このブログを検索

2017-02-28

救急での造影CTはダイナミックにするか問題

急性腹症診療ガイドライン 画像診断ガイドライン を眺めても明確な答えはなさそうでした。

この問題はローカルルール、臨床上、医療経済上、感情的、教育上、放射線科の業務負担など論点が複雑で利害も絡んで一段と複雑化しやすいためでしょう。

が、ざっくり大動脈解離、動脈の病変、出血、膵臓病変を疑ったときは全例ダイナミックCTをとるべきだとは思います。腫瘍も手術が考慮されることもあるのでおおよそダイナミックCTがいいと思いますが、救急でどこまでやるかはまた難しい問題です。

(投稿者 小谷)

第19回 松下バイリンガルカンファレンスより

血圧の読み方:例 120/80 mmHgの場合
日本語では 「血圧は120の80でした」

英語では以下のいずれもOK
  • The blood pressure was one twenty over eighty
  • BP was one hundred twenty over eighty
  • The BP was one hundred and twenty over eighty millimeters mercury

※ポイントは収縮期血圧と拡張期血圧の間の"/"をoverと読むことと"mm"が複数になること

(投稿者 川崎)

グラム染色クイズ

肺炎症例の喀痰グラム染色.診断は?


(投稿者 川崎)

2017-02-27

シックデイと経口血糖降下薬・インスリン

シックデイとは糖尿病で加療中の症例が下痢や嘔吐などで食事摂取が困難な状況
自己判断で糖尿病薬を中止すると著明な高血糖やケトアシドーシスのリスクになる

糖尿病診療ガイドライン2016糖尿病における急性代謝失調・シックデイより

(投稿者 川崎)

抗BP180抗体

BP=bullous pemphigoid=水疱性類天疱瘡
抗BP180抗体は水疱性類天疱瘡の診断および活動性評価に用いる

水疱性類天疱瘡とは
  • 自己免疫性水疱症の中では最多の水疱症で,高齢者に多いが性差はない
  • 表皮真皮境界部にあ180kDのBP180と230kDのBP230を標定抗原とする
  • 全身の皮膚に多発する強いかゆみを伴う緊満性水疱や浮腫性紅斑が特徴

※落葉状天疱瘡に対する抗デスモグレイン1抗体や尋常性天疱瘡に対する抗デスモグレイン3抗体も臨床応用されている

水疱症の分類 ⇒ ウィキペディア
水疱症の抗体 ⇒ 株式会社医学生物学研究所MBL

(投稿者 川崎)

死亡診断書と死体検案書

「最終診察から24時間以上経過していれば必ず死体検案書になる」は誤りです



(投稿者 川崎)

2017-02-26

PECARN rules ピーカーンルール

15歳以下の子供の頭部外傷例で頭部CTを撮るか否かの判断基準

PECARN (Pediatric Emergency Care Applied Research Network) study
Glasgow Coma Scale 14-15の子供42,412例の検討(2歳未満10,718例、2歳以上31,694例)
臨床上重要な脳損傷の定義:脳損傷による死亡,脳手術,24時間以上の気管内挿管,2泊以上の入院

2歳未満
  • 正常な精神状態
  • 前頭部を除いて皮下血腫なし
  • 意識消失なし又は5秒以内の意識消失
  • 重篤な損傷機転なし
  • 触知可能な頭蓋骨骨折なし
  • 親の指示に従って正常な動作
  ⇒ すべてyesなら臨床上重要な脳損傷なし(陰性適中率100%、感度100%)

2歳以上
  • 正常な精神状態
  • 意識消失なし
  • 嘔吐なし
  • 重篤な損傷機転なし
  • 頭蓋底骨折の徴候なし
  • 重篤な頭痛なし
  ⇒ すべてyesなら臨床上重要な脳損傷なし(陰性適中率99.95%、感度96.8%)

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「疲労」

疲労のレッドフラッグと重篤な疾患
  1. 発熱,寝汗 ⇒ 感染,リンパ腫,不顕性新生物
  2. 体重減少 ⇒ 感染,悪性腫瘍,吸収不良,甲状腺疾患,うつ病,摂食障害
  3. リンパ節腫脹 ⇒ HIV,感染性単核球症,リンパ腫,梅毒
  4. 過度の渇き ⇒ 糖尿病,尿崩症
  5. 背部痛,びまん性骨痛 ⇒ 転移性癌,多発性骨髄腫
  6. 複視,発話困難または咀嚼困難,咀嚼時の痛み ⇒ 重症無力症,側頭動脈炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-02-25

グラム染色クイズ

腹痛と下痢を訴える症例の便をグラム染色した.便は少し粘液が目立った.診断は?


便のグラム染色では同菌の染色性を向上させるため,サフラニンの代わりにパイフェル液(フクシン希釈液)を用いる,また同菌は一つでも見つかれば異常と考えていい.

(投稿者 川崎)

突然の腹腔内出血 稀ではない原因?

