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2026-08-26

7D:院内の発熱

👀 見逃されやすい院内発熱の7原因
  • Drug (薬剤熱): 新規薬剤によるアレルギー性の発熱
  • Device (デバイス関連感染): 留置デバイスに関連する感染症
  • DVT (深部静脈血栓症/肺塞栓症): 血栓自体または血栓に伴う炎症反応
  • CDI (Clostridioides difficile感染症、旧称CD腸炎): 抗菌薬投与→偽膜性腸炎
  • Decubitus (褥瘡): 褥瘡部の感染・炎症
  • CPPD (偽痛風、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症):非感染性の関節炎
  • Debris (胆泥・無石性胆嚢炎): 絶食が続く患者などで胆汁うっ滞→胆嚢炎


🙊 おまけ
  • Deep abscess (深部膿瘍) や Adrenal Deficiency (副腎不全)、COVID-19/インフルエンザを加えて、8D・9D・10Dなどとも言うそうです(引用

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-08-21

📌 項部こうぶ硬直(または 頸部けいぶ硬直) Neck stiffness

  • 概要 髄膜が刺激された状態で出現する身体所見の一つ
  • 実際 頚部の屈曲で抵抗があれば陽性(主観的な判定)
  • 原因 脊髄くも膜下腔に存在する炎症や出血,腫瘍など

👿 追加コメント
  • 項部硬直の客観的な判定方法として,項部硬直では「頚部を自動的な屈曲時に顎を胸に付けることができない」あるいは「仰臥位で頭部を8 cm以上,挙上できない」
  • 他所見も参考:Kernig徴候(仰臥位で股・膝関節を屈曲から膝を伸展させると抵抗)やBrudzinski徴候(仰臥位+下腿伸展から頚部屈曲で両側の股・膝関節が屈曲)
  • 髄膜炎例では,仰臥位から座位になる時,髄膜の牽引による疼痛誘発を回避するため,両手を体の後方につくことがある(Amoss徴候≒tripod徴候,Hoyne徴候)
  • 小児で膝を完全に伸ばした座位(長座位)で頚部前屈の角度を測定すると髄膜炎群は平均 31度±11度 vs 非髄膜炎群は45度超(Arch Dis Child 1993 Feb;68(2):215-8
  • 髄膜刺激では,特に前屈が制限される.一方、筋骨格系疾患(頚椎症やクラウンドデンス症候群など)では、前屈だけでなく回旋・伸展など複数方向で抵抗が出る.


(投稿者 川崎)

2026-08-09

第55回(2020年)理学療法士国家試験


腱反射が亢進する疾患はどれか.







判定


😐 解説
  • 腱反射が亢進するのは上位運動ニューロン(錐体路)障害で、選択肢の中では多発性硬化症のみが該当する。多発性硬化症は中枢神経の脱髄疾患で錐体路が障害されるため腱反射亢進・病的反射陽性を呈する。
  • 多発性筋炎は筋自体の炎症性疾患、Guillain-Barré症候群は末梢神経の脱髄性疾患、尿毒症性ニューロパチーは末梢神経障害、Duchenne型筋ジストロフィーは筋線維の変性疾患で、いずれも腱反射は減弱

(投稿者 川崎)

2026-07-25

花筵はなむしろ状線維化 Storiform fibrosis

  • 炎症細胞浸潤と小型紡錘形細胞からなる極めて特徴的な病理像で,さまざまな程度の線維化を伴う(花筵 [=storiform] パターン)
  • IgG4関連疾患の包括診断基準の病理学的診断の一つ:特徴的な線維化,特に花筵状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれか(下図)
  • 他の病理学的診断の2項目:著明なリンパ球・形質細胞の浸潤と線維化を認める&IgG4陽性形質細胞浸潤(40%以上かつ>10/hpf)

- 花筵様線維化と閉塞性静脈炎 -

(投稿者 川崎)

