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2022-06-20

🏆 論文

🎉 当院の循環器内科で行われた臨床研究が出版されました 🎉 

  • 対象は心不全で松下記念病院に入院した138例です.退院前に簡易定性法による頸静脈評価に加えて,吸気負荷を追加しました.
  • 退院後の予後は,安静時に拍動を認めた症例(下図の)で心事故(死亡または心不全再入院)が有意に高率でした(予想通り).
  • さらに安静時には視認しなくても吸気負荷で拍動が出現する症例(クスマウル徴候陽性)も同様に予後不良でした(下図の).


😀 負荷頸静脈
  • 循環器疾患は負荷することで診断の感度と特異度を改善することができます.負荷心電図,負荷心エコー図,負荷心筋シンチグラフィしかりです.最近は心臓カテーテル検査時にも負荷を行う機会が増えてきました(冠血流予備量比など)
  • もちろん身体所見にも負荷はありますが,臨床現場ではあまり用いられていないように思います.当院では2020年に6分間歩行後の頸静脈所見が心不全症例のリスク評価に有用であることを報告しました(Am J Cardiol 2020;125:1524-8).
  • 6分間歩行は運動可能な症例に限定かつ診察室での施行は不可能です.本論文はこれらの問題点を克服するために実施されました.クスマウル徴候が陽性の症例は,安静時に拍動が視認できる症例と同程度に予後不良であることは驚きです.

💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-06-19

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

三段脈を利用したPESP
運動負荷/安静時Tc-99m-tetrofosmin 心筋SPECTおよびそのQGS解析
Kawasaki T, et al : Clin Nucl Med 27 : 223-224, 2002



※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 杉原)

2022-06-18

ウィップルの三徴 Whipple’s triad

症状が低血糖に起因することを示す所見でインスリノーマの可能性がある
  1. 低血糖に合致する症状がある
  2. 症状がある時の血糖値が低い
  3. 血糖上昇の処置で症状が改善

👳 医学歴史の調査隊
  • 米国の膵臓外科医である Allen Oldfather Whipple (1881–1963)がインスリノーマの診断のために提案した.膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy; PD)の別名であるウィップル法(Whipple procedure)も由来は同じ.ちなみに原因菌の同定に100年を要したと言われている感染症のウィップル病(Whipple's disease)は,米国の内科医である George Hoyt Whipple (1878–1976) である.

💁 糖尿に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-06-17

世代 Generation

  • ビジネスの世界では世代を特徴で捉えることがある様です.この世代特徴と疾患頻度にはあまり関係がないと思われますが,知っておいて損はないかも...

🍔 米国の世代と特徴(諸説ありますが...)
  1. Boomers(1946~1964年)➜ 仕事優先/時代に取り残されている
  2. Gen X(1965~1976年)➜ 仕事と生活のバランスを重視
  3. Millennials(1977~1995年)➜ 怠惰で特権意識が高い
  4. Gen Z(1996~2015年)➜ 薄っぺらくてSNSばっかり


🍙 日本の世代の呼び方(一例です)
  1. 昭和一桁世代(1926~1934年)
  2. 焼け跡世代(1935~1946年)
  3. 団塊の世代(1947~1949年)
  4. しらけ世代(1950〜1964年)
  5. バブル世代(1965~1970年)
  6. 団塊ジュニア世代(1971~1974年)
  7. 就職氷河期世代(1971~1982年)
  8. プレッシャー世代(1982〜1986年)
  9. ゆとり世代(1987~2004年)

😄 おまけ
  • SNS(Social Network Service)はネットを通じたサービスでFacebookやTwitter,Instagramなどのことです.ただし英語圏ではSNSとは言わずにsocial mediaと言います.
  • SMS(Short Message Service)は主にスマホなどのモバイルデバイスでメッセージをやり取りするサービスです.SMSも使われずに,text messageまたは単にtextと表現されます.

(投稿者 川崎)

2022-06-16

🎯 今週の一枚(じゃなくて音)

急性前壁心筋梗塞に対してPCIを施行した数日後

💣 心室中隔穿孔(VSP: ventricular septal perforation) 
  • 3LSBに明瞭な汎収縮期雑音(全収縮期雑音,収縮期逆流性雑音)
  • 通常は雑音に隠れるⅡ音がちゃんと聞こえる(肺動脈成分の亢進)
  • 雑音は心尖部の方が大きい(病変は心基部より心尖部よりを示唆)
  • 心尖部ではこの雑音直後に小さな音(膜では聞こえないためⅢ音)
  • 心エコー図では,心尖部よりの心室中隔にL➜Rシャントを認めた
  • 心室中隔穿孔を伴う非代償性心不全と診断して,準緊急外科手術

