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2026-09-30

第74回日本心臓病学会学術集会より(出島メッセ長崎)

📢 心音を演題名に含む発表(2演題)

演題O-23-5 AI心音図計“超聴診器”を用いた非心臓手術術前心疾患スクリーニング(鳥取大学医学部附属病院 循環器内科)
  • 超聴診器は心音図解析から心雑音指数、心負荷指数を算出し、それらを総合した心疾患指数によって心疾患リスクを評価する。非心臓手術のため麻酔科術前スクリーニング外来655例中28例(4.3%)が循環器内科紹介基準に該当した。全例で心臓エコー検査が施行され、重症弁膜症2例(未指摘1例)、中等症弁膜症6例(未指摘5例)、慢性心不全1例を認め、術前介入またはフォローアップが施行された。持続性心房細動を10例(未指摘1例)に認め、軽度以下弁膜症のみの症例は15例認めた。

演題S16-5 8秒の心音図で右室容積を推定する新規指標(心雑音エネルギー指数:Cardiac Murmur Energy Index)の開発(済生会宇都宮病院 小児科)
  • AI心音図(超聴診器)を用いて拡張期雑音を記録し、当該領域のRMS音圧値を算出した。これを基準音圧比から平均dB値に変換し、雑音持続時間との積により面積積分値を算出し、新規指標「心雑音エネルギー指数(Cardiac Murmur Energy Index:CMEI)」と定義した。心臓MRIにより右室拡張末期容積指数(RVEDVI)を測定し、CMEIとの相関を解析した。CMEIはRVEDVIと強い正の相関を示した(r=0.85)。

💓 心音を抄録に含む発表(上記演題を除く7演題)
  • 演題[O-4-1] 冠動脈疾患の診断に対するⅣ音の臨床的意義 (松下記念病院 循環器内科)
  • 演題[PE2-2] 労作時呼吸困難の増悪を認めた肺動脈性肺高血圧患者 (高知高須病院 循環器内科)
  • 演題[PE3-1] 僧帽弁逆流におけるⅡ音分裂の臨床的意義 (医療法人社団 倫生会 みどり病院 循環器内科)
  • 演題[O-24-5] 弁膜症の診断に対する2点聴診法の有用性 (松下記念病院 循環器内科)
  • 演題[C-12-6] 特異的な聴診所見を呈したbileaflet mitral valve prolapseの一例 (倫生会 みどり病院 検査科)
  • 演題[P-1-22] 透析導入時の体液除水前後に超聴診器・心負荷評価を用いて観察した1例 (公立学校共済組合 関東中央病院 循環器センター・検査科)
  • 演題[C-16-6] 心不全モニタリング指標であるHeartLogicインデックスを活用した多職種による早期介入が有用であった一例 (順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-07-27

🚨 脳出血急性期の血圧管理

CQⅢ-a 脳出血急性期における血圧高値に対する厳格な降圧療法は推奨されるか?
  1. 脳出血急性期における血圧高値をできるだけ早期に収縮期血圧140 mmHg未満へ降圧することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル高)。その下限を110 mmHg超に維持することを考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)。降圧目標は治療開始24時間以内および7日間まで維持することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。
  2. 降圧療法に伴う急性腎障害を回避するためには収縮期血圧降下幅が90 mmHg超の強化降圧療法は勧められない(推奨度D エビデンスレベル中)。


💉 ニカルジピン塩酸塩(DI)
  • <効能または効果>手術時の異常高血圧の救急処置、高血圧性緊急症、急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)
  • <高血圧性緊急症>本剤は、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈し、ニカルジピン塩酸塩として0.01〜0.02%(1mL当たり0.1〜0.2mg)溶液を点滴静注する。この場合1分間に、体重1kg当たり0.5〜6μgの点滴速度で投与する。なお、投与に際しては1分間に、体重1kg当たり0.5μgより開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
  • <当院のパターン>ニカルジピン2A(20㎎、20ml)+生食30mlで初期量は4ml/h(体重1kg当たり0.5μg)です。上記の上限6μgならば、最大48ml/hになります