分節性動脈中膜融解 Segmental Arterial Mediolysis (SAM) の可能性も念頭におきたい

当院では昨年1例(病理で確定),今年もすでに1例(臨床疑い)を経験している
いずれも動脈硬化リスクに乏しい中高齢者で突然発症した腹痛で来院(1例はショック)

  • 非炎症性の動脈中膜の破綻に特徴付けられる稀な疾患(原因は不明であるが動脈が攣縮?)
  • 内臓動脈に好発(ときに頭蓋内動脈や冠動脈) ⇒ 解離(多発あり)・破綻・瘤化・狭窄・閉塞など
  • 診断は病理学的所見に基づく ⇒ 動脈壁中膜の血管平滑筋細胞の空胞化と粘液様変性など
  • 鑑別疾患は,動脈硬化,線維筋性異形成,血管型ベーチェット,結節性動脈炎,高安動脈炎など

おまけ もう一つのSAMも忘れずに
 ➠ 肥大型心筋症の心エコー図で認められる僧帽弁収縮期前方運動 Systolic Anterior Motion of the mitral valve

(投稿者 川崎)

2017-02-24

ハイド症候群 Heyde syndrome

大動脈弁狭窄症と血管異形成(angiodysplasia)からの出血を合併した病態
後天性von Willebrand病2A型により消化管を中心に血管異形成が生じている
EC Heydeが1958年にN Eng J Medに報告したことからHeyde syndromeと命名

  • 機序:弁狭窄部のずり応力でvon Willebrand因子が引き延ばされADAMTS13に切断されやすくなるため
  • 頻度:高度大動脈狭窄症の約20%?(日常の循環器診療でハイド症候群を実感することは稀ですが・・・)
  • 診断:血液検査でvon Willebrand因子のマルチマー解析を行い高分子マルチマーの減少・欠損を確認
  • 治療:大動脈弁置換(出血部位の外科・内視鏡治療あるいはvon Willebrand因子の補充では不十分)

分かりやすい症例報告 ⇒ Heyde症候群の1例(心臓 2012;44:37-41) および Editorial Comment

(投稿者 川崎)

頭部CTクイズ(蘇生後)


本例を経験した研修医の先生がイメージ論文にしてくれました Open J Clin Med Case Rep. 2016; 1108

(投稿者 川崎)

非痙攣性てんかん重積

Nonconvulsive status epilepticus (NCSE)
てんかん重積のうち,明らかな痙攣発作を伴わない状態
 ⇨ てんかん重積とは臨床的または電気的なてんかん状態が30分以上続く状態(最近では5分以上)
 ⇨ てんかん重積は非痙攣性てんかん重積と全身痙攣てんかん重積に二分される

非痙攣性てんかん重積 NCSE の要約
  • 診断:臨床症状+発作性脳波異常(確立された基準はない)
  • 疫学:60歳以上の男性に多く,てんかん重積の25~50%
  • 分類:単純部分発作,複雑部分発作(これが主),欠神発作
  • 原因:炎症性疾患,脳卒中後遺症,腫瘍,外傷,薬物など多岐にわたる
  • 症状:凝視,反復する瞬目・咀嚼・嚥下運動,昏睡,認知症,異常行動など
  • 治療:てんかん重積に準ずる(セルシンやアレビアチン,ドルミカム,ディプリバン他)
  • 予後:てんかん重積の致死率(1.9~40%)より不良と考えられている


(投稿者 川崎)

2017-02-23

非専門医の排尿障害への対応

もちろんこれがすべてではありませんが,ひとつのパターンとして・・・
  • 高齢男性+残尿感あり ⇒ 前立腺肥大 ⇒ α1受容体遮断薬 (例 ハルナール,1日1回)
  • 女性+残尿感なし ⇒ 過活動性膀胱 ⇒ ムスカリン受容体拮抗薬 (例 ベシケア,1日1回)

※神経因性膀胱は泌尿器科へ紹介

(木曜朝のモーニングレクチャーより)

(投稿者 川崎)

ADAMTS13

正式名称はa disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13
アダムスサーティーンと読まれることが多い

止血因子 von Willebrand factor (vWF) の特異的切断酵素で2001年に発見
 ➽ vWFは傷害された血管内皮の下にあるコラーゲンに結合し血小板の接着を誘導
  ➽ ADAMTS13はvWFの分子量サイズを減じることで過剰な血小板凝集を防止している

ADAMTS13活性は血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy: TMA)で低下
 ⇰ TMA=TTP (thrombotic thrombocytopenic purpura) + HUS (hemolytic uremic syndrome)
  ⇰ TTP血栓性血小板減少性紫斑病の5徴(血小板減少・微小血管障害性溶血性貧血・発熱・腎機能障害・精神神経障害)
   ⇰ HUS溶血性尿毒症症候群の3徴(血小板減少・微小血管障害性溶血性貧血・急性腎不全)

トリビア
臨床現場ではフォン・ウィルブラントと発音されることが多い(循環器学会用語集でもフォンウィルブラントと記載).しかし『内科学用語集』では「ヴォン・ヴィレブランド」が採用されているらしい.これは発見者(フィンランド人)の母国語(フィンランド語)の発音に準じているようです.

