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2018-02-28

2017年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (III. 身体診察法・臨床手技)

  1. 眼球結膜と眼瞼結膜の充血があれば結膜炎と考える.ぶどう膜(虹彩+毛様体+脈絡膜)に炎症が生じれば,霧視や飛蚊症,羞明感(しゅうめいかん:まぶしく感じること)などの視野異常が出現する.
  2. 関節リウマチの病変は手関節やMCP関節,PIP関節で,基本的にDIP関節には生じない.抗CCP抗体は早期リウマチでRFよりも感度・特異度ともに高いが,両者が陽性なら診断特異度が上昇する.
  3. Shifting dullness(腹部所見で体位による濁音境界線の移動)は腹水の存在を示唆する.またテリー爪(Terry nails,別名白色爪)は爪の基部が白色のすりガラス状に変化する病態で肝硬変を示唆する.
  4. 熱傷の9の法則とは成人に適用される熱傷面積の推定方法(頭部・右上肢・左上肢を各9%,体幹部前面・後面を各18%,右下肢・左下肢を各18%,陰部を1%).熱傷面積の計算にⅠ度熱傷は含まれず,Ⅱ度とⅢ度熱傷の範囲から算出される.
  5. 発症から4.5時間以内に治療可能な虚血性脳血管障害に対するt-PA(アルテプラーゼ)静注療法の禁忌事項に頭蓋内出血の既往がある.ワルファリンあるいはヘパリン投与も禁忌事項に含まれるが,抗血小板の内服は禁忌事項には含まれない
(投稿者 川崎)

2018-02-27

2017年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (II. 症候学・臨床推論)

  1. 髄膜炎の診断には髄液検査が重要であるが,脳ヘルニアの兆候がある場合は腰椎穿刺は禁忌(例:急激な頭痛の増悪,瞳孔不同,意識障害の進行,呼吸異常)
  2. 小刻み歩行はパーキンソン病を代表とする錐体外路異常を示唆するものである.安静時振戦を呈していなくてもパーキンソン病を除外してはいけない.
  3. クエチアピン(商品名セロクエル)は糖尿病に禁忌である.一方,リスペリドン(商品名リスパダール)は腎代謝であるため慢性腎臓病の患者には適さない.
  4. 結核性胸膜炎における最も親和性の高い指標はADAで,30 IU/L以上を分割値とした場合の感度は92%である.
  5. 小児の軽症中耳炎では抗菌薬非投与で3日間の経過観察が勧められている.もし抗菌薬を投与するならペニシリンアレルギーなどがなければアモキシシリンが第1選択薬
  6. Z薬(Z-drug=ベンゾジアゼピンに類似した作用を持つ非ベンゾジアゼピン系の医薬品)はせん妄を増悪させるため注意を要する.例えばゾルピデム(一般名マイスリー),ゾピクロン(一般名アモバン),エスゾピクロン(一般名ルネスタ)など.
(投稿者 川崎)

2018-02-26

リパクレオンについて

【製品名】
リパクレオンカプセル150mg
【一般名】
パンクレリパーゼ
【効能・効果】
膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充
【用法・用量】
通常、パンクレリパーゼとして1回600mgを1日3回、食直後に経口投与する。
なお、患者の状態に応じて、適宜増減する。
【治療学的・製剤学的特性】
(1)健康なブタ膵臓から得られた膵消化酵素製剤で、特にリパーゼ活性を高めたものであり、本邦で初めて膵外分泌機能不全に対する有効性及び安全性が検証された薬剤である。
(2)膵外分泌機能不全患者が食物を効率よく消化できるように工夫された製剤である。
・日局パンクレアチンと比較した単位重量当たりの力価として、製剤ではリパーゼで約8.4倍、プロテアーゼで約7.0倍及びアミラーゼで約6.5倍の力価を有する。
・胃内での失活を防ぐために腸溶性剤皮が施されており、さらに、胃内で食物と良く混和し、食物と共に速やかに十二指腸に排出されるのに最適な粒径(MMS製剤)を有している。
(3)膵外分泌機能不全患者に対し、栄養状態の代替指標のひとつである脂肪吸収率を著明に改善する。
(4)栄養素の消化吸収を改善することにより、患者の栄養状態を改善する。

(投稿者 小森)

2017年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (I. 総論)