(投稿者 川崎)

2026-06-25

今週の一枚 🎯

先天性心疾患術後例の息切れ

🔒 解説
  • 胸部正中に手術瘢痕(問診でファロー四徴症と判明)
  • 座位で内頚静脈の陥凹(矢頭)→ 非代償性心不全
  • 吸気負荷で鎖骨上窩の内頚静脈拍動は一見、不明瞭
  • しかしよく見ると頚部中央に拍動が出現(矢印群)
  • 下腿浮腫はなく、心音は汎収縮期逆流性雑音+Ⅲ音
  • 最終診断は亜急性の僧帽弁逆流(腱索断裂の疑い)

🔓 独り言
  • 安静座位で頚部に視認する内頚静脈の拍動は高度の中心静脈圧の上昇を示唆します。この代償が破綻した状態が、吸気で改善することは(経験的にも)ないと考えます。
  • しかし本例のように、吸気で拍動が不明瞭になる症例を稀ながら経験します。その多くは頚部の筋肉(特に胸鎖乳突筋)の緊張に伴う静脈拍動の不明瞭化と考えます。
  • ご存じのように下腿浮腫は心不全で出現する身体所見の一つですが、特異性はありません。また本例のように比較的急な経過で増悪した心不全では、下腿浮腫は稀です。

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(投稿者 川崎)

2026-06-11

今週の一枚 🎯

息切れ増悪で呼吸器内科から紹介(座位)

🐣 解説
  • 目立つ胸鎖乳突筋はCOPDに合致
  • その奥に右内頚静脈の陥凹(矢印)
  • 吸気負荷で拍動上縁の上昇(矢頭)
  • 診断は心不全の合併(COPD安定)

🐔 独り言

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(投稿者 川崎)

2025-10-31

誤診やむなし❓

増悪する息切れで来院した症例(座位)

😐 解説
  • 頚部に内頚静脈の拍動を認める(矢印)
  • 不規則なので心房細動 AF?(時折大?)
  • 安静で陽性なので吸気などの負荷は不要
  • 隆起性 ➜ v波なら重症三尖弁逆流 TR?
  • その後の精査で予想通り非代償性心不全
  • ただしAFではなくて3度房室ブロック 😮

😓 独り言
  • 完全房室ブロックの頚静脈所見では間欠的に出現する巨大a波(キャノンa波)が有名です(自験例)。その機序は右房収縮時に三尖弁が閉鎖しているためです。よって期外収縮でも出現することがあります(自験例)
  • 本例はもともと活動性が低いためか、房室ブロックによる立ち眩みやふらつきはなかったようです。しかし徐脈が暫く(1-2週間以上?)続き非代償性心不全に至り、床上でも症状が出現するようになって来院と予想
  • 本例の頚静脈拍動は陽性波なのでa波に加えv波も見えていると思われます(よって視診で徐脈を見抜くのは困難)。a波の大きさがQRSとのタイミングで変化し絶対不整に見えるので、AF+高度TRの誤診もやむなし?

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-06-27

「とりあえず吸気負荷」

久しぶりに外来を受診した心不全例(座位)

🐤 解説
  • 息遣いが荒く頚部拍動の有無は判定難
  • 吸気で鎖骨上窩に明瞭な拍動(矢印)
  • 本例はHFrEFで怠薬後に息切れを自覚
  • その後の精査で心不全増悪を確認した
🐣 独り言
  • 負荷を併用した頚静脈の座位定性法(シンプル頚静脈)では,安静時に拍動を認めれば負荷を追加する必要はありません.ただし本例のように頚静脈の拍動なのか呼吸に伴う変化なのか分からない症例を時々経験します.そのようなときには「とりあえず負荷をかけてみる」のがいいと思います.特に吸気負荷なら手間もかからず,負荷に対するリスクもほとんどありません.