ADAMTS13について詳しく知りたい方はコチラ ⇒ ADAMTS13. J Jpn Coll Angiol. 2011;51:321–331

(投稿者 川崎)

2017-02-22

肝性脳症の治療薬 カナマイシン

知っておきたい背景
  • カナマイシンはアミノグリコシド系抗生物質のひとつ
  • 経口カナマイシンはほとんど吸収されず腸内でのみ作用
  • 血中アンモニアの大部分は腸内細菌により産生される
  • アンモニアは分子量が小さいので血液脳関門を通過
  • カナマイシンがアンモニアを産生する腸内細菌を減らす
  • アミノグリコシド系抗菌剤は腎機能障害と聴覚障害に注意
  • 肝性脳症に対するアミノグリコシド系抗菌剤は保険適応外

メタアナリシス(Aliment Pharmacol Ther. 2015;41:624-35)では,アミノグリコシド系抗菌剤は肝性脳症の治療に有効であるが,分枝鎖アミノ酸製剤(例,アミノレバン点滴)や非吸収性合成二糖類(例,ラクツロース注腸)よりも効果に乏しく副作用も多いようです

肝性脳症についてもっと知りたい方 ⇒ 肝性脳症 - 日本医療機能評価機構

(投稿者 川崎)

肥満とBNP

Brain or B-type natriuretic peptide (BNP)は心不全のバイオマーカー
ただしBNPはbody mass index (BMI)と有意な逆相関を示すことに注意が必要
 ⇒ 肥満例では心不全があるにもかかわらずBNP値が比較的低値を示すことがある



おまけ 心不全なのにBNPが低値になる他の病態はコチラ

(投稿者 川崎)

レンズ核

レンズ核 = 被殻 putamen 淡蒼球 globus pallidus
内包の外側にある灰白質で,錐体外路系の中枢(骨格筋の運動と緊張を調節している)



中央の凸レンズ状の構造物がレンズ核 Lenticular nucleus
周囲のリング状構造物は尾状核 Caudate nucleus


図は頭の右側から見た像で向かって右が正面(Wikiからのパブリックドメイン

(投稿者 川崎)

2017-02-21

肝性口臭

肝硬変や肝性昏睡などの肝疾患時に観察される口臭
肝臓の解毒作用(アンモニア→尿素→尿へ排泄)が低下するため
様々に表現されているが,通常は快適なニオイではない(下記1~3が有名)
  1. アンモニア臭
  2. 腐った卵のにおい
  3. ニンニク臭
  4. カビのような臭い
  5. ドブや排水溝のにおい
  6. 雑巾のような臭い
  7. 生ごみのようなニオイ
糖尿病性ケトアシドーシス時のケトン臭(甘酸っぱい匂い)と要区別

(投稿者 川崎)

グラム染色クイズ

バルーン留置中の症例の尿グラム染色.診断は?

アエロコッカスは稀なグラム陽性の弱毒菌であり免疫不全状態で発病しやすい
最近,高齢男性のAerococcus urinaeによる尿路感染が増加している様子

(投稿者 川崎)

DPP-4阻害薬

先日,新たに投与した薬(DPP-4阻害薬)の機序を患者さんから尋ねられた
その場であまりうまく説明できなかったため,反省の意味を込めて調べてみた

DPP-4はdipeptidyl peptidase-4の略で,766個のアミノ酸から成る110kDaのタンパク質
DPP-4阻害薬はインクレチン製剤の経口薬で,インクレチン製剤の注射薬はGLP-1受容体作動薬

インクレチン
  • 摂食時に小腸から分泌されているホルモンの一つ
  • 血糖値が上昇した時のみインスリンの分泌を促進
  • 不適切なグルカゴンの放出を抑える作用も有する
  • 消化分解酵素DPP-4によりすみやかに分解される

つまりDPP-4阻害薬はインクレチンを分解する酵素を不活性化する経口血糖降下薬

(投稿者 川崎)

2017-02-20

蘇生時の薬剤

JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版第2章 成人の二次救命処置(ALS)より抜粋

※ROSC(ロスク)はreturn of spontaneous circulationの略で自己心拍再開のこと
※アドレナリン(主に英国)=エピネフリン(主に米国)=ボスミン(商品名)


※PEA(ピーイーエー)はpulseless electrical activityの略で無脈性電気活動のこと
※上記の赤枠は分かりやすいように追加したものでオリジナル版にはない

(投稿者 川崎)

Beals' syndrome ビールス症候群

先天性拘縮性くも状指趾症 congenital contractural arachnodactyly

マルファン様の体型(高身長,広いアームスパン,長くて細いくも状指趾)が特徴である
耳介変形,出生時の大関節の拘縮,筋肉の低形成,脊柱の後側彎症を伴うことが多い
心血管の合併しうる奇形:心房・心室中隔欠損,大動脈弓離断,単一臍帯動脈など
消化管の合併しうる奇形:十二指腸閉鎖,食道閉鎖,腸回転異常など

細胞外マトリックスの細線維であるfibrillin2をコードしているFBN2遺伝子の変異
常染色体優性遺伝性疾患であるであるが,新生変異により発症している場合もある

詳細はコチラ ⇒ ビールス症候群(GeneReviews 日本語版サイト)
(投稿者 川崎)

