患者の生存率と非CRAB症状の患者の生存率との間に有意な差はなかった(両群のKaplan-Meier推定値に有意差は検出されず)


💁 多発性骨髄腫に関する過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2023-12-05

TINUティヌ症候群

  • 概要 原因不明の間質性腎炎にぶどう膜炎を伴った病態
  • 略語 Ttubulointerstitial nephritis and uveitis syndrome
  • 疫学 好発年齢は思春期に多く,男女比はおよそ1:8
  • 症状 発熱,全身倦怠感,食欲不振,貧血など非特異的
  • 検査 蛋白尿,尿中β2MG高値,腎機能低下,尿糖など
  • 鑑別 サルコイドーシスやベーチェット,膠原病など
  • 機序 腎間質とブドウ膜の共通抗原に対する細胞免疫?
  • 遺伝 HLA-DR52など特定のHLA型が疾患の発症に関与?
  • 治療 ステロイド点眼・全身投与(自然軽快例も多い)


TINU症候群における自己抗体の仮説的役割
(投稿者 川崎)

2019-08-11

HAS-BLED (ハズ・ブレッド)

  • 抗凝固療法を導入(予定)の心房細動患者の出血性リスク評価方法
  • オランダの循環器内科医Pistersらが開発(Chest 2010;138:1093-100

👿 方法 下記項目の有無を確認
  1. Hypertension:収縮期血圧>160mmHg ➜ 1点
  2. Abnormal Renal/Liver Function:腎機能障害(慢性透析や腎移植,血清クレアチニン>2.26mg/dL),肝機能障害(肝硬変などの慢性肝障害,ビリルビン値>正常上限2倍,AST/ALT/ALP>正常上限3倍)➜ 2点(各1点)
  3. Stroke:脳卒中 ➜ 1点
  4. Bleeding or predisposition:出血歴,出血素因や貧血などの出血傾向 ➜ 1点
  5. Labile INR:INR不安定,高値またはTTR(time in therapeutic range)<60% ➜ 1点
  6. Elderly:年齢>65歳 ➜ 1点
  7. Drugs/alcohol:薬剤(抗血小板薬やNSAIDs併用),アルコール依存症 ➜ 2点(各1点)

👾 判定 各項目のスコアを合計
  • 0点 ➜ 低リスク(重大な出血発症リスク1%/年)
  • 1~2点 ➜ 中等度リスク(同リスク2~4%)
  • 3点以上 ➜ 高リスク(同リスク4~6%)

独り言 👴
  • HAS-BLEDは簡便で有効なスコアであるが,塞栓症を発症するリスク評価法 CHADS2スコア と重複する部分が多いため,出血リスクも塞栓症リスクも高いと判定される症例が少なくない.このような症例では抗凝固薬の減量が必要か否かは今後の検討課題です.

心房細動関連の投稿 👲

(投稿者 川崎)

2021-04-18

黒色食道 Black esophagus

  • 観念 上部消化管内視鏡検査で特徴的な食道粘膜の黒色変化を呈する疾患
  • 初報 米国の内科医Goldenbergらが報告(Gastroenterology 1990;98:493-6) 
  • 患者 糖尿病(特にDKA),感染症,腎不全,術後,癌の高齢者らに多い
  • 原因 現在のところ不明であるが,虚血および胃酸の逆流が推測されている
  • 症状 吐血または下血が主で,他に腹痛や嘔気,嘔吐,嚥下障害,貧血など
  • 治療 絶食(平均13日間),中心静脈栄養,胃酸分泌抑制剤などの対症療法
  • 予後 死亡率31.8%と不良(ただし急性壊死性食道炎そのものでの死亡は稀)
  • 合併 食道狭窄が10~20%に発症(一般に7~10日後にみられることが多い)



👺 診断基準胃と腸 2017年52巻5号) 
  1. 急性に生ずる食道粘膜全周性の黒色変化
  2. 病変の主座が下部食道(遠位側1/3)に認められ,胃粘膜は正常で胃粘膜との境界が明瞭
  3. 食道粘膜を損傷する他の要因がない

💁 食道に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)