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(投稿者 川崎)

2025-05-04

心不全:クロライド理論(chloride theory)

概要 医療法人慈恵会 西田病院におられる片岡 一先生が提唱された心不全増悪の病態理論
背景 塩化物(Cl)はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化に重要な電解質
動態 Clは尿細管で濾過されたNaを細胞外体腔に再吸収し動脈圧を維持する重要な電解質
分類 臨床的に安定した心不全から悪化までに血清Cl濃度が上昇する例と上昇しない例あり
意義 血清Cl濃度の上昇は血管内容量を維持あるいは増加させる働きで心不全の負担を増大
機序 血清Cl濃度の変化が血漿量やAAS,ADHシステム変化の主な決定要因(下図を参照)


- 心不全の悪化過程の流体力学を説明する塩化物理論 -

👉 心不全の増悪に関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右下の欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2025-02-21

😊 素敵な紹介 パート2

なんとなく元気がない慢性心不全例(座位)

💁 ランチシ徴候(三尖弁逆流)
  • 頚部の中央に明瞭な拍動(隆起)あり
  • 容易に圧迫されるため動脈でなく静脈
  • 心エコー図で高度の三尖弁逆流を確認
  • 推定される肺動脈収縮期圧は50 mmHg
  • 整脈かと思ったが心電図では心房細動
  • 最終的に心不全(PEF)の増悪と診断

 📧 共通言語「座位で頚静脈が見える」
  • 本例もかかりつけ医からの紹介がとても素敵であった(前回の素敵な紹介).「足に浮腫はないけど,首がピコピコしています」と...👍
  • 頚静脈の座位定性法が広がると,心不全の診断をより迅速に行うことができます.無料アプリ「シンプル頚静脈©」を是非ご活用ください
  • 病院やクリニック,救急隊,施設職員だけでなく,心不全患者さんやその家族にもこの表現が共通言語として広がることを願っています.

(無料画像から作成)

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(投稿者 川崎)

2025-01-23

今週の一枚 🎯

息切れが再発した拡張型心筋症例(座位)

😐 解説
  • 安静座位で頚部に拍動は視認しない
  • 深吸気(保持)でも拍動は出現せず
  • BNP値は157 → 1,400 pg/mLに著増
  • 最終的に心不全増悪と診断して入院
💁 追加コメント
  • 内頚静脈は深部静脈であるため胸鎖乳突筋を介する皮膚面の拍動として認識されます.よって本例のように評価が難しい場合があります.一方,外頚静脈は表在静脈であるため視認は容易ですが,中心静脈圧の推定には不向きです(その理由).
  • 高度の肥満では内頚静脈の観察は困難になります(本例のBMIは約35 kg/m2).BMIがあまり大きくなくても首が太くて短い場合(いわゆる猪首)では同様に観察が困難です.一つの目安は顎下や顎のラインが不明瞭なことでしょうか(下図)

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(投稿者 川崎)

2025-01-13

😊 素敵な紹介状

息切れが増悪した慢性心不全例(座位)

💗 慢性心不全の増悪
  • 座位で通常呼吸時には頚部に拍動なし
  • よく見ると吸気時に鎖骨上窩に拍動?
  • 深吸気で拍動が安定して出現(矢印)
  • 拍動は陥凹 → 静脈性 → CVPは上昇 

 💓 臨床現場
  • 本例はかかりつけ医からの紹介状がとても素敵であった.「頚静脈の拍動が見えるのでSGLT2阻害薬を追加しました」と記載してあった.
  • 当院受診は薬剤追加の1週間後で,その間に患者さんも自覚症状がずいぶん楽になった様子.当時は通常呼吸時に拍動が明瞭だったと予想.
  • もっとも吸気負荷後にまだ拍動が観察できるので追加加療は必要.自験データでは安静時陽性と吸気後陽性の1年後事故率は同程度(論文)

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(投稿者 川崎)

2025-01-02

負荷心尖拍動

慢性左心不全の増悪例

😐 解説
  • 乳房下に抬起性心尖拍動 → 左室の拡大・肥大
  • 心窩部にも明瞭な抬起性拍動 → 右室負荷の疑い
  • 座位から立位の体位変換で左室の拍動は変化なし
  • 心窩部の拍動は減弱~消失(右室負荷の減少?)