心尖部瘤を有するHCM

肥大型心筋症Hypertrophic Cardiomyopathy (HCM)では稀に心尖部に瘤を認める
心室中部閉塞性心筋症(Midventricular obstructive, MVO)に多いことが知られている
頻度や予後など不明な点が少なくないが,最近多数例の解析が報告(JACC 2017;69:761–773)
  • 頻度:HCM 1,940例中,心尖部瘤を有した症例は93例(4.8%)
  • 事故:平均4.4年の観察中, 突然死3,除細動器作動18,心移植2,心停止から回復2
  • 塞栓症:抗凝固療法なしでは1.1%/年 (抗凝固中の症例で発症なし)
  • 致死性イベント:6.4%/年で,心尖部瘤を認めない症例2.0%/年より有意に高い
  • 瘤との関連:心尖部瘤の大きさと心血管事故との間に有意な関連なし

(投稿者 川崎)

2017-02-19

ペニシリン系抗菌薬 頭の整理

グラム陽性菌に強く,好気性菌も嫌気性菌もカバーするのがペニシリンの強み
時間依存型の抗菌薬なので,一回投与量よりも投与回数を増やすことが大切

βラクタマーゼ
阻害薬配合
点滴薬の一般名
(当院の採用薬)
内服薬の一般名
(当院の採用薬)
なし ABPC
アンピシリン
(商品名ビクシリン)
AMPC
アモキシシリン
(商品名パセトシン)
あり ABPC/SBT
アンピシリン・スルバクタム
(商品名ピシリバクタ)
AMPC/CVA
アモキシシリン・クラブラン酸
(商品名オーグメンチン)

覚え方 AMPCのMMouth(経口)のMがいいかも?
(投稿者 川崎)

グラム染色のコスト



平成26年度の診療報酬改定は全体で+0.1%改定(消費税率の引き上げを考慮した実質の改定率は-1.26%
その中でグラム染色が3期連続大幅増点されていることは臨床的価値が高いものであることの証明である


(投稿者 川崎)

大動脈四尖弁 Quadricuspid aortic valve (QAV)

頻度は心エコー例の0.013-0.043%, 剖検例の0.008%



1975年〜2014年に診断された50人の解析(Circulation. 2016;133:312-319
  • 診断時の年齢は平均44歳、女性52%,四弁均衡型32%,一弁低形成型32%(←本例)
  • 29%に大動脈拡張、26%に重症大動脈弁逆流,8%に大動脈弁狭窄(ただし軽度)
  • 合併奇形の頻度は32%(他の弁異常,中隔欠損,左上大静脈遺残,動脈管開存症)
  • 平均4.8年の観察期間で8例が大動脈弁逆流で手術(感染性心内膜炎や大動脈解離なし)
  • 術後の成績は良好で,5年生存率は91.5%,10年生存率は87.7%であった

(投稿者 川崎)

腸間膜が臓器に格上げ(?)された。

GIGAZINEまとめサイトで恐縮です。
http://gigazine.net/news/20170104-brand-new-human-organ/
79番目の臓器、らしいです。

こちらに78番目まで全部書いてあるらしいですが
http://www.bankingpdf.com/wp-content/uploads/2017/01/Organs-in-the-Body.pdf
いったいどんな数え方をしたら合計79になるのやら。

(投稿者 小谷)

2017-02-18

CRTは2秒未満

CRT=capillary refilling time
爪床血流充填時間あるいは爪床圧迫テスト
  • 意義:末梢の循環を評価するための簡便な指標
  • 方法:爪床を圧迫し,解除後の色調回復を観察
  • 判定:解除2秒未満に爪床に赤みが戻れば正常

脱水やショック,低体温などが疑われる時はやってみよう
CRTが2秒以上であればトリアージではに分類される
ただし新生児や高齢者,女性ではCRTは延長しやすい

(投稿者 川崎)

難解漢字

挺舌 ていぜつ ⇒ 上下の歯の間から舌を前に指し出すこと(舌下神経麻痺の確認)
偏倚 へんい ⇒ 位置や方向などが一方にかたよること(使用例:挺舌偏倚なし)
奔馬調 ほんばちょう ⇒ 心不全で出現する馬が駆けるような音(=ギャロップリズム)
難解漢字 挺舌 偏倚 奔馬調
(投稿者 川崎)

2017-02-17

急性心筋梗塞の3大機械的合併症

  1. 左室自由壁破裂 ⇒ 心タンポナーデ ⇒ ショック (➽自験例
  2. 心室中隔穿孔 ⇒ 左右シャント ⇒ 心不全 (➽自験例
  3. 乳頭筋断裂 ⇒ 急性の僧帽弁逆流 ⇒ 心不全 (➽自験例

発生頻度は心筋梗塞の1~10%で,発症時期は24時間以内および3-5日(※一覧表はコチラ
いずれもIABPやPCPS,心膜ドレナージなどを導入した後に緊急外科的修復術を要する

(投稿者 川崎)

グラム染色クイズ

尿培養で育った微生物を強拡大で観察.さて診断は?