💀 心筋梗塞の機械的合併症
  • 心室中隔穿孔,乳頭筋断裂,左室自由壁破裂が3大機械的合併症です.発生頻度は心筋梗塞のおよそ1〜10%で,発症時期は24時間以内および3〜5日が多いと報告されています(過去のまとめ).
  • 本例に生じた心室中隔穿孔の発症リスクは,高齢・女性・前壁梗塞(前下行枝)・初回梗塞です.また穿孔部位は前下行枝病変なら心尖部寄り(本例),非前下行枝なら心基部寄りになります.
  • 機械的合併症では血行動態が急激に悪化します.心室中隔穿孔の自然予後は1月以上の生存率20%以下()で早期の外科的修復術が必要.一刻を争うならIABPやPCPS,Impellaなども考慮.
  • 心室中隔穿孔と乳頭筋断裂では,粗い汎収縮期雑音(と前胸部の振戦)が診断契機になります.冠インターベンション(PCI)が成功しCKが順調に下がってきても,油断せず毎日朝晩の聴診が必須です 👂

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-06-15

先日「ストーマがあるから腎臓が悪いんです」と患者さんに言われて…

  • 直腸がん手術では、縫合不全を予防するために、一時的ストーマを造設することがある。その際、回腸また横行結腸が選択されることが多い。回腸は手技が簡便であるが、腎機能低下やストーマ関連合併症をきたすリスクが高い。(日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 2021;37:158)  
  • 回腸ストーマでは、High-output stoma (HOS) の発生が問題となる。排液が1500-2000mL/dayを超える場合、HOSとされることが多い。報告では、回腸ストーマ造設3週以内にHOSとなるのは16%、3週以降になるのは4%である。HOSの原因として3週以内では、敗血症や薬剤性が挙げられる。3週以降の原因として、短腸やイレウスなどが挙げられる。(Surg Today 2020;50:703-10
  • 人工肛門造設後1か月の腎機能は、造設時のものと比較して有意に低下していた。そして、人工肛門閉鎖後も腎機能は改善しない報告が散見される。小腸からの多量の排液や、大腸における水分の吸収不良による脱水が、腎機能低下に関連する。そのため、人工肛門造設時の水分や電解質の管理が腎機能低下を予防することにつながると考えられる。(Surg Today 2020;50:703-10

(投稿者 平野)

2022-06-14

俗称・邦名・英名・発音

☆ とびひ伝染性膿痂疹impetigo実際の発音) 
  • ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌による皮膚浅層の化膿性疾患.創部の浸出液から接触感染して,夏場に幼児や小児に好発する.シャワーで創部を清潔に保ち,抗菌薬の内服および外用薬を用いる.ガーゼ保護をすれば学校を休む必要はない.


★ 水イボ伝染性軟属腫molluscum contagiosum実際の発音) 
  • 伝染性軟属腫ウイルスによる皮膚疾患で,体幹を中心に1〜5mm程度の隆起が多数出現する.子供の5〜10%に発症するが,痛みやかゆみなどの症状はない.特別な加療は不要で,6ヵ月〜2年で自然治癒する.学校を休む必要はないが,タオルの共有は控える.

😑 独り言
  • 皮膚疾患の正式な邦名および英名は難しいものが多いと思います.上記2疾患の英名(impetigoおよびmolluscum contagiosum)を聞いたときに,どのような疾患なのが全くイメージできませんでした.まともに発音すらできませんでした.反省の意を込めて本ページにまとめておきます.

(投稿者 川崎)

2022-06-13

吸気ならぬ呼気負荷

労作時の息切れで来院した症例

🍘 解説
  • 深吸気の保持で右鎖骨上窩に陥凹(矢印)あり(クスマウル徴候陽性)
  • よくみると通常呼吸時にも吸気時に陥凹(広義のクスマウル徴候陽性
  • 内頸静脈の陥凹はx谷とy谷が同じ深さで優位性なし(y谷優位の症例
  • 興味深いのは深呼気保持では内頸静脈拍動は不明瞭(表在静脈は隆起)

🍙 独り言
  • 個人的には内頸静脈の簡易定性法(座位で鎖骨上に拍動の有無を視覚的に判定)では吸気負荷を追加するようにしています(クスマウル徴候の確認).簡易定性法では軽度(〜中等度)の中心静脈圧上昇を見逃すことがあるためです.
  • このクスマウル徴候ですが,逆に吸気時に頸静脈拍動が消失する症例は経験したことがありません.逆クスマウル徴候(paradoxical or reversal Kussmaul's sign)という用語もヒットしません.報告したら世界初になるかも...
  • 同様に内頸静脈の呼気負荷(jugular venous response to expiration)に関する報告もほとんどないようです.あまり役立つとは思えませんが,特定の疾患に対する有用性は否定しません.発見したら歴史に名を残せるかも...😳

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-06-12

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

QGS post ischemic stunning
運動負荷/安静時Tc-99m-tetrofosmin心筋SPECTを施行例の負荷後と安静時のQGS解析



※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 杉原)

2022-06-11

ラセーグ徴候 Lasègue's sign

  • 坐骨神経麻痺の鑑別法でSLRテスト(Straight Leg Raising Test)や下肢伸展拳上検査とも言う
  • 仰臥位の被験者で片側の下肢を進展位で挙上して,30度〜70度で坐骨神経痛が出現したら陽性
  • 臀部の筋収縮によって坐骨神経が圧迫されるためで,陽性なら椎間板ヘルニアなどが疑われる
  • 由来はフランスの整形外科医 Ernest-Charles Lasègue (1816–1883) で神経性食欲不振症も報告

(Public Domain)

💁 腰痛に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)