このブログを検索

検索キーワード「糖尿」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「糖尿」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2019-11-27

腎性糖尿 Renal glucosuria

  • 健康人では腎臓で血液からろ過されたブドウ糖は概ねすべて再吸収される
  • 糖尿病で血糖値がおよそ170mg/dl以上になると尿中に糖が出現してくる
  • 腎性糖尿とは血糖値が正常範囲内にも関わらず尿に糖分が出てしまう病態
  • 学校検診での指摘が多いが成人でも1.4%(Atherosclerosis 2017;261:111-6
  • 通常腎性糖尿は放置可能であるが,他疾患に合併した場合には治療が必要

(患者説明資料:子供の糖尿病と治療より)

関連投稿 🉐

(投稿者 川崎)

2021-11-10

ASA PS: American Society of Anesthesiologists Physical Status

  • 術前の麻酔科における簡便なリスク評価で予後とも相関する
  • 米国麻酔科医会の依頼で作成(Anesthesiology 1941;2:281–4
  • 現在の仕様は2014年版で,最終更新は2020年12月 ➜ コチラ

❻ 以下の6クラスに分類(緊急手術ではEを追加)
  1. 手術の対象疾患は局在的で全身的な障害なし(例:他が健康な症例の鼠径ヘルニアあるいは子宮筋腫)
  2. 軽度の系統的な障害(例:喫煙者,妊婦,コントロールされた高血圧や糖尿,新生児または80歳以上)
  3. 重症の系統的な障害(例:コントロール不良の糖尿や高血圧,COPD,BMI 40以上の肥満:本邦は35?)
  4. 生命をおびやかす高度の系統的疾患(例:3月内の心筋梗塞や脳血管障害,血液透析,EFの高度低下)
  5. 瀕死状態で手術でも助かる可能性は少ない(例:動脈瘤破裂でショック,広範な肺塞栓,多臓器不全)
  6. 脳死状態の臓器移植ドナー

(投稿者 川崎)

2024-01-16

心不全とSGLT2阻害薬

  • (今更ですが)日本循環器学会・日本心不全学会の心不全治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationを転記しておきます(2023年6月16日) 
  • 概略:すべての心不全で積極的使用+腎機能や電解質,尿路・性器感染に注意+食事制限手術なら糖尿例で3日前~,非糖尿例で前日~中止(再開は食事の開始時)

📖 Recommendation勧告
  • 心血管疾患のハイリスク2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬は入院を要する心不全イベントの抑制が報告されており、リスクとベネフィットを十分に勘案して積極的にその使用を検討する。
  • 心不全患者において、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジンとエンパグリフロジン)は2型糖尿病の合併・非合併および左室駆出率にかかわらず、心不全イベントの抑制が報告されており、リスクとベネフィットを十分に勘案して積極的にその使用を検討する。
  • 心不全患者では利尿薬を使用する頻度が高く、SGLT2阻害薬の併用により過度の体液量減少をきたすリスクがあるため、腎機能や電解質等のモニタリングを適宜行い、必要に応じて利尿薬や降圧薬の用量を調節する。
  • 2型糖尿病を合併した SGLT2阻害薬を使用中の心不全患者が、食事摂取制限を伴う手術を受ける場合には、手術3日前から休薬し、術後は食事摂取が可能になってから再開する。一方、2型糖尿病を合併しない心不全患者では、術前の終日絶食日に SGLT2阻害薬を休薬し、術後は食事摂取が可能になってから再開する。なお、2型糖尿病の合併・非合併にかかわらず、SGLT2阻害薬を服用中の心不全患者が緊急手術を受ける場合には、同薬の休薬についてリスクとベネフィットを十分に勘案して現場での判断を許容する。いずれの場合においても、心不全患者において SGLT2阻害薬を休薬する場合には、休薬に伴う心不全増悪時も含め必要に応じて循環器専門医への紹介を考慮する。
  • SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の合併の有無にかかわらず心不全患者においても尿路・性器感染症の発生・増悪が懸念されるため、リスクとベネフィットを十分に勘案して適応を検討し、投与後は注意を払う必要がある。
  • 心不全患者において SGLT2阻害薬を使用する場合、各薬剤の添付文書および本Recommendationを踏まえて適正に使用する。糖尿病や慢性腎臓病の併存する病態に応じて日本糖尿病学会および日本腎臓学会の SGLT2 阻害薬の適正使用に関するRecommendationも参考にする。

(投稿者 川崎)

