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2025-11-30

STOP-Bang テスト

  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する簡便なスクリーニング法
  • カナダの精神科医 Chung らが開発(Anesthesiology 2008;108:812-21
  • 背景:OSASは心血管脳疾患の危険因子で要治療であるが未診断例が多い
  • いびき指摘や眠気・倦怠感,BMI≧35,男性など8項目から構成(下表)
  • 3点以上でapnea hypopnea index (AHI) ≧15/h のOSAS検出感度は92.9%



(投稿者 川崎)

2025-11-29

マクドナルド

👻 先日のモーニングカンファレンスから
  • 今回の講師は2年目の研修医の先生でした(頼もしく成長)。そこでQT延長を生じる原因の語呂合わせを教えてもらいました。
  • 「食って延長、定価のマック、Newマック。家出さんざん、鬱になる。午前0時」。国試対策として医学生は覚えるようです。
  • 臨床で遭遇する頻度から考えると前半の「食って延長、定価のマック、Newマック」だけでもいいかも…(個人的な見解😉)

  1. 食って延長 ➜ QT延長
  2. 定価のマック ➜ 低Ca、Mg、K
  3. Newマック ➜ ニューキノロン系、マクロライド系(抗菌薬)
  4. 家出さんざん、鬱になる ➜ Ia、Ⅲ(群抗不整脈薬)、三環系抗うつ薬
  5. 午前0時 ➜ 抗精神病薬

🍔 マクドナルド関連トリビア
  • 1930年代にマクドナルド兄弟がホットドック屋としてスタート
  • ジャマイカや北朝鮮、アイスランド、イランなどには店がない
  • ドライブスルーは兵士のために始まった(車を離れられない)
  • マックナゲットの形は4種類のみ(ブーツ、骨、ボール、ベル)
  • 1秒でハンバーガーが平均75個売れてる(毎年550万頭の肉牛)
  • アメリカでは常夜勤の8人に1人がマクドナルドで労働している
  • 世界最大のレストランチェーンではない(サブウェイが世界一)
  • 略称は関西ではマクドでそれ以外の地域では「マック」が多い

参考)おもしろい事実15雑学,ほか


(投稿者 川崎)

2025-11-28

2025-11-27

今週の一枚 🎯 SNAP診断

健診で心雑音を指摘された男性(座位)

🙈 解説
  1. 両側頚部に周期的な陽性拍動(矢印)
  2. 拍動は鋭く鎖骨上窩→顎下まで一瞬
  3. このような両側の迅速隆起は動脈性
  4. 予想通り心エコー図で大動脈弁逆流
  5. 機序は一回拍出量の増加による速脈

💁 おまけ

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-11-26

😊 看護学生との会話

  • 看護学生 「先生,それってアカシジアですか?」
  • 指導医師 「アカシ...ジア?」
  • 看護学生 「アカシジア,ジストニア,ジスキネジアです」
  • 指導医師 「何?…アカシジア...ジス...キネジア??」
  • 看護学生 「はい,国試の勉強で覚えたのですが...」

第109回(2020)看護師国家試験 午前66問
Aさん(25歳、男性)は、統合失調症と診断された。抗精神病薬の内服を開始した2日後、Aさんはそわそわして落ち着かず「足がムズムズする」と歩き回るようになった。

Aさんにみられている状態はどれか。

 
 
 
 

判定

📐 解説
  • アカシジア(Akathisia)の別名は静座不能症で、下肢等のムズムズ感により、じっと座った状態を保持できず徘徊や足踏みなどがみられる。精神病薬の副作用による錐体外路症状の1つである。
  • ジストニア(Dystonia)は抗精神病薬の副作用で、眼球の上転や舌の突出、痙性斜頸、頸部後屈など筋緊張の異常を認める。
  • ジスキネジア(Dyskinesia)は、抗精神病薬の長期服用で起こる遅発性副作用で、反復的な不随意運動(顔を歪める・舌を突き出す・唇をすぼませる・歩行困難など)を呈す。
  • ミオクローヌス(Myoclonus)は、突然生じる短時間の筋収縮(不随意運動)で、てんかん発作だけではなく正常な状態でも起こる(抗精神病薬の副作用ではない)。

