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2025-10-30

今週の一枚 🎯

時々脈が遅くなる高齢者(糖尿病の教育入院中)

🔥 三枝ブロック(trifascicular block)
  • V1誘導でrSR'パターンで右脚ブロック
  • Ⅱ誘導が下向き(R<S)で左軸偏位
  • PQが5 ㎜以上なので1度房室ブロック
  • 上記3所見が共存なので3枝ブロック
  • モニターで高度ブロック確認(下図)

💘 追記
  • 当院では毎週木曜日の早朝にモーニングカンファレンスを行っています.各科の専門医(指導医)が研修医向けに行う臨床に役立つ30分レクチャーです.
  • その日は講師が時間になっても現れませんでした(失念していた模様).そこで2年目の研修医の先生が急遽,最近経験した症例の提示を行ってくれました.
  • 当直中の夜中に病棟から心電図を見て欲しいとコールされ,正しく診断していました(素晴らしい👍)ちなみに心電計の自動診断は3所見の列記のみです.
  • 無症状なので安静を指示し翌朝に循環器内科にコンサルトの指示(これもナイス)「毎週水曜の心電塾が役立った」とも言ってくれて...塾長として涙物😂
  • 参考:三枝(三束)ブロックは刺激伝導系が広範囲に障害された病態(右脚・左脚前枝・左脚後枝の全て)で完全(三度)房室ブロックに移行するリスク有

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-10-04

信書開封罪?

🚑 ERカンファレンスで
  • 先日,救急搬入された患者さんが今回の疾患に関連すると思われる他院への紹介状を持っていました.深夜だったため作成元のクリニックへ問い合わせることはできません.封がされた紹介状を宛名以外の方が開封すると信書開封罪に問われるようです(下記).結局,当直医はその紹介状を開封せずに診療を完結しました. 
  • しかし正当な理由がある場合,信書開封罪は成立しません.確実なことはいえませんが,未開封では患者不利益が生じると思われる今回の救急現場では,患者さんの了承さえあれば開封しても大丈夫と予想します.診療情報提供書に関しては医師と弁護士による問答集があるので興味のある方は参考にしてください(ココ

刑法第133条(信書開封)
  • 正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。 

注意点 💥
  • 封がされた信書を開けた場合でも正当な理由があるときには信書開封罪は成立しない
  • 自分宛と思い込んで開封したが他人宛のものだったときも故意でないため成立しない
  • メールやLINE他は物理的に封をすることはできず信書には当たらないため成立しない


💁 法律に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-11-08

変形労働時間制

👿 以前の復習
  • 通常の当直では28時間までの連続勤務時間制限かつ次の勤務までに18時間以上のインターバルが必要
  • しかし宿日直許可がある宿直では翌日の通常日勤が可能+次の勤務までに9時間以上の間隔で問題ない
  • 通常の宿日直は労働時間に加えられるが,宿日直許可があると宿日直中の時間は労働時間から除外可
  • ただし労働基準監督署から医師の宿日直許可を得ることは難しく,労働がほぼ不要な「寝当直」のみ
  • 宿日直許可のある宿日直であっても,通常通り業務に従事した時間は労働時間に加算する必要がある

👾 変形労働時間制
  • 1月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内となるように労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより,労働時間が特定の日に8時間を超えたり,特定の週に40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えたりすることが可能になる制度(労働基準法第32条の2).
  • 同制度は病院が負う大幅な人件費負担増(特に医師)を回避することにも繋がるため導入施設が増えている.つまり宿日直許可を受けていないと,日勤に続いて行う当直が通常の労働時間扱いの時間外労働となり割増賃金が必要である(深夜帯の22時から翌5時は5割増で,それ以外は2割5分増).


💁 当直に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-03-10

日内リズム:看護師さんの夜勤・交代勤務

  • 神戸常盤大学 保健科学部看護学科の塩谷英之教授が「2週間ホルター心電図を用いた夜勤・交代勤務者の心拍サーカディアンリズム研究」の中間報告をYouTubeにアップされました.とても興味深い内容なので当ページでもリンクしておきます 
  • 心拍サーカディアンリズムの変化は,2024年4月からすべての勤務医に対しても適応される働き方改革にも関連する大切なことです.後半では夜勤明け(医師であれば当直明け)の過ごし方などにも言及されています.お楽しみください 😊(一ヵ月の限定配信だそうです)


💁 働き方に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-03-05

💤 宿日直許可のある宿日直とは?