尿中の双球菌といえばもちろん腸球菌(今さらではあるがセフェム系は一切無効)
栄養十分な環境で培養されているためか,通常の双球菌よりも太って見える(笑)

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「寝汗」

寝汗のレッドフラッグと考慮すること
  1. 意図しない体重減少 ⇒ リンパ腫,固形腫瘍,亜急性心内膜炎,結核,HIV感染,脈管炎
  2. 食欲低下または早期満腹感 ⇒ リンパ腫,消化器悪性腫瘍
  3. 偶発性下痢 ⇒ カルチノイド症候群,甲状腺髄様癌,炎症性腸疾患
  4. 掻痒 ⇒ リンパ腫,胆管悪性腫瘍,腎不全,真性赤血球増加症
  5. 動悸や頭痛 ⇒ 褐色細胞腫,巨細胞動脈炎,中枢神経系腫瘍
  6. めまいまたはふらつき ⇒ インスリノーマ
  7. 直立姿勢や運動で継続する尿漏れ ⇒ 尿道括約筋不全または重症骨盤底虚脱
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-02-16

側壁の急性心筋梗塞のピロリン酸シンチ

安静タリウムとピロリン酸の二核種同時収集 Rest thallium-201 & Tc-99m pyrophosphate

ピロリン酸:梗塞心筋あるいは高度に障害された心筋に集積(通常,タリウムと同時撮影)
タリウム:心筋血流を反映し梗塞領域では欠損(運動負荷後像では虚血領域も欠損~低下)

本例では側壁にピロリン酸(赤)が集積し,タリウム(緑)とオーバーラップしている(下段)
⇒ 緊急インターベンションによってある程度の側壁が梗塞を免れた(サルベージされた)

おまけ ピロリン酸は急性心筋梗塞の発症3日目~1週間程度しか描出されないよ

(投稿者 川崎)

BOTとは

BOT=basal supported oral therapy
基礎インスリンと経口血糖降下薬との併用療法

 対象 経口血糖降下薬の増量や増剤だけでは血糖コントロールが達成できない2型糖尿病患者
 方法 経口血糖降下薬を続けながら持効型インスリン(ランタスやトレシーバなど)を1日1回注射
 長所 外来でインスリン導入も可能(4~6単位より開始)/低血糖の危険性も少ないと考えられる

(投稿者 川崎)

2017-02-15

グラム染色クイズ

尿路系の感染症が疑われる症例の尿グラム染色.診断は?

同細菌は本ページでも何度か取り上げられています ⇒ コチラらかどうぞ

(投稿者 川崎)

2017-02-14

放線菌

緩徐な経過ですすむ肺炎で喀痰検査を繰り返したが診断できていない症例
当初から抗酸菌を疑ったが結核菌PCR,MAC-PCRはいずれも陰性であった

強拡大(x1000)では白血球やフィブリンを多数認める割に細菌に乏しかった
弱拡大(×100)で青く染まった淡い構造物に気づいたため強拡大した(下記)


細長く増殖したグラム陽性桿菌で,その特徴的な形態から放線菌と診断した
放線菌は主として土壌中に棲息するが,それ以外にも自然環境に広く棲息
傷口や呼吸器,消化管などから体内に侵入して慢性炎症を起こすことがある

放線菌に関する四方山話 ⇒ 「不思議な微生物,放線菌(宮道慎二)」
(投稿者 川崎)

尿蛋白の選択指数(SI)

Selectivity Index (SI) = IgGクリアランス/トランスフェリンクリアランス
=(尿中IgG/血清IgG)/(尿中トランスフェリン/血清トランスフェリン)

原理:IgG(約150kDa)は大きい蛋白,トランスフェリン(約80kDa)は小さい蛋白の代表
解釈:SI≦0.2なら正常(尿蛋白の選択性が高い),SI>0.2なら異常(尿蛋白の選択性の低下)

ネフローゼ症候群の組織型やステロイドの効果の指標として応用可能
  • SI低値 ⇒ 微小変化型ネフローゼの疑い ⇒ ステロイドの効果が期待できる
  • SI高値 ⇒ 膜性増殖性糸球体腎炎,巣状糸球体硬化症,膜性腎症など ⇒ ステロイドに期待しにくい

(投稿者 川崎)

2017-02-13

規則正しい幅の広いQRSによる頻脈

動悸とふらつきで救急外来を受診した症例.心室頻拍と診断し直流通電を行った.その診断根拠は?


➽ Regular Wide QRS tachycardiaで鑑別すべき疾患
  1. 心室頻拍(心拍数は毎分120~250回)
  2. 心室粗動(とても珍しく心拍数は毎分250~300回)⇒ 自験例はコチラ
  3. 脚ブロックを有する症例の上室頻拍や心房粗動
  4. 変行伝導を伴った上室頻拍や心房粗動

多くの鑑別方法が提唱されているが,房室解離は心室起源を示唆する重要で確実な手がかり
本例のように奇麗に確認できる症例は少ないが,常にモニター誘導であるⅡ誘導に注目すべし

(投稿者 川崎)

水飲みテスト

原法(窪田式) (総合リハ 1982;10:271-276
水30cc(大さじ2杯)を通常通り飲んでもらい下記の5段階で評価
  1. 1回でむせることなく飲める
  2. 2回以上に分けるが,むせることなく飲める
  3. 1回で飲むことができるが,むせることがある
  4. 2回以上に分けると飲めるが,むせることがある
  5. むせることがしばしばで,全量飲むことが困難
解釈 1正常,2~3嚥下障害の可能性あり,4~5異常


