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2021-11-19

先日,ERに来た若者の尿中ケトン体が4+でした

  • ケトン体はアセトン,アセト酢酸,β-ヒドロキシ酪酸の総称
  • ケトン体は脂肪の分解時に肝臓で作られ血液中に放出される
  • 腎機能障害がなければケトン体の濃度は尿中が血中より高い
  • 尿ケトンは試験紙法で容易に判定できて,陰性が正常である
  • ただし尿試験紙はアセトン(とアセト酢酸)のみを検出可能
  • ケト酸の生成速度は遅くて顕在化に数時間~半日以上を要す


👺 出現する原因
  1. 糖の利用障害 ➜ 糖尿病性ケトアシドーシス,ミトコンドリア病,糖原病など
  2. 糖の摂取不足 ➜ 飢餓,繰り返す嘔吐,極端なダイエット(低炭水化物),他
  3. 糖の消費亢進甲状腺機能亢進症,激しい運動,高熱,外傷,ストレスほか
  4. その他 ➜ 薬剤性(SH基・セフェム系・フェニルピルビン酸),高Cr尿など

👹 おまけ
  • 当院の症例は食習慣が尿中ケトン体4+の原因と考えられました.基礎疾患がない場合,ケトン体の存在が人体にとって有害か否かは確定されていないようです.実際に糖質制限でケトン体濃度を持続的に増加させ,体脂肪をエネルギー源とする体に変えていくケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット/Ketogenic diet)を推奨する考えもあります.ダイエットに有効ばかりか,ガンや癲癇,糖尿病の症例にも有益であるという報告も散見されます().

(投稿者 川崎)

2021-11-18

🎯 今週の一枚(音)

胸から音がすると言って来院した症例

💣 解説
  • 収縮期雑音があり期外収縮の後に著増(概ね10倍以上)
  • 駆出性雑音では先行RR間隔が延長時に音量は増大する
  • しかし大動脈弁狭窄の増大はせいぜい2倍まで(自験例
  • 本例の様に著明に増加する症例は閉塞性肥大型心筋症!
  • 予想通り心エコー図で流出路狭窄を確認した(動画後半)

👂 独り言
  • 本例は心室期外収縮が散発してたため,患者さん自身が述べるように時々,胸から心雑音が聞こえました.レバイン分類では最も大きい音を6度(聴診器が胸壁に触れなくても聴取可能)に分類します.本例では聴診器すら不要な巨大な雑音でした(勝手にレバイン7度と命名 😊).人工弁の機械音も聴診器なしで聞こえることがありますが,これは雑音ではないのでレバイン分類は適応されません.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2021-11-17

妊娠中の放射線被曝:胎児への影響

🚑 先日,妊婦さんの腹痛に対して最終的に単純CTで虫垂炎と診断し緊急手術を行いました

👶 推奨されている患者さんへの説明
  1. 受精後10日までの被曝では奇形発生率の上昇はない
  2. 受精後11日~妊娠10週での胎児被曝は奇形を誘発する可能性があるが,50mGy未満では奇形発生率を上昇させない
  3. 妊娠9~26週では中枢神経障害を起こす可能性があるが,100mGy 未満では影響しない


検査別の胎児被曝線量(オリジナルは英国データ

🐥 追加コメント
  • 受精後14日を過ぎた妊娠4~10週になると器官形成期であり100mGy(閾値)以上の被曝を受けた場合は奇形発生率は上昇するとの報告がある.一方,100~500mGyの被曝でも奇形発生率は上昇しないとする報告もある.ICRP84 は「妊娠のどの時期であっても100mGy 未満の胎児被曝線量は妊娠中絶の理由と考えるべきではない」としている.
  • 妊娠9~16週の胎児中枢神経系は細胞分裂が旺盛で,被曝は精神発育遅滞の頻度を上昇させる可能性がある.妊娠17~26週では中枢神経系の放射線感受性は低下するが影響は多少残る.妊娠9週未満および妊娠27週以降の被曝は,中枢神経系に悪影響を与えない.妊娠のいずれの時期でも100mGy以下の低い線量被曝による IQ 低下は確認されていない


💁 被曝に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-11-16

🍛 カレーアレルギー

カンファレンスの一コマ 💨
  • 研修医 「本例の主訴は ”カレーを食べると必ず吐く” です」
  • 指導医 「カレー?そのカレーが古くなってたんじゃないの」
  • 研修医 「外食や自炊,ルーにかかわらず常に吐くそうです」
  • 指導医 「カレーアレルギー?そんなん聞いたことないけど」

カレー粉の成分
  1. 辛味 ➜ カイエンペッパー,コショウ,チリーペッパー,ニンニクほか
  2. 芳香 ➜ クミン,コリアンダー,シナモン,ナツメグ,カルダモンなど
  3. 色調 ➜ ターメリック(鬱金またはウコン),サフラン,パプリカほか

😎 松下なんでも調査隊
  • カレーに含まれる食材(甲殻類やピーナッツなど)アレルギーは散見されます.スパイス自体に対するアレルギーの報告もあるようですが,スパイスの塊であるカレー粉(curry powder)に対するアレルギーは不思議と目にしません(でした).
  • しかしカレー粉はヨモギ花粉(mugwort pollens)と交差反応性を示すため,実は隠れたアレルゲンだそうです().実際に "Allergy to curry: case report" というタイトルの論文も見つけました(Allergol Immunopathol 2011;39:383-5).

