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2024-03-09

膀胱三角部 Trigone of urinary bladder

  • 2つの尿管口と内尿道口によって形成される内膀胱の滑らかな三角形領域
  • 膀胱三角部は拡張に敏感で尿量を知覚する伸展知覚・圧迫知覚神経が集中
  • 同部位は感染症(三角炎/trigonitis)が生じやすく様々な排尿異常に至る
  • 感染症以外にも膀胱三角部にはマラコプラキアが生じやすい(特に女性)


(投稿者 川崎)

2017-02-03

松下金曜会 「尿失禁」

尿失禁のレッドフラッグと考慮すること
  1. 認知状態の急性変化を伴う尿失禁 ⇒ 代謝障害,脳卒中
  2. 排尿できないまたは連続的な失禁(数分毎) ⇒ 溢流を伴う重症の尿閉
  3. 排尿困難を伴う尿失禁 ⇒ 性感染症による尿道炎,エストロゲン欠乏による萎縮性尿道炎
  4. 排尿終了数分後の尿意と排尿(中等度~大量) ⇒ 大きな膀胱ヘルニア
  5. 肉眼的血尿を伴う尿失禁 ⇒ 出血性膀胱炎,膀胱癌,尿道癌
  6. 多尿症を伴う尿失禁 ⇒ 代謝障害(高血糖,高カルシウム血症)
  7. 排尿中に糞便または大きな気泡 ⇒ 骨盤癌,骨盤照射による膀胱直腸瘻
  8. 直立姿勢や運動で継続する尿漏れ ⇒ 尿道括約筋不全または重症骨盤底虚脱
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2022-05-06

気腫性膀胱炎 Emphysematous cystitis

💣 135例のレビュー(BJU Int 2007;100:17-20) 
  • CO2が膀胱粘膜下や内腔に貯留した膀胱炎のこと
  • 初報は1961年のBailey Hによる19例の報告(※)
  • 平均年齢66歳,女性が64%で糖尿病の合併が67%
  • 診断は84%が腹部X線で確定(最近ではCTが増加)
  • 症状は腹痛や気尿,尿閉,嘔気,発熱,血尿など
  • 最多の起因菌は大腸菌(58%)で肺炎桿菌が続く 
  • 90%が薬で治療,10%は手術要(部分切除や全摘)
  • 死亡率7%(ちなみに気腫性腎盂腎炎は21〜69%)

当院の循環器内科で経験した気腫性膀胱炎の一例
(糖尿病を合併する高齢女性/肺炎桿菌が原因で抗菌薬で治癒)

(投稿者 川崎)

2019-06-20

尿道の振子(ふりこ)部 Pendulum urethra

男性尿道の分類(外尿道口〜膀胱頚部)
  1. 亀頭部尿道
  2. 振子部尿道(陰茎の部分)
  3. 球部尿道(肛門から陰嚢)
  4. 膜様部尿道(尿道括約筋に包まれた部分)
  5. 前立腺部尿道(前立腺の中心部)
  6. 膀胱頸部(膀胱と前立腺の境目)

おまけ
  • 亀頭部尿道+振子部尿道+球部尿道=尿道海綿体
  • 膜様部尿道+前立腺部尿道+膀胱頚部=後部尿道

🐹 分かりやすい図 ➜ 尿道狭窄症でお悩みの方へ 堀口明男 Official Site

関連投稿 🐙

(投稿者 川崎)

2022-03-01

百聞不如一見 Seeing is believing

カンファレンスの一コマ 💨
  • 研修医 「とにかく膀胱のエコーがすごかったんです」
  • 指導医 「写真見せて 😃」
  • 研修医 「あっ,写真はとってなかったかも…」
  • 指導医 「マジ? じゃ,白板に絵を描いて」
  • 研修医 「こんな感じでした」
  • 指導医 「う〜ん...伝わらない 😑」