改訂水飲みテスト (Modified water swallow test: MWST)
水3ccを嚥下してもらい下記の5段階で評価
  1. 嚥下なし,むせるあるいは呼吸切迫
  2. 嚥下あり,むせないが呼吸切迫あり
  3. 嚥下あり,むせるあるいは湿性嗄声
  4. 嚥下あり,むせない
  5. 4の後に空嚥下が2回/30秒間以上可能
解釈 正常は4~5,3点以上ならフードテスト可能(プリンやお粥でむせや口腔残量を確認)

(投稿者 川崎)

2017-02-12

スーパーバグ Superbug

アメリカ疾病予防管理センターの罹患率・死亡率週報(January 13, 2017 / 66(1);33)より

70代の米国女性がインドを訪問中に大腿骨を骨折して入院した.骨髄炎も併発したためインドの複数の病院で治療を受けた.その後,米国に戻ったが,創部からカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)である Klebsiella pneumoniae が検出された.同細菌は米国で使用できる26種類の抗菌薬すべてに耐性であることが判明し,Pan-Resistant New Delhi Metallo-Beta-Lactamase-Producing Klebsiella pneumoniae と命名された(metallo-β-lactamase=MBLについては コチラ).この女性は敗血症のため帰国1ヵ月で死亡した.

(投稿者 川崎)

CDC

・Centers for Disease Control and Preventionの略で,和名はアメリカ疾病管理予防センター
・1946年に創設された保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所(ホームページはコチラ)
・米国の健康と安全を主導する立場にある連邦機関であるが,実際は世界中の疾患に対応
・本部はジョージア州アトランタにあり職員は7,000人(別に国内外の支部にも8,500人いる)

(public domain)

2016年のエボラウイルス流行では大きな役割を果たした.また撲滅が確認された天然痘ウイルスも保管している(他はロシア国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センターのみ)


(投稿者 川崎)

2017-02-11

緑膿菌

難治性肺炎の症例から得られた喀痰のグラム染色と培養像


グラム染色では細長い小型のグラム陰性の桿菌および白血球による貪食像を認める
培養像では緑色の集簇を形成し最終的に緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa と診断された

病原性を有する緑膿菌はムコイドを産生することが多い()が,本例は非ムコイド型緑膿菌
 ➣ ムコイド型緑膿菌はコチラ (グラム染色だけでなく培養像でもネバネバ感が伝わる)

(投稿者 川崎)

2017-02-10

高ナトリウム血症

Naが体液に対し相対的に増えると高Na血症となる。
①ナトリウムが体液より増えるか
②体液がナトリウムより減るか

体液が増えている高Na血症はまれであり、高Na血症は体液量が減っている、つまり脱水になっていることが多い。

【体液が減少】
まず生理食塩水を投与して体液を十分に補う。それから1号輸液を投与して水を補う。

★体液の減少を示す指標となるものは何か。
体重の急な減少
尿中ナトリムが10mEq以下
BUN クレアチニン比が20以上

治療
体液が減っている場合は生理食塩水を輸液する。体液の減少がひどいのなら、生理食塩水を輸液する前に、まず5%アルブミンを用いる。

★体液減少を伴う高Na血症に低張液はやめましょう。

なぜ?

高ナトリウム血症の時、脳細胞は細胞内の浸透圧を高め、細胞内脱水を防いでいる。この状態で低張液を急速に大量に輸液すると水は浸透圧勾配で脳細胞の中に入り細胞内浮腫となる。これは脳に大きな障害をもたらす。それで体液減少を補うのに1号輸液、3号輸液、5%ブドウ糖液などの低張液を急速に大量に輸液すべきでない。体液を十分に補正してから、低張液を輸液して水を補い、浸透圧を下げる。

(投稿者 安田)

巨赤芽球性貧血

ⅠVit.B12欠乏
 ・悪性貧血:抗胃壁抗体陽性(萎縮性胃炎を反映)、抗内因子抗体陽性
 ・胃切除後
 ・回腸末端病変
 ・blind loop synd
 ・菜食主義者
治療はVit.B12の投与

Ⅱ葉酸欠乏
 ・慢性アルコール中毒
 ・吸収不良症候群
 ・溶血
 ・妊婦
治療は葉酸の投与

(投稿者 八代)

原因菌の同定に100年を要した感染症

ウィップル病 Whipple's disease

1907年に米国の病理学者であるGeorge Hoyt Whippleにより報告された炎症性疾患
原因菌 Tropheryma whippelii の培養に成功したのは今世紀に入ってから

  • 40歳以上の白人男性に多く,腸管を中心に心臓や肺、中枢神経などの全身臓器に感染
  • 症状は下痢,脂肪便,体重減少,発熱,リンパ節腫脹,心内膜炎,胸膜炎,関節炎など
  • 診断はPAS染色陽性となる炎症細胞内顆粒,PCR,16S rRNA遺伝子の証明など
  • 治療はSM+PCGあるいはSM+CTRXを2週間投与した後にST合剤を1~2年内服する

詳細はこちら ⇒ Whipple's disease. N Engl J Med. 2007;356:55-66.

(投稿者 川崎)

DAP+RFP

ペースメーカ創部のMRSA感染に対して本来を体側に移動+デブリドマン後にDAPとRFPを投与した
ブドウ球菌はバイオフィルム(菌膜:微生物により形成される構造体)により治療がより困難になりやすい

  • DAP ダプトマイシン:皮膚や骨への組織移行が良好で治療薬物モニタリングTDMが不要
  • RFP リファンピシン:バイオフィルムに対する効果が期待できる(MRSAの保険適応なし)

詳細は「MRSA感染症の治療ガイドライン - 日本感染症学会」を参照してください

(投稿者 川崎)

2017-02-09

心電図クイズ

持続する胸部違和感で救急外来を受診した症例.診断は?



