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2026-08-11

MR関連高血圧

  • 3種類以上の異なる降圧薬を併用してもコントロールできない難治性高血圧のうち、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬の併用療法が有効な病態
  • 慶応大学の柴田先生らが提唱した病態で(Am J Hypertens 2012;25:514-23)、血漿アルドステロン値が高いものと正常なものの2つのサブタイプに分類
  • 前者は、原発性アルドステロン症(PA)、アルドステロンブレイクスルー現象、閉塞性睡眠時無呼吸などで、MR拮抗薬を第一選択薬として投与すべき
  • 後者は、肥満、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などでARB/ACE阻害薬を第一選択薬として投与し、MR拮抗薬は追加薬

- MR-associated hypertension -

(投稿者 川崎)

2026-07-21

奇脈(Pulsus Paradoxus)の生理学

📧 N Engl J Med 2026;394:2487 に掲載されたレターより
  • 奇脈は吸気時に収縮期血圧が10mmHgを超えて低下する現象と定義され、しばしば重篤な疾患を疑う手がかりである。収縮性心膜炎心タンポナーデといった心疾患との関連でよく知られているが、喘息やCOPDなどの肺疾患でも見られる。
  • その機序として、吸気時の全身静脈還流増加、肺血管系への血液プーリング、心室間相互依存性、胸腔内圧の変動の誇張など、複数の要因が示唆されている。なおこの現象は奇脈という名称にもかかわらず、正常な生理反応の誇張に過ぎない
  • 奇脈は、他に異常のない肥満患者でもよく見られる所見である。これは腹囲増大が胸壁・横隔膜を圧迫し、呼吸仕事量を増加させる効果によるものと考えられている。従来からストロー呼吸(気道閉塞の模擬)を用いて、教育されてきた。
  • しかし呼吸速度を遅くするだけで奇脈は有意に増大する。特に注目すべき点として、10秒/呼吸という遅い呼吸だけで、ストローなしでも血圧低下が20mmHgを超えた(下図)。再現性の高いこのプロトコルは教育的に有用である。
  • 肥満や心肺疾患のない健常者でも、遅い呼吸だけで容易に10mmHgを超える奇脈が生じうるということは、呼吸速度の変化が、重篤な疾患を見分けるトリアージツールとしての奇脈の臨床的有用性に影響しうる可能性を示唆している。

- 奇脈に対する呼吸の影響 -
@NEJM

(投稿者 川崎)

2026-04-09

今週の一枚 🎯

他疾患で手術を予定している高齢者

解説
  • 臍部に腹腔内から腸管と脂肪組織の脱出
  • 腹壁からの観察では特記すべき異常なし
  • 偶発的に見つかった臍のヘルニアと診断
  • 臍ヘルニアに関する症状は全くない様子
  • 予定されていた他疾患の手術を実施した

⛯ 成人の臍ヘルニア(Umbilical Hernia in Adults)
  • 欧米では中年の女性に多いが,わが国では比較的まれ
  • 一度閉鎖した臍輪が,後天的に脆弱となるために発生
  • 誘因は高度肥満や妊娠・多産,腹水,腹腔内腫瘤など
  • 鑑別は上腹壁・傍臍・腹壁瘢痕ヘルニア,尿膜管遺残
  • 自然治癒は少なく陥頓する可能性があるため早期手術
  • 単純閉鎖や腹直筋筋膜を重ね合せ縫合,メッシュ修復
  • 再発率はBMI<30以下で8.1%,>30では31.8%と増加


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(投稿者 川崎)

2026-03-10

特発性頭蓋内圧亢進症 Idiopathic intracranial hypertension

  • 頭蓋内に腫瘍や血管病変,水頭症などを伴わずに頭蓋内圧が亢進した病態
  • 一般人口10万人当たり年0.5~2.02人の発症で妊娠可能の肥満女性に多い
  • 症状は頭痛(排便や臥位,前屈などで悪化)や嘔気,視神経乳頭浮腫など
  • 原因不明(代謝障害や静脈還流障害,髄液吸収障害などが提唱されている)
  • 鑑別は血管障害や悪性腫瘍,感染症,代謝障害,中毒,内分泌,薬物乱用
  • 治療は肥満なら体重減少を指導(Body mass indexと頭蓋内圧はほぼ比例)
  • 薬物はアセタゾラミド(グリセオールや五苓散の明らかなエビデンスなし)
  • 外科的治療は髄液シャント手術や視力障害出現例では視神経管開放術など