💟 追加コメント
  • 本例の心尖拍動の変化をどう解釈するかは難しい.心窩部の拍動が立位に伴い目立たなくなったことは,前負荷の減少による右室負荷の低下で説明できそう.一方,心尖拍動(左室)の所見は,前負荷の減少が立ち上がりという仕事で相殺されたと考えるのがいいかもしれない.
  • 心臓の検査では負荷を積極的に併用している(心電図や心エコー,核医学,MRI,心カテなど).身体所見でも然り.負荷を併用した頚静脈評価法(負荷頚静脈)はかなり解明されてきたと個人的には思っている.今後は負荷心尖拍動の臨床的意義も調べていく必要があるかも...

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(投稿者 川崎)

2024-10-17

今週の一枚 🎯

慢性左心不全の高齢者

💙 解説
  • 3ヵ月ぶりの受診でご本人は変わりないと述べた
  • 安静座位で頸部に明らかな拍動は認められない
  • しかし吸気時には鎖骨上窩に陥凹が出現(矢頭)
  • 吸気保持を解除した後には拍動は消失している
  • 採血でBNPは前値197から362に上昇していた

😶 独り言
  • 本例には明らかな息切れはなかったが,中心静脈圧は少し上昇していると考えられる.このような場合,安易な利尿薬投与は慎みたいかも...特に高齢者で今回のような夏場では容易に脱水.減塩指導も有効であるが食欲低下のリスクもある.
  • どういう対応が正解かは分からないが,ご本人と付き添いの娘さんに心不全の増悪が疑われることをお伝えた.次回予約を早めるのと同時に,撮影した動画を見ていただき増悪時(特に安静座位で出現時)には早期受診していただくよう指導.

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(投稿者 川崎)

2024-10-10

今週の一枚 🎯

慢性心不全増悪で入院中の症例(座位)

👿 解説
  • 頸部に明瞭な拍動(陥凹ではなく隆起)を視認する
  • 下から上への緩徐な陽性波 ➜ 静脈性(ランチシ徴候)
  • 外頚より内頚静脈の拍動上縁が高い(内頚を信頼!)
  • 左上肢の挙上に伴い内頸静脈の拍動上縁は上昇
  • 耳垂に揺れはないがその背面には拍動あり(矢印)
  • 本例の心エコー図は重症の三尖弁逆流+肺高血圧

💀 広義の耳ウインクサイン
  • 狭義の winking earlobe sign といえば耳たぶの揺れが必要です(英語の文言通り).でも本例のように耳朶後方の皮膚面が拍動していれば広義の耳ウインクサインとしてもいいと思います.
  • 本例には明瞭な三尖弁逆流がありました.しかし三尖弁逆流がほとんどないにも関わらず,明瞭な内頸静脈の陽性波を認めることが少なからずあります.特に開心術後の症例に多く経験します.
  • 心臓病診断学の実際(吉川純一著)には,その機序として「心膜の閉鎖にからんだ三尖弁輪下降の制限」が提案されています.左心膜完全欠損でも同様の所見が観察されると記載されています.
  • 個人的には,静脈コンンプライアンスの低下あるいは静脈キャパシティーの限界を反映している症例も散見されるのではと思います.よってv波が容易に圧上昇につながるのではないのかな~😐

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(投稿者 川崎)

2024-06-13

今週の一枚 🎯 外頚静脈はほどほどに

容易に息切れするため来院した症例(座位)

👻 解説
  • 座位で外頚静脈の明瞭な上下運動(矢印)
  • よく見ると内頚静脈の拍動もあり(矢頭)
  • 本例の最終的な診断は慢性心不全の増悪

👽 つぶやき
  • 外頚静脈は中心静脈圧の推定には推奨されていません(理由:右房と直線関係にない+有効な静脈弁を有する).しかし本例のように明瞭な(心周期や呼吸に伴う)上下運動がある場合は利用できます.
  • 本例では内頚静脈の拍動をうっかり見落としかけました.もし外頚静脈の所見のみで判定すれば静脈圧を5cm水柱ほど低く見積もってしまいます.やはり外頚静脈はほどほどにしておく方が良さそうです.