急性側壁心筋梗塞(主に回旋枝病変)では心電図変化に乏しい症例が少なくない
本例でも心電図に目立った変化はない(強いて言えばV6でSTが少し上昇??)

そんな時のポイント
 ・ 以前の心電図があればST変化を比較する
 ・ トロポニン測定(CK上昇は発症約4時間後~)
 ・ 心エコー図で側壁の壁運動低下の有無を確認

(投稿者 川崎)

ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌

ブドウ糖を嫌気的に発酵しないグラム陰性桿菌の総称
non-fermenting gram-negative rod
  • 特徴:栄養要求性が低いため,血液や尿などがない環境でも生存可能
  • 分布:自然界(土壌や水系)だけでなくヒトの皮膚や粘膜,病院の水道蛇口やトイレなど
  • 種類:緑膿菌が圧倒的に多く,アシネトバクターやステノトロフォモナスなどが続く
  • 毒性:弱毒菌であるが抗菌薬に耐性を示すことが多く日和見感染症を引き起こす

詳しくはコチラ ⇒ グラム陰性桿菌-非発酵菌を中心に-(環境感染 2000;15:42-45)

(投稿者 川崎)

2017-02-08

反復唾液嚥下テスト(RSST)

RSST = repetitive saliva swallowing test
嚥下障害に対する簡易スクリーニングテストの一つ
  • 方 法:30秒間で可能な唾液嚥下の回数を測定(甲状軟骨を触って確認)
  • 評 価:正常は30秒で3回以上/30秒で2回以下なら誤嚥ありと考える
  • 診断能:感度0.98、特異度0.66 (リハ医学 2000;37:383-388

※当院でも誤嚥性肺炎では言語聴覚士らによって施行されているので結果を確認(もちろん自分でも行えます)

(投稿者 川崎)

大阪府立公衆衛生研究所

大阪市東成区にある衛生に関する総合的な研究機関 ⇒ ホームページはコチラ
健康に関する様々な検査・調査・研究・研修および情報の収集・解析・提供を行っている
しばしば公衛研と略される(英名はOsaka Prefectural Institute of Public Health)

沿革
  • 1880年に警察部衛生課に設置された細菌検査・化学試験の検査室が前身
  • 大阪府立衛生研究所,大阪府立労働科学研究所を経て,1960年から現名称

ウイルス性感染症の病原体検索および分析を目的とした検体の提出が可能
 (当院でもパレコ3型ウイルスの同定など日ごろからお世話になっています)

(投稿者 川崎)

2017-02-07

MVO

心電図異常で心エコー図を施行した症例.診断は?



答え 心室中部閉塞性心筋症
Midventricular obstructive hypertrophic cardiomyopathy (MVO)

  • 肥大型心筋症の一亜型で,中央がくびれた砂時計のような形態が特徴的
  • 心筋梗塞後の心尖部瘤とは異なり,心尖部の壁厚がある程度保たれている
  • 通常の肥大型心筋症より心血管事故のリスクが高いという報告がある

(投稿者 川崎)

2017-02-06

抑肝散(よくかんさん)

漢方では「肝気」=「高ぶり」と考え,それを抑制する生薬である(肝疾患薬ではない)
神経症,不眠症,小児の夜泣きや癇癪など虚弱体質で神経が興奮する状態に有用
小児・成人いずれにも処方できるが,甘草を含むため偽アルドステロン症には要注意

認知症の周辺症状(behavioral and psychological symptoms of dementia, BPSDの改善にも有用
 ⇒ ランダム化比較試験で幻覚や不安,興奮などを有意に改善(J Clin Psychiatry 2010;66:248-252.)

(投稿者 川崎)

Trevo(トレボ)

2014年に承認された急性虚血性脳梗塞を治療する血管内手術器具
形状記憶型ナイチノールによる直径4mm×全長20mmの網目状チューブ
治療対象となる血管は内頸動脈,中大脳動脈,椎骨動脈,脳底動脈

禁忌事項がない症例で発生4.5時間以内ならt-PAの適応(再開通率はおおよそ40%)
 ⇒ t-PAが適応外または再開通の不成功例で原則発症8時間以内ならトレボを考慮

(投稿者 川崎)

硬膜下水腫と脳萎縮によるくも膜下腔拡大の鑑別

引用で恐縮ですが
https://www.yodosha.co.jp/rnote/gazou_onepoint/vol2.html
症例2はちょうどいい硬膜下水腫症例です。
このやりとりで解剖を理解していただければ。


「硬膜下水腫」と「脳萎縮によるくも膜下腔拡大」を鑑別する意義があるのか?について、私はこれまで鑑別意義はないと考えていましたが


脳外科の先生に教えてもらったところによると
「頭部外傷では硬膜下水腫が出現したあとで硬膜下血腫に移行することがある」
ということで、実際に硬膜下血腫に移行した症例がありました。


頭部外傷後では硬膜下液貯留は思いのほか厳し目に検出すべきかもしれません。
(個人的には高齢者であれば硬膜下水腫が偶発していることは時々あるので、たまたま頭部外傷で硬膜下血腫が並存しただけではないかとも思わなくもないですが)


あと、両側硬膜下液貯留が低髄液圧症候群の結果として起きていることもあるようですので、病歴で立位や座位で増悪し、臥位で改善する起立性頭痛を特徴的な臨床症状がないか確認しておくとなおよいかもしれません。
これも以下より引用。
http://遠隔画像診断.jp/archives/6441


(投稿者 小谷)

2017-02-05

グラム染色クイズ

広域抗菌薬でも改善しない症例の喀痰のグラム染色.診断は?