「特発性頭蓋内圧亢進症を説明する一枚の画像」に対するAIの回答(←漢字が変)


「Idiopathic intracranial hypertensionを説明する一枚の画像」に対するAIの回答

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(投稿者 川崎)

2026-01-19

ChatGPT(GPT-5.2)の返答

  • AIを仕事で利用する頻度がとても増えました.とんでもない嘘を自信満々で答えるときがあるため,返答を鵜吞みにすることはできません.しかし大いに参考になります(特に基本的な知識がある領域)
  • AIは進化がとても早い領域です.その変化を知るため現時点のレベルをまとめておきます.各設問に対するAIの答えをそのまま記載します.忘れなかったら😅1年後に同じことを最新AIに問うてみます

 
Q1 心尖拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心尖拍動は左心室収縮により生じる胸壁の拍動で、心機能評価に重要な身体所見である。正常では左第5肋間・鎖骨中線上に触知され、範囲は限局する。外側・下方への偏位は心拡大を示唆し、びまん性で強い拍動は左心室肥大や容量負荷を考える。触知困難な場合は肺気腫や肥満が原因となることがある。このように心尖拍動は心疾患の存在や重症度推定に有用である。

Q2 心音の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心音は心臓の弁運動や血流変化により生じ、心機能や弁膜症評価に重要な身体所見である。第Ⅰ音は房室弁閉鎖を反映し、増強は頻脈や僧帽弁狭窄、減弱は心筋障害を示唆する。第Ⅱ音は半月弁閉鎖音で、分裂の変化は肺高血圧や右脚ブロックなどの診断に有用である。第Ⅲ音は容量負荷や心不全、第Ⅳ音は心室拡張障害を示すことが多い。さらに心雑音の有無や性状から弁膜症や先天性心疾患の推定が可能であり、心音聴診は非侵襲的に循環器疾患を評価できる基本かつ重要な診察手技である。

Q3 頚静脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚静脈拍動は右心系の圧・容量状態を反映する重要な身体所見である。内頚静脈の拍動を観察することで中心静脈圧を推定でき、右心不全、容量負荷、脱水の評価に有用である。正常では半坐位で鎖骨上に軽度の拍動を認める程度であり、明らかな怒張は右心不全、三尖弁閉鎖不全、心タンポナーデ、収縮性心膜炎などを示唆する。波形の観察も重要で、a波増高は右房圧上昇、v波増高は三尖弁閉鎖不全を考える。Kussmaul徴候(吸気時の頚静脈怒張増強)は収縮性心膜炎や右室梗塞に特徴的である。頚静脈拍動は非侵襲的かつ迅速に右心機能を評価でき、循環動態把握に欠かせない所見である。

Q4 頚動脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚動脈拍動は左心室からの駆出血流を直接反映する重要な身体所見であり、心拍出量や大動脈弁疾患の評価に有用である。正常では立ち上がりが速く、なだらかに下降する拍動を触知する。拍動の減弱や遅延(parvus et tardus)は大動脈弁狭窄を示唆し、逆に強く跳ねるような拍動(bounding pulse)は大動脈弁閉鎖不全や高拍出状態で認められる。二峰性拍動は肥大型心筋症を、拍動の左右差は頚動脈狭窄や大動脈解離を疑う所見となる。また、頚動脈雑音の聴取は動脈硬化性病変のスクリーニングとして重要である。頚動脈拍動の触診・聴診は簡便かつ非侵襲的に全身循環や弁膜症の手がかりを得られるため、循環器診察における基本かつ不可欠な所見である。