  1. アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは患者・家族・医療従事者が今後の方針をあらかじめ決定しておくことである.病院死の減少につながるが,健康時に決定したACPの約半数が疾病発症時に変更される問題点も指摘されている.
  2. 治療のために必要な既往歴や治療歴などの情報を,患者の同意なしに家族から聴取することは,個人情報の適正な取得であり問題はない.
  3. 介護認定には主治医意見書と市町村による認定調査が必要である.主治医は市町村からの求めに応じて,患者本人の同意を得ずに意見書を提出できる
  4. 介護保険の対象者は65歳以上であるが,40〜65歳未満でも特定の疾病(合計16疾病)を有する場合は対象になる.介護保険の利用者は保険給付の1割の自己負担が必要である(所得金額や世帯人数によっては2割負担).
(投稿者 川崎)

2018-02-25

B27(B26じゃないよ)

B27は組織適合性を決定するHLAの構成抗原の一つ
HLA=human leukocyte antigen=ヒト白血球抗原
  • HLAは白血球以外もほぼすべて細胞に分布
  • HLAはA,B,C,DR,DP抗原などの組合せ
  • HLA-B27陽性は強直性脊髄炎のリスクである
  • 日本では一般人口の約0.3%がHLA-B27陽性
  • ただし実際の発症はB27陽性例の10%未満


👲 HLA-B27はライター症候群,潰瘍性大腸炎,ブドウ膜炎とも関連するようです
👴 HLA-B51はベーチェット病の発症と強い関連が報告されている(オッズ比9.3倍)

※B26は第二次世界大戦中にアメリカが配備した高速爆撃機 ➜ Wiki

(投稿者 川崎)

2018-02-24

松下金曜会 「症例提示」

最初の段落より
  • 口頭での症例提示は,病歴と身体所見の要約である.
  • 簡潔さは最も重要であり,単にカルテを読み上げることは症例提示の目的にそぐわない.
  • 必須の要素は,主訴・現病歴,既往歴,家族歴,社会歴,全身の観察結果,そして身体診察所見である.

最後の段落より
  • 優れた口頭での症例提示は物語に似ており,経時的に,日常会話に近い言葉で述べられる.
  • 簡潔で明快な症例提示を行う能力を身に付けるには,訓練と技能が必要である.これは失われた技術であるが,取り戻せないものではない.

参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-02-23

カルニチン

  • カルニチン(C7H15NO3)はビタミン様物質で75%は食事から摂取,25%は体内で生合成される
  • 長鎖脂肪酸のミトコンドリアマトリックス内(TCAサイクルによるATP産生場)への輸送に必須

欠乏症の発症リスク
  • 先天代謝異常(新生児マススクリーニング疾患対象疾患に含)
  • 薬剤性(バルプロ酸,ピボキシル基含有抗菌薬,抗癌剤など)
  • 腎疾患(腹膜透析や血液透析,Fanconi症候群など)
  • 摂取不足(経管栄養,食思不振,牛乳アレルゲン除去調製粉乳など)
  • その他(肝硬変,筋ジストロフィー,筋萎縮性側索硬化症など)

欠乏時の臨床症状
  • 倦怠感,嘔吐(感染や空腹で誘発),意識障害,脳症
  • 筋緊張低下,筋クランプ,横紋筋融解症,痙攣
  • 精神や運動発達の遅延,体重増加不良,呼吸異常
  • 低血圧,不整脈,心肥大,心機能低下および突然死

🔓 詳しく知りたい方は ➜  『カルニチン欠乏症の診断・治療指針 2016』

(投稿者 川崎)

過換気負荷試験

  • 冠攣縮性狭心症における非薬物誘発試験のひとつ
  • 強制換気(目安は呼吸数25回/分以上を6分間継続

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)
冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_ogawah_h.pdf(2018年1月閲覧)

機 序 過換気➜呼吸性アルカローシス➜Na+-H+ポンプ作動➜Na+-Ca2+ポンプ作動➜細胞内Ca2+上昇➜冠攣縮
診断能 高い特異度(100%),感度は61.7%(発作が週に5回以上なら84%,5回未満39%,1回未満29%)

(投稿者 川崎)

2018-02-22

グラム染色クイズ


通常の抗菌薬治療に反応しない肺炎例の喀痰をグラム染色した ➜ 





👴 抗酸菌はグラム法で染色されないが,菌量が多ければグラム染色でも分かることがある

(投稿者 川崎)