2026-07-08

蜂窩織炎と炎症反応

  • 先日、炎症反応(白血球数やCRP)が正常である下腿の蜂窩織炎の症例を経験しました。発症直後ではなくて、下腿の発赤や腫脹、熱感、圧痛(ケルススの四徴候)はしっかりありました。 
  • 個人的には「蜂窩織炎の診断がどうなんだろ~」と思っていました。しかしその後、別の指導医の先生から、論文上は炎症反応が目立たない蜂窩織炎は意外に少なくないことを教えてもらいました。
  • 蜂窩織炎の症例で白血球増多とCRP上昇の頻度は、各々34~50%および77~97%だそうです(Neth J Med 2017;75:366-78Int J Dermatol 2010;49:1012-7J Infect 2005;51:383-9
  • 逆に蜂窩織炎で入院した259人中30.5%が誤診で、正しくはうっ滞性皮膚炎やうっ滞性潰瘍、痛風、心不全、非特異的浮腫、深部静脈血栓症だったようです(JAMA Dermatol 2017;153:141-6

- 蜂窩織炎:白血球数(A)、赤沈(B)、C反応性蛋白(C)、プロカルシトニン(D)と体温との相関 -

(投稿者 川崎)

2026-06-26

COXコックス:1 vs 2

  • シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)が遊離したアラキドン酸を酸化させてprostaglandins(PG)G2が形成される
  • その後に産生される各種PGsは,局所で増加した発痛物質ブラジキニンの痛覚受容体感受性の閾値を低下させ疼痛を増悪させる
  • NSAIDsはCOXの疎水性チャネルを封鎖することでアラキドン酸が酵素活性部位に結合することを防ぎ,抗炎症,鎮痛効果を発揮
  • COX-1は多くの細胞に構成的に発現し,胃粘膜,血管内皮,血小板および腎臓における組織保護作用を有するPGsの生合成に関与
  • 一方, COX-2は通常は細胞内にはほとんど存在しないが, 関節リウマチなど炎症組織において炎症関連細胞に著明に発現する


- NSAIDsCOX1 & COX2 -


(投稿者 川崎)

2026-04-15

第123回日本内科学会講演会 医学生・研修医・選考委の内科学 ことはじめ2026より

😀 個人的に気になった演題

演題 19 機械学習モデルを用いたガットフレイル関連因子の解析
  • ガットフレイル(Gut Frailty)とは、胃腸(Gut)の機能が長期にわたって低下し、弱った(Frailty)状態を示す新たな概念です。便秘や下痢、胃もたれといった不調が慢性的に続くことで、将来的な老化の進行や、がん、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)などの全身疾患のリスクを高める要因として注意が喚起されています。

演題 74 飛行機移動を契機に出現した左側大量難治性肝性胸水に対し、腹腔内色素注入による横隔膜交通症を証明し外科的閉鎖を行った一例
  • 横隔膜交通症とは腹腔と胸腔の間の横隔膜に小さな穴(瘻孔)ができ、腹腔内の液体(主に腹膜透析液)が胸腔へ漏れ出る病態。飛行機の離着陸時や急激な天候変化(低気圧)などによる急激な気圧変動を受けた際に、顕性化することがある。

演題 317 MAGIC症候群が疑われる気道病変に対する気道ステント留置症例
  • 再発性多発軟骨炎は、全身の軟骨組織に炎症が生じる疾患です。耳や鼻、目、関節など、軟骨やコラーゲンを豊富に含む組織に多彩な症状を引き起こします。本疾患がベーチェット病を合併した場合は、MAGIC症候群(Mouth And Genital ulcers with Inflamed Cartilage syndrome:炎症性軟骨を伴う口腔および陰部潰瘍)と呼ばれます。

演題 519 HBOC患者の多重癌にみられるBRCA2の2nd hitの多様性
  • HBOC遺伝性乳がん卵巣がん症候群:Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome)は、主にBRCA1またはBRCA2遺伝子に生まれつき存在する変異(病的バリアント)によって、乳がんや卵巣がん、前立腺がん、膵がんなどを発症しやすくなる体質を指します。遺伝性腫瘍の代表的な例であり、親から子へは約2分の1の確率で受け継がれる可能性があります。

😎 当院からの発表演題
  • 演題 157 感染を契機に重症の甲状腺機能低下症に至った一例(糖尿病・内分泌内科 太田羽奏先生)
  • 演題 388 Guillain-Barre症候群様の急激な末梢神経障害を呈しベンラリズマブが奏功した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例(総合診療科 松村実穂先生)

😃 二人ともとてもいい発表でした(松村先生は優秀演題賞ゲット!)