Q5 傍胸骨拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 傍胸骨拍動は胸骨左縁で触知される心拍動で、主に右心系や心室負荷の状態を反映する重要な身体所見である。正常では明瞭に触知されないが、持続的で強い傍胸骨拍動は右心室肥大や右心系圧負荷を示唆する。肺高血圧、肺動脈弁狭窄、慢性肺疾患に伴う肺性心などで認められることが多い。また、胸骨左縁下部での拡張期に強い拍動は右心室容量負荷や三尖弁閉鎖不全を考える手がかりとなる。心室中隔欠損などでは拍動が増強する場合もある。傍胸骨拍動は視診・触診のみで評価可能であり、右心機能や肺循環異常を推定するうえで有用な、基本的かつ重要な循環器身体所見である。

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(投稿者 川崎)

2026-01-15

今週の一枚 🎯

高齢者:足趾の痺れ→腰痛と発熱

😈 化膿性椎間板炎
  • X線:腰椎骨棘著明 ➜ DISH?(下記参照)
  • CT:L4/5椎間板の周囲に脂肪織濃度の上昇
  • MRI:同椎間板腔に液貯留かつ前方に連続
  • 高度の変形性変化+両側の外側陥凹狭小化
  • ドレナージ液から黄色ブドウ球菌(MSSA)

😐 DISH(ディッシュ)
  • 脊椎および脊椎外に特徴的な骨増殖(骨化) を呈する変性疾患
  • びまん性特発性骨増殖症 Diffuse Idiopathic Skeletal Hyperostosis
  • 糖尿病,高血圧,肥満,呼吸器疾患などと合併することが多い
  • 本邦での頻度は6~12%(70歳以上の男性に限定すると約50%)
  • 機序は解明されていないが骨形成障害の疑い(遺伝的な要因?)


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(投稿者 川崎)

2025-09-30

薬剤性低血糖

  • 薬剤性低血糖はERで頻回に遭遇する病態です.今回,糖尿病薬と関連しない薬剤性低血糖が疑われた症例を経験したのでまとめてみました.
  • 参考は霧島市立医師会医療センター 薬剤部DIニュース No.325 (2025.9) ですが,その元論文「肥満と糖尿病 2009;Vol.8」には辿り着けず😔
  • 下記薬剤のうちジソピラミドの低血糖は経験あり.当時,循環器内科をローテート中だった初期研修医の先生が論文化 ➜ 心臓 2006;38:824-8

💊 薬剤の相互作用による低血糖症
  1. 肝のシトクロムP450多型によるSU剤の代謝阻害
    • 抗凝固薬 ➜ ワルファリン
    • ニューキノロン系抗菌薬 ➜ ガチフロキサシン、シプロフロキサシン
    • ST合剤 ➜ バクトラミン配合錠
    • ヒスタミンH₂受容体拮抗薬 ➜ シメチジン、ラニチジン
    • アゾール系抗真菌薬 ➜ フルコナゾール

  2. 薬剤同士が競合してSU剤の遊離血中濃度が上昇
    • ヘリコバクターピロリの除菌 ➜ クラリスロマイシン、PPI
    • 消炎鎮痛剤 ➜ フェニルブタゾン

  3. 薬剤が腎排泄を阻害しSU剤の排泄遅延
    • フィブラート系高脂血症治療薬 ➜ ベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート
    • 尿酸排泄促進薬 ➜ プロベネシド

🍷 糖代謝へ直接影響を及ぼす薬剤による低血糖症
  1. インスリンの増加
    • 抗不整脈薬 ➜ ジソピラミド、シベンゾリン
    • ニューキノロン系抗菌薬 ➜ ガチフロキサシン
    • 切迫早産治療薬 ➜ リトドリン
    • 抗結核薬 ➜ イソニアジド

  2. インスリン感受性の亢進
    • アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ARB)
    • 非選択性βアドレナリン受容体遮断薬

  3. 肝臓での糖放出の低下
    • エタノール ➜ アルコール飲料

(投稿者 川﨑)

2025-08-07

今週の一枚 🎯

労作時の息切れで来院した症例(座位)