痛風 vs 偽痛風


NSAIDS パルス NSAID
実際のステロイドの使い方日内会誌 2015;104:2039-45
  • 適応はNSAIDsが使用できない場合や多発性関節炎を生じているの場合など
  • 経口プレドニゾロン15~30mg/日(漸減し3週間で中止/1-3日では再発例あり)
  • 膝や肘関節などに水腫を伴う場合は無菌的に穿刺排液後にステロイドを注入
  • 化膿性関節炎の疑いがある場合はステロイドを注入しないこと(関節液を培養)

(投稿者 川崎)

2018-02-21

心電図クイズ

持続する胸痛を訴えて当院のERに搬入された症例



(投稿者 川崎)

S-B チューブ

食道胃静脈瘤の破裂部位を直接圧迫して止血するバルーン型医療器具
米国の医師SengstakenとBlakemoreが開発(Ann Surg 1950;131:781-9

(Wiki by Olek Remesz より)

食道胃静脈瘤の破裂時 ➜ 内視鏡的治療(EVLあるいはEIS)で止血
  • EVL (Endoscopic variceal ligation) 内視鏡的静脈瘤結紮術
  • EIS (Endoscopic injection sclerotherapy) 内視鏡的硬化療法

緊急内視鏡が施行できない時あるいは止血できない時 ➜ S-B tube
  • S-B tube (Sengstaken-Blakemore tube) セングスターケン・ブレイクモア・チューブ

参考資料:食道静脈瘤の治療戦略(日本消化器内視鏡学会雑誌 2015;57:1347-60

(投稿者 川崎)

2018-02-20

症例クイズ(下腹部痛と泥状帯下)




(投稿者 川崎)

緊急時の赤血球輸血

輸血前にABO型,Rho抗原・不規則抗体の有無,交差適合試験(クロスマッチ)が必要
ただしABO血液型の判明には急いでも5~10分,クロスマッチには20~30分を要する

輸血療法の実施に関する指針-厚生労働省(2005年版・2007年一部改正/2014年一部改訂は小冊子で配布)
  1. ABO血液型とRho抗原の判定を行いABO同型の赤血球または全血を輸血し引き続きクロスマッチを実施
  2. ABO血液型を判定する時間的余裕がない場合の緊急輸血はO型赤血球濃厚液を使用する(全血は不可)
  3. 緊急O型輸血では例外的にクロスマッチ未実施でもいいが,原則として放射線照射血液製剤を使用する
  4. Rho抗原が陰性と判明したらRho陰性血液の入手に努める(本邦におけるRho陰性の頻度は約0.5%)
  5. Rho陰性を優先しABO血液型が異型であるが適合血液(異型適合血)を使用可(特に妊娠可能性女性)
  6. 48時間以内に不規則抗体検査を行い抗D抗体が検出されない場合は抗D免疫グロブリンの投与を考慮

※採血不可能な場合には出血した血液を検査に利用可 💉

(投稿者 川崎)

2018-02-19

画像クイズ

スポーツ外傷で手首を痛めた学生. 患側は? 診断は?





(投稿者 川崎)

Apical sparing

  • 心エコ-図のスペックルトラッキング解析で長軸方向のストレインが心尖部で温存される状態
  • 米国オハイオ州クリーブランド・クリニックの医師Thomas JDらが報告(Heart 2012;98:1442-8
  • 心アミロイドーシスの診断に有用な所見(心尖部>中部+基部の診断感度93%,特異度82%)

Heart 2012;98:1442-8/A1–4=心アミロイドーシス;B1,2=肥大型心筋症;C1,2=大動脈弁狭窄)

👿 機序は十分には解明されていないが,心尖部には(アミロイドの)細胞外沈着が起こりにくい(J Theor Biol 1982;99:31-68)ことが関連しているのではと推察されている

(投稿者 川崎)

2018-02-18

D-dimerと大動脈解離

Dダイマーの上昇(0.5 μg/ml以上)は急性大動脈解離の診断に有用
  • 急性大動脈解離298例とコントロール436例のメタ解析(Am J Cardiol 2011;107:1227-34
  • 高い感度97%と陰性的中率96%(一方,特異度56%,陽性的中率60%は低め) ➜ 除外に有用