💁 “学会”に関連する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)
(投稿者 川崎)

2026-03-17

日本内科学会 第251回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題4 分節性動脈中膜融解症による腹腔内出血をきたした1例
  • 動脈瘤からの出血を疑い血管造影検査を行ったところ,中結腸動脈瘤のほか血管の数珠状の不正な拡張・狭小化があり,分節性動脈中膜融解症(Segmental arterial mediolysis: SAM)による動脈瘤破裂と診断された.中結腸動脈瘤のコイル塞栓を行い,入院7日後に退院となった.SAMは血管の攣縮や高血圧,動脈硬化,喫煙などが関与するとされる.外傷のない腹腔内出血を認めた際にはSAMを鑑別に挙げ,造影CTによる血管性病変の検索を考慮する必要がある.

演題33 麻雀で徹夜をした後,翌朝大学の講義を受けていて発症したてんかん発作の1例
  • 最近日本では競技としての麻雀が普及し人気を博している.健康麻雀として高齢者の認知症予防に取り入れている所もある.国内外でテーブルゲームでのてんかん発作の報告例があり,特に囲碁,麻雀などはよく目にする.いずれも治療はゲームの中止と経過観察で改善している.本症例は競技中ではなく,その後に起こしていることがこれまでの報告例とは異なっている.

演題51 Cap polyposisを呈するびまん性腸炎を発症したIgG4関連消化管病変の1例
  • X-3年より1日3-4回の水様性下痢を自覚していた. 下部消化管内視鏡検査で横行結腸から直腸にびまん性に血管透見の低下と白色調の付着物を伴う小隆起性病変を認め, Cap Polyposis (CP) と診断した. 【参考】CPは比較的まれな大腸の炎症性疾患であり,病変の表面が線維性膿性滲出物をともなう肉芽組織で帽子(cap)のように覆われていることを特徴とする.CP発症の原因は不明で,幅広い年齢層で発症し,女性に多いとされる.病変は直腸~S状結腸に存在することが多い.症状として下痢,血便,下腹部痛などがあり,ときに低蛋白血症を呈することもあるが,CRPなどの炎症所見は正常範囲であることが多い.

演題166 オピオイド投与中のせん妄に対してオピオイドスイッチングにて改善を認めた1例
  • 放射線治療やNSAIDs,アセトアミノフェンを開始するもコントロール不良であり,X+13日にモルヒネ投与を開始した.疼痛は改善しX+24日に退院したが,その後疼痛が悪化しADLが低下したため,X+38日に再入院した.モルヒネを増量するも改善乏しく,縮瞳やせん妄を認めたため,X+56日にオキシコドンへ変更した.【参考】オピオイドスイッチング(旧称:オピオイドローテーション)は,がん疼痛治療などで現在使用中の医療用麻薬(オピオイド)から別のオピオイドへ変更すること.

演題195 繰り返す身体診察が診断につながった感染性心内膜炎の1例
  • 入院翌日に血液培養からStaphylococcus属が検出された.本症例では初回の身体診察で末梢徴候を認めず,数時間後の再診察で新たに眼瞼点状出血を認めたことが診断の契機となった.感染性心内膜炎は発熱等の非特異的な症状のみでの発症が多く早期診断が難しい疾患であるが,末梢徴候等の身体所見が診断の鍵となりうる.過去の報告では点状出血の出現時期は発熱から数日以内といった表現に留まる.本症例では発熱から16~20時間後に点状出血が出現しており,発症当日から繰り返し末梢徴候を確認する有用性が示唆された.

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-03-06

Bayés Syndrome ベイズ症候群

  • 心房間ブロック(P波持続時間>120ms)を特徴とする一連の病態
  • 由来はスペインの循環器内科医 Bayes de Luna の1979年の報告(#
  • 第1度〜第3度に分類され、心房性不整脈(特に心房細動)と関連
  • 原因は炎症性、心アミロイドーシス、リンパ腫、電解質異常など
  • 治療は抗線維化薬、抗不整脈薬、抗凝固薬,心房再同期療法など


- 動悸を訴えるBayés症候群の76歳女性 -
図1 . II、III、VF誘導でP±が出現し、持続時間が120ミリ秒を超える進行性心房間ブロックの典型的な例。P波が増幅されると、3誘導におけるP波の始まりと終わりがより鮮明に見える。