参考)看護roo

💫 国家試験に関連した過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-11-25

H症候群 H syndrome

  • 概略 組織球症・リンパ節腫脹症候群に分類される稀な遺伝性疾患
  • 原因 ヒト平衡輸送体3をコードするSLC29A3遺伝子の変異と関連
  • 由来 症状の多くが英語の で始まるため(初報は1998年→ココ
  • 症状 色素沈着,多毛,肝脾腫,難聴,心異常,性腺機能低下など
  • 治療 根本的な治療はなく対症療法(予後は合併症で大きく異なる)


上肢の多毛と色素沈着を呈したH症候群の24歳モロッコ人

(投稿者 川崎)

2025-11-24

フィジカルクイズ(No. 31 & 32)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2025-11-23

Type I aortic arch

  • 先日,症例報告で "type I aortic arch" という表現を見かけました.あまり聞いたことがない分類だったので調べてみました.
  • 下図の分類で,左総頚動脈(LCC)が腕頭動脈(BT)から起始する場合は bovine arch(牛弓?)と呼ばれているそうです.
  • ただしウシ(bovine)はこの分岐ではないので避けるほうがいいようです(AJNR Am J Neuroradiol 2006;27:1541-2

💫 Article Highlights(AI訳:色は筆者が追加)
  • 研究の種類:体系的レビューとメタアナリシス
  • 重要なメッセージ:成体大動脈弓(AA)23,882本のうち、正常な解剖学的構造は80.9%、牛弓変異は13.6%、左椎骨動脈変異は2.8%、右鎖骨下動脈異常は0.7%で認められました。牛弓変異は、アフリカ集団において26.8%の有病率を示しました。
  •  推奨事項:これらのデータは、5人に1人が解剖学的変異を有し、アフリカの患者では牛弓 AA の有病率が高いため、AA 疾患の患者の治療には注意が必要であることを示唆しています。

(投稿者 川崎)

2025-11-22

胸郭出口症候群 Thoracic outlet syndrome: TOS

  • 腕神経叢と鎖骨下動静脈が胸郭出口付近で圧迫されて生じる病態の総称
  • 頚肋や鎖骨,第一肋骨,前斜角筋,中斜角筋,小胸筋などで圧迫・牽引
  • 神経性,動脈性,静脈性に分類され,その頻度は神経性が圧倒的に多い
  • 神経性なら痛みや脱力,知覚異常、静脈性は腫れ,動脈性は冷感・疼痛
  • 原因は外傷や反復的な腕の動き,腫瘍,妊娠,頸肋などの解剖学的変異
  • 治療はNSIADs,頸肋切除,第一肋骨切除,斜角筋切離,血行再建術ほか
  • 明確な診断基準はなし(画像診断や神経伝導検査、症状を誘発する負荷)


鎖骨骨折後の血栓閉塞による胸郭出口症候群の59歳男性

(投稿者 川崎)

2025-11-21

論文 🏆 NEJM

  • 当院で経験した症例がN Engl J Medに掲載されました
  • 意識障害でER搬入された若者で甲状腺クリーゼでした
  • 甲状腺腫大と頚部のコリガン脈甲状腺雑音が特徴的
  • 動画や音声はコチラで確認できます(無料登録が必要)


🐔 独り言
  • 甲状腺クリーゼの身体所見は、いつか遭遇するだろうと長年待っていました。また本例は当初 EHJ - Case Reports に投稿する予定でした。でも投稿直前に「ダメもとでNEJMいってみるか」と送ったら――まさかの採択🎉準備と挑戦って大切。なお当院でのNEJM Images in Clinical Medicine の戦績は32投稿4採択です。本邦でトップクラスだったら嬉しいな…😉


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(投稿者 川崎)

2025-11-20

今週の一枚 🎯

卵アレルギーと言われている幼児
久しぶりに玉子を食べ数時間後に嘔吐


(投稿者 林/川崎)