Dダイマーは急性大動脈解離の解離長の推定にも有用
  • 心肺停止で搬入された症例を除く連続113例での検討(Circ J 2006;70:1598–601
  • 解離長スコアとD-dimerが正相関(r=0.519, p<0.001) ➜ 限局解離例では偽陰性あり
D-dimer
(投稿者 川崎)

脚気心とTCAサイクル

TCAサイクル(tricarboxylic acid cycle)=トリカルボン酸回路
別名はクレブス回路(発見者名)やクエン酸回路(citric acid cycle)

  • 解糖や脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAがTCAサイクルの開始点
  • アセチルCoAの酸化過程で生成されたNADHを用いてエネルギーATPを産生
  • 人間を含む真核生物ではTCAサイクルの酵素群はミトコンドリアに存在する


ビタミンB1を中心としたビタミンB群がTCAサイクルでは重要な補酵素である
よって長期ビタミンB1欠乏時に生じる脚気心の機序は以下のように説明される

👾 トリビア 👾
  • ビタミンB1は体内貯蔵量が少ないため枯渇しやすい(もちろん体内合成はできず)
  • 飲酒関連の脚気の機序はアルコール含有糖質の分解にB1が多量消費されるため

(投稿者 川崎)

2018-02-17

FDP vs D-dimer

  FDP D-dimer
本質fibrin/fibrinogen degradation productstwo D fragments of the fibrin protein
joined by a cross-link
反映フィブリノゲン分解産物+フィブリン分解産物
(1次線溶+2次線溶)
フィブリン分解産物の最小単位
(2次線溶のみ)
意義線溶亢進
(線溶=線維素溶解)
凝固優位
(線溶抑制)
優位DICなど敗血症など
状態出血傾向臓器障害
値段80点 (800円)*141点 (1410円)*
*平成28年度 診療報酬点数 より

おまけ 🙆
  • 固形癌ではFDPとD-dimerがいずれも上昇する線溶均衡型DICが多い
  • 両者の同時測定は保険査定されることがあるため必要例に限って行う
Dダイマー
(投稿者 川崎)

松下金曜会 「側腹部痛」

側腹部痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 錯乱と発熱 ⇒ 尿路性敗血症,胆嚢炎,肺炎
  2. 起立性のめまい ⇒ 腹部大動脈瘤破裂または出血によるショック
  3. 抗凝固薬の同時使用 ⇒ 後腹膜出血
  4. 緩徐な発症と消散不能 ⇒ 悪性腫瘍,膿瘍
  5. 長引く発熱と突然の側腹部痛 ⇒ 敗血症性塞栓を伴う心内膜炎
  6. 摂食に伴う痛み ⇒ 胆嚢炎,腸閉塞,膵炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-02-16

感染性心内膜炎における感染部位

弁別の頻度は,僧帽弁>大動脈弁>三尖弁>肺動脈弁(本邦の疫学調査 CADRE-IE

しかし稀ならず複数の弁に疣腫を認める症例がある (以下は自験例で僧帽弁+大動脈弁 🐥)



感染性心内膜炎76例の検討 (N Engl J Med. 2012;366:2466-73)
(対象は左心系+高度弁膜症+10mmより大きい疣腫をすべて満たす症例)
  • 僧帽弁単独 59%,大動脈弁単独 29%,僧帽弁+大動脈弁 12%

(投稿者 川崎)

Dysphagia Aortica

  • 胸部下行大動脈による食道圧迫に起因した嚥下障害
  • 初報はPape R. (Fortschr Roetgenstr 1932;46:257-69)
  • 下行大動脈の高度の屈曲や蛇行,瘤化が原因になる
  • 日本語名はおそらく未確立(大動脈源性嚥下障害?)