🐝 解説
  • 右頚部腫瘍(30年著変なし)
  • 安静座位で頚静脈は視認せず
  • 深吸気負荷後も頚静脈は陰性
  • 心音は明瞭なギャロップあり
  • BNPは著増(>1000 pg/ml)
  • 心エコー図で左室駆出率18%

🐙 頚静脈の座位定性の弱点

身体所見は診断特異度は高いのですが,感度が少し劣るという共通した問題点があります(評価者のばらつきもですが😑).一方,頚静脈の座位定性(シンプル頚静脈)は感度も特異度も臨床的には十分すぎるくらい高いと思われます.ただし特定の病態では役立たないと感じることもあるので,以下に列記してみます.

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(投稿者 川崎)

2025-05-03

DOHaDドーハッド仮説

  • Developmental Origins of Health and Disease(健康と病気の発生起源説や胎児期起源仮説)
  • 胎児期や乳児期の環境が,将来の健康や病気のリスクに大きな影響を与えるという考え方
  • 英国のDJP Barkerらが疫学的調査を元に1980年代に提唱した(Lancet 1989;2(8663):577-80
  • 例えば妊娠中の母体の栄養状態が悪いと生まれた子供が将来,肥満や糖尿病になりやすい
  • 想定される機序は胎児期の環境がエピジェネティック変化を引き起こし将来の健康に影響
  • 具体的には子宮内環境によってDNAメチル化やヒストン修飾,非コードRNAが変化してくる

- 低出生体重児のリスク因子とDOHaD仮説のイメージ -

(投稿者 川崎)

2025-04-10

今週の一枚 🎯

息切れでERに搬入された男性(座位)

😐 解説
  • 頚部に周期的に陥凹あり(矢印)
  • 呼吸と同調しているため陥没呼吸
  • 頚静脈の明らかな拍動は視認せず
  • 最終診断は初発心不全(PEF, CS1)
👺 つぶやき
  • 本例の肥満の程度は軽度ですが,顎下や顎のラインが不明瞭なことに要注意.このような症例では,内頚静脈の拍動が観察困難なことが少なくありません(同様の自験例).これは内頚静脈が深部静脈であり,胸鎖乳突筋を介した皮膚面の拍動として描出される以上,不可避です.
  • 陥没呼吸は努力呼吸時に出現する身体所見の一つで,喘息発作時(自験例)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)症例(自験例)などの呼吸器疾患で出てくることが多いと思います.本例ではしっかり見ないと「頚部の陥凹で心不全」となり結果は正解ですが...(プロセスは🙅)

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(投稿者 川崎)

2025-03-16

座位行動 Sedentary behavior

  • 座位行動とは「座位,半臥位または臥位の状態で行われるエネルギー消費量が1.5メッツ以下のすべての覚醒行動」
  • 身体活動量をある程度充足しても,長時間にわたる座位行動(いわゆる座りすぎ)は種々の健康問題を引き起こす
  • 成人の系統的レビューでは座りすぎは総死亡や心血管疾患死亡・罹患,がん死亡・罹患,2型糖尿病罹患などと関連
  • 子ども・青少年の場合でも,座りすぎが体力および心血管代謝の健康,肥満症,社会性行動,睡眠時間等と関連する


- 日本人の座位時間は1日約7時間ととても長い -

💫 独り言
  • 座りっぱなしの行動(座位行動)が運動不足とは異なる概念であることに少し驚きました(今までは運動さえしていればいいと思っていたので…)
  • 機序は十分に解明されていませんが,長時間の座位で骨格筋活動による心血管への利点は打ち消されるようです(Nat Rev Cardiol 2021;18:637-48
  • これからは「座る時間を減らして体を動かす」です.これは当り前のことですが,座位行動という観念を知る前とは少し違う響きを感じます.