図2 .心房活性化の図。(A) 正常な状況、(B) 部分的心房間ブロック、(C) 高度心房間ブロック(本文参照)。VFのP波はVF誘導のP波を示し、FPのPループは前額面のPループを示す。



(投稿者 川崎)

2026-02-12

今週の一枚 🎯

息切れで来院(血液疾患で化学療法中)

😐 解説
  • 眼周囲の明瞭な浮腫(puffy eyes)
  • 浮腫は下眼瞼より上眼瞼で目立つ
  • 浮腫の部分は心持ち蒼白?(pale)
  • 座位で右側内頚静脈の拍動は陽性
  • 心音はギャロップ+全収縮期雑音
  • 最終診断は薬剤性心筋症(HFrEF)

👽 心不全 vs 眼
  • 眼瞼浮腫は必ずしも病的とは言えません(寝不足や号泣後).しかし本例のように上眼瞼が主体の浮腫なら心不全を想起させます(ただしエビデンスは見つからず)
  • 眼瞼浮腫で発赤がないことは炎症やアレルギーに伴う変化の除外に有用と思われます.(本例は血液疾患による貧血に加えて,心不全による血液の希釈も影響?)
  • 心不全の浮腫と言えば下腿浮腫ですが,眼瞼や陰嚢などにも出現することがあります.心不全での眼瞼浮腫の頻度を調べましたが見つけることができませんでした.
  • 心不全ガイドラインは「下腿(末梢あるいは四肢)の浮腫とそれ以外の浮腫」という分類がされています.「眼」という漢字は一つも記載されていませんでした.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-01-11

Carditis 心[臓]炎

  • リウマチ熱の心炎は,リウマチ熱の主症状で関節炎に次いで2番目に多い症状である.小児では初発例の約50~60%に出現する.頻脈・心雑音で気づかれることが多く,発熱・関節炎の出現後,1~2 週間以内の出現が多い.重症度はさまざまで,軽症で一過性のものから劇症型で死に至るものもある.汎心炎であり,心内膜,心筋,心膜すべての炎症を引き起こすが,多くは弁膜炎を中心とした心内膜炎である.心内膜が最も侵されやすく,心内膜炎のない心筋炎・心膜炎は稀である.


  • The incidence of Lyme disease in the USA is 8 per 100 000 cases and 95% of those occur in the Northeastern region. Cardiac involvement occurs in only 1% of untreated patients. We describe the case of a 46-year-old man who presented with chest pressure, dyspnoea, palpitations and syncope. He presented initially with atrial fibrillation with rapid ventricular response, a rare manifestation of Lyme carditis.


😐 独り言
  • Carditisという用語は成人を対象とする循環器内科医が使うことはほとんどないと思います.通常はもっと具体的に記載します(例:心筋炎,心膜炎,心内膜炎).しかし学会用語集には心[臓]炎の邦訳で収載されています.
  • 調査範囲では,英語論文ではライム病での使用が最多でした(日本語ではライム病自体が稀なためかごく僅か).他は膠原病やリウマチ,COVID-19などに生じた心臓合併症として使用.さらに(なぜか)小児領域で散見😶

(投稿者 川崎)

2025-12-13

海綿静脈洞血栓症 Cavernous Sinus Thrombosis (CST)

  • 概略 海綿静脈洞内血栓で神経症候を呈した病態
  • 機序 静脈洞の炎症波及による血栓形成でうっ滞
  • 原因 感染性と非感染性があり感染の波及が多い
  • 症状 患側の眼窩周囲浮腫,眼球突出,結膜浮腫
  • 神経 眼筋麻痺,顔面感覚障害(Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ)
  • 合併 髄膜炎,下垂体機能不全,内頸動脈血栓他
  • 治療 早期の抗菌薬と抗凝固療法+原疾患の治療
  • 予後 致死率は約30%で50%以上が後遺症を残す


齲歯で海綿静脈洞血栓症とLemierre症候群を合併した54歳女性

(投稿者 川崎)

2025-11-01

CKMシーケーエム症候群

  • CKMはCardiovascular-kidney-metabolicの略で、邦名は心血管-腎-代謝症候群
  • 代謝リスク因子と慢性腎臓病の併存は心血管系の有害事象リスクと強く関連
  • 病態生理学的な相互関連性の認識の高まりによりCKMの概念化が進んでいる
  • 心血管腎メタボリックシンドロームの予防と管理のエビデンスの構築が重要


