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2026-01-10

血管 りん Vascular Ring

  • 大動脈弓やその分枝が気管や食道の周囲を取り囲み圧迫する先天異常
  • 両側第4鰓弓動脈の遺残で重複大動脈弓 ➜ 一部の血管が退縮し血管輪
  • 重複大動脈弓によるものと右側大動脈弓に伴うものが多くを占めている
  • 右側大動脈弓では動脈管索例と動脈管索に加え鎖骨下動脈の起始異常例
  • 無症状~喘鳴,反復呼吸器感染,嚥下障害,頻回の嘔吐,体重増加不良
  • 重症の気管(支)軟化合併なら啼泣や哺乳で致命的呼吸不全(dying spell)
  • コメレル憩室(鎖骨下動脈起始部の瘤状拡張)による血管輪あり(下図)
  • 症候性なら早期に血管輪の解除術(+気管支や食道の再建術やステント)


- 血管輪による食道の後方圧迫像 -

図2. ( a ) 後方を向いた 3D 再構成の CT スキャンでは、異常な左鎖骨下動脈とコメレル憩室を伴う右側大動脈弓が示されている。 ( b ) コメレル憩室を伴う閉鎖遠位左大動脈部分を伴う二重大動脈弓を示す。CT スキャン 3D 再構成。 ( c ) 食道造影写真では、異常な鎖骨下動脈のコメレル憩室 (白い矢印でマーク) によって引き起こされる後方圧迫が示されている。 AA = 大動脈弓、KD = コメレル憩室、DA = 下行大動脈 (AI訳)

(投稿者 川崎)

2026-01-09

Look-Locker method ルック・ロッカー法

Look-Locker
  • MRIでT1を測定する撮像法(Native T1 mapping)の最も効率的な方法の1つ
  • 米のLookとLockerが開発(Review of Scientific Instruments 1970;41:250-1) 
  • 反転パルス後に画像データセグメントを繰り返し取得しT1緩和時間を測定
  • 問題点は磁化移動,不十分な縦緩和,オフレゾナンス等でT1値の過小評価
  • 現場では修正法を使用:例 MOLLI (modified Look-Locker inversion recovery)


- 修正Look-Lockerシーケンス(MOLLI)の取得戦略 -

この例では180反転パルスの後、心拡張期に5心拍にわたって画像を取得し、その後3心拍の休止期間を設ける。さらに反転後、わずかにオフセットしたTIでさらに3枚の画像を取得し、反転回復曲線に沿ってより多くの点をサンプリングする。各反転パルス後の画像取得に必要な心拍数と、2周期間の3心拍の休止期間に基づいて、このMOLLI取得スキームは5(3)3と呼ばれる。画像はTIの昇順に並べられ、各ピクセルの信号強度はT1回復曲線に適合される。この手法を画像内のすべてのピクセルに対して実行すると、T1マップ(右下)が得られる。(AI訳)

(投稿者 川崎)

2026-01-08

今週の一枚 🎯

発熱と左顔面の発赤で来院した高齢者

😐 解説
  • 身体所見では左眼瞼~頬部の発赤と腫脹
  • 紅斑境界はやや不明瞭?で耳介波及なし
  • 帯状疱疹を疑う水泡または分布形態なし
  • 頭部CTで同部位は軽度肥厚(下図矢印)
  • 皮下組織の腫脹や濃度上昇は目立たない
  • 明らかな頭蓋内出血や腫瘤は指摘しない
  • 採血では白血球数は8100,CRPは1.05
  • 左顔面の丹毒と考え入院してABPC開始
  • 血培からS. dysgalactiae(G群溶連菌)

👂 耳よりな話 👂
  • 感染症による顔面の紅斑を生じる病態には丹毒蜂窩織炎があります.丹毒は真皮浅層の感染症であるため境界が明瞭ですが,蜂窩織炎は真皮深層から皮下組織が主座のため紅斑は境界が不明瞭になります.
  • 丹毒では耳介に病変が及ぶことが多いことが知られています(Milian's ear sign).本例は身体所見(境界不明瞭&耳介波及なし)からは顔面蜂窩織炎が疑われましたが,CTや血培所見は丹毒に合致