📷 とにかく記録
  1. 百聞は一見に如かず:画像の記録は何よりも大切です(特にERのエコー)
  2. 電子カルテに取り込む手技が煩雑な時は,とりあえずスマホで撮影もOK
  3. 下図は初期研修医の抜かりない記録があったために論文化できた症例です
  4. 失神症例で,膀胱エコーがバカボンの「目ン玉つながりのおまわりさん」
  5. 最終的な診断は,巨大膀胱憩室を伴う尿貯留に関連した神経調節性失神


💁 膀胱に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-03-15

PFS: pressure-flow study 内圧尿流検査 

  • 概略 下部尿路機能(特に膀胱機能)を客観的に評価するための機能的検査
  • 対象 尿排出障害(例:前立腺肥大症)や排尿筋低活動を示す神経因性膀胱
  • 方法 排尿時の膀胱内圧,腹圧(直腸内圧),尿流率を同時に測定(下図)



(投稿者 川崎)

2018-01-07

グラム染色クイズ

膀胱炎が疑われる症例の尿グラム染色(強拡大=1000倍)





(投稿者 川崎)

2023-05-10

尿失禁 Urinary Incontinence

🐦 復習
  • 尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症候名
  • 尿失禁は加齢と伴に増加して女性に多く男性の約2倍の頻度
  • 男性では大半が60歳以上,女性は40歳以上の約40%が経験
  • 男性尿道は長さは男性では約20 cmであるが女性では約4 cm


🐤 分類
  • 腹圧性 ➜ 咳などの腹圧上昇時に膀胱が収縮せずに尿漏れ
  • 切迫性 ➜ 過活動膀胱などで強い尿意とともに尿が漏れる
  • 溢流性 ➜ 薬剤や糖尿,前立腺肥大症の排尿障害で生じる
  • 機能性 ➜ 膀胱機能とは無関係で歩行障害や認知症で失禁
  • 反射性 ➜ 下肢麻痺など脊髄障害で兆候や尿意なく尿漏れ


💁 尿失禁に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2016-10-27

外傷に対するFAST

FAST(ファスト) = Focused Assessment with Sonography for Trauma
外傷症例に行う迅速簡易超音波検査法で,液体貯留(出血)の検出に有用

FASTでは以下の順にエコーで確認
  1. 心膜腔
  2. 肝腎境界(モリソン窩)と右胸腔
  3. 脾周囲と左胸腔
  4. 膀胱直腸窩/ダグラス窩
分かりやすいページ ←クリック

 おまけ 
ダグラス窩は厳密には直腸子宮窩であるため女性にしか存在しないが,男性の膀胱直腸窩を便宜的にダグラス窩と呼ぶことがある

(投稿者 川崎)

2017-09-01

Streptococcus agalactiae

B群連鎖球菌(Group B Streptococcus : GBS)の別名でストレプトコッカス・アガラクティエと読む
A群溶血性連鎖球菌(GAS)や肺炎球菌とともに臨床で注意すべきグラム陽性の連鎖球菌 ⇒ 過去の記載

膣内に常在することがある細菌
  • 経腟分娩時に新生児感染=敗血症,髄膜炎,肺炎など(全妊婦に対して妊娠35~37週に膣・直腸検査がガイドラインで推奨)
  • 妊婦感染=膀胱炎や羊膜炎,子宮内膜炎,死産など

腸や咽頭,膀胱にも常在することがある

治療 アレルギーがない場合は原則ペニシリン系の抗菌薬を選択(ただしペニシリン低感受性GBSの報告あり)

(投稿者 川崎)

2018-02-15

尿管膜遺残 Urachal remnant

通常胎生期に存在する臍と膀胱をつなぐ尿膜管が出生後も残存した状態

頻度 成人の2%(出生直前の胎児や出生直後の早期新生児では約50%)
分類 尿膜管関存,尿膜管隣痩,尿膜管憩室,尿膜管嚢胞,感染後瘻孔
疫学 尿膜管膿瘍の場合10例中男性7例,女性3例,平均42歳(19-77歳)
症状 臍部から排膿,臍部腫瘤,臍部痛・下腹部痛,肉眼的血尿膀胱炎
治療 感染症なら抗生剤,稀だが癌化リスクあるため外科的切除も考慮