(投稿者 川崎)

2025-02-07

頚静脈の座位定性法も無敵ではありません

鼠経ヘルニア術前に心電図異常を指摘された症例(座位)


  • 息切れなど心不全を示唆する症状はないが,BNP値は150 pg/ml程度に上昇していた.心エコー図には特記すべき異常所見はなし.
  • 心不全の有無を判定するため頚部を観察したが,大きな腫瘍に占拠されていた.橋本病による長い治療歴あり(現在はeuthyroid)
  • 心音でも心不全を示唆する所見(Ⅲ音やⅡ音肺動脈成分の亢進など)はなし.日常生活から判定した運動耐容能も保たれていた.
  • 胸部圧迫感の自覚はなく,冠危険因子も高血圧のみ.最終的に手術に支障はないと判断して,紹介元の外科医に返書を作成した.
  • 稀ながら頚静脈の座位定性法が困難が状況がある.甲状腺疾患による甲状腺腫肥満猪首,座位姿勢の困難例などが相当する.

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(投稿者 川崎)

2025-01-23

今週の一枚 🎯

息切れが再発した拡張型心筋症例(座位)

😐 解説
  • 安静座位で頚部に拍動は視認しない
  • 深吸気(保持)でも拍動は出現せず
  • BNP値は157 → 1,400 pg/mLに著増
  • 最終的に心不全増悪と診断して入院
💁 追加コメント
  • 内頚静脈は深部静脈であるため胸鎖乳突筋を介する皮膚面の拍動として認識されます.よって本例のように評価が難しい場合があります.一方,外頚静脈は表在静脈であるため視認は容易ですが,中心静脈圧の推定には不向きです(その理由).
  • 高度の肥満では内頚静脈の観察は困難になります(本例のBMIは約35 kg/m2).BMIがあまり大きくなくても首が太くて短い場合(いわゆる猪首)では同様に観察が困難です.一つの目安は顎下や顎のラインが不明瞭なことでしょうか(下図)

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(投稿者 川崎)

2024-12-28

Metabolic phenotypes 代謝表現型

👉 BMIと代謝状態に応じて4分類
  • 代謝的に健康な肥満(MHO: metabolically healthy obesity)
  • 代謝的に不健康な肥満(MUO: metabolically unhealthy obesity)
  • 代謝的に不健康な正常体重(MUN: metabolically unhealthy non-obesity)
  • 代謝的に健康な正常体重(MHN: metabolically healthy non-obesity)

国際的に統一されたカットプポイントはないが,BMIは25 kg/m2(または30 kg/m2)以上と未満で分類する.また代謝状態は,高血圧・脂質異常症・耐糖能異常・ウエスト周囲長の増大(内臓脂肪過剰蓄積)のうち2項目(あるいは1項目)以上で不健康とすることが多い.

- メタボリックフェノタイプはさまざま疾患のリスクと関連 -

(投稿者 川崎)

2024-07-25

今週の一枚 🎯

心雑音と動悸で受診した症例

💀 解説
  • ABI(足関節上腕血圧比)低下なし(むしろ高値)
  • 下肢血圧が高値(通常は下肢が10~20mmHg↑)
  • その差>20mmHgでヒル徴候(Hill's sign)陽性
  • 心エコー図では右冠尖bending+重症AR(下図)


👀 ヒル徴候(Hill's sign)
  • 英国の生理学者Sir Leonard Erskine Hill(1866–1952)が発見(過去の投稿).一回拍出が増加した速脈で出現することがある.ただしその機序はシンプルではない(過去の投稿).
  • 臨床現場ではヒル徴候は大動脈弁逆流に多い(60mmHg以上の差なら重症AR).肥満低換気症候群 OHS に生じた高心拍出性の心不全でヒル徴候が陽性だった症例の経験あり(ココ).
  • ABI低下の有無を見る検査のため,実際の血圧値をあまり見ていない方も少なくないのでは?(投稿者を含む😓)本例のような症例もあるためABI値だけでなくて実測値も要確認.
  • なおABI検査は心音マイクを装備しているので簡易な心音計として活用可能です.特にマイクを心尖部に置けば,過剰心音を描出してくれます(当院の研究).ただし雑音は苦手?