- CKM症候群の概念図 -

この図は、心血管腎代謝(CKM)症候群の病態生理を示しています。CKM症候群は、通常、過剰な脂肪組織、機能不全の脂肪組織、またはその両方に起因します。機能不全の脂肪組織に関連する複数の病理学的プロセスがインスリン抵抗性を引き起こし、最終的には高血糖に至ります。炎症、酸化ストレス、インスリン抵抗性、および血管機能障害は、代謝リスク因子の発生、腎疾患の進行、心腎相互作用の増強、および心血管疾患の発症につながる中心的プロセスとして強調されています。代謝リスク因子と慢性腎臓病は、複数の直接的および間接的な経路を通じて、さらに心血管疾患の素因となります。MASLDは、代謝機能障害に関連する脂肪肝疾患を示します。(AI訳)

(投稿者 川崎)

2025-10-26

Misty mesentery(ミスティ・メセンテリー)

📢 CTレポートから
  • 開心術前の体幹CT(単純)で「腸間膜リンパ節がやや目立ち,脂肪織の毛羽立ち,misty mesenteryの可能性が...」と記載されていました.
  • その場にいた心臓血管外科医(卒後20年~)と循環器内科医(卒後30年~)はともに「misty mesentery」という用語を知りませんでした.

🚨 Misty mesentery
  • misty(形)霧かかった、霧状の/Mesentery(名)腸間膜(空腸と回腸を後方から支える二重の層)
  • CTで腸間膜脂肪の局所的な濃度上昇で代表疾患は腸間膜脂肪織炎 Mesenteric Panniculitis(自験例
  • その他に腸間膜浮腫、リンパ浮腫、出血、炎症性または腫瘍細胞浸潤など、さまざまな原因がある

- 腸間膜脂肪織炎(mesenteric panniculitis:MP)に類似する腸間膜炎 -

A・B:急性膵炎を有する43歳男性の造影CT横断像(A)および冠状断像(B)。炎症に伴う腸間膜脂肪濃度の局所的上昇と軽度のリンパ節腫大(A、矢印)を認める。膵臓自体はCT上正常にみえるが、腹水(B、矢頭)および後腹膜腔内の液体貯留が認められ、腸間膜脂肪織炎以外の診断を強く示唆する。(AI訳)
C:急性虫垂炎を有する28歳女性の造影CT横断像。虫垂(矢印)の炎症に続発して、腸間膜脂肪濃度の局所的上昇を認める。(AI訳)

(投稿者 川﨑)

2025-10-23

今週の一枚 🎯

真夏に体動困難でERに搬入された高齢者


(投稿者 川崎)

2025-10-08

ケルスス 禿瘡とくそう Celsus' Kerion

  • 毛髪に皮膚糸状菌が寄生した頭部白癬の一病態
  • 脱毛斑を生じて様々な程度の炎症や鱗屑を伴う
  • 戦前は男児の疾患であったが近年は大きく変化
  • 皮膚糸状菌が人から人,動物から人へ感染する
  • 毛嚢から侵入して真皮や皮下組織に化膿性炎症
  • 急性の経過をとり多発する膿疱が特徴的である
  • 炎症の強い例では疼痛が著しく腫瘤形成もある
  • リスクはスポーツ歴,ペット,ステロイド外用
  • 診断は毛髪や黒点の毛包内容を鏡検および培養
  • 治療はイトラコナゾールやテルビナフィン内服


- 柔道教室に通う8歳男児に生じたケルスス禿瘡 -

😃 雑学

(投稿者 川崎)

2025-10-04

血培:Choosing Wisely(賢明な選択)

👭 先日のカンファレンス
  • 発熱があると家族に連れられて夜間のERを受診した高齢者.本人は無症状で,特記すべき既往歴もない.軽度の炎症反応があり,尿検査と全身CTから尿路系の感染症が疑われた.血培が追加され,内服抗菌薬を処方され帰宅した.改善がないときには再診するよう指示された.
  • 翌日,血液培養から大腸菌が検出されたと病院から連絡があり入院した.すでに炎症反応はピークアウトしていると思われたが,抗菌薬を内服から点滴に変更.その後しばらくして,体幹に皮疹が出現した.皮膚科を受診し抗菌薬による副作用が疑われた.入院期間は延長...