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-01-07

ボウルビィの愛着理論 Bowlby's Attachment Theory

  • イギリスの精神科医(John Bowlby:1907-1990)が提唱した理論(Attachment and Loss, Vol.1 London: Hogarth Press, 1969)
  • 乳児が生存し,健全な社会的・情緒的機能を発達させるためには,少なくとも一人の主要な養育者と親密な関係を築く必要があると仮定
  • ジョン・ボウルビィはアタッチメント理論のなかでアタッチメント行動の発達について4段階に分けて説明している(下記の箇条書き)

👶 アタッチメント行動
  • 第1段階:特定されない対象への定位・信号行動(生後3カ月頃まで)
  • 第2段階:識別された特定の対象への定位・信号行動(生後6ヵ月頃)
  • 第3段階:特定の対象への近接・接近する行動(生後6ヵ月〜3歳頃)
  • 第4段階:行動目標の修正と協調性の形成(3歳頃以降)

💁 各段階の行動の具体例
  • 定位 ➜ 養育者の姿を目で追ったり,声を聞こうとしたりする行動
  • 信号 ➜ 人に注意を向けて泣く,微笑するなど合図する行動
  • 接近 ➜ 吸う,しがみつく,後を追うなどの行動


(投稿者 川崎)

2026-01-06

脳死判定

  • 自発呼吸が消失し脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態で,法に規定する脳死判定(下の3項目)を行って診断
  • 第1回目の脳死判定が終了した時点から6歳以上では6時間以上,6歳未満では24時間以上を経過した時点で第2回目の脳死判定を開始

    • 深昏睡
    • 瞳孔散大固定脳幹反射(対光反射,角膜反射,毛様脊髄反射,眼球頭反射,前庭反射,咽頭反射,咳反射)の消失  
    • 平坦脳波(高感度記録を含むことが望まれる)

(投稿者 川崎)

2026-01-05

肝頚静脈逆流 Hepatojugular reflux: HJR (or Abdominojugular test)

  • 肝頚静脈逆流のメタアナリシス(J Gen Fam Med 2022;23:393-400)を眼にしたのでPICO(ピコ)形式で共有します

    1. P – 7件の研究とその5195人
    2. I – 二変量ランダム効果解析
    3. C – 心不全に対する診断能
    4. O – 感度0.12,特異度0.96

😑 「う~
  • 先日,卒後15年目くらいの臨床バリバリ循環器専門医から「hepatojugular refluxって何ですか?」と聞かれました.個人的にも実臨床で行うことはまずありません.心不全の感度12%では致し方ないでしょうか...
  • ただし2025年改訂版 心不全診療ガイドラインには(まだ)記載されています「この(←頚静脈のこと)拍動が吸気や腹部圧迫によって明瞭化する所見(Kussmaul徴候,肝頸静脈逆流)も 体うっ血を示唆する」(P32)
  • 肝頚静脈逆流(HJR)の陽性基準は,自発呼吸下で右上腹部を10秒以上圧迫したとき頚静脈圧3cm以上かつ15秒以上続く場合が多いと思います(過去の投稿)…いやはやシンプル頚静脈の方がはるかに簡単で感度も高そう

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-01-04

👂 最近の耳学問

😋 真偽に関しては保証できませんが…
  • 階段を1階から3階まであがれると4メッツ(概ね手術に耐えられる基準)
  • 白内障手術では術後1週間は禁酒(エビダンスには乏しく当院は非採用)
  • ”生理中は生ものを避けた方がよい”は都市伝説(刺激物は回避ベター?)
  • Mentimeter や CommentScreen でプレゼン中に参加者の意見集計(投票)
  • 医学では診断書を手書きしない場合は必ずしも”以下余白”は必須ではない
  • 中心静脈圧(CVP)が高い心不全では体外式膜型人工肺(ECMO)が有用
  • 肺動脈楔入圧(PCWP)が上昇した心不全では経皮的補助人工心臓(PVADピーバド
  • アップルファイバー(主に皮を乾燥・粉末化)は便通改善と腸内環境整備
  • 哺乳類の呼吸は一生で約5億回(総心拍数は有名で約15〜20億回:人除く)
  • 心不全で有名な”病みの軌跡”の初出はAm J Cardiol 2005;19;96:11G-17G
  • 心不全例の多くは複数の臓器不全でいわゆる”全不全”(猪又孝元先生ら)