Ann Thorac Surg. 2012;94:656 より/図A・Bは治療前,図C・Dはステント治療後)

(投稿者 川崎)

2018-02-15

症例クイズ

高齢の独居女性が自宅のトイレ前で動けなくなっているところを発見されERに搬入された
数日前から両側の股関節に痛みを感じていたがようだが認知症もあり病歴聴取は困難
バイタル正常/両鼠径部に圧痛点なし/CVA叩打痛は両側陽性/右下肢のMMT 2-3
  • 両側股関節~大腿のレントゲンとCTはいずれも正常
  • 腎盂腎炎を示唆する尿所見や血液の炎症所見はなし
  • 頭部MRIに急性期脳血管障害を示唆する異常所見なし



(投稿者 川崎)

尿管膜遺残 Urachal remnant

通常胎生期に存在する臍と膀胱をつなぐ尿膜管が出生後も残存した状態

頻度 成人の2%(出生直前の胎児や出生直後の早期新生児では約50%)
分類 尿膜管関存,尿膜管隣痩,尿膜管憩室,尿膜管嚢胞,感染後瘻孔
疫学 尿膜管膿瘍の場合10例中男性7例,女性3例,平均42歳(19-77歳)
症状 臍部から排膿,臍部腫瘤,臍部痛・下腹部痛,肉眼的血尿膀胱炎
治療 感染症なら抗生剤,稀だが癌化リスクあるため外科的切除も考慮

参考:膜管疾患14例の臨床的検討.尿泌尿器科紀要 2005;51:731-5

👀 自験例 ➜ 左下腹部痛で来院した1例


(投稿者 川崎)

2018-02-14

心電図クイズ(術前)





(投稿者 川崎)

Proportional pulse pressure

  • (収縮期血圧 - 拡張期血圧) ÷ 収縮期血圧 × 100(%)で算出される指標
  • 急性心不全や慢性心不全の急性増悪時のNohria-Stevenson分類で利用
  • 本指標が25%未満なら小さい脈圧(つまり前方障害・低灌流・coldがある)

Nohria-Stevenson分類のオリジナル ⏩ J Am Coll Cardiol. 2003;41:1797-804

(投稿者 川崎)

2018-02-13

感染性心内膜炎の抗菌薬予防投与

基礎疾患を有する一部の症例では観血的処置前に抗菌薬の予防投与が必要(合同研究班ガイドライン

予防投与を要する or 考慮すべき疾患
  • ClassⅠ 人工弁置換患者,感染性心内膜炎の既往,複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管転位,ファロー四徴症),体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
  • ClassⅡa ほとんどの先天性心疾患,後天性弁膜症(大動脈弁・僧帽弁),閉塞性肥大型心筋症,弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
  • ClassⅡb 人工ペースメーカあるいはICD植え込み患者,長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者

予防投与が必要でないと考えられる疾患
  • 心房中隔欠損症(二次口型)
  • 心室中隔欠損症・動脈管開存症・心房中隔欠損症の根治術後6ヵ月以上経過した残存短絡がないもの
  • 冠動脈バイパス術後
  • 逆流のない僧帽弁逸脱
  • 生理的あるいは機能的心雑音
  • 弁機能不全を伴わない川崎病の既往
  • 弁機能不全を伴わないリウマチ熱の既往
ペースメーカー
具体的な抗菌薬の予防投与方法

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007年度合同研究班報告)感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_miyatake_h.pdf(2018年2月閲覧)

注意点 👀
  • アモキシリンの投与量2.0gの根拠は必ずしも明確ではなく,本邦の臨床現場での通常投与量とは大きく異なる
  • 表下の記載にもあるようにアモキシリン500mgを提唱している報告もあり(日本化学療法学会誌 2001;49:1-9

(投稿者 川崎)

2018-02-12

グラム染色クイズ

誤嚥性肺炎と診断され抗菌薬を長期投与されている症例
病態に改善がないため胸水ドレーンの排液をグラム染色





(投稿者 川崎)

2018-02-11

凍傷 🔁 凍瘡

凍傷(とうしょう,frostbite)=極度の低温で皮膚や皮下組織が障害された病態
  • 第1度 表皮まで ➜ 掻痒,発赤,腫脹,疼痛
  • 第2度 真皮まで ➜ 水疱,びらん,感覚鈍麻
  • 第3度 皮下組織まで ➜ 壊死,潰瘍,離断

凍瘡(とうそう,chilblain)=0~5℃程度の寒冷によって生じる末梢循環障害,しもやけ

(投稿者 川崎)

2018-02-10

症例クイズ(咽頭の違和感)





(投稿者 川崎)