🚨 日本版敗血症診療ガイドライン2024 より
  • 菌血症は,心内膜炎,カテーテル関連血流感染症,肺炎,膿瘍,骨髄炎,腹腔内感染症,尿路感染症などの感染症で生じ,高い死亡率を示している。
  • 敗血症においては,38〜69%で菌血症を合併することが報告されている。各種の迅速診断法が開発されているものの,現在でも血液培養は敗血症の病原微生物を同定する標準的検査法である。
  • 菌血症を疑う症状(発熱,悪寒・戦慄など)の出現,原因不明の低体温,低血圧,頻呼吸,意識障害(特に高齢者や小児),白血球数増加や減少,代謝性アシドーシス,免疫不全患者における呼吸不全・急性腎障害・急性肝障害などがみられた場合は敗血症を疑い,できるだけ早急に血液培養を 2セット以上採取することが推奨されている。
  • 悪寒・戦慄を伴う発熱が生じた場合は菌血症の陽性尤度比が高い。一方,菌血症の可能性が低い場合の発熱や白血球数の上昇のみでは必ずしも血液培養を採取しなくてもよいとする報告もある。

😑 独り言
  • 血液培養の診療報酬点数は225点で,嫌気性培養を行った場合は122点が加算されます.よって2セットなら計6,940円です(令和6年版:今日の診療サポート
  • 医学は確率の側面を有するため必ずしも想定通りにはいきませんが,医療費の蛇口の開閉を担う医師は Choosing Wisely(賢明な選択)を心がけたいものです.

(投稿者 川﨑)

2025-09-11

今週の一枚 🎯

重症感染症でICUに入院した超高齢者

💙 解説
  • QRS波の後にP波が観察される(V1誘導に注目)
  • よく見るとPがQRS波に少しずつ追いついている
  • 房室解離であるが等頻度房室解離と考えられた
  • 最終的にPがQRSを追い越し通常の伝導が回復

💣 等頻度房室解離(isorhythmic atrioventricular dissociation)
  • P波とQRSにはつながりが無く心室は房室接合部からの刺激で収縮する房室解離のうち,洞結節の興奮発生頻度と房室接合部の興奮発生頻度がほぼ等しい状態
  • 房室解離が出現する原因として,①洞調律が遅くなった状態,②下位中枢の興奮発生機能が亢進した状態,③両方が組み合わされた状態が考えられます(引用
  • 房室解離は可逆性ですが,心房収縮が無効になり血行動態が悪化することがあります.本例でも感染性ショックが遷延 → 炎症の鎮静化に伴い房室解離も消失

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(投稿者 川崎)

2025-08-22

口腔扁平苔癬 OLP:Oral Lichen Planus

  • 概略 口腔粘膜に網状や斑状の白色病変と軽度角化異常を伴う慢性炎症性病変
  • 症状 びらんや潰瘍を伴う紅斑性病変を生じると不快症状や接触痛などが起こる
  • 鑑別 口腔粘膜の病変(特に白板症や初期口腔癌、他のびらん性疾患は必須)
  • 疫学 一般人口の 1.27%(男0.96%、女1.57%) で人種差や地域差はない
  • 治療 通常は難治性で長期間を要する(ステロイド剤の局所療法など:下図)
  • 病因 不明:発症誘因や増悪因子が想定できる症例では取り除くと改善あり


- 口腔扁平苔癬(OLP)の臨床像 -

(投稿者 川崎)

2025-08-19

待機的虫垂切除術 Interval appendectomy

  • 急性虫垂炎の治療法のひとつで,抗菌薬による炎症の鎮静化後に待機的に実施される虫垂切除術
  • 利点は手術法選択,癌スクリーニング,合併症低下に加え日程調整,医療費削減,早期社会復帰
  • 炎症が比較的軽度で、穿孔や膿瘍などの合併症を伴わない単純性虫垂炎に実施されることが多い
  • しかし近年では複雑性虫垂炎に対してもInterval appendectomy戦略が有効の報告あり(下図表)


🚑 虫垂炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)