2025-11-19

ジアルジア症 Giardiasis

  • 概略 鞭毛虫類の一種 Giardia lamblia による人獣共通感染症
  • 形態 ランブル鞭毛虫症とも呼ばれて嚢子と栄養型の2種あり
  • 変化 嚢子が十二指腸,上部小腸,胆道系で脱嚢し栄養型へ
  • 感染 主に食物や水を介した嚢子の経口(塩素では死滅せず)
  • 保因 無症候嚢子保因者も感染源(性感染症でヒト-ヒトあり)
  • 疫学 感染者数は世界中で数億人に達する(本邦では極めて稀)
  • 日本 旅行者下痢症あるいは免疫不全時の日和見感染の病原体
  • 経過 10個程度の嚢子で感染が成立し潜伏期間は約1~3週間
  • 症状 下痢(必発),全身倦怠,体重減少,腹痛,悪心や脂肪便
  • 下痢 非血性で水様や泥状便(1日数回~20 回以上まで様々)
  • 診断 糞便から顕微鏡下に本原虫を証明あるいは抗原(キット
  • 重複 赤痢アメーバ,クリプトスポリジウム,チフス菌など5%
  • 治療 メトロニダゾール(metronidazole;MNZ)が 保険適用


- イメージ画像 -

(投稿者 川崎)

2025-11-18

選択的 IgA 欠損症 Selective IgA deficiency

  • 基準 4歳以上でIgGとIgM欠損を伴わずIgAの値が7 mg/dl 以下
  • 頻度 本邦では0.007%と低いが欧米では最多の抗体産生不全症
  • 役割 IgAの多くは二量体で粘膜で中和作用(病原体を不活性化)
  • 原因 一部でTACI(B細胞TNF受容体スーパーファミリー)変異
  • 症状 約2/3は無症状,1/3に反復感染症(呼吸器,耳,消化管)
  • 対応 易感染例には予防抗菌薬/感染時には積極的抗菌薬投与
  • 合併 自己免疫疾患(SLEやITP)や悪性腫瘍,小脳失調症など


- 血小板減少症から選択的IgA欠損症と診断された妊婦 -

(投稿者 川崎)

2025-11-17

螺旋状毛 Corkscrew hair

  • 先日,螺旋毛(corkscrew hair)に関する報告を立て続けに眼にしました.きっとそのうちに出会うと思うので(既に遭遇しているが気付かずスル〜?😥),ここにアップしておきます.

- 皮下出血で来院した若者 -

😎 解説
  • 左大腿後面に皮下出血あり(パネルA)
  • 四肢全体に毛包性紅斑あり(パネルB)
  • ダーモスコピーで螺旋状毛(パネルC)
  • 生検で表皮出血と毛包開口部の縮れ毛
  • 本症例の最終診断は壊血病(Scurvy)

😑 螺旋毛:深掘り
  • 壊血病の典型的な皮膚症状の一つで,ビタミンC欠乏症に起因するコラーゲン合成障害によって発生
  • 他の原因には頭部白癬(Tinea Capitis)や外胚葉異形成症候群(Ectodermal Dysplasia Syndromes)


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(投稿者 川崎)

2025-11-16

プロポフォールによる緑色尿 Green urine due to propofol

  • 着色尿の原因は大きく分けて薬物、色素の投与、疾患に伴うもの、その他
  • プロポフォール投与の0.23%で変色尿(緑尿以外にも白尿やピンク尿あり)
  • 緑尿の原因はプロポフォール代謝物のフェノールやキノールがアルカリ化
  • 必ずしも投与量(濃度)や継続時間とは無関係(少量や単回でも出現あり)
  • プロポフォール投与を中止2~6時間で消失し肝腎障害との関連報告はなし


プロポフォール緑色尿の62歳女性 (数日かけて徐々に薄く:A→C)

💁 関連投稿
(投稿者 川崎)

2025-11-15

揺さぶられっ子症候群

  • 概略 頭部をはげしく揺さぶられることによって生じる頭蓋内損傷
  • 別名 乳(幼)児揺さぶられ症候群やShaken Baby Syndrome(SBS)
  • 原因 頭蓋骨と脳表を繋ぐ脳架橋静脈の破綻による出血と脳圧亢進
  • 疫学 多くは1歳未満(ほぼ2歳未満であるがそれ以上の年齢でも有)
  • 問診 本症候群を念頭に置く(外傷なく養育者の申告・認識が欠如)
  • 治療 脳出血などの治療+速やかに児童相談所へ通報などの再発防止
  • 予後 虐待では最悪(致死率15%で後障害を残す可能性は50%以上)


