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2025-02-10

ペースメーカ植込み時のポケット洗浄

洗浄 vs 非洗浄
  • 対象 心臓埋込型電子機器の植込み術を受けた5467人のデータ(10件の臨床研究)
  • 感染 ポケット感染症の頻度はポケット洗浄群1.48%,非ポケット洗浄群3.49%
  • 効果 メタ解析でポケット洗浄の感染予防は有意(RR=0.44、95%CI:0.31-0.63)
  • 追加 生理食塩水と比較し抗生物質洗浄ではポケット感染の発生率が約59%減少

- ポケット洗浄の感染予防:メタ解析 -


生食洗浄 vs 抗菌薬洗浄
  • 対象 2018年1月から2022年2月までに心臓デバイス植込み術を受けた連続2,736人の成人患者
  • 追加 リードレスペースメーカーは除外し全ての患者は術前に予防的静脈内抗生物質の投与
  • 手技 皮下ポケットをバシトラシンまたはバンコマイシン溶液で洗浄,あるいは生食での洗浄
  • 感染 ポケット感染は20名(生食 vs バシトラシン, P=0.33/生食 vs バンコマイシン,P=0.21)

- グループ間比較(NS=生食)-

😋 独り言
  • ペースメーカを植込む直前に生食でポケットを洗浄しておくだけで良さげかな...

👉 ペースメーカに関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2025-02-09

「私の血液型はオモテO型,ウラB型」

💫 ABO血液型の亜型
  • オモテ検査(赤血球と抗A,抗Bとの凝集反応)とウラ検査(血清中の抗A,抗Bの有無)が一致せず
  • 抗体試薬やレクチンへの凝集反応,不規則抗体,糖転移酵素活性,分泌型唾液中の型物質などで分類
  • 本邦で多い亜型はBm型(オモテ検査O型でウラ検査B型)とABm型(オモテ検査A型,ウラ検査AB型)
  • 遺伝子解析で多くの亜型はエキソン6/7変異(ただBm型やABm型はエンハンサー領域を含む欠失他)


<質問19>
  • B型の亜型、Bm型についてABO式血液型の1つに「Bm」という血液型がありますが、この血液型の人が輸血を必要とする場合、苦もなく手配できるものなのでしょうか?たとえば、Bmの血液型を持つ人にRh+Bの血液を輸血した場合はどうなりますか?また、この血液型の人は日本人中に何%程度存在するんでしょうか?データがあれば是非教えてください。

<回答> 
  • ABO式血液型で、赤血球表面のA抗原やB抗原の、主として量的な差と各種抗体やレクチンに対する反応性の違いにより、亜型(subgroup)として分類されるタイプが存在することが知られております。
  • 手元にある文献を調べてみましたが、日本人での頻度に関しては、A2の頻度はA型中の0.16%(A型)、AB型中の1.07%(A2B型)となっております。A2を除くAの亜型の頻度は0.021%で、Bの亜型はこの約10倍ということですので、0.2%ぐらいということになるでしょうか。日本人の亜型の中で一番多いのは、Bm型とのことですので、頻度はA2よりやや多いことを前提にして、0.16~0.2%の間と推測されます。
  • 輸血を受ける場合は、B型の血液を輸血して問題はありません。Bm型血球は抗Aや抗Bの試薬で凝集しないのに、Bm型の人の血清はA型血球を凝集し、いわゆる「血液型検査のおもて・うら試験不一致」をきたすので、血液型判定上は問題となります。しかし、輸血をする上では、Bm型だからといってBm型を入れる必要はなく、交差試験を行って問題のない血液、つまり、B型の血液を輸血して何の問題も生じません。日本人ではB型の頻度は約20%ですので、B型の供血者をさがすのに苦労することはまずあり得ません。


💁 血液型に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-02-08

抜管後の上気道~気管狭窄

  • 気管挿管に伴う合併症の一つで発生頻度は0.1%以下
  • 救急外来で挿管例での発生頻度は約1%(270例中3例)
  • 3例の診断は喉頭ファイバー1例で他はCT(肺野条件)



危険因子
  • 長期挿管(>48 時間)
  • 女性
  • 大口径の気管チューブ
  • 挿管困難
  • 外傷症例

抜管前の具体的対応
  • 喉頭および周辺組織の浮腫の評価 : 画像評価、喉頭鏡・ファイバースコープによる直接観察を考慮する
  • 頭部挙上
  • 利尿による浮腫軽減
  • ステロイド投与
  • 再挿管のための特殊な器具の準備(緊急気管切開セットを含む)
  • 抜管時の麻酔科医の立ち会い
  • 予防的非侵襲的陽圧換気の準備
  • 抜管時のチューブエクスチェンジャーの使用など


👀 復習
  • 人工呼吸器からの離脱は SAT & SBT(Spontaneous Awakening Trial/自発覚醒トライアル & Spontaneous Breathing Trial/自発呼吸トライアル)
  • SAT成功基準を満たし,次のSBT成功基準を満たしたら抜管を検討(ただし抜管後の上気道狭窄や再挿管のリスクを評価した上で実施したい)

(投稿者 川崎)

2025-02-07

頚静脈の座位定性法も無敵ではありません

鼠経ヘルニア術前に心電図異常を指摘された症例(座位)