松下金曜会 「聴力障害」

聴力障害のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 突然または急速な発症 ⇒ 突発性感音難聴,血栓症,塞栓症,血流不全,自己免疫性,外傷(気圧障害,鼓膜穿孔,外リンパ瘻,蝸牛振盪),髄膜炎,梅毒
  2. 耳鳴 ⇒ メニエール病,聴神経腫,外傷(外リンパ瘻,気圧障害),突発性感音難聴
  3. 一側性または非対称性 ⇒ 血栓症,塞栓症,血流不全,聴神経腫,メニエール病,特発性感音難聴,自己免疫性
  4. 回転性めまい ⇒ メニエール病,自己免疫疾患,聴神経腫,外傷(気圧障害,外リンパ瘻),多発性硬化症,梅毒,髄膜炎,特発性感音難聴
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

メニエル (投稿者 川崎)

2018-02-09

情報収集 SAMPLE法

救急現場で1次評価(ABCDE)に引き続いて行う情報収集法
  1. S = Sign (症状)
  2. A = Allergy (アレルギーの有無)
  3. M = Medication (内服薬)
  4. P = Past medical history (既往歴)
  5. L = Last meal (最後の食事,いつ何を食べたか)
  6. E = Event leading to presentation (イベント) ※enviroment (酒・たばこ)を含めることもある

(投稿者 川崎)

2018-02-08

CVポート針の交換

カテーテル関連血流感染症(Catheter-related blood stream infections: CRBSI)は臨床現場でしばしば問題になる
脂質や血液製剤を含まない末梢点滴は96時間までなら連続留置してもCRBSIを増加させないことがメタ解析で示されている
Optimal timing for intravascular administration set replacement. Cochrane Database Syst Rev. 2013;9:CD003588.

問題

答え

(投稿者 川崎)

ビーフリード vs バチルス(セレウス菌)

  • ビーフリードは末梢から投与でき比較的高カロリー(210kcal/500ml)でビタミンB1やアミノ酸含
  • 臨床現場では汎用されているが血管外漏出による皮膚壊死の問題が指摘されている ➜ 過去の投稿

一方,ビーフリードに関連した末梢カテーテル留置によるセレウス菌の汚染も認識されるようになってきた
(従来から中心静脈カテーテルの不適切管理やリネン類の汚染に起因したセレウス感染症は指摘されている)



原因として,高い栄養価に加え大きな点滴バッグ(脱衣時などでルート開放の機会が増加)などが指摘されている

バチルス(セレウス菌)
  • セレウス菌(Bacillus cereus)はグラム陽性の大型桿菌で土壌や汚水など自然界に広く分布する
  • 通性嫌気性菌であり芽胞は100℃の加熱にも耐えるため汚染された食物摂食で食中毒を生じる🍙

(投稿者 川崎)

2018-02-07

心電図クイズ(無症状)





(投稿者 川崎)

VASスケール

VAS=visual analogue scale=視覚的評価スケール
痛みなど客観的評価が困難な指標を定量化するときに用いる

一例
  • 紙に10cmの直線を引き,両端を「痛みなし」と「想像できる最大の痛み」に設定
  • 現在の痛みの程度を直線上で指し示してもらう(その位置を数値として定量化)

他のスケール
  1. Numerical Rating Scale (NRS) 0~10までの11段階に分けて判定
  2. Verbal Rating Scale (VRS) なし・少し・かなり・耐えられないの4段階
  3. Face Rating Scale (FRS) 顔イラストを利用(高齢者や小児などで利用)

参考:日本ペインクリニック学会 痛みの診断と評価

👻👻 VASのSはscaleだから厳密にはVAS(バス)スケールは重複表現で誤りだと思うが・・・

(投稿者 川崎)

2018-02-06

Ca拮抗薬?Caブロッカー?

Ca拮抗薬という名称の由来は、平滑筋のCa依存性収縮がジヒドロピリジン誘導体によって、あたかも競合的拮抗を示すように抑制されることから名付けられたもので、実際にはCaに拮抗作用を持つものではない。Caチャネルを遮断し、平滑筋細胞へのCa流入を抑制する。

本来は作用機序に則した名称として、Caチャネル遮断薬やCa流入遮断薬が適当であるが、日本においては「Ca拮抗薬」という名称が一般的に用いられる。

(投稿者 小森)

IPSS 国際前立腺症状スコア

世界共通で使用されている前立腺肥大症の症状の客観的評価法
IPSS=international prostate symptom score


合計点 ➜ 軽症(0~7点),中等症(8~19点),重症(20~35点)
  • 0~7 点の軽症なら基本的に投薬は不要で経過観察する
  • 8点以上の中等症以上なら排尿機能と前立腺形態の評価