💁 アレルギーに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

(投稿者 川崎)

2021-11-15

大動脈弁狭窄の重症度と音量

📖 弁膜症治療ガイドライン2020年改訂版)の63ページ
  • 「なお,ASが進行して左室機能障害をきたし一回拍出量が低下すると収縮期雑音は小さくなるので,収縮期雑音の強弱で病態の重症度を判断するのは誤りである.」

😟 呟き
  • 左室駆出率が低下してくれば,いわゆる”Low-Flow/Low-Gradient Aortic Stenosis(低流量低圧較差大動脈弁狭窄)”になるため雑音の音量が低下することは理にかなっています.しかし収縮力が保たれている症例でもあまり音量が大きくない重症例をしばしば経験します.そこで手持ちの心音図を比較してみました(当院の心音図はすべて同一のスケールで記録/選択バイアスは否定できませんが作為的な操作は一切なし/左室駆出率は全症例で正常)


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2021-11-14

拡張期血圧のエビデンス

☎ 先日,拡張期血圧の質問を受けたので高血圧治療ガイドライン2019(JHS2019)を確認しました

  • 診察室・診察室外血圧値のいずれも収縮期血圧と拡張期血圧はそれぞれ独立した危険因子(19ページ)
  • 高齢者では大動脈の伸展性が低下するため,収縮期血圧は上昇して拡張期血圧は低下する(19ページ)
  • 血圧評価には収縮期血圧を用いる(拡張期血圧より心血管イベントと強く関連するため)(60ページ)
  • 過降圧の不利益として臓器血流の低下を考える場合,心臓を除き収縮期血圧の維持を重視(61ページ)
  • 冠動脈疾患では収縮期血圧130mmHg未満を目指し拡張期血圧80mmHgを避ける必要なし(111ページ)

🤰おまけ:クリニカルクエスチョン15(162ページ)
  • Q 妊娠高血圧で減塩は推奨されるか? 
  • A 減塩(6g /日)は妊娠高血圧のは非薬物療法としては推奨されない
  ➜ 26論文のシステマティックレビューで有益性なし(ただし不利益もなし)

💁 関連投稿

(投稿者 川崎)

2021-11-13

内分泌の復習 

  • エンドクリン(endocrine)=内分泌 ➜ 分泌された物質が体液で標的細胞まで運ばれ作用するタイプのシグナル伝達の様式(例:インスリンなど多数)
  • パラクリン(paracrine)=傍分泌 ➜ 分泌された物質が分泌細胞の近隣にある細胞に作用するタイプのシグナル伝達の様式(例:ソマトスタチン)
  • オートクリン(autocrine)=自己分泌 ➜ 分泌された物質が分泌した細胞自身に作用するタイプのシグナル伝達の様式(例:乳汁産生抑制因子)
  • その他 ➜ ジャクスタクリン(juxtacrine)=接触分泌(膜結合型分子として作用)やイントラクリン(intracrine)=細胞内分泌(自身の核内受容体に作用)


👶 復習
  • 分泌物を体液中や血液中に放出する形式が内分泌で,分泌物質の総称がホルモン
  • 一方,分泌物を体液中ではなくて体外や体腔に放出する形式は外分泌(exocrine)

(投稿者 川崎)

2021-11-12

医療メディエーター

  • mediator【名】2者間の仲介者,調停者,まとめ役(発音 míːdièitər/メディエイタァ)
  • 患者側と医療者側から中立的な立場を保って,両者の理解や関係改善を支援する役割
  • 当事者による自主的な対話を促進する役割で代理や代弁または解決案の提示はしない
  • 2004年に日本医療機能評価機構で医療メディエーターの研修がスタート(資格不問)
  • 2008年に日本医療メディエーター協会が発足(認定には同機構・協会の受講が必要)
  • 医療メディエーターに専従している医療従事者は稀でスキルアップとして取得が多い


(投稿者 川崎)

2021-11-11

膠原病と漢方薬

症状に合わせた漢方薬の使用
ステロイドの量を減らす 柴苓湯(さいれいとう)
レイノー現象対策 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
むくみ 柴苓湯(さいれいとう)
更年期症状(肩こり・のぼせ・冷え)の改善 加味逍遙散(かみしょうようさん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血小板の減少対策 加味帰脾湯(かみきひとう)
関節痛や神経痛対策 関節リウマチなら大防風湯(だいぼうふうとう)
NSAIDsの代用なら桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
口の渇き対策 白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
痰や咳対策 麦門冬湯(ばくもんどうとう)エキス
こむら返りや筋肉の痙攣対策 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
患者さんが知りたいリウマチ・膠原病(香川英生先生;現代書林:2011)より一部改編

📘 同書籍からのトリビア
  • ループス・エリテマトーデスのループスはラテン語の「オオカミに噛まれた傷に似た皮膚症状」の意味
  • サルコイドーシスはラテン語で「肉のようなものができる病気」の意味

💁 膠原病に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)
💁 漢方に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

(投稿者 川崎)

🎯 今週の一枚

数ヵ月前から労作時の息切れを感じるようになった症例



(投稿者 川崎)