参考:膜管疾患14例の臨床的検討.尿泌尿器科紀要 2005;51:731-5

👀 自験例 ➜ 左下腹部痛で来院した1例


(投稿者 川崎)

2020-02-27

夜間頻尿に対するロキソニンの有用性

ロキソニンは、
・尿量減少
・排尿反射の低下
・排尿知覚の低下
などの作用で総合的に夜間頻尿を抑えると考えられている。

プロスタグランジン(PG)は膀胱平滑筋を収縮させるだけでなく、膀胱知覚神経にも作用し求心性活動を増加させ、排尿反射を亢進させる。ロキソニンはPG産生を抑制することで、そこに拮抗する。
さらに、PG産生抑制→腎血管収縮による腎血流量減少+ヘンレループでのNa再吸収増加+抗利尿ホルモン作用亢進→尿量減少を引き起こすと考えられている。

ただし、夜間頻尿に対するロキソニンの使用は適応外であり、エビデンスレベルが高くないことに注意。

(投稿者 小森)

2020-02-07

POP:今週のモーニングレクチャーより

POPとはPelvic Organ Prolapseの略で邦名は骨盤臓器脱(Urogynecologyの対象疾患)
(もちろんカラオケでポップコーンを食べながら歌うポップな曲ではありません 🎶)

🎤 POP 骨盤臓器脱
  • 定義 骨盤底弛緩により膀胱や子宮,直腸などの骨盤内臓が膣内を下降し膣外に出る病態の総称
  • 症状 腹圧性尿失禁,頻尿,尿意切迫感,陰部の腫瘤感,性交障害,便失禁,排便困難など様々
  • 要因 骨盤底筋の先天的脆弱,分娩に伴う組織障害や神経損傷,加齢,体重増加,慢性便秘など
  • 治療 原則は支持組織を補強する外科的手術/内科的には骨盤底筋訓練やペッサリーの挿入など
  • 分類 客観的な下垂度はPOP-Qシステムを用いて評価する(Am J Obstet Gynecol 1996;175:10-7)


🎈 簡易版のPOP-Q法によるStage分類
  1. ステージⅠ 再下垂部位が膣口(処女膜)より-1cm以下
  2. ステージⅡ 再下垂部位が膣口(処女膜)の-1cm~1cm
  3. ステージⅢ 脱出先端が膣口(処女膜)より+1cm以上
  4. ステージⅣ 子宮(あるいは膀胱や直腸)が完全に脱出

🉐 関連投稿(運動編)

(投稿者 川崎)

2017-12-15

グラム染色クイズ

排尿痛と頻尿で来院した妊娠していない若い女性の尿をグラム染色(強拡大)




(投稿者 川崎)

2020-04-04

アラカルト

  1. ビタミンB1欠損はwet beriberi, dry beriberi, Wernicke脳症の3種/beriberiはスリランカの公用語シンハリ語で”弱い”を意味
  2. スプライン曲線(spline curve)とは区分多項式で表現された曲線で,散布するデータの大まかな傾向を表すときに用いられる
  3. 乳酸アシドーシスの原因は低酸素血症やインスリン分泌不全などによる嫌気的解糖or重症肝不全で,概ね45mg/dL以上が有意
  4. β3アドレナリン受容体は褐色脂肪細胞や消化管,脳,前立腺,膀胱などに発現/選択的β3受容体作薬は動過活動膀胱治療薬

😎 関連投稿(アラカルト編)

(投稿者 川崎)