(投稿者 川崎)

2018-02-05

分離肺換気

左右の肺を別々に換気する方法で,英語表記はdifferential lung ventilation
スウェーデンの臨床生理学者Carlens E.が開発(J Thorac Surg 1949;18:742-6

肺切除術中の片肺換気など患側肺と健側肺の換気パターンを独立して設定することができる
気管チューブがダブルルーメン構造で左用と右用がある (例 ブロンコ・キャス気管支内チューブ

胸部手術の歴史 💨
The history of anesthesia for thoracic surgery (MINERVA ANESTESIOLOGICA. 2007;73:513-24)
➜ 1880年頃から始まった歴史の総括で,昔の写真を見るだけでも楽しいよ 🙆

(投稿者 川崎)

2018-02-04

老健・特養・療養型

介護保険制度における公的施設は3つある
  1. 介護老人保健施設(老健
  2. 特別養護老人ホーム(特養
  3. 介護療養型病床群(療養型


ポイント
  • 老健 ➜ 施設内に医療機関を有し在宅復帰が前提で入所期間は原則3ヵ月まで
  • 特養 ➜ 施設内に医療機関を有さないが最期まで住むことが可能(長い待機要)
  • 療養型 ➜ 医療機関を有し長期療養者用(2017年末に廃止され現在経過措置中)

(投稿者 川崎)

2018-02-03

松下金曜会 「殿部,股関節および大腿部の疼痛」

殿部,股関節および大腿部の疼痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 腸や膀胱の制御低下または持続性の感覚障害 ⇒ 腰の神経根障害または脊髄障害(特に急性腰椎椎間板ヘルニア)
  2. 体重を支えられない ⇒ 股関節骨折または大腿骨頭無菌壊死
  3. 大腿部に疼痛を伴う発赤と腫脹(特に総大腿静脈上) ⇒ 大腿の深部静脈血栓(肺梗塞や心肺合併症のリスクが高い)
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-02-02

先行する感冒症状+突然の胸痛






(投稿者 川崎)

リツキサン vs 心毒性

抗CD20モノクローナル抗体で一般名はリツキシマブ(Rituximab) 発音注意【ri-ˈtək-si-ˌmab】 実際の音声

リツキサンの添付文書の警告より
  • 「本剤の投与開始後30分~2時間よりあらわれるinfusion reactionのうちアナフィラキシー様症状,肺障害,心障害等の重篤な副作用(低酸素血症,肺浸潤,急性呼吸促迫症候群,心筋梗塞,心室細動,心原性ショック等)により,死亡に至った例が報告されている.」

しかしリツキサンは決して心毒性が強い薬剤ではないと思われる
以下の3編ではリツキサンと心毒性増加は有意に関連しなかった
  • Severe and fatal adverse events risk associated with rituximab addition to B-cell non-Hodgkin's lymphoma (B-NHL) chemotherapy: a meta-analysis. J Chemother. 2015;27:365-70.
  • A prospective study of left ventricle function after treatment with rapid-infusion rituximab in patients with non-Hodgkin lymphoma. Leuk Lymphoma. 2009;50:1642-6.
  • Addition of rituximab to chop does not increase the risk of cardiotoxicity in patients with non-Hodgkin's lymphoma. Med Oncol. 2008;25:437-42.

(投稿者 川崎)

2018-02-01

看護師によるインフルエンザ検査

臨床検査技師は厚生労働省指定講習会を受講し修了証交付後にインフルエンザ鼻腔拭い液採取が可能
これは2014年6月18日に法律の改正案が成立し2015年4月1日より施行(臨床検査技師等に関する法律

  • では「看護師が鼻粘膜を掻爬する採取行為を(特定の講習なく)行ってもよいか」
  • つまり保健師助産看護法の第5条に明記された「診療の補助」に含まれるかどうか

一般財団法人比較法研究センター 「医療と法ネットワーク」の回答
  • 「鼻粘膜を掻爬する採取行為は医師の指示下で看護師が行うことは可能であると考える」 ➜ その根拠は コチラ

実際に最近では看護師によるインフルエンザ検査の論文が散見される

(投稿者 川崎)

グラム染色クイズ

便潜血陽性で来院した症例の腸管洗浄液(強拡大=1000倍)




(投稿者 川崎)