(投稿者 川崎)

2017-02-04

心電図クイズ

徐脈のためかかりつけ医から紹介.胸痛はないが数回嘔吐した様子.心電図診断は?



答え 急性下壁心筋梗塞,3度房室ブロック (右脚ブロック)

左室下壁に優位に分布する迷走神経の亢進によるブロックを疑う(虚血自体によるブロックも否定できないが・・・)
同様の理由で,下壁梗塞では低血圧や嘔吐の頻度が前壁梗塞よりも多い(左室前壁は交感神経が優位に分布)

(投稿者 川崎)

2017-02-03

肺血栓塞栓症の発症時期

大腸癌術後の退院直前に酸素飽和度の低下が判明した症例
胸痛や失神の自覚はない.臥床が多く息切れの有無は不明
心エコー図で右心系の拡大があり,CTで肺血栓塞栓症と診断

問題 急性肺血栓塞栓症? 慢性肺血栓塞栓症? どっち?



答え 急性肺血栓塞栓症 (急性発症を示唆する症状ははっきりしないが・・・)
右室心尖部(動画の上部左側)に限局した過剰運動は急性期の病態であることを示唆する
マッコーネル徴候と呼ばれている (McConnell MV,et al. Am J Cardiol 1996;78:469-73) 

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「尿失禁」

尿失禁のレッドフラッグと考慮すること
  1. 認知状態の急性変化を伴う尿失禁 ⇒ 代謝障害,脳卒中
  2. 排尿できないまたは連続的な失禁(数分毎) ⇒ 溢流を伴う重症の尿閉
  3. 排尿困難を伴う尿失禁 ⇒ 性感染症による尿道炎,エストロゲン欠乏による萎縮性尿道炎
  4. 排尿終了数分後の尿意と排尿(中等度~大量) ⇒ 大きな膀胱ヘルニア
  5. 肉眼的血尿を伴う尿失禁 ⇒ 出血性膀胱炎,膀胱癌,尿道癌
  6. 多尿症を伴う尿失禁 ⇒ 代謝障害(高血糖,高カルシウム血症)
  7. 排尿中に糞便または大きな気泡 ⇒ 骨盤癌,骨盤照射による膀胱直腸瘻
  8. 直立姿勢や運動で継続する尿漏れ ⇒ 尿道括約筋不全または重症骨盤底虚脱
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-02-01

アレルギ―性紫斑病

アレルギ―性紫斑病(=アナフィラクトイド紫斑病、Henoch-Schonlein紫斑病:HSP)

【原因】
 詳細な原因は不明。ウイルスや細菌感染症に続発することが多い。
【症状】
 ①皮膚:紫斑、血管浮腫
 ②関節痛
 ③腹部:腹痛、血便
 ※腹痛のみ呈することも多く、鑑別として考慮すること!
【検査】
 血小板正常凝固系正常
 ※これらの異常があれば他の血液疾患などを疑う
【治療】
 対症療法


-補足-
 小さな紫斑が下腿に集中してることも特徴(歩いたり刺激が多いところにできやすい)
 (※特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では口腔内など全身に紫斑が出現)
 第ⅩⅢ因子減少が病勢を示すこともある
 糸球体腎炎(血尿・蛋白尿)をきたす場合あり数週間は尿検査フォロー

(投稿者 結城)

fragmented QRS


前壁誘導,下壁誘導,側壁誘導の中でQRSのノッチが隣接2誘導に存在する場合に診断


QRS幅が120ms以上,脚ブロック,ペーシング波形などでは3つ以上のノッチが必要


心事故との関連を指摘する報告があるが,その臨床的意義はまだ確立されていない


おまけ 日本語では多棘性ORSや分裂様QRSと呼ばれている

(投稿者 川崎)

JTAS ジェイタス

Japan Triage and Acuity Scaleの略でER症例の緊急度判定(トリアージ)システム
カナダの緊急度判定支援システムCTAS(シータス)を参考に日本臨床救急医学会が作成

JTASを用いて      の5段階にトリアージ (詳細はココiPadアプリ有
  1. 青=蘇 生 直ちに診察・治療
  2. 赤=緊 急 10分以内に診察
  3. 黄=準緊急 30分以内に診察
  4. 緑=低緊急 1時間以内に診察
  5. 白=非緊急 2時間以内に診察

おまけ
大規模災害などで用いられるトリアージ ⇒ START法 (simple triage and rapid treatment)
黒=死亡 赤=最優先治療 黄=待期的治療 緑=軽症 白=無傷 (JTASでは黒はない)

(投稿者 川崎)