揺さぶられっ子症候群を発症した5カ月の男児
(父のあやす行為後に呼吸障害と痙攣)

(投稿者 川崎)

2025-11-14

レム睡眠行動障害 REM sleep behavior disorder: RBD

  • レム睡眠中の夢に関連した寝言・異常行動で睡眠時随伴症の一つ
  • レム睡眠は睡眠状態の一つでREM (rapid eye movement) sleepの略
  • レム睡眠中は骨格筋は弛緩し休息しているが脳は活動し覚醒状態
  • 50~60代以上の男性に多く高齢者でのRBD有病率は0.38~0.5%
  • RBDでは抑制機構が障害され夢の中での行動が現実の行動となる
  • 大声で寝言や腕を上げ何かを探す,殴る・蹴るなど(下表参考)
  • 原因が明らかでない場合も多いが約半数には中枢神経の疾患あり
  • 特にパーキンソン病レビー小体病,多系統萎縮症などで高頻度
  • 行動療法や寝室安全確保,必要時は抗けいれん薬(クロナゼパム

参考)厚生労働省,ほか

- RBD高齢者の病院受診に至るまでの体験 -

(投稿者 川崎)

2025-11-13

今週の一枚 🎯 手抜きダメ

10年前にペースメーカ植込み術を受けた症例
ひと月前から息切れ(座位ですべて吸気後)

😐 解説
  • 頚静脈の拍動なし(ただし下部は見えず)
  • 吸気後の鎖骨上窩にわずかに陥凹あり?
  • 立ち上がって診察室内を2周してもらった
  • すると頚部の中央に明瞭な陽性波(矢印)
  • 触診にて動脈拍動でなく静脈拍動を確認
  • 本例は最終的に心不全と診断(HFpEF)
  • ペースメーカ本体も確認したが問題なし

😞 現場実況
  • 長年安定している症例でありシャツの襟を立てたまま観察(反省)
  • 安定しているというバイアスで鎖骨上窩の拍動もスルー(反省2)
  • 患者さんの訴えが強くしぶしぶ歩行負荷を追加で陽性波(反省3)

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(投稿者 川崎)

2025-11-12

胸部X線:Cephalization(角出し像)

  • 先日のNEJMのケースレコード(Case 31-2025: A 56-Year-Old Man with Left Lower Abdominal Pain and Anemia)で、胸部レントゲンの読影部分でcephalizationという表現が何度かでてきました。
  • ピンと来なかったので調べてみると、血管影が頭側で明瞭になる所見で心不全で出現しやすいようです。心不全診療ガイドラインにもトップに記載されていて(下図)、自分の不勉を反省しきり😅
  • Cephalization(sèfəlaizéiʃən)とは進化過程で重要器官が頭部に集中する現象だそうです。なお上肺野に生じる理由は、重力の影響で上肺野は通常血流が少なく拡張していないからのようです。

図11 心不全の胸部単純X線写真(シェーマ)

- 83歳の心不全症例の胸部X線 -

(投稿者 川崎)

2025-11-11

似て非なり

  • 染色体とは細胞の中にある構造体で複数の遺伝子が記録されています。そして遺伝子を構成するDNA(デオキシリボ核酸)の中に、特定の機能を有するタンパク質やRNAの設計情報が記録されてします。
  • よって染色体異常遺伝子異常は似て非なるものです。そして遺伝子異常の一つである多因子遺伝子疾患は、環境因子の影響を受けて、ほとんどの疾患の発症に関与していると考えられているようです。

🔩 染色体異常
  • ヒト染色体(2本1組で計23組46本)の数的異常あるい構造異常の総称
  • 数的はトリソミー(ダウン症候群やエドワード症候群)やモノソミー
  • 構造は欠失(5p欠失のクリ・デュ・シャ症候群)や重複、逆位、転座

🔗 遺伝子異常
  • 染色体に記録されている遺伝子の中で疾患発症に関連する異常のこと
  • 単一例では嚢胞性線維症(CFTR変異)やハンチントン病(HTT変異)
  • 多因子異常では二遺伝子が関与するの遺伝性難聴(GJB2とGJB6)など