  • 息切れなど心不全を示唆する症状はないが,BNP値は150 pg/ml程度に上昇していた.心エコー図には特記すべき異常所見はなし.
  • 心不全の有無を判定するため頚部を観察したが,大きな腫瘍に占拠されていた.橋本病による長い治療歴あり(現在はeuthyroid)
  • 心音でも心不全を示唆する所見(Ⅲ音やⅡ音肺動脈成分の亢進など)はなし.日常生活から判定した運動耐容能も保たれていた.
  • 胸部圧迫感の自覚はなく,冠危険因子も高血圧のみ.最終的に手術に支障はないと判断して,紹介元の外科医に返書を作成した.
  • 稀ながら頚静脈の座位定性法が困難が状況がある.甲状腺疾患による甲状腺腫肥満猪首,座位姿勢の困難例などが相当する.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-02-06

今週の一枚 🎯

転倒後に右足付け根の外側を痛がる高齢者

😐 恥骨骨折(Pubic fracture)
  • 疼痛部位の右大腿骨頚部には明らかな骨折なし
  • 恥骨に骨折あり?(右の反転画像が分かり易い)
  • CTで右恥骨骨折(他の骨折なし:下図,矢印)
  • MRIでは骨折周囲の血腫と近傍筋群に挫創あり

💁 追加コメント
  • 本例は骨折部位の叩打痛は明らかではありませんでした.ひたすら右大腿外側を手でさすっておられたそうです.恥骨骨折が判明した後に再度行った診察でも,恥骨周囲の疼痛は不明瞭でした.
  • 疼痛部位と骨折部位が一致しないことは稀ではありません.介達痛と言ってしまえばそれまでですが,本例では右大腿骨頚部付近の筋挫創と関係していたのかもしれません(上図のMRIに注目)

💫 骨盤に関する過去の投稿 ➜ コチラ

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-02-05

Preeclampsia and Eclampsia 妊娠高血圧腎症と子癇

  • 妊娠高血圧腎症は妊娠20週以降に発症する高血圧や既存高血圧の悪化かつ過剰尿蛋白
  • 子癇は妊娠高血圧腎症の女性に生じるけいれん発作でてんかんや二次性の痙攣は除く
  • 妊娠高血圧症候群(旧名は妊娠中毒症)は≧140/90mmHgの状態(尿蛋白は問わない)
  • preeclampsiaは子癇前症や前子癇とは言わず妊娠高血圧腎症(ただ完全一致ではない)
  • 診療ガイドライン2023で妊娠高血圧腎症36ヵ所,子癇40ヵ所,子癇前症や前子癇はゼロ
  • HELLP症候群(溶血,肝酵素上昇,血小板減少)は重症の妊娠高血圧腎症や子癇の1-2割

(投稿者 川崎)

2025-02-04

心臓移植の手技

  • カンファレンスで心臓移植の手技が話題になりました.あまりなじみがない領域なので調べてみました.
  • 以下の図と文章は,日本循環器学会などの2016年版「心臓移植に関する提言」からの引用・参考です.

- 心臓摘出手技- 
  • 上大静脈・奇静脈,下大静脈,大動脈,肺動脈幹を十分剥離しU字縫合(図 14a)
  • ヘパリン(4~5 mg/kg)を投与し,奇静脈・上大静脈・下大静脈を離断(図 14b)
  • カニュー レから4℃心保存液を注入し心臓が停止した のを確認後,心臓を摘出(図 14c)
  • 3重イレウスバックに入った心保存液中に漬け心停止液注入用のカニューレ抜去(図 14d)

- 心臓移植法 -

  • 以前は biatrial technique (両心房法)が中心であった(図15a)
  • 近年は bicaval technique(上下大静脈法)が行われている(図15b)
  • 日本では北村らが開発した modified bicaval technique が70%(図15c)

👉 移植に関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2025-02-03

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-02-02

シャント血管マッサージ

  • 透析をはじめようとした際,シャント音が弱い,聞こえないなど,シャントの流れが悪くなっていた場合には,即座にシャント部をマッサージすることで回復することがある.穿刺予定部を手でしっかり揉む,さするなどしてあげる.
  • シャント作製後 3ヵ月以上たっていれば吻合部を揉んでも差し支えないので,穿刺部とともに吻合部もマッサージする.局部静脈に細い針でヘパリン化生食やウロキナーゼを注入してから揉むのが効果的であるが,難しい場合でも,揉むだけで血流が回復することも多い.



シャント血管マッサージを禁忌とする患者
  • シャント作成後2週間未満
  • 新シャント穿刺3回目以内
  • 狭窄部位に痛みや腫脹がある
  • シャントに瘤がある
  • 人工血管を用いたシャント
  • シャントステントのエッジ部分に狭窄がある
  • ステロイド長期投与
  • 80歳以上
  • 皮膚が薄く,内出血や表皮剝離のリスクがある
  • 心房中隔欠損,心室中隔欠損がある

引用)透析会誌 2018;51:305-11(元:腎と透析 2013;74:84‒6)

(投稿者 川崎)

2025-02-01

AIMAH:ACTH非依存性大結節性副腎皮質過形成

  • 先日の腹部CTに対するレポートにAIMAHの疑いと記載されていました.耳慣れない用語だったため調べてみました.

AIMAH(ACTH非依存性大結節性副腎皮質過形成)
  • ACTH-independent macronodular adrenal hyperplasiaの略
  • 画像で両側副腎に1cm超の大結節が多発(内部に脂肪を含)
  • デキサメサゾン抑制アドステロールシンチで両側に集積有
  • その病態はsubclinicalからovert Cushing症候群まで多様
  • 標準は両側副腎摘除術だが片側摘除術の有用性報告あり
  • 一部の症例では腫大した副腎皮質自体からACTH産生あり
  • 最近はbilateral macronodular adrenal hyperplasiaと呼ぶ
  • 略語ではBMAHあるいはprimari BMAHからPBMAHとされる


クッシング症候群を呈したPBMAH(AIMAH)の63歳女性

💁 副腎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)