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(投稿者 川崎)

2024-05-24

頸静脈の立位負荷

弁膜症で開心術の既往がある症例


(投稿者 川崎)

2024-03-18

Advanced but stable HF

慢性左心不全で通院中の症例(座位)

😊 解説
  • 座位で内頸静脈の拍動 ➜ 中心静脈圧は高度に上昇
  • 拍動は陥凹でなく隆起で上縁は下顎角より上(矢印)
  • 左上肢垂直挙上負荷を行うが所見にあまり変化なし
  • 外頸静脈の拍動上縁も安静・負荷ともに頸部の中央
  • 本例の症状は安定し労作時の増悪もあまり認めない

😎 独り言
  • 座位で内頸静脈拍動を視認(座位陽性)なら,中心静脈圧の高度上昇が疑われます(>15 cm水柱).本例のように上縁が高くかつ隆起型ならほぼ確定です.このような症例には通常何らかの対策が必要です(利尿薬追加や入院加療).しかし治療抵抗性の座位陽性例も臨床現場では稀ながら経験します.
  • 左上肢の挙上負荷は吸気負荷よりも心負荷が大きいと思われます(機序:過去の投稿).座位陽性心不全症例で,その高負荷に対する頸静脈所見の増悪が乏しければ,労作時の症状増悪が少ないような気がします.つまり悪いながら安定している心不全(advanced but stable HF)かもしれません.

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(投稿者 川崎)

2024-02-22

今週の一枚 🎯

心不全増悪に対して利尿薬を追加した症例
外来の再診時には手がとても冷たくなっていた

👽 解説
  • 再診時には内頸静脈の拍動は完全に消失
  • 手指や爪床に末梢チアノーゼは認めない
  • 症状に関して特に言及なし(元々乏しい)
  • 採血ではCr上昇,BUN上昇,BNP大幅低下
  • 利尿薬の過剰投与 ➜ 血管内脱水と判断
  • 利尿薬を減量して早期のフォローを予定

💣 WRF (worsening renal function)
  • 心不全例では利尿薬(特にループ系)の追加で血清クレアチニンの上昇を認めることがあります.WRF(腎機能悪化)と呼ばれ,その定義は48時間以内に絶対値で0.3mg/dL以上あるいは前値より50%以上の上昇などです.
  • 機序は交感神経/RAA系の亢進による末梢血管のトーヌス亢進や体液量減少による心拍出量の減少などが考えられます.このWRFは心腎連関の一つですが,予後悪化の指標であることが知られているため注意が必要です.
  • 本例のように座位で内頸静脈拍動が明瞭だった症例(=中心静脈圧が高度上昇)で,利尿薬の追加後に頸静脈拍動が綺麗さっぱり消失した時には要注意です.必ず手を触ってみて冷たくなっていないか確認してください.

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(投稿者 川崎)

2024-01-18

今週の一枚 🎯 論文

  • 当院で実習された医学部6年生の方が経験した症例が出版 🎉
  • 主訴は1月前から持続する動悸感と継時的に増悪する息切れ
  • 心拍数は123 bpmで頸静脈から判定した中心静脈圧は上昇
  • ユニークなのは頸静脈拍動が肘動脈拍動の倍程あり(動画)
  • 脈波図はキャノンa波(下図C矢頭)と通常a波(*)の疑い
  • 最終的な診断は2:1伝導の心房頻拍による頻脈性心不全です


🐝 ハチドリ徴候/Hummingbird sign
  • 本例の頸静脈所見のようにすごい速さの振動を,当院ではハミングバード・サインと呼んでいました(過去の投稿).このフィジカル所見にはまだ名前はない様なので,本論文のタイトルを”Hummingbird-like cannon a-waves”としました.フロッグ・サインの亜型として普及するといいのですが...
  • 身体所見に興味を有する医師にとって,新たなフィジカルを発見し報告することは何事にも勝る喜びだと思います(命名できればなおのこと).当院が関与できた新報告には"Atrial cannon sound"や"Diastolic paradoxical jet flow murmur"などがあります.もっともこの命名が普及しているとは思えませんが...