(投稿者 川崎)

2025-11-10

フィジカルクイズ(No. 29 & 30)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



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(投稿者 川崎)

2025-11-09

免疫染色:CK7とCK20

  • 臓器毎に上皮細胞のサイトケラチン(cytokeratin;CK)は異なる
  • 特にがんではCK(主にCK7とCK20)の発現性で原発巣が推察可能
  • 例:大腸癌はCK7陰性+CK20陽性、肺腺癌はCK7陽性+CK20陰性
  • よって近年の病理では免疫組織化学(免疫染色)は欠かせない手法


鑑別診断の目安

CK7

陽性

陰性

CK20

陽性

尿路上皮癌

卵巣がん(粘液性)

膵癌

胆道癌

結腸がん

直腸がん


陰性

肺腺癌

乳がん

卵巣癌(漿液性)

甲状腺がん

扁平上皮癌

肝細胞癌

前立腺がん

淡明細胞型腎細胞がん

参考)医学書院、ほか

(投稿者 川崎)

2025-11-08

肺動脈瘤 Pulmonary Artery Aneurysm

  • 先日、心エコー図カンファレンスで肺動脈瘤の症例を経験しました。この病態に詳しい参加者がいなかったため、その後に調べた内容をここにアップしておきます。
  • 日本循環器学会で公開されている各種ガイドラインでも「肺動脈瘤」に関する記載はほとんどありませんでした(個人的な検索では「肺動脈瘤」の記載は1件のみ)
  • 頻度 不明であるが剖検10,957例で8 例(0.07%)
  • 定義 未確立であるがおよそ直径が29 mm以上? 
  • 原因 特発性と二次性(先天性と後天性)に二分
  • 先天 PDA・ VSD・ASDが多く、PS合併例もあり
  • 後天 感染、血管炎、PH、慢性肺塞栓、医原性
  • 症状 無症状~臓器圧迫、血栓、血痰、破裂ほか
  • 手術 径≧5.5 cm、拡大が半年で≧0.5 cm、症状
  • 術式 肺動脈縫縮術や肺動脈瘤切除人工血管置換


- 肺動脈瘤による左主幹部の圧迫で心筋梗塞を生じた症例 -

(投稿者 川崎)

2025-11-07

人中じんちゅう Philtrum

  • 鼻中央~唇上部の垂直溝で多くの哺乳類が有する
  • (おそらく)医学用語(ガイドライン論文記載)
  • 口から水分を運び鼻を湿潤?(嗅覚機能に有利?)
  • 胚発達期に鼻隆起と上顎突起が出会う場所に形成
  • 融合が不完全なら口唇口蓋裂で人中形成術が必要

(投稿者 川崎)

2025-11-06

今週の一枚 🎯

心雑音を指摘された症例(座位)

😎 解説
  • 頚部の中央右側に周期的な拍動あり
  • 隆起なので動脈性か静脈性の鑑別要
  • 用手的な圧迫で消失せず動脈と判断
  • 最終診断は中等度大動脈狭窄逆流
😑 つぶやき
  • 大動脈弁狭窄の頚動脈拍動は特徴的な変化を示すことが知られています。例えば遅脈(遅い立ち上がり+小さい振幅+長く持続)や、shudder(微細な振動)などです。しかし実臨床でこのような典型例を示す例はむしろ稀です。
  • 本例のように大動脈弁逆流を伴ったり、加齢に伴う動脈の蛇行が加わるので、頚動脈の視診・触診のみで診断することはお薦めしません。頚動脈所見の基本を押さえた上で(下表)、聴診などを加味した総合的な判断が望まれます。

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(投稿者 川崎)

2025-11-05

みなし訪問看護

  • 医療機関として指定を受けている施設(健康保険法に基づく「保険医療機関」あるいは介護保険法に基づく「介護老人保健施設」や「介護医療院」)が提供できる訪問看護の一つ。 
  •  他の形態には、保健師や看護師が管理者となって運営する訪問看護ステーションがあり、介護保険法に基づき都道府県知事(または政令市・中核市市長)の指定を受ける必要あり。
  • みなし訪問看護のメリットは開設が比較的容易、医師との連携が容易、退院後の継続支援などです。一方、デメリットは対象が自施設例に限られる、リハビリの提供はできない他。