💁 耳学問に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-01-03

心拍出量のFick法

【日本循環器学会専門医試験問題】より
 心拍出量を測定する際,熱希釈法よりFick法が望ましい病態はどれか. 2つ選べ







判定


😐 解説:正解 d, e
  • 心拍出量の測定に関する問題である.心拍出量は酸素消費量を動脈血と混合静脈血の酸素含量差で除して求めるFick法と指示薬希釈法があり,後者ではSwan-Ganzカテーテルが開発されてからは冷水を指示薬とする熱希釈法が一般的に用いられている.
  • Fick法の原理は,肺での血液の酸素摂取速度と肺静脈と肺動脈の酸素含量差から肺血流量は決定され,定常状態では血液の酸素摂取速度と肺による室内空気からの酸素取り込み速度は等しくなることから,肺血流量=酸素消費量÷肺静脈と肺動脈の酸素含量差で求められる.心臓内短絡(シャント)がなければ肺血流量は体血流量に等しくなることから心拍出量も測定することになる.通常は混合静脈血として肺動脈血を用いるが,肺静脈血のサンプリングは困難なため左室あるいは動脈血で代用している.心臓内シャントがあった場合には混合静脈血として肺動脈血の代わりにシャント直前の心腔内でサンプリング行う必要がある.
  • 熱希釈法は肺動脈内に先端を留置したカテーテル近位部(右房)のポートから冷たい生理食塩水を注入し,血液の温度変化をカテーテル先端のサーミスターで測定し,経時的な温度変化から肺血流量が計算される.Fick法と同様に心臓内シャントがなければ心拍出量を表すが,Fick法と比べて動脈穿刺を行っての血液サンプル採取が不要なことや速やかに結果がわかる利点がある.しかしながら,三尖弁逆流が存在すると注入した冷水がカテーテル先端のサーミスターに到達しにくくなるため温度が低下せずに心拍出量を過大評価することや,心臓内シャントが存在すると肺血流量と心拍出量が一致しなくなる.
  • よって,熱希釈法よりFick法での心拍出量測定が望ましいのは d.心房中隔欠損症と e.重症三尖弁閉鎖不全症の患者である.
  • a, c.心房細動や僧帽弁狭窄症があっても熱希釈法で心拍出量は測定可能である.
  • b. 肺動静脈瘻は心臓外短絡であり,奇異性塞栓症や脳膿瘍の原因にはなるが,熱希釈法による心拍出量の測定に支障はない.


(投稿者 川崎)

2026-01-02

Vogt-Koyanagi-Harada (VKH) disease フォークト・小柳・原田病(or 原田病)

  • 概略 メラノサイトに対する自己免疫性(疑い)
  • 命名 スイスのA. Vogt小柳美三原田永之助
  • 症状 両眼性ぶどう膜炎による視力低下や羞明
  • 眼外 髄膜炎、耳鳴、難聴、皮膚白斑、白髪など
  • 鑑別 サルコイドーシスおよびベーチェット病
  • 疫学 20~50歳のアジア女性に多い(特に日本)
  • 治療 大量ステロイドの点滴療法 → 内服の漸減
  • 予後 多くは治療によく反応し視力が改善する


- 初期段階の漿液性網膜剥離(上図)と末期段階の夕焼け眼底(下図) -

(投稿者 川崎)

2026-01-01

今週の一枚 🎯 元旦 🎍

労作時の息切れで来院例(座位)

😐 解説
  • 頚部の上1/3(顎下)に陥凹(右向き矢印)
  • 吸気負荷で別の部位に隆起(左向き矢印)
  • 拍動はいずれも不規則 ➜ 心房細動の疑い
  • 外頚静脈の怒張 ➜ クスマウル徴候(矢頭)
  • 内頚静脈の陥凹+外頚静脈怒張 ➜ 心不全
  • 頚動脈隆起(コリガン脈)➜ 大動脈弁逆流
  • 心エコー図では中等度の大動脈弁逆流あり
  • 最終的にARとAFを伴った心不全と診断した

💟 現場実況
  • 本例で初診時に身体所見を確認したときには,安静時の内頚静脈の陥凹が吸気後には隆起(ランチシ徴候)へ変化しました.もちろんこれで,中心静脈圧が高度に上昇した非代償性心不全と診断できました.
  • その後,看護師さんと車いすで検査に回ってもらいました(心電図や胸部X線,採血).その後の結果説明時(←この時に上記動画を記録)には,ランチシ徴候はなく代わりにクスマウル徴候を認めました.
  • 本例は吸気後に頚動脈拍動(コリガン脈)を認めます.よく見ると安静時にもすでにありそうです.通常,吸気で頚動脈所見は変化しません.本例は筋緊張などが加わり拍動が顕性化したと考えられました.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)