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(投稿者 川崎)

2023-12-12

アディポネクチン Adiponectin

  • 脂肪細胞から特異的に分泌される分子量がおよそ30 kDaの分泌蛋白質
  • 発見は前田先生ら(Biochem Biophys Res Commun 1996;221:286-9
  • 内臓脂肪蓄積や肥満により血中濃度が低下し,逆に減量では増加する
  • インスリン抵抗性改善や抗動脈硬化,抗炎症など多彩な臓器保護作用
  • 健常者のアディポネクチン血中濃度は5~20 μg/mL(低下すれば異常)


- アディポネクチンと各種疾患 -

(投稿者 川崎)

2023-10-26

今週の一枚 🎯

下腿症状で来院した男性

☆ 解説
  • 皮膚の肥厚と境界不明瞭な色素沈着,鱗屑,苔癬化
  • 右下腿前面の中央付近にびらんまたは潰瘍の治癒跡
  • 本例に下肢静脈瘤を示唆する所見は明らかではない
  • 男性にもかかわらず下腿に体毛をほとんど認めない
  • 最終的に慢性両心不全によるうっ滞性皮膚炎と診断

★ 鬱滞性皮膚炎(Stasis dermatitis)
  • ヒト下肢静脈は,深部静脈・表在静脈(伏在静脈)・深部と表在をつなぐ穿通枝・ポンプ作用を担う静脈洞から構成される.なんらかの原因で静脈圧の上昇を生じて皮膚炎をきたした病態がうっ血性皮膚炎で,重症化すると下肢静脈性潰瘍を生じる.
  • 下肢静脈高血圧のため慢性的に血管透過性が亢進して,フィブリノーゲンや赤血球が血管外に漏出して炎症を惹起し,ヘモジデリン沈着や結合織の増生と硬化を生じる.組織レベルでの動脈血流入が減少して栄養状態が障害されると皮膚潰瘍に至る.
  • 通常は50歳以上の方に多く,男性よりも女性の方が罹患頻度は高い.原因には静脈瘤,肥満,(多胎)妊娠,下肢静脈血栓,心不全,腎不全,高血圧,特定のライフスタイル(例:少ない身体活動や長時間の立位・座位),下肢の外傷後などがある.

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(投稿者 川崎)

2023-08-08

アナフィラキシー:検査所見

  • アナフィラキシーは迅速治療を行うために発症時診断は臨床診断基準に基づいて行う
  • ただし確定診断の補助として血漿トリプターゼあるいはヒスタミン増加の確認は有用
  • トリプターゼは肥満細胞内に存在しアレルゲンとIgE受容体の架橋形成で細胞外放出
  • いずれも発症直後と基準となる発症前あるいは回復後の2時点での測定が必要である

👺 実際の解釈
  • トリプターゼは発症後15分から3時間の採取血液で,基準値から141%以上,あるいは絶対値として15—25μg/ml 以上の増加であれば免疫グロブリンIgE介在性アナフィラキシーの可能性が高い。基準値は発症前か発症後2時間以降の値とする。ただし,トリプターゼは心筋梗塞,外傷,窒息状態でも増加する。また,小児や低血圧がない場合はトリプターゼが正常値であることが多い。
  • 血漿ヒスタミンは,発症後15—30分で基準値に戻るので,血液検査で増加をとらえるには発症から5—10分以内の採血が必要である。しかし,ヒスタミンの代謝産物であるN-メチルヒスタミンは,発症後30—60分で尿中に排出され,数時間は検出が可能である


💁 アナフィラキシーに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-02-06

プロバイオティクス Probiotics

  • 腸内細菌叢のバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物
  • 英国の微生物学者である R Fuller が提唱した観念(J Appl Bacteriol 1989;66:365-78
  • 抗生物質(Antibiotics)の対義語として提唱された経緯から"Pro"bioticsと命名された
  • Lactobacillus(ラクトバチルス)や Bifidobacterium(ビフィズス菌)など195菌種あり
  • 紀元前の医学者ヒポクラテスは“All Disease Begins in the Gut”という言葉を残している
  • 対象は感染症,炎症性腸疾患,癌,アレルギー,肥満・代謝系疾患,精神疾患など多岐