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(投稿者 川崎)

2024-01-16

心不全とSGLT2阻害薬

  • (今更ですが)日本循環器学会・日本心不全学会の心不全治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationを転記しておきます(2023年6月16日) 
  • 概略:すべての心不全で積極的使用+腎機能や電解質,尿路・性器感染に注意+食事制限手術なら糖尿例で3日前~,非糖尿例で前日~中止(再開は食事の開始時)

📖 Recommendation(勧告)
  • 心血管疾患のハイリスク2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬は入院を要する心不全イベントの抑制が報告されており、リスクとベネフィットを十分に勘案して積極的にその使用を検討する。
  • 心不全患者において、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジンとエンパグリフロジン)は2型糖尿病の合併・非合併および左室駆出率にかかわらず、心不全イベントの抑制が報告されており、リスクとベネフィットを十分に勘案して積極的にその使用を検討する。
  • 心不全患者では利尿薬を使用する頻度が高く、SGLT2阻害薬の併用により過度の体液量減少をきたすリスクがあるため、腎機能や電解質等のモニタリングを適宜行い、必要に応じて利尿薬や降圧薬の用量を調節する。
  • 2型糖尿病を合併した SGLT2阻害薬を使用中の心不全患者が、食事摂取制限を伴う手術を受ける場合には、手術3日前から休薬し、術後は食事摂取が可能になってから再開する。一方、2型糖尿病を合併しない心不全患者では、術前の終日絶食日に SGLT2阻害薬を休薬し、術後は食事摂取が可能になってから再開する。なお、2型糖尿病の合併・非合併にかかわらず、SGLT2阻害薬を服用中の心不全患者が緊急手術を受ける場合には、同薬の休薬についてリスクとベネフィットを十分に勘案して現場での判断を許容する。いずれの場合においても、心不全患者において SGLT2阻害薬を休薬する場合には、休薬に伴う心不全増悪時も含め必要に応じて循環器専門医への紹介を考慮する。
  • SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の合併の有無にかかわらず心不全患者においても尿路・性器感染症の発生・増悪が懸念されるため、リスクとベネフィットを十分に勘案して適応を検討し、投与後は注意を払う必要がある。
  • 心不全患者において SGLT2阻害薬を使用する場合、各薬剤の添付文書および本Recommendationを踏まえて適正に使用する。糖尿病や慢性腎臓病の併存する病態に応じて日本糖尿病学会および日本腎臓学会の SGLT2 阻害薬の適正使用に関するRecommendationも参考にする。

(投稿者 川崎)

2024-01-11

今週の一枚 🎯

いつもより少し脈が早い慢性心不全例(座位)

😀 解説
  • 安静時に右頸部に内頸静脈の拍動を視認せず
  • 左上肢の垂直挙上でも内頸静脈の拍動は陰性
  • 左上肢挙上のまま吸気負荷を追加したが陰性
  • そのまま前屈してもらっても内頸静脈は陰性
  • 本例では慢性心不全の増悪はなしと判断した

 🐲 独り言
  • 慢性心不全の増悪を考えなければならないバイタルサインは様々です.酸素飽和度の低下はもちろんですが,体重の増加や血圧の上昇,心拍数の増加などでしょうか.
  • 慢性左心不全例で増悪が疑われたら,やはり頸静脈所見の変化の確認が大切です.心音の変化(例:ギャロップやⅢ音,Ⅱ音肺動脈成分の亢進)よりも高感度です.
  • 本例の様に安静+3つの負荷が陰性なら概ね大丈夫と判断しています.「とりあえずBNP測定」はあまり好きではないので...(とりあえず生中🍺は大好きですが 😚)

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(投稿者 川崎)