2023-07-24

凍結肩 Frozen shoulder

  • 40才以上で肩関節痛と関節可動域制限を特徴とする原因不明の病態 
  • 五十肩と同意義で別名は拘縮肩,肩関節周囲炎,癒着性肩関節包炎 
  • 英語ではadhesive capsulitis, shoulder periarthritis, stiff shoulder他
  • 発生率は人口の3~5%,ピークは56歳,男性より女性に僅かに多い
  • 糖尿,甲状腺疾患,高コレステロール血症,高血圧などで頻度増加
  • 臨床現場では能動的および他動的外旋が困難であることから診断可
  • 画像診断や病理検査は有用ではなく重大な代替診断に至ることは稀
  • 3段階:炎症期 2~9ヵ月,拘縮期 4~12ヵ月,回復期 12~42ヵ月 
  • 治療は鎮痛薬,理学療法,関節内ステロイド注,鏡視下関節授動術


💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2017-03-17

高ホモシステイン血症

ホモシステインは血液中に含まれるアミノ酸の一つで,構造式はHOOC-CH(NH2)-(CH2)2-SH
約75%がアルブミンなどの蛋白質に結合し遊離形は1~2%で,血漿濃度の正常値は6μmol/L未満

先天性:ホモシステイン尿症に伴うホモシステインを分解する酵素シスタチオニンβ合成酵素の欠損
後天性:加齢や男性,喫煙,VB6・VB12・葉酸欠乏,薬剤性,肝腎障害,糖尿,甲状腺機能低下症など

高ホモシステイン血症は心筋梗塞や脳梗塞,深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症などの発症と関連
妊婦の高ホモシステイン血症が新生児先天異常(二分脊椎や水頭症など)と関連した報告もあり
 ※ただし因果関係は依然不明で高ホモシステイン血症が原因ではなく結果であるという報告も散見

興味がある方はコチラ ➽ ホモシステイン血症再考 生化学2013;85:1067-1071

(投稿者 川崎)

2017-03-29

グラム染色クイズ

血液透析症例がERを受診し肺炎と診断された.
ERで緊急の喀痰グラム染色を行った.診断は?


グラム陰性桿菌から腸内細菌と考えるが,ムコイドと”くびれ”があるためクレブシエラと推定できる
腸内細菌ならESBL産生菌の可能性があるが,クレブシエラではその頻度は少ない(当院では3%程度)

本例は透析,糖尿,下肢切断などハイリスク症例であったがESBLの可能性は低いと考えカルバペネムは選択しなかった
最終的にセフトリアキソン(2g/日)1週間,その後経口レボフロキサシン内服(初回500mg,以後250mg隔日)1週間で治癒

(投稿者 川崎)

2017-07-02

せん妄 Delirium

意識障害の一つで,意識に加えて注意や知覚なども障害された状態
死亡率上昇や入院期間延長,医療費増大と関連するため加療が必要

治療:抗精神薬
商品名(一般名)長所短所
リスパダール(リスペリドン)経口投与できる液体で用途が広い慢性腎臓病では慎重投与
セロクエル(クエチアピン)内服で半減期が短い(3~6時間)糖尿病には禁忌
セレネース(ハロペリドール)静注で腎不全や糖尿でも投与可能半減期が長い(>24時間)
せん妄 不眠 睡眠薬 
補助剤として副作用の少ない抑肝散(漢方),ベルソムラ(オレキシン受容体拮抗薬:非ベンゾジアゼピン系であるが効果は同等),ロゼレム(メラトニン受容体作動薬:非ベンゾジアゼピン系で体内時計を調整,ただし効果は少し弱め)などと組み合わせて対応したい

(投稿者 川崎)

2023-01-30

超正常のeGFR?

外来での会話 💨
  • 担当医師 「採血には特に問題はないですよ」
  • 中年患者 「先生,腎臓は大丈夫でしたか?」
  • 担当医師 「ええ,全く問題ないと思います」
  • 中年患者 「どの項目で分かるんですか?」
  • 担当医師 「このeGFRが100超ってすごいですよ」
  • 中年患者 「よかった 😊 糖尿かも言われたので...」

💣 eGFR(推算糸球体濾過量)
  • eGFR(ml/分/1.73 m2)が90以上なら正常〜高値,60〜89なら正常〜軽度低下
  • ただし血清Crを用いて算出するため筋肉量低下(長期臥床)で過大評価に注意
  • また糖尿病初期では高血糖で尿量が増加してeGFRが一時的に上昇(過剰ろ過
  • 血糖コントロール後が本来の値(放置で顕性アルブミン尿の出現やeGFR低下)