2017-02-23

非専門医の排尿障害への対応

もちろんこれがすべてではありませんが,ひとつのパターンとして・・・
  • 高齢男性+残尿感あり ⇒ 前立腺肥大 ⇒ α1受容体遮断薬 (例 ハルナール,1日1回)
  • 女性+残尿感なし ⇒ 過活動性膀胱 ⇒ ムスカリン受容体拮抗薬 (例 ベシケア,1日1回)

※神経因性膀胱は泌尿器科へ紹介

(木曜朝のモーニングレクチャーより)

(投稿者 川崎)

2024-03-01

Malakoplakia マラコプラキア

  • 概略 細胞質内にMichaelis-Gutmann body(下図矢印)を有す慢性肉芽腫性炎症性疾患
  • 命名 ギリシャ語のMalako(柔らかい)とPlako(プラーク)に由来(適切な邦名なし)
  • 報告 1902年にMichaelisとGutmannが報告して,1903年にvon Hansemannが命名した
  • 原因 マクロファージによる細菌(通常グラム陰性菌で特に大腸菌)の不十分な死滅?
  • 部位 女性の膀胱三角部に好発(他には尿路系全般,前立腺,精巣,卵巣,胃,肝など)
  • 治療 経口抗生物質と必要に応じて外科的切除(免疫不全状態なら原疾患の治療も必要)


65歳女性の膀胱に発生したmalakoplakiaの1例

(投稿者 川崎)

2024-11-14

今週の一枚 🎯

発熱で施設から搬送された高齢者(要介護5)



(投稿者 川崎)

2020-08-20

🎯 今週の一枚

血尿と下腹部痛でERに搬入された症例(前立腺肥大に対して尿道カテーテル留置中)



(投稿者 川崎)

2020-09-28

似て非なり? アトロピン vs ブスコパン

👻 復習
  1. 副交感神経系の伝達物質はアセチルコリンで,各臓器にあるアセチルコリン受容体の別名がムスカリン受容体
  2. アセチルコリンは各臓器に指令を伝達後,アセチルコリンエステラーゼによって速やかに分解され役目を終える
  3. アトロピン®️やブスコパン®️はいずれもムスカリン受容体を競合的に阻害することで副交感神経の作用を抑制する
🚚 アトロピン硫酸塩水和物(アトロピン®️)の効能(添付文章)
  • 胃・十二指腸潰瘍における分泌並びに運動亢進,胃腸の痙攣性疼痛,痙攣性便秘,胆管・尿管の疝痛,有機燐系殺虫剤・副交感神経興奮剤の中毒,迷走神経性徐脈及び迷走神経性房室伝導障害,麻酔前投薬,その他の徐脈及び房室伝導障害,ECTの前投与(注:ECT=電気痙攣療法) 
🚛 臭化ブチルスコポラミン(ブスコパン®)の効能(添付文章)
  1. 下記疾患における痙攣並びに運動機能亢進
    • 胃・十二指腸潰瘍、食道痙攣、幽門痙攣、胃炎、腸炎、腸疝痛、痙攣性便秘、機能性下痢、胆のう・胆管炎、胆石症、胆道ジスキネジー、胃・胆のう切除後の後遺症、尿路結石症、膀胱炎、器具挿入による尿道・膀胱痙攣、月経困難症、分娩時の子宮下部痙攣
  2. 消化管のX線及び内視鏡検査の前処置
👼 つぶやき
  • アトロピンの作用は平滑筋・心筋・外分泌腺のムスカリン受容体に対し特に選択性が高いようです(#).これらのアトロピンの臨床上の特性を改善するためにブスコパン®が開発されました(※).ブスコパンは中枢性副作用がなく,腹部中空臓器の壁内神経節にも作用し神経刺激伝達を抑制するようです.
  • 実際の臨床現場では循環器内科医はアトロピン,消化器内科医はブスコパンを使い慣れています.ただし専門が何科であれ医師人生で1回は出会う(かもしれない)有機リン中毒の症例に対するアトロピン大量投与の知識はいつも頭の片隅に!
🉐 関連投稿(自律神経編)

(投稿者 川崎)