  • 通常の当直では28時間までの連続勤務時間制限かつ次の勤務までに18時間以上のインターバルが必要
  • しかし宿日直許可がある宿直では翌日の通常日勤が可能+次の勤務までに9時間以上の間隔で問題ない
  • 通常の宿日直は労働時間に加えられるが,宿日直許可があると宿日直中の時間は労働時間から除外可
  • ただし労働基準監督署から医師の宿日直許可を得ることは難しく,労働がほぼ不要な「寝当直」のみ
  • 宿日直許可のある宿日直であっても,通常通り業務に従事した時間は労働時間に加算する必要がある


🉐 医師の勤務関連
(投稿者 川崎)

2021-10-06

ヘルパンギーナ Herpangina

早朝ERのタイムアウトでの一コマ 💨
  • 若い当直医師 「この症例はイレウスだったので消化器内科で入院しました」
  • 中堅責任医師 「OK.イレウス菅は入れなかったの?」 
  • 若い当直医師 「軽症だったので胃管だけ挿入しました」
  • 中堅責任医師 「マーゲンチューブね.OK」 
  • 若い当直医師 「次の症例はヘルパンギーナと診断して帰宅してもらいました」
  • 中堅責任医師 「おっ,OK」(内心 😅 ヘルパンギーナって何だっけ?)

😶 ヘルパギーナ Herpangina
  • 概要 発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎
  • 疫学 患者の年齢は5歳以下が全体の90%以上を占め,我が国では7月頃にピークを形成
  • 原因 エンテロウイルス(腸管で増殖するウイルスの総称)のコクサッキーA群が中心
  • 発症 2~4日の潜伏期後,突然の発熱 → 咽頭痛(咽頭粘膜に紅暈で囲まれた小水疱)
  • 経過 発熱は2~4日間程度でおさまり,それに遅れて粘膜疹も消失する(計7日程度)
  • 診断 通常は臨床症状などから診断(口腔内拭い液のPCRやペア血清でも確定は可能)
  • 予後 対症療法で通常は良好(熱性けいれんや脱水症の合併有/稀に髄膜炎や心筋炎)

参考)国立感染症研究所,ほか

👾 独り言
  • 内科医にとってヘルパンギーナは,聞いたことがあっても実際の患者さんをみたことがない病気の一つかもしれません.ヘルパンギーナの別名は本邦では夏かぜで,英語圏ではmouth blistersです.よって夏に口蓋垂のまわりに多発するアフタを幼児に認めれば,比較的容易に診断が可能だと思います(下写真).
  • 主な感染経路は唾液や便などによる経口・接触・飛沫感染であるため,感染者との接触回避,うがいや手洗い,手指の消毒が必要です.ちなみにヘルパンギーナという不思議な病名は,ギリシャ語のherp(忍び寄る,蛇のような)とラテン語のangina(扁桃周囲膿瘍)が由来だそうです.

(投稿者 川崎)

2020-03-19

👵 おばば=学術名”タナカゲンゲ”

🐟 昨日の検討症例:魚骨によるS状結腸穿孔で2つの意味で印象的
  1. その軽微な症状と病歴から当直医が認知バイアス(アベイラビリティ・アンカーリング・コンファメーション・ハッスル・ルールの5つ!)の罠にはまり込み,危うく便秘として帰宅させるところであった
  2. 一方,引き継いだ専門医は迅速な診断と適切な治療(緊急手術)のみならず詳細な問診から穿孔した骨の魚種を推測してその学術名”タナカゲンゲ”まできっちりカルテ記載(本当に頭が下がります 😱)

👽 タナカゲンゲ(田中玄華)
  • 北半球の寒冷な海の水深300〜500mに生息する深海魚(全長1m程度)
  • 別名はオババやババアで英名はLycodes tanakae, Tanaka eelpoutなど
  • タナカは近代魚類分類学の父と呼ばれる田中茂穂(1878〜1974)に由来
  • ゲンゲ(漢字で玄華/学名Zoarcidae)はスズキ目に所属する魚類の一群
  • 見た目はグロテスクだが鍋物や唐揚げ,刺身,煮付けが美味(らしい)


😎 一見,医療とは無関係なことにもトコトンこだわる姿勢を応援アンミツ好奇心!

(投稿者 川崎)

2019-05-09

🎊 論文

  • 当院の初期研修医の先生が執筆した論文が2編同時に出版されました
  • いずれも指導医と一緒に当直中,当院のERで経験した症例報告です



👴 注意深い観察力から生まれる症例報告は臨床能力を向上させるためにもとても大切です.これからも臨床での貴重な経験を世に問うことのできる医師であり続けてくださいネ.

(投稿者 川崎)

2016-08-14

一過性の高血圧

当直中に一過性の高血圧を主訴に来院する症例をしばしば経験する.
「高血圧治療ガイドライン2014」を参考にその対処法をまとめてみた.

  • 臓器障害を伴わない一過性の高血圧は,褐色細胞腫を除き緊急降圧の適応ではない
  • 具体的な血圧値の記載はないが,概ねⅢ度以上の高血圧(180 and/or 110mmHg以上)
  • 疼痛や尿閉,精神的要素など血圧上昇の原因があれば取り除くように努力する
  • 繰り返し測定でも持続する時は中間持続型(1日2回投与)のCa拮抗薬,ARB,ACE阻害薬の内服

ニフェジピンカプセル(アダラート)の内容物は過度の降圧による臓器虚血を生じる可能性あるため避ける.
ニフェジピンL(アダラートL)の内服は現実的な対処法の一つと考えられる.

(投稿者 川崎)