みなし訪問介護 訪問介護ステーション
提供元
  • 病院や診療所
  • 訪問看護ステーション
スタッフ数
  • 指定訪問看護の提供に当たる看護職員を 適当数
  • 保健師、看護師又は准看護師(看護職員) 常勤換算で2.5以上となる員数うち1名は常勤 
  • 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士 指定訪問看護ステーションの実情に応じた適当数
管理者
(記述なし)
  • 専従かつ常勤の保健師又は看護師であって、 適切な指定訪問看護を行うために必要な知識 及び技能を有する者
保険請求費
  • 573単位(30分以上60分未満)
  • 821単位(30分以上60分未満)
参考)厚生労働省、ほか


(投稿者 川崎)

2025-11-04

カポジ水痘様発疹症
Kaposi’s varicelliform eruption;KVE

  • 水疱・膿疱を呈す播種状の皮膚感染症で主に単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因
  • 由来はオーストリアの皮膚科医 Moritz Kaposi の報告(Urban und Schwarzenberg,1887)
  • 発熱、有痛性リンパ節腫脹と疼痛を伴う水疱が形成される(掻痒感より疼痛の症状が強い)
  • アトピー性皮膚炎がある20~30代に多い(他に尋常性魚鱗癬や熱傷などの皮膚病変と関連)
  • 臨床的には基礎的な皮膚病変上に典型的発疹があれば診断(ただし伝染性膿痂疹と要鑑別)
  • 確定は小水疱からウイルス性巨細胞の顕鏡(ギムザ染色)やHSVの抗原検出(検査キット)
  • 治療はアシクロビル200mg錠1日5錠内服(7~10日間)、重症なら抗ウイルス薬を点滴投与


アトピーの基礎疾患がある27歳男性例

(投稿者 川崎)

2025-11-03

なるほどの説得力

  • ちょっと面白い論文を眼にしたので本ページでも共有します(US Cardiol 2025:19:e16
  • 座位から前屈すると内頚静脈のサイズが拡大することをエコーで確認(下の図と動画)
  • 臨床的意義がある心不全症例ではエコーを使わなくても身体所見で判定可能(自験例


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-11-02

トレーシングレポート Tracing Reports

  • 患者から得た薬物療法情報を医師へフィードバックする情報提供書
  • アドヒアランス,残薬調整,OTCの服用等,緊急性や即時性は低い
  • 医師の診療の合間に行う疑義照会に比べると時間的な自由度が高い
  • 薬剤師は精度を上げた情報提供ができ,医師も次回の参考にできる
  • 診療報酬上では主に服薬情報等提供料として算定することができる


- 処方変更に関するトレーシングレポートの内容と変更割合 -


(投稿者 川崎)

2025-11-01

CKMシーケーエム症候群

  • CKMはCardiovascular-kidney-metabolicの略で、邦名は心血管-腎-代謝症候群
  • 代謝リスク因子と慢性腎臓病の併存は心血管系の有害事象リスクと強く関連
  • 病態生理学的な相互関連性の認識の高まりによりCKMの概念化が進んでいる
  • 心血管腎メタボリックシンドロームの予防と管理のエビデンスの構築が重要


- CKM症候群の概念図 -

この図は、心血管腎代謝(CKM)症候群の病態生理を示しています。CKM症候群は、通常、過剰な脂肪組織、機能不全の脂肪組織、またはその両方に起因します。機能不全の脂肪組織に関連する複数の病理学的プロセスがインスリン抵抗性を引き起こし、最終的には高血糖に至ります。炎症、酸化ストレス、インスリン抵抗性、および血管機能障害は、代謝リスク因子の発生、腎疾患の進行、心腎相互作用の増強、および心血管疾患の発症につながる中心的プロセスとして強調されています。代謝リスク因子と慢性腎臓病は、複数の直接的および間接的な経路を通じて、さらに心血管疾患の素因となります。MASLDは、代謝機能障害に関連する脂肪肝疾患を示します。(AI訳)

(投稿者 川崎)