💁 腎機能の過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2023-05-03

シャルコー足 Charcot foot

  • 深部知覚障害を伴う状況で足部や足関節に非感染性の破壊型関節障害を生じた病態
  • 初報は仏蘭西の病理神経学者Charcot(Arch Des Physiol Norm et Path 1868:1;161-71)
  • Charcot neuroarthropathy(シャルコー関節症)や糖尿病(性)足とも呼ばれている
  • 原因は不明(不適切血流による骨吸収の進行あるいは繰り返される微細損傷の蓄積?)
  • 神経障害の原因は糖尿,脊椎疾患,先天性無痛覚症,アルコール多飲,ステロイド他
  • 糖尿病症例の約1%にCharcot関節症が合併(糖尿病タイプや重症度,性別とは無関係)
  • 症状は不安定歩行,後足部の内外反変形,足部アーチの扁平〜ロッカーボトム変形ほか
  • 治療は下肢挙上,保護,靴型装具,進行例は外科的手術,胼胝・潰瘍なら下腿切断など


進行したシャルコー足でロッカー底変形を生じている

(投稿者 川崎)

2017-08-14

筋肉 

種類特性(得意分野)熱産生量ミオグロビン毛細血管密度糖尿や肥満
赤筋(Ⅰ型)遅筋(例:有酸素運動=長距離走)多い多い高い合併少ない
白筋(Ⅱ型)速筋(例:無酸素運動=短距離走)少ない少ない低い合併多い

※白筋(Ⅱ型)はさらにⅡaとⅡbに分類され,Ⅱa型筋繊維はⅠ型筋繊維に近い性質を有す
※白筋・赤筋の比率は概ね遺伝的要因で決定されるが,筋トレでⅡbが増加し,持久性トレで赤筋化(Ⅱb⇒Ⅱa)

(投稿者 川崎)

2020-12-13

セルロプラスミン欠損症 Aceruloplasminemia

  • 本体 全身臓器に鉄の過剰沈着を生じてくる常染色体の劣性遺伝疾患のこと
  • 初報 浜松医科大学のMiyajimaらが発見した病態(Neurology 1987;37:761-7
  • 機序 セルロプラスミンによるフェロキシダーゼ活性(Fe2+ ➜ Fe3+)の低下
  • 疫学 セルロプラスミン遺伝子異常のホモ接合体の頻度は概ね2百万人に1人
  • 経過 20代〜貧血,30代〜糖尿病,40代〜神経症状(小脳失調や認知症など)
  • 所見 血清セルロプラスミン消失、血清鉄低下・フェリチン著増、小球性貧血
  • 画像 MRIで基底核や小脳,肝臓がT1強調で低信号+T2強調で低信号(下図)
  • 鑑別 ウィルソン病,ハンチントン病,脊髄小脳変性症,多系統萎縮症など
  • 診断 症状+検査所見+遺伝学的検査+鑑別疾患除外(詳細な基準はコチラ
  • 治療 根本的治療なし/鉄キレート薬+新鮮凍結血漿+糖尿などの治療など


Intern Med 2018;57:1905-1910/BはT1,CはT2)

🉐 各種酵素の欠損症 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)

2022-06-18

ウィップルの三徴 Whipple’s triad

症状が低血糖に起因することを示す所見でインスリノーマの可能性がある
  1. 低血糖に合致する症状がある
  2. 症状がある時の血糖値が低い
  3. 血糖上昇の処置で症状が改善

👳 医学歴史の調査隊
  • 米国の膵臓外科医である Allen Oldfather Whipple (1881–1963)がインスリノーマの診断のために提案した.膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy; PD)の別名であるウィップル法(Whipple procedure)も由来は同じ.ちなみに原因菌の同定に100年を要したと言われている感染症のウィップル病(Whipple's disease)は,米国の内科医である George Hoyt Whipple (1878–1976) である.

💁 糖尿に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2020-09-17

🎯 今週の一枚

発熱と頸部~顔面の発赤で来院した中年男性



(投稿者 川崎)

2023-05-10

尿失禁 Urinary Incontinence

🐦 復習
  • 尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症候名
  • 尿失禁は加齢と伴に増加して女性に多く男性の約2倍の頻度
  • 男性では大半が60歳以上,女性は40歳以上の約40%が経験
  • 男性尿道は長さは男性では約20 cmであるが女性では約4 cm


🐤 分類
  • 腹圧性 ➜ 咳などの腹圧上昇時に膀胱が収縮せずに尿漏れ
  • 切迫性 ➜ 過活動膀胱などで強い尿意とともに尿が漏れる
  • 溢流性 ➜ 薬剤や糖尿,前立腺肥大症の排尿障害で生じる
  • 機能性 ➜ 膀胱機能とは無関係で歩行障害や認知症で失禁
  • 反射性 ➜ 下肢麻痺など脊髄障害で兆候や尿意なく尿漏れ


💁 尿失禁に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)