👵 効果の科学的検証

😊 おまけ
  • 宮入近治博士(千葉医科大学:現 千葉大学医学部)が昭和8年に腸内腐敗を抑制する芽胞(宮入菌)を発見しミヤリサン株式会社(現 ミヤリサン製薬株式会社)を設立
  • 同社の主力商品であるミヤBMBMは酪酸菌であるClostridium butyricum MIYAIRIから,ミヤは同菌の発見者である宮入近治博士の宮から来ています.
  • ミヤBMは細粒,錠剤ともに5〜6円程度ですが,年間の売り上げは80億円近くもあるようです.実際の我々医療従事者の周りにも,その愛用者は少なくありません.

(投稿者 川崎)

2022-12-27

リンパ節腫脹の鑑別:CHICAGO

👽リンパ節腫脹を生じる一般的な原因の頭字語
Cancers(がん) 
  • 血液系悪性腫瘍:ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性・慢性白血病、ワルデンストレーム・マクログロブリン血症、多発性骨髄腫(稀)、全身性肥満細胞症
  • 転移性 "固形 "腫瘍:乳癌、肺癌、腎細胞癌、前立腺癌、その他

Hypersensitivity syndromes(過敏症症候群)
  • 血清病
  • 薬剤感受性:ジフェニルヒダントイン、カルバマゼピン、プリミドン、金、アロプリノール、インドメタシン、スルホンアミド、その他
  • シリコン反応
  • ワクチン関連
  • 移植片対宿主病

Infections(感染症)
  • ウイルス性:伝染性単核球症(Epstein-Barrウイルス)、サイトメガロウイルス、伝染性肝炎、ワクチン後リンパ節炎、アデノウイルス、帯状疱疹、HIV/AIDS、ヒトT-リンパトロピックウイルス1型
  • 細菌性:皮膚感染症(ブドウ球菌、連鎖球菌)、ネコひっかき病、甲状腺腫、メリオイデス症、結核、非定型抗酸菌症、原発性および続発性梅毒
  • クラミジア:性病性リンパ肉芽腫
  • 原虫性:トキソプラズマ症
  • 真菌症:ヒストプラスマ症、コクシジオイデス真菌症
  • リケッチア:ツツガムシ病
  • 寄生虫症:フィラリア症

Connective tissue diseases(結合組織病)
  • 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、混合結合組織病、シェーグレン症候群

Atypical lymphoproliferative disorders(非定型リンパ増殖性疾患)
  • 血管毛包性(巨大)リンパ節過形成(キャッスルマン病)、異プロテイン血症を伴う血管免疫芽球性リンパ節症、血管中心性免疫増殖性疾患、リンパ腫様肉芽腫症、ヴェゲナー肉芽腫症

Granulomatous disorders(肉芽腫性疾患)
  • 結核、ヒストプラスマ症、マイコバクテリア感染症、クリプトコッカス、珪肺症、ベリリウム症、ネコひっかき病

Other unusual causes of lymphadenopathy(その他のリンパ節腫脹の異常な原因)
  • リンパ節の炎症性偽腫瘍、組織球性壊死性リンパ節炎(菊池リンパ節炎)、大量のリンパ節症を伴う洞組織球症(Rosai-Dorfman病)、洞の血管変化、胚中心部の進行性変化


😎 独り言
  • CHICAGOとうまくまとまっているけど,無理して覚えてもいつも使う環境でなければすぐに忘れます.もっとも毎日鑑別する環境なら覚えなくても勝手に身につきます.こういう語呂って時々見直して頭の整理をするのがいいのかな〜と思います.あとどうしても診断がつかない時の網羅的検索用 😙
  • 他にもALL AGES (age, location, length of time present, associated signs and symptoms, generalized lymphadenopathy, extranodal associations, splenomegaly and fever/年齢、部位、発症期間、関連徴候・症状、全身リンパ節腫脹、節外関連、脾臓腫脹、